0.25
1 2 3 4
(ー)
(+)
Fig.2・9 Native-PAGE ofPPO and hemolymph
Crude hemolymph was subjected to native PAGE on a
10 % separating gel, and proteins were visualized by silver staining (Lane 1). Purified PPO (Lane 2) and crude
hemolymph (Lane 3) were subjected to native-P AGE on 10 % separating gel, and PPO were detected by activity staining.
Crude hemolymph was subjected to native PAGE on 4.75 % separating gel, and PO and/or PPO were detected by activity staining (Lane 4).
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第三章プロフェノールオキシダーゼイソフォームの分隊、 精製およびその 性質
第一節緒言
カイコa80系統の体液中には3種のPPOイソフォームが存在することが前 章の実験より明らかとなった。 PPOの生化学的および生理学的性質を調べる ためには、 まずこれらのイソフォームを分離、 精製しその諸性質を調べるこ とが必要不可欠である。 本章では、 カイコa80系統よりPPOイソフォームを 分離精製し、 その諸性質について検討した。
第二節実験材料
第一項 カイコ系統および体液採取法 前章の方法により、 体液を採取した。
第二項 試薬
Q-セフアロースは、 ファルマシア社製を用いた。 その他の試薬は、 市販 の特級のものを用いた。
第三節 実験方法
第一項 プロフェノールオキシダーゼの検出(活性測定法)
前章の方法に従い、 フロフェノールオキシダーゼをDBMAにより活性化し た後に生じるフェノールオキシダーゼ活性を利用し、 検出した。
第二項 分子サイズ
SDS-P AGEは、 前章の方法に従って行った。 ゲル瀦過は、 Andrewsの方 法1)に準じてSuperose 12HR 10/30カラムを用いて行った。 すなわち、
0.15 M塩化カリウムを含む10mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.5)で平衡 化し、 同緩衝液でタンパク質を溶出した。 標準タンパク質は、 カタラーゼ
(240 kDa)、 アルドラーゼ(158 kDa)、 牛血清アルブミン(68
kDa)、 卵白アルブミン(45 kDa)そしてキモトリプシノーゲンA(25 kDa)を用いた。
第三項 等電点
等電点は、 Svenss on の方法2)�こ従って等電点電気泳動を用いて測定し た。 すなわち、 pH 3.5-
10の2%アンフォラインを含む5%ポリアクリルアミ
ドゲルを用い、 40C、 200 Vで12時間泳動し、 さらに400 Vで1時間泳動し た。 PPOは、 活性染色法にて検出した。 ゲ、jレのpHは、 ゲルを2mmごとにス ライスし、 蒸留水(1ml)でアンフォラインを抽出し、 pHメーターを用い て測定した。
第四項 基質特異性(ミカエリス定数、 最大速度および触媒効率の測 定)
速度論的特性(ミカエリス定数、 最大速度そして触媒効率)を
Lineweaver-Burk plotを用いて求めた。 基質は、 L-ドーパ、 ドーパミン、
N-アセチルドーパミン、 Lーチロシンそしてヒドロキノンを0.476-3.810 mMの濃度範囲で使用した。 また、 L-ドーパ、 ドーパミンそしてLーチロシン
は475nm 、 N-アセチルドーパミンは400nrn そしてヒドロキノンは440 nrn の吸光度で前章第三節の方法で、活性測定を行った。
第四節 実験結果
第一項 プロフェノールオキシダーゼイソフォームの分離、 精製
プロフェノールオキシダーゼは、 以下の操作によって精製した。 特に断ら ない限り、 精製操作はすべて4'Cで行った。 凍結乾燥した体液3gを1M硫酸 アンモニウムおよび0.1mMPMSFを含む10mMリン酸カリウム緩衝液 (pH 6.5) 200 rnlに溶解した。その後5,600X gで30分間遠心分離を行い上 清を粗抽出液とし、 同緩衝液で平衡化したブチルトヨパール650Mカ ラム
