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パーコレーションの相転移と基本的な定理

ドキュメント内 パーコレーションの臨界確率 に関する研究 (ページ 32-45)

この章では次章においてボンドパーコレーションの臨界確率pcの値,およびpcpT の一意性を考えるにあた り3つの基本的な定理を紹介する.パーコレーション確率θ(p)は先に定義した臨界確率pcを境に値が0から正 に変わる.では,他の量を考えるとどのような変化を見ることができるのだろうか.ここで考えるのは次の二つ の量である.

1. 連結性関数(connectivity function)

(3.2.1) τp(x, y) :=Pp(Cx=Cy).

2. 平均クラスターサイズ(expected cluster size)

(3.2.2) χ(p) :=Ep(|C0|) = ∑

xZ2

τp(0, x).

連結性関数はp < pcのとき|x−y|について指数的に減少するのだが,p > pcならばθ(p)2以上となることが 知られている.また,平均クラスターサイズは臨界確率pT を考える上で重要である.

これらの量はp=pcを境に挙動が大きく変動する.その変化を見るためにいくつか基本的な定理が必要となる.

最初に,Ppの平行移動不変性について説明する.x∈Z2のとき,BE2の有限集合として,B+xBx だけ平行移動した集合を表す.Ppが平行移動で不変とは,Ppで見ると{ω(b);b∈E2}は独立同分布の確率変数な

ので,{ω(b);b∈B}{ω(b);b∈B+x}の確率法則が同じであるということ.つまり,B+x={b+x;b∈B} とかくとき任意のσ∈ {0,1}Bに対して

Pp(ω(b) =σ(b),∀b∈B) =Pp(ω(b+x) =σ(b),∀b∈B) を言えばよいが,これは明らかである.

パーコレーションは無限個のボンドの状態を問題にするのでもう少し一般の事象について平行移動不変性を定 める.

以下,事象AF=σ{ω(b);b∈E2}の要素とする.Fはすべての関数 ω(b) : Ω∋ω7→ω(b)∈ {0,1} (bE2) を可測にする最小のΩのσ-加法族である.

まず,Ω ={0,1}E2の元ωx∈Z2に対してωx方向への平行移動Sxωを次のように定める.

定義 3.9 ω∈Ω, xZ2のときSxω∈Ωを

Sxω(b) :=ω(b−x) で定義する.次に,A∈ F に対しては

SxA:={Sxω;ω∈A} と定める.

このとき,平行移動不変性を次のように定義することができる.

定義 3.10 (Ω,F)上の確率測度Pが平行移動不変であるとは任意のA∈ Fと任意のx∈Z2に対して P(SxA) =P(A)

を満たすときにいう.

次に3つの定理を紹介する.

3.2.1 Harris-FKG 不等式

定義 3.11n上の関数f が単調増加であるとはω≤ηならばf(ω)≤f(η)となることをいう.

f が単調減少であるとは−fが単調増加なときにいう.

定義 3.12 事象Aに対して

1A(ω)=



1, ω∈A 0, ω /∈A と定めると,1A(ω)が単調増加なときAは単調増加という.

1AAの指示関数と呼ばれる.

定理 3.13 (Harris-FKG 不等式) Ωn上の単調増加な関数f, gに対して

(3.2.3) Ep(f, g)≤Ep(f)Ep(g)

が成り立つ.

注意1.1 いまΩn ={0,1}nで紹介したが,Ω ={0,1}Nでもこの不等式はf, gがともにPpで2乗可積分と いう条件を加えれば正しい.

補題 3.14 任意の0< p≤1とa∈Z2= 0に対して極限

(3.2.4) lim

n→∞

logτp(0, na)

n|a| =−ψp(a)(−∞,0]

が存在する.

《証明》

x, y Z2がオープンパスでつながることを{x↔y}と書く.このとき,

{0↔y} ∩ {y↔x} ⊂ {0↔x} が成り立つ.

