第 2 章 腸管吸収におけるトランスポーターを介した薬物‐薬物間相互作用予測法の構築
第 3 節 ヒト腸管吸収における薬物‐薬物間相互作用ポテンシャルの評価
ラ ッ ト に お け る mi gli tol の Tma xと luseoglif lozin も し く は phlorizin の TAIC を 用 い た DDI の 予 測 が in vivo で の DDI 試 験 の 結 果 と 符 合 し 、本 予 測 方 法 の 妥 当 性 を 確 認 で き た こ と か ら 、 ヒ ト に お い て も 同 様 の 方 法 を 用 い て 予 測 を 試 み た 。
2-3-1 実験方法 標準物質及び試薬
Miglitol の 10.0 mg を 正 確 に 量 り 、メ タ ノ ー ル に 溶 解 し た 後 、正 確 に 10 mLと し て 1 mg/ mL の 標 準 原 液 を 調 製 し た 。 こ の 標 準 原 液 を 適 宜 水 で 希 釈 し て 、 一 連 の mi glitol 標 準 溶 液 (25 ng/ mL~15000 ng/ mL) を 調 製 し た 。IS 標 準 溶 液 は 10.0 mg を 正 確 に 量 り 、メ タ ノ ー ル に 溶 解 し た 後 、正 確 に 100 mL と し て 100 µg/ mLの IS 原 液 を 調 製 後 、 こ の IS 原 液 を さ ら に 水 で 希 釈 し 、500 ng/ mL の IS 溶 液 を 調 製 し た 。 こ れ ら の 標 準 溶 液 は い ず れ も 4℃ で 保 存 し た 。 試 薬 は 前 節 に 準 じ た 。
生体試料
ブ ラ ン ク 血 漿
検 量 線 や QC 試 料 の 調 製 に 使 用 し た ヒ ト ブ ラ ン ク 血 漿 は コ ー ジ ン バ イ オ 株 式 会 社 よ り 購 入 し た 。
GastroPlus
TMを用いた腸管における TAIC の算出
算 出 方 法 は 前 節 に 準 じ た 。 ヒ ト 固 有 の 対 応 及 び 入 力 に つ い て は 下 記 に 示 す 。 1)Effecti ve per meability(Pe f f) 値 の 算 出
Ka 値 は 、GastroPlusT M の PKPlusT Mモ ジ ュ ー ル を 使 用 し 、ヒ ト に luseogliflozin を 経 口 投 与 後 の 血 漿 中 薬 物 濃 度 ‐ 時 間 デ ー タ を 2-コ ン パ ー ト メ ン ト モ デ ル で 解 析 す る こ と に よ っ て 算 出 し た 。
Pe f f値 は 下 記 の 式 6 3 ) に し た が っ て 算 出 し た 。
(1),
V; 管 腔 体 積, S; 表 面 積, r; 管 腔 直 径 ( ヒ ト :1.75cm 6 8 )) 2
Ka r S Ka V
Peff
(CL/F、Vc/F、k1 2、k2 1) は 、 経 口 投 与 後 の 血 漿 中 濃 度 ‐ 時 間 デ ー タ に フ ィ ッ テ ィ ン グ す る こ と に よ り 収 集 し た 。
3) 肝 臓 と 小 腸 の 初 回 通 過 効 果 (first -pass effects: FPE) の 算 出
ヒ ト に お い て は PK パ ラ メ ー タ (CL/F、Vc/F) に F 関 連 パ ラ メ ー タ が 含 ま れ る た め 、FPE 値 は ゼ ロ を 入 力 し た 。
4) 小 腸 に お け る TAIC の 算 出
Table 17 に 示 し た 、算 出 し た パ ラ メ ー タ の 妥 当 性 は 、シ ミ ュ レ ー ト し た 血 漿 中 薬 物 濃 度 ‐ 時 間 プ ロ フ ァ イ ル と 実 測 値 の“goodness-of -fit”( 良 く 合 致 す る こ と ) を 確 認 す る こ と に よ り 検 証 し た 。 そ の 後 、DDI の ポ テ ン シ ャ ル を 予 測 す る た め 、小 腸 に お け る 濃 度 推 移 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 行 し た 。ヒ ト に お い て は 、 SGLT1 は 主 に 小 腸 に 発 現 し て い る こ と 6 7 ) 以 外 の 報 告 は な い こ と か ら 、十 二 指 腸 、 空 腸 、 回 腸 に お け る 薬 物 濃 度 を シ ミ ュ レ ー ト し た 。
ヒトにおける PK 及び相互作用試験
