2.2 中国地域における VOC 排出抑制に係る取組内容の把握
2.2.2. ヒアリング調査
当ヒアリングは、対策事例として紹介する事例探索と業界団体に非加盟の事業者におけるVOC に対する理解や対策の実施状況を実態として把握する事を目的としている。
そこで、ヒアリング対象は、原則的には、アンケート回答の中で、業界団体等に参加していな いと見られる事業者で「VOC対策を実施しており、模範的・規範的な取り組みや独自の取り組み がありそうな事業者」を、可能な範囲で業種に広がりを持たせるように選定した。
一方、VOC排出抑制に取り組んでいない中小企業の実態を把握するために、アンケートで「ど うしてよいかわからない」、「状況次第で実施したい」、「すぐに実施したい」と回答した事業者の 中から8事業者を訪問し、現状の把握と、取進めの参考になる情報提供を実施した。
卸・小売り事業者には、実態としては VOC をほとんど排出せず、特段の対策も取っていない 業者も含まれるが、卸・小売りの営業は、非加盟事業者にも個別につながっており、情報提供等 の協力に対する理解を促し、非加盟事業者の実態を伺うことを目的として、選定した。
また、ヒアリング対象は中小企業者を中心に実施するが、地域産業において代表的な大企業も ヒアリングを行った。最新の VOC 対策に関する情報収集や下請け関係や製品販売の関係で、広 く中小企業とのネットワークを形成するかなめとなる可能性もあると考えた。また、大企業の対 策は、必ずしも中小企業の取り組みに反映されないが、大企業ができる限りの取り組みを進めて いる事を理解してもらうための事例紹介は必要と考えた。
さらに、業界団体や関係機関等に対してもヒアリングを実施した。今回の調査は、業界団体 に対する実態調査が主たる目的でないが、業界団体としての VOC 削減対策に対する理解や取り 組みに対する実態の把握、業界団体の把握する優れた取り組みを行っている企業の情報収集など を目的として行った。
企業・団体にヒアリング件数は表2.11の通りである。
表2.11 ヒアリング実施先別件数
業種 ヒアリング対象数
製造業
化学 10
印刷 7
輸送用機械器具 5
ゴム製品 5
造船 3
その他 7
卸・販売
塗料・塗装資材 5
印刷資材 1
木工材料 1
業界団体・関係機関等 5
合計 49
33
2.2.2.2 ヒアリング結果概要
① 製造・使用事業者
表2.12のヒアリングシートを用いてヒアリングを行った。
表2.12 製造・使用事業者用ヒアリングシート
項目 内容
事業内容
事業規模 区分 中小企業 個人事業 資本金
従業員数 加入団体 主なVOC使用目的
VOC認知状況 自社の認知状況、経緯 情報源
同業者における認知状況 VOC対策実施状況 現在の取り組み状況
今後の取り組み予定 VOC対策の効用 排出量削減効果
収益面 環境面 その他
VOC対策の課題 これまでの課題
一層の取り組みへの課題 意見・要望
(VOCに対する認知状況)
今回の調査は、比較的小規模な企業が多く、VOCに対する認識には開きがあった。
VOCに対する認知状況において、大気汚染防止を目的としたVOC対策と作業環境対策が混同 され、本来の目的を誤解し、実際にはVOC対策にならない取組を、VOC対策として紹介する企 業が散見された事には留意すべきと考えられる。例えば、ダクトによる排気を強化して作業環境 中の有機溶剤を排出する事や毒性の低い溶剤への交換などは、局所的な排気を強化することが揮 発を促進することはよく知られるところであり、毒性は低いが溶解性の乏しい溶剤でインクの除 去作業をすることは、作業時間が長引く分だけ溶剤揮発量を増やす懸念がある。このように、大 気汚染防止の観点からは対策となっていないと見られるものを VOC 対策として紹介する例があ った。
VOC対策を行う誘因としてコストダウンや作業環境改善を示すことが行われているが、セミナ ーなどにおいては、本来の目的を強調する必要があると考えられる。
翻って、VOC 発生抑制に関する誤解を解く必要性も含めれば、VOCに対する認知を一層深め る必要性があると考えられる。
34
(対策実施状況)
VOC対策事例については、事例集として次項にまとめる。
先に述べたようにVOC対策には該当しない局所排気対策をVOC対策であると誤解しているケ ースがみられた。