これらの集合は単調増加なので注意1.1よりx= (n+m)ay=naに対してHarris-FKG不等式が使えて Pp(0↔x)≥Pp(0↔y)Pp(y↔x)

⇔τp(0,(n+m)a)≥τp(0, na)τp(na,(n+m)a)

=τp(0, na)τp(0, ma) α(n) = logτp(0, na)とおくと,上の不等式から

(3.2.5) α(n+m)≥α(n) +α(m)

が任意の自然数m, nに対して成り立つ.

mを任意にとめて,Nが十分大きいとき

α(m) = min{α(1), . . . , α(m−1)} とおくと,N=km+l(ただし0≤l≤m−1とする)ならば(3.2.5)から

α(N) =α(km+l)

≥α(km) +α(l)

=kα(m) +α(l)

≥kα(m) +α(m) 両辺をNで割って

α(N)

N kα(m)

N +α(m) N となり,N → ∞として両辺の下極限をとると

lim inf

N→∞

α(N)

N lim inf

N→∞

kα(m)

N α(m)

m

最後に,m→ ∞として,

lim inf

N→∞

α(N)

N lim sup

N→∞

α(N)

N

また,明らかにlim infN→∞α(N)

N lim supN→∞α(N)

N は成立する.

以上より,求める極限が存在することが示される.

さらに,α(n)の定義から,α(n)≤0だから極限値も0以下であり,τp(0, a)>0であることに注意すると,

Nlim→∞

α(N)

N|a| ≥α(1)

|a| >−∞

を得る.(3.2.5)を満たす数列を優加法列と呼び,(3.2.5)の逆向きの不等式を満たす数列を劣加法列と呼ぶ.

{α(n)}が劣加法列なら,{−α(n)}は優加法列だから,どちらにしても極限limn→∞α(n)

n が存在することが上の 議論からわかる.ただし,この極限は±∞の可能性もある.

もう一つのHaris-FKG不等式の応用として,補題3.14のψp(a)について情報を得ることができる.

U={無限開クラスターは一つしかない}

とおく.(これは第6章で詳しく述べる.)Ppは平行移動で不変であるが,独立確率変数列から作られているので エルゴード的であることが知られている.つまり,任意の平行移動不変な事象Aの確率Pp(A)は0または1であ ることが知られている.以下で簡単に証明する.

定理 3.15 A∈ Fが平行移動不変,つまり任意のx∈Z2に対して

(3.2.6) A=SxA

を満たすならばPp(A) = 0または1である.

《証明》

A ∈ Fを平行移動不変な事象とする.拡張定理により任意のε >0 に対して有限のボンドの集合Λ E2σ{ω(b) :b∈Λ}の元A(ε)がとれて,

(3.2.7) Pp(A△A(ε)) =Pp(A\A(ε)) +Pp(A(ε)\A)< ε とできる.

これに平行移動Sxを作用させると,SxA=Aを満たしているから,

Pp(A△SxA(ε)) =Pp(SxA△SxA(ε))

=Pp(A△A(ε))

< ε となる.xが原点から十分遠く,Λ∩−x) =ϕのとき

Pp(A) =Pp(A∩A)

=Pp(SxA(ε)∩A(ε)) +Pp((SxA∩A)\(SxA(ε)∩A(ε)))−Pp((SxA(ε)∩A(ε))\(SxA∩A)) ここで,SxA(ε)∈σ{ω(b) :b∈Λ−x}であることに注意すると,独立性から

Pp(SxA(ε)∩A(ε)) =Pp(SxA(ε))Pp(A(ε)) =Pp(A(ε))2 また,

Pp((A∩SxA)△(A(ε)∩SxA(ε))<2ε だから,

|Pp(A)−Pp(A(ε)2)| ≤4ε.

(3.2.7)とこの式から証明終了.

補題 3.16

(3.2.8) τp(x, y)≥Pp(U∩ {|CO|=∞})2

したがってp > pcのときPp(U) = 1ならば,右辺は正になり,ψp(x) = 0が任意のxに対して成立する.

《証明》

まず,τp(x, y) =Pp(x↔y)だから

{x↔y}={Cx=Cy} ⊃ {|Cx|=|Cy|=∞} ∩U

また,Uは平行移動不変な事象なので,Ppは平行移動に関してエルゴード的であることから,Pp(U) = 0ま たは1となる.