本 治 験 は 「 ヘ ル シ ン キ 宣 言 」 に 基 づ く 倫 理 的 原 則 、「 薬 事 法 第 14 条 第 3 項 お よ び 第 80 条 の 2」 に 規 定 す る 基 準 お よ び 平 成 9 年 3 月 27 日 付 厚 生 省 令 第 28 号
「 医 薬 品 の 臨 床 試 験 の 実 施 の 基 準(GCP)に 関 す る 省 令 」を 遵 守 し て 実 施 さ れ た 。 治 験 責 任 医 師 は 、本 治 験 実 施 計 画 書 お よ び 症 例 報 告 書 の 内 容 な ら び に そ の 遵 守 に つ い て 治 験 依 頼 者 と 合 意 し た 上 で 、 本 治 験 を 実 施 し た 。
ま た 、 治 験 実 施 計 画 は 、 大 正 製 薬 株 式 会 社 の 臨 床 試 験 審 査 委 員 会 (IRB) 及 び 医 療 法 人 平 心 会 OCROM ク リ ニ ッ ク の IR B の 承 認 を 事 前 に 得 た 。
本 治 験 に お い て 、mi glitol(50 mg 錠 ) も し く は luseogliflozin(5 mg 錠 ) を 日 本 人 健 康 成 人 男 性 12 例 に 投 与 し 、 そ の 結 果 よ り 各 々 の PK パ ラ メ ー タ を 収 集 し た 。 相 互 作 用 試 験 は 、mi glitol と luseogliflozin の 単 回 併 用 投 与 後 の PK を 把 握 す る た め に 実 施 し た 。 採 血 は pre 及 び 投 与 後 0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、 12、24 h に 行 い 、血 漿 分 離 し た 後 、LC-MS/ MS に よ る 分 析 ま で-80°C で 保 管 し た 。
TAIC/T
maxの算出
算 出 法 は 前 節 に 準 じ た 。
ヒト血漿中 miglitol 濃度
装 置 は Alliance 2795 separation module(Waters, Milford, MA)及 び API4000(AB
) を 用 い た 。 測 定 条 件 は 前 節 の ラ ッ ト 血 漿 中 の 測
定 法 に 準 じ た 。
標準溶液の調製
前 節 に 準 じ た 。
添加血漿の調製
検 量 線 の 作 成 及 び バ リ デ ー シ ョ ン 試 験 用 の QC 試 料 は 、各 濃 度 の luseogliflozin 標 準 溶 液 各 々10 µL を 各 々 ヒ ト ブ ラ ン ク 血 漿 50 µL に 添 加 、撹 拌 す る こ と に よ り 得 た (5~3000 ng/ mL)。
検量線
検 量 線 は 、luseogliflozin の 濃 度 が 5、10、30、50、100、300、500、1000、3000 ng/ mL と な る よ う に 調 製 し た 9 種 の 添 加 血 漿 を 分 析 し 、 添 加 血 漿 を x、IS(500 ng/ mL)に 対 す る luseogliflozin の ピ ー ク 面 積 比 を y と し て 直 線 回 帰 す る こ と に よ り 得 た 。 重 み フ ァ ク タ ー は 1/x2を 採 用 し た 。
前処理法
50 µLの ヒ ト 血 漿 に IS溶 液(500 ng/ mL)30 µLと ア セ ト ニ ト リ ル / 蒸 留 水(80:20、
v/ v)500 µL を 加 え て 、ボ ル テ ッ ク ス ミ キ サ ー に て 30 秒 間 混 和 し た 後 、遠 心 分 離
( 設 定 値 :9100×g、4°C、5 分 間 ) し た 。 上 清 を 分 取 し 蒸 留 水 を 810 µL、 ク ロ ロ ホ ル ム を 2 mL 加 え て 、 振 と う ( 約 230 回 / 分 、5 分 間 ) し た 後 、 遠 心 分 離 ( 設 定 値 :400×g、4°C、5 分 間 ) し た 。 上 清 100 µL に ア セ ト ニ ト リ ル を 900 µL 加 え て ボ ル テ ッ ク ス ミ キ サ ー に て 10 秒 間 混 和 し 、 そ の 10 µL を LC-MS/MS シ ス テ ム に 注 入 し た 。
2-3-2 結果及び考察
本 予 測 方 法 の 妥 当 性 が ラ ッ ト の 実 験 に て 検 証 さ れ た こ と か ら 、同 様 に し て ヒ ト に お け る 予 測 を 試 み た (Fi g. 14)。
2-3-2-1 Luseogliflozin をヒトに経口投与後の腸管内 TAIC の算出