今回の調査において着目したのは、親会社に指示に基づいて対策を取っているとする企業があ ったことである。同様に、発注仕様書などグリーン調達の要件として低 VOC 製品の使用が求め られており、対応しているという事例もあった。中国地域においては、自動車や造船など、下請 け構造が広い業種があるため、親会社や発注元がネットワークの中心として VOC 対策を展開す ることで、多くの中小企業がVOC対策を進める可能性がある事を示唆している。
(VOC対策の課題・効用)
VOC発生量の多い企業においては、設備投資コストが問題とされることが多い。
一方で、コストダウンの効用を示す例もあった。特に、使用量が多い企業においては、溶剤や 塗料の使用量削減などの効果が顕著であり、水性化により防爆構造が必要なくなったといった例 もあった。
また、VOCに対する知識の浅い企業においては、対策事例などの情報提供を求めるところがあ った。
② 卸・小売り
表2.13 卸・小売り事業者用ヒアリングシート
項目 内容
企業名
担当者 先方
当方 日時;場所
事業内容
事業規模 区分 中小企業 個人事業 資本金
加入団体 主なVOC使用目的
ネットワーク 顧客
顧客数、情報提供ツール(ホームページ、メルマの有無など)
団体
所属団体の取り組みなど その他
VOC認知状況 自社の認知状況、経緯 情報源
35
同業者における認知状況 顧客における認知状況
VOC対策実施状況 現在の取り組み状況(自社内・顧客向)
今後の取り組み予定(自社内・顧客向)
事例候補 概要 投資 効果
VOC対策の効用 排出量削減効果 収益面
環境面 その他
VOC対策の課題 これまでの課題
一層の取り組みへの課題 協力 情報伝達への協力可否
チラシ、メール配信、機関誌同封など 意見・要望 ① セミナー等の開催テーマについて
② その他 備考
(担当者コメント)
事例対象可否
(
ネットワーク)地域の卸・小売り企業は、事業規模が小さくとも多数の顧客を持っており、ネットワークの起 点となりうることが分かった。一軒の塗料店で数百社と取引し、それ以外に日常的に購入に来る 工事関係者などがいるとの事であった。卸・小売業が、特に零細な企業に対しても接点を持って いることが確認された。
また、下請け関係の中で、仕様書に反映すれば塗料の水性化が進むといった意見も聞かれた。
チラシ配布やポスター掲示などについては協力的な意見があった。
一方で、販売店がVOC対策などを顧客に奨めるのは難しいといった意見も聞かれた。
(VOC認知状況)
塗料販売店においては、水性化、ハイソリッドなど、塗料の製品として理解しており、VOCと いう言葉も良く認知しているが、VOC対策を発生抑制ではなく、作業環境改善を目的として理解 しているところがある。印刷資材関連においても同様であり、健康被害(特に胆管癌関連)に対す る意識が高いが、VOC排出抑制の理解はほとんどないようである。
製造業者と同様、作業環境対策はすべてVOC対策であるとする認識の誤りが一部でみられた。
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(VOC対策)
販売店や卸は、保管・運搬が主たる取扱いであり、直接的な対策は特に示されなかった。先に 述べたように、対策として防毒マスク使用等、目的を誤解した事例を紹介するところがあった。
顧客においては、静電塗装の導入や水性塗料などの普及状況や課題に関する意見があった。
(VOC対策の課題・効用)
販売店や卸の立場では、特にないが、コストと品質の課題を指摘されるところがあった。
低 VOC 対策した製品はコストが上がり、使いにくいといった事があり、塗料メーカーに改善 を期待するという意見があった。
③ 業界団体等
表2.14 業界団体用ヒアリングシート
項目 内容
対象 業種
所管範囲 地域など
規模 参加企業・団体数(正・賛助など)
上位団体
ネットワーク ホームページ、機関誌など、会合等の有無 主なVOC使用目的
VOC認知状況 団体としての認知状況
団体の法改正などに対する情報源 参加メンバーにおける認知状況 顧客における認知状況
VOC対策実施状況 団体としての取り組み状況(メンバーへの情報提供等)
支援ボード参加の有無、認知
メンバー企業における取組状況(把握しているか?)
顧客における取組状況 優れた取り組み事例 VOC対策の効用 排出量削減効果
収益面 環境面 その他
VOC対策の課題 これまでの課題
一層の取り組みへの課題 協力 情報伝達への協力可否
チラシ、メール配信、機関誌同封など 意見・要望