Pp(U) = 0ならば,補題3.16の右辺は0となり,明らかである.

Pp(U) = 1ならば,Harris-FKG不等式より

Pp({|Cx|=|Cy|=∞} ∩U) =Pp(|Cx|=∞,|Cy|=)

≥Pp(|Cx|=)·Pp(|Cy|=)

=Pp(|CO|=)·Pp(|CO|=)

=Pp(U∩ {|CO|=∞})2 よって,

τp(x, y)≥Pp({|Cx|=|Cy|=∞} ∩U)≥Pp(U∩ {|CO|=∞})2

3.2.2 BK-Reimer 不等式

定義 3.17 A, B⊂nが単調増加なとき

(3.2.9) A◦B ={ω∈Ω;∃J⊂K(ω),[1]J⊂A,かつ[1]K(ω)\J ⊂B} と定める.ただし,

K(ω) ={1≤j≤n;ω(j) = 1} , [1]J={ω(j) = 1,∀j ∈J} とする.

A◦Bとは,図のようにxyとをつなぐ開路が存在する事象Auvとをつなぐ開路が存在する事象Bとすると,それぞれが交わら ないという事象である.

x u y

v A◦B

定理 3.18 (BK不等式)A, BをΩnの単調増加な事象とするとき,

(3.2.10) P(A◦B)≤P(A)P(B).

次に,BK不等式の応用として次の定理を紹介する.この定理の証明では,本論文の後半で示すpc =pT を仮 定する.ただし,この定理は後に紹介するpc =pT の証明に直接関係しないことを注意しておく.

定理 3.19 p < pcならば,すべてのn≥1に対して,以下の不等式が成り立つような(pに依存している)α >0 が存在する.

(3.2.11) P(0↔S(n))≤eαn

《証明》

S(x, k)を1辺が2kで中心が点xの正方形とする.すなわち,

S(x, k) ={y∈Z2:あるz∈S(k)に対して, y=x+z}

また,原点からS(n+k) (=S(0, n+k))までオープンパスが1つ存在するためには,原点からS(n)上のあ る点xまでオープンパスが1つ存在し,しかもxからS(x, k)までオープンパスが1つ存在しなければならない.

さらに,これら2つのパスは点xを除いて,それぞれ交わらないようにとることができる.

したがって,

P(0↔S(n+k))≤

xS(n)

P({0↔x} ◦ {x↔S(x, k)}) が成り立つ.

ここで,BK不等式を使うと

P(0↔S(n+k))≤

xS(n)

P({0↔x} ◦ {x↔S(x, k)})

xS(n)

P(0↔x)P(x↔S(x, k))

= ∑

xS(n)

P(0↔x)P(0↔S(0, k))

=P(0↔S(0, k))

xS(n)

P(0↔x) ここで,Bn=∑

xS(n)P(0↔x)とおく.

また,1Aを事象Aの定義関数とする.

xS(n)

1{0x}:オープンパスを使って原点までつながるS(n)上の点の個数 である.したがって,E(1{0x}) =P(0↔x)に注意して

E(

xS(n)

1{0x}) = ∑

xS(n)

P(0↔x) =Bn が成り立つ.

つまり,Bnは,オープンパスを使って原点につながっているS(n)の点の個数の期待値である.

同様にして

|CO|= ∑

xZd

1{0x}=∑

n0

xS(n)

1{0x}. さらに,各項はすべて非負なので,

E(|CO|) =E(

n0

xS(n)

1{0x})

=∑

n0

E(

xS(n)

1{0x})

=∑

n0

Bn

が得られる.

いま,p < pc=pT と仮定すると,E(|CO|)<∞となる.したがって,

lim

n→∞Bn= 0 (∵ ∑

n0

Bn<∞より) が成り立つ.

特に任意のn≤Nに対して,Bn< 1

2· · ·()となるNが存在する.ここで,n > Nとすると,ある正数r < NSが存在して,n=N s+rと表せる.

n≥N sとなるので

P(0↔S(n))≤P(0↔S(N s)) が得られる.さらに()より

P(0↔S(n))≤P(0↔S(N s))

=P(0↔S(N(s−1) +N)

≤P(0↔S(N(s−1))) ∑

xS(N)

P(0↔x)

=P(0↔S(N(s−1)))BN

1

2P(0↔S(N(s−1))) が成り立つ.