予 測 に 使 用 し た パ ラ メ ー タ は Table 17 に 示 し た 。 ヒ ト に お け る Pe f f 値 は 27.5 cm/s x 104で あ り 、PK パ ラ メ ー タ (CL/F、Vc/F、k1 2、k2 1) は 経 口 投 与 後 の 実 測 値 を 、AIC に よ り 最 も 良 好 に フ ィ ッ ト し た 2-コ ン パ ー ト メ ン ト モ デ ル に 当 て は め 、 算 出 し た(Fi g. 14 ( A))。GastroPlusT Mを 用 い て ヒ ト に お け る 血 漿 中 薬 物 濃 度 ‐ 時 間 プ ロ フ ァ イ ル を 予 測 し た と こ ろ 、Cm a x 及 び AUC0 - t の percent prediction of error
(si mulated/obser ved) が±20%以 内 で あ っ た こ と か ら 、 シ ミ ュ レ ー ト し た 値 と 実 測 値 は よ く 符 合 し て い る こ と が 確 認 さ れ た (Fi g. 14 (B))。
Fig. 14 Plasma concentration time profiles for luseogliflozin i n humans. The closed circles represent the mean obser ved data + S.D. (n = 12).
(A) Two-compart ment model -fitted profiles in humans after the single intravenous administration of luseogliflozin (5 mg/ man) . The solid line was fitted using a nonlinear least -squares regression anal ysis. The PK parameters (CL/ F, Vc/F, k1 2, k2 1) in humans for si mulating luminal concentrations were obtained by t his fitting to the observed data. (B) Si mulated concentration-time profiles in humans after the single oral administration of luseogliflozin (5 mg/man). The solid lines represent the model -si mulated prof iles, which were obtained using the ACAT model in GastroPlusT M.
Plasmaconcentrationofluseogliflozin(ng/mL)
Time (h) 10
100 1000
0 6 12 18 24 Plasmaconcentrationofluseogliflozin(ng/mL)
Time (h) 10
100 1000
0 6 12 18 24
A B
こ れ に よ り 、入 力 パ ラ メ ー タ の 妥 当 性 が 確 認 さ れ 、ヒ ト に お け る luseogliflozin の PK プ ロ フ ァ イ ル は ACAT モ デ ル で 良 好 に 表 現 で き て い る と 考 え ら れ た 。そ こ で 、 本 条 件 下 で の 腸 管 に お け る luseoglifl ozin の 薬 物 濃 度 ‐ 時 間 プ ロ フ ァ イ ル を も と に TAIC を 見 積 も っ た と こ ろ 、14 mi n で あ っ た (Fi g. 15)。
Fig. 15 Si mulated lumi nal concentration-ti me profiles in human duodenum (red line), upper j ej unum ( green line), and ti me spent above a value 10-fold higher than the IC5 0 value (TAIC) after the single oral administration of luseogliflozin (5 mg/ man). The dashed l ine represents a value 10-fold higher than the IC5 0 value for SGLT1. The TAIC of l useogliflozin in humans (14 min) was shorter than the Tm a x of mi glitol in humans (83 min).