3.2.3 Russoの公式

定義 3.20 A⊂n,1≤i≤nとする.ω∈nに対し,iAに関してωpivotalであるとは,ωi0ωi1と が同時にはAにもAcにも属さないときにいう.つまり,

(3.2.12) 1Ai0) + 1A1i) = 1

となることをいう.記号∆iAiAに関してpivotalとなるωの全体を表すことにする.

(3.2.13) ∆iA={ω∈n;iAに関してωでpivotal} ただし,Ωn={0,1}n, ω∈nと1≤i≤nに対し,

ω0i(j)=



0, j=iのとき

ω(j), =j のとき

ωi1(j)=



1, j=iのとき

ω(j), =j のとき とする. このことを,もう少しわかりやすく図示すると次のようになる.

A={ω∈n;xyがオープンパスでつながる}としてiA

関してωでpivotalであるとは,図のようにiを開くか閉じるかに

よってAが起こるか否かが決まるようになっていることである.

y

x i

iAに関してωでpivotal

定理 3.21 (Russoの公式)Anが単調増加なとき,

(3.2.14) d

dpPp(A) = ∑

1in

Pp(∆iA). つまり,Pp(A)の微分は,pivotalな点の数の期待値によってあらわされる.

A⊂n,1≤i≤nのとき

Ai0={ω∈n;ωi0∈A} Ai1={ω∈n;ωi1∈A} とおく.

《証明》

見やすいように,P =q1× · · · ×qnとかく.ただし,qj{0,1}上の確率で,qj(1) = 1−qj(0) =pj を満た すとする.

A={A∩ {ω(i) = 1}} ∪ {A∩ {ω(i) = 0}}

と変形できるので,

A∩ {ω(i) = 1}={ω∈A;ω(i) = 1}

={ω∈n;ω(i) = 1, ω1i ∈A}

={ω∈n;ω(i) = 1} ∩ {ω∈n;ω∈n;ω1i∈A}

={ω(i) = 1} ∩Ai1 とでき,同様にして

A∩ {ω(i) = 0}={ω(i) = 0} ∩Ai0 を得るから,

(3.2.15) A= ({ω(i) = 1} ∩Ai1)({ω(i) = 0} ∩Ai0) と書ける.

Ai0Ai1はすでにi番目が決まっているおり,ω(i)にはよらないのでPpでみるとω(i)とは独立であり(3.2.15) から

P(A) =P(ω(i) = 1)P(Ai1) +P(ω(i) = 0)·P(Ai0)

=piP(Ai1) + (1−pj)P(Ai0)

を得る.P(Ai1)< P(Ai0)は変数pjを含まないので,上で得たP(A)をPiで微分すると

(3.2.16) ∂P(A)

∂pi

=P(A1i)−P(A0i) ここで,Aが単調増加ならば,Ai0⊃Ai1であることに注意.

したがって,(3.2.16)より,

(3.2.17) ∂P(A)

∂Pi

=P(Ai1)−P(Ai0) =P(Ai1\Ai0)

右辺は,P(∆iA)と等しいことはAが単調増加なことからわかる.

したがって,すべてのiについて,pi=pとなっているとき d

dpPp(A) =

n i=1

Pp(∆iA) が単調増加な事象Aに対して成り立つ.

4 Sharp threshold theorem

独立確率変数列の特徴を示すひとつとしてsharp threshold theorem を考える.この定理を応用し横断確率の 変化につなげる.

4.1 sharp threshold theorem

定理 4.1 ある定数K >0がn, pに依存せず存在して,任意の0≤p≤1と任意の単調増加なA⊂nに対して (4.1.1) Pp(A)(1−Pp(A))≤K(1−p) log 2

p(1−p)

in

Pp(Ai)

log 1

(1−p)Pp(Ai)

ただし,Ai=A∩iAとする.