2-3-2-2 ヒト腸管吸収における薬物‐薬物間相互作用ポテンシャルの予測
ヒ ト に mi glitol を 経 口 投 与 後 の Tm a xは 83 min、TAIC は 14 min で あ り 、そ の 割 合(TAIC/Tm a x (%))は 、17%で あ っ た 。こ の 値 は 阻 害 が 起 こ ら な か っ た ラ ッ ト の 32%よ り さ ら に 低 い こ と か ら (Table 19)、 ヒ ト に お い て luseogliflozin は mi glitol の 吸 収 を 阻 害 し な い と 考 え ら れ た 。
Time (h)
Luminalconcentrationofluseogliflozin(μg/mL)
10-fold of IC50value
12.6 μg/mL
14 min << 83 min (Tmaxof miglitol in humans)
TAIC: 14 min
0 10 20 30
0 1 2 3 4
2-3-2-3 予測結果の妥当性の確認
ヒトにおける薬物‐薬物間相互作用試験
ヒ ト に mi glitol(50 mg 錠 ) と luseogliflozi n(5 mg 錠 ) を 各 々1 錠 ず つ 併 用 経 口 投 与 後 の 血 漿 中 薬 物 濃 度 推 移 を Fi g. 16 に 示 す 。 Mi glitol 単 剤 経 口 投 与 後 の 平 均 血 漿 中 mi glitol 濃 度 は 、luseogliflozin と の 併 用 経 口 投 与 後 と 良 好 に 一 致 し 、 luseogliflozin は mi glitol の PK パ ラ メ ー タ に 影 響 を 及 ぼ さ な か っ た 。
Fig. 16 Plasma level s of mi glitol in humans following the oral administration of mi glitol alone (50 mg/ man, red line) or i n combination with l useogliflozin (5 mg/ man, blue line). The closed circles and triangles represent the observed mean data ± S.D. (n = 12).
一 方 、ipragliflozin は l useogliflozin と 同 様 に 新 規 の SGLT2 選 択 的 阻 害 薬 で あ る が 、mi glitol 単 剤 投 与 時 に 対 す る ipragliflozinと の 併 用 時 の PK パ ラ メ ー タ(Cm a x、
AUCi n f) の 90% 信 頼 区 間 は 、 各 々0.761(90% CI: 0.672–0.861) 及 び 0.796(90%
CI: 0.719–0.881)で あ り 、ipragliflozin は mi glitol の 吸 収 を 低 下 さ せ た と 報 告 さ れ て い る (www.info.pmda.go.j p/downfiles/ph/PDF/800126_3969018F1022_1_01.pdf)。
こ の 報 告 を も と に ipr agliflozin と mi glitol の DDI ポ テ ン シ ャ ル に つ い て 、著 者 ら の 考 案 し た DDI の 予 測 法 を 使 用 し て 、公 開 さ れ た hSGLT1 に 対 す る IC5 0値(1876 nM)6 9)及 び ヒ ト の PK デ ー タ 7 0 ) を 用 い て レ ト ロ ス ペ ク テ ィ ブ に 解 析 し た と こ ろ 、 TAIC/Tm a x は 116% で あ り 、ipragliflozin は miglitol の 吸 収 を 阻 害 し う る と い う 結 果 が 得 ら れ た 。 以 上 よ り 、 著 者 ら が 考 案 し た SGLT1 を 介 し た mi glitol の 吸 収 過 程 に 対 す る 併 用 薬 の DDI ポ テ ン シ ャ ル の 予 測 法 に よ っ て 、 阻 害 し な い 場 合 の み な ら ず 、 阻 害 す る 場 合 も 正 確 に 予 測 が 可 能 で あ る こ と が 確 認 さ れ た 。
の ガ イ ダ ン ス に よ る と 、 阻 害 剤 の 最 高 濃 度 が 一 定 に 持 続 す る と い う
Plasmaconcentrationofmiglitol(ng/mL)
Time (h)
0 300 600 900 1200 1500
0 4 8 12
Miglitol alone
Combination with luseogliflozin
ス タ テ ィ ッ ク モ デ ル の 仮 定 の も と 、 臨 床 DDI 試 験 を 実 施 す る ク ラ イ テ リ ア は [ I2]/ IC5 0≥ 10 と さ れ て い る 。さ ら に Cook 7 1)ら に よ っ て 、[ I2]/ IC5 0≥ 5 の ク ラ イ テ リ ア も 提 唱 さ れ て い る 。し か し な が ら 著 者 ら の 研 究 で は 、luseogl iflozin の[ I2]/ IC5 0
は 10 を 超 え て い る が 、mi glitol の 吸 収 を 全 く 阻 害 し な か っ た 。こ の 偽 陽 性 の 結 果 は 、 ス タ テ ィ ッ ク モ デ ル を 使 用 す る こ と に よ る 過 大 評 価 に よ る も の と 思 わ れ る 。 一 方 で 、 著 者 ら は 腸 管 に お け る luseogliflozin の 薬 物 濃 度 ‐ 時 間 プ ロ フ ァ イ ル を 評 価 す る こ と が 、DDI ポ テ ン シ ャ ル の 精 度 の 高 い 予 測 法 を 構 築 す る た め に は 重 要 で あ る と 考 え た 。実 際 に 、著 者 ら が 考 案 し た ダ イ ナ ミ ッ ク モ デ ル を 使 用 し た DDI ポ テ ン シ ャ ル 予 測 法 で 予 測 し た 結 果 は 、i n vivoの 併 用 試 験 の 結 果 と 合 致 し た 。
2-3-3 小括
著 者 ら が 考 案 し た 、ダ イ ナ ミ ッ ク モ デ ル を 使 用 し た 阻 害 剤 の 腸 管 内 の 濃 度 ‐ 時 間 プ ロ フ ァ イ ル を も と に し た DDI ポ テ ン シ ャ ル 予 測 の ス ト ラ テ ジ ー に よ っ て 、 ヒ ト 腸 管 内 の TP を 介 し て 吸 収 さ れ る 薬 物 に つ い て は 、DDI ポ テ ン シ ャ ル を 的 確 に 予 測 す る こ と が で き た 。 こ の 結 果 よ り 、 本 ス ト ラ テ ジ ー に 基 づ く DDI ポ テ ン シ ャ ル 予 測 法 の 信 頼 性 及 び 有 用 性 が 高 い こ と が 示 さ れ た 。
総括
DDI は 、 薬 物 代 謝 酵 素 や TPの 誘 導 や 阻 害 な ど に よ っ て 、 他 の 薬 物 の 体 内 動 態 に 影 響 を あ た え 、生 体 内 に お け る 薬 物 曝 露 の 過 剰 な 低 下 や 上 昇 を 招 き 、薬 効 の 減 弱 や 有 害 作 用 を 引 き 起 こ す こ と が あ る 。 そ れ ゆ え 、 薬 物 の 臨 床 適 用 に お い て は 、 生 じ る 可 能 性 の あ る DDI の 特 徴 と そ の 程 度 を 適 切 に 予 測 し 、 患 者 の 不 利 益 と な ら な い よ う に 対 処 す る 必 要 が あ る 。 