定理の証明の前にいくつか準備をする まず,Aが単調増加だから,

Pp(Ai) =Pp(A∩∆iA) =Pp({ω(i) = 1} ∩∆iA) +Pp({ω(i) = 0} ∩∆iA)

=Pp({ω(i) = 1} ∩∆iA)

=Pp({ω(i) = 1})∩Pp(∆iA)

=p·Pp(∆iA) と変形して,inまで加えると,Russoの公式から

in

Pp(Ai) =p

in

Pp(∆iA) =pd dpPp(A) となるので,次の系を得る.

4.2 A⊂nを単調増加な事象とする.ε= sup1inPp(Ai)とおくとき,

(4.1.2) dPp(A)

dp log(1ε)

Kp(1−p) log[p(12p)]Pp(A)(1−Pp(A)).

《証明》

(4.1.1)の右辺分母をlog1

ε で置き換えて,Russoの公式を使えばよい.

εの定義から,(1−p)·Pp(Ai)≤εより,

1

(1−p)Pp(Ai) 1 ε

log 1

(1−p)Pp(Ai)log(1 ε) ゆえに,

1

log 1

(1−p)Pp(Ai)

1

log(1 ε)

in

Pp(Ai)

log 1

(1−p)Pp(Ai)

in

Pp(Ai) log(1

ε)

よって,

Pp(A)·(1−Pp(A))≤K(1−p)·log 2

p(1−p)·

in

Pp(Ai) log(1

ε)

=K(1−p)·log 2

p(1−p)· 1 log(1

ε)

· d dpPp(A).

つまり,

(4.1.3) d

dpPp(A) log(1 ε) Kp(1−p) log( 2

p(1−p))

·Pp(A)·(1−Pp(A))

を得る.よって証明終了.

(4.1.3)はp∈[0,1]をとめてn→ ∞とするとき,ε→0となる状況で考えると,Pp(A)が0からも1からも 離れていればその微分 dpdPp(A)が発散することを意味している.

Pp(A)が単調増加だからε→0がpについて一様に成り立てば,Pp(A)が0からも1からも一定距離離れてい るpはただ1つしかないことが分かる.

もう少し明示的にこのことを主張したのが次の系である.

4.3 ε= sup

0p1

sup

1in

Pp(Ai)とおくと,ある定数K>0がnpによらず存在して,p1< p2に対して常に (4.1.4) Pp1(A)(1−Pp2(A)))(p2p1)K

(4.1.4)よりε0が示せれば,Pp1(A)0かPp2(A)1かのどちらかが成り立たなくてはならないことが 分かる.

《証明》

g(x) = log x

1−xに対して系4.2から,

d

dp(g(Pp(A))) = 1

Pp(A)(1−Pp(A))· d dpPp(A)

1

Pp(A)(1−Pp(A))· log1 ε Kp(1−p) log 2

p(1−p)

·Pp(A)(1−Pp(A))

=

log1 ε Kp(1−p) log 2

p(1−p) となる.

ここで,p(1−p) =−(p1 2)2+1

4 1

4 であるから,定数K>0がn, pに依存せずに取れて上式の右辺は,

log 1 ε Kp(1−p)·log 2

p(1−p)

log 1 ε K .

これより,

d dpg

( Pp(A)

) log 1ε K

⇔g (

Pp2(A)) )−g

(

g(Pp1(A))

) p2−p1 K ·log 1

ε. ところが,xi=Ppi(A), i= 1,2とするとき,

x1(1−x2) x1

1−x1 ·1−x2

x2

=e

log x1

1−x1 ·e

log1−x2

x2

= exp{g(x1)−g(x2)}

exp

{−p2−p1

K ·log 1 ε

}

= (

elog 1

ε)p2−p1

K

= (

ε

)p2−p1

K

)(p2p1)K

ゆえに,Pp1(A)(1−Pp2(A)))(p2p1)Kを得る.

定理 4.4 ある定数K >0がn, pに依存せず存在して,任意のΩn上の関数fEp(f) = 0を満たすものにつ いて

(4.1.5) ||f||22≤Klog 2

p(1−p)

n i=1

||Uif||22

log[e||Uif||2/||Uif||1] ただし,|| · ||rLr(Pp)-ノルムを表し,

Uif(ω) = [(1−p)ω(i) +p(1−ω(i))][f(ω)−fi)]. ωiiωの状態を0と1を入れ替えてそれ以外はωと同じ配置とする.つまり,

ωi(j) =ω(j) (j̸=i), ωi(i) = 1−ω(i).