通 常 、in vitro 試 験 の 結 果 か ら DDI 発 現 リ ス ク が 想 定 さ れ る 場 合 に 、 臨 床 DDI 試 験 を 実 施 す る が 、 こ れ に は コ ス ト や 時 間 が か か る た め 、 リ ソ ー ス 削 減 が 可 能 な 信 頼 性 の 高 い 代 替 評 価 法 の 開 発 が 望 ま れ る 。 こ れ ま で に 、 肝 代 謝 に 起 因 す る DDI や そ の 予 測 法 に つ い て は 数 多 く 報 告 さ れ て い る が 、腸 管 で TP を 介 し て 吸 収 さ れ る 薬 物 に つ い て は DDI ポ テ ン シ ャ ル を 的 確 に 予 測 で き な い の が 現 状 で あ る 。
そ こ で 本 研 究 で は 、 腸 管 に お い て SGLT1 を 介 し て 吸 収 さ れ る 薬 物 に 対 す る 併 用 薬 の DDI ポ テ ン シ ャ ル の 高 精 度 な 予 測 法 の 構 築 を 試 み た 。
第 1 章 で は 、 本 研 究 を 遂 行 す る た め に 必 要 と な る 生 体 試 料 中 の 単 糖 類 を LC-MS/MS を 用 い て 高 感 度 か つ 安 定 に 検 出 す る た め の 方 法 に つ い て 検 討 し た 。こ れ ま で 生 体 試 料 中 の 単 糖 類 は 、 イ オ ン 化 抑 制 な ど に よ り LC-MS/MS で の 高 感 度 測 定 が 困 難 と さ れ て き た が 、イ オ ン 化 を 妨 げ る 種 々 の 要 因 を 回 避 し 、分 析 堅 牢 性 も 向 上 さ せ 、効 率 的 か つ 安 定 に イ オ ン を 生 成 す る た め の ク リ ー ン ア ッ プ 法 を 構 築 し た 。 す な わ ち 、gl ucose の analog で あ る 5-thio-D-glucose の 血 漿 サ ン プ ル を 例 に 、 分 析 の 妨 げ と な る イ オ ン 性 の 物 質 を イ オ ン 交 換 固 相 抽 出 カ ラ ム に 保 持 さ せ 、 目 的 物 質 を 保 持 さ せ ず に ス ル ー さ せ る こ と に よ り 分 離 除 去 す る pass-through-cleanup 法 で 前 処 理 す る こ と が 効 果 的 で あ る こ と を 見 出 し た 。さ ら に 、 脂 溶 性 の 高 い 脂 質 類 の 除 去 に よ っ て 糖 分 析 カ ラ ム の 耐 久 性 が 向 上 す る こ と も 示 し た 。本 手 法 は 、生 体 試 料 中 単 糖 類 の 高 感 度 測 定 法 の 開 発 に あ た り 、広 く 応 用 で き る も の と 考 え ら れ た 。
第 2 章 で は 、腸 管 に お い て SGLT1 を 介 し て 吸 収 さ れ る 薬 物 と し て mi glitol を 、 併 用 薬 と し て luseogli flozin を 例 に 、 そ の DDI ポ テ ン シ ャ ル 予 測 に つ い て 新 規 ス ト ラ テ ジ ー を 考 案 し た 。予 測 方 法 は 以 下 の 4 ス テ ッ プ か ら な り 、① コ ン ピ ュ ー タ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に 必 要 な 物 理 化 学 及 び 薬 物 動 態 学 的 パ ラ メ ー タ の 収 集 、② シ ミ ュ レ ー ト し た 血 漿 中 濃 度 ‐ 時 間 プ ロ フ ァ イ ル が 実 測 値 と 符 合 す る か 検 証 す る こ と に よ る 入 力 パ ラ メ ー タ の 妥 当 性 確 認 、③ACAT モ デ ル を 使 用 し た 腸 管 濃 度 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 か ら 、SGLT1 IC 値 の 10倍 を 超 え る 濃 度 の 持 続 時 間(TAIC)