これで定理4.1の証明の準備ができた.

《定理4.1の証明》Aを単調増加な事象とし,f(ω) = 1A(ω)−Pp(A)に対して定理4.4を使う.

Uif(ω) = [(1−p)ω(i) +p(1−ω(i))][f(ω)−fi)],

f(ω)−fi) = 1A(ω)−Pp(A)(

1Ai)−Pp(A) )

= 1A(ω)1Ai) だから,

Uif(ω) = [(1−p)ω(i) +p(1−ω(i))][1A(ω)1A(ω)]

とでき,

1. ω(i) = 1のとき

Uif(ω) = (1−p) [

1A1i)1Ai0) ]

= (

ω(i)−p )[

1Ai1)1Ai0) ]

2. ω(i) = 0のとき

Uif(ω) =p [

1Ai0)1Ai1) ]

= (

ω(i)−p )[

1A1i)1A0i) ]

以上より,

Uif(ω) = (

ω(i)−p )[

1A1i)1A0i) ]

また,

||Uif(ω)||1=

iA

|Uif(ω)|dp

=

iA∩{ω(i)=1}|1−p|dp+

iA∩{ω(i)=0}|p|dp

= (1−p)

iA∩{ω(i)=1}

dp+p

iA∩{ω(i)=0}

dp

= (1−p)·Pp(∆iA∩ {ω(i) = 1}) +p·Pp(∆iA∩ {ω(i) = 0})

= (1−p)Pp(∆iA)·p+pPp(∆iA)·(1−p)

= 2p(1−p)Pp(∆iA)

= 2(1−p)Pp(Ai),

||Uif(ω)||22

=

iA

|Uif(ω)|2dp

=

iA∩{ω(i)=1}|1−p|2dp+

iA∩{ω(i)=0}|p|2dp

= (1−p)2

iA∩{ω(i)=1}

dp+p2

iA∩{ω(i)=0}

dp

= (1−p)2·Pp(∆iA∩ {ω(i) = 1}) +p2·Pp(∆iA∩ {ω(i) = 0})

= (1−p)2Pp(∆iA)·p+p2Pp(∆iA)·(1−p)

=p(1−p)Pp(∆iA)

= (1−p)Pp(Ai).

そして,ノルムの定義から以下のような変形ができることに注意

||1A(ω)−Pp(A)||22=

|1A(ω)−Pp(A)|2dP

=

∫ {

1A(ω)22Pp(A)·Pp(A)·1A(ω) +Pp(A)2 }

dP

=

(1A(ω))2dP 2

Pp(A)1A(ω)dP +

Pp(A)2dP

=

1A(ω)dP 2Pp(A)

1A(ω)dP +Pp(A)2

dP

=Pp(A)2Pp(A)·Pp(A) +Pp(A)2

=Pp(A)−Pp(A)2

=Pp(A)(1−Pp(A))

これらを(4.1.5)へ代入すると,

Pp(A)(1−Pp(A)) =||1A(ω)−Pp(A)||22

≤Klog 2 p(1−p)

n i=1

(1−p)Pp(Ai) log[e√

(1−p)Pp(Ai)/2(1−p)Pp(Ai)]

=Klog 2 p(1−p)

n i=1

(1−p)Pp(Ai) loge

2+1

2log 1

(1−p)Pp(Ai)

2K(1−p) log 2 p(1−p)

n i=1

Pp(Ai) log

{ 1 (1−p)·Pp(Ai)

}

ただし,3つめの等号,4つめの不等号について次のように考えた.

loge

(1−p)·Pp(Ai)

2(1−p)·Pp(Ai) = log e 2√

(1−p)·Pp(Ai)

= loge

2 · 1

√(1−p)Pp(Ai)

= loge 2 +1

2log

{ 1 (1−p)Pp(Ai)

}

1 2log

{ 1 (1−p)Pp(Ai)

}

である.

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