(2.5 X 23.5 cm)に供与した。 同緩衝液でカラムを洗浄後、硫酸アンモニ ウム濃度を 1 MからOMに直線的に下げ、吸着した蛋白質を溶出し、活性画分
(0.4 M付近)を集めた(Fig.3-1)。 この活性国分を塩析により濃縮後、0.5 M KClを含む10mMリン酸カリウム緩衝液 (pH 6.5)で平衡化したセ フアクリルS-200カラム(2.2
X
140 cm)に供与した(Fig. 3-2)。 得られ た活性画分を塩析により濃縮し、 平衡化緩衝液に対して透析後、 再び同条件 にて同カラムに供与した(Fig. 3-3)。 得られた活性画分を10mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.5)に対して透析を行い、 同緩衝液で平衡化したQ
セフアロースカラム(0.8
X
28.5 cm)に供与し、 I(Cl濃度をOMから0.3 Mに直線的に増加させることにより溶出を行った(Fig. 3-4) 0 KCl濃度 0.25 M付近に活性画分が溶出された。 このタンパク質の溶出と活性の溶出パ ターンは一致していなかったので、 各フラクションをNative-PAGEにて分 析した。 活性染色および銀染色を行ったところ、 単一な成分を含む画分を得 ることが可能であり、 溶出JII貢にフラクション200-202をQ1,フラクション 210をQ2そしてフラクション226をQ3とした(Fig. 3-4, inset)。Q1、 Q2そしてQ3画分をNative-PAGEに供与し、
活性染色および、銀染色を行った結果をFig. 3-5に示した。 それぞれQ1,Q2そしてQ3は、 それぞれ 移動度の異なる1本のバンドを示した。 これらのバンドの移動度は、 カイコ 体液を泳動した時に生じる3本のバンドの移動度に相当していた。 この結果 より、 体液中の3種のプロフェノールオキシダーゼイソフォームが単一に精 製されたことが示された. これらの精製過程の各段階における酵素活性、 タ ンパク量および比活性を測定し、 Table 3-1にまとめる。 PPOイソフォー ム、 Q1,Q2そしてQ3は、 それぞれ粗抽出液より24.8,69.0 そして150倍ま で精製できた。 また、 比活性は5.2,14.5 そして31.4U/A280であった。
第二項 プロフェノールオキシダーゼ の性質 (1)分子サイズ
精製したそれぞれのイソフォームをSDS-PAGEに供与した結果を、 Fig.
3-6 に示す。 それぞれのイソフォームQ1, Q2そしてQ3は、 いずれも73kDa および74kDaの2本のポリペプチドより補成されていた。 Native�犬態の分子 サイズをSuperose 12HRカラムを用いたFPLC により推定した。 その結果、
Q3の分子サイズは、 122kDaと推定された(Fig. 3-7)。
(2)等電点
等電点電気泳動を用いて精製されたPPOイソフォームの等電点を調べた結 果をFig. 3-8 に示すo PPOイソフォームQ1、 Q2そしてQ3は、 それぞれ単一 のバンドを示し、 pH勾配によりその等電点は、 Q1が5.55、
Q2が5.63そし
てQ3が5.58であった。 分離されたそれぞれのイソフォームを再び混合し、等電点電気泳動に供与したところ、 それぞれ等電点5.55、 5.58そして5.63の ところ に移動した。
(3) pH安定性および、至適pH
Q1, Q2そしてQ3を異なるpHで40C、 24時間放置後、 残存活性を測定し た。 結果を、 Fig.3-9に示す。 いずれのイソフォームもpH6-10の範囲で安 定であり、 pH 6以下およびpH 10以上で不安定であった。 DBMAによる PPOの活性化反応の至適pHの結果をFig.3-10 (A)に示す。 いずれのイソフ ォームもpH 6.5付近で最大活性を示した。 また、 活性化されたPPOの触媒 反応における至適pHを測定した結果をFig. 3-10 (B)に示す。 至適pHは、
Q1が5.5から7.5、 Q2が5.5から7.5そしてQ3が5.5から6.5であった。
(4)基質特異性(ミカエリス定数、 最大速度および触媒効率の測
定)
L-ドーパ、 ドーパミン、 Nーアセチルドーパミン、 Lーチロシンそしてヒド ロキノンを基質としてQ1、 Q2そしてQ3の基質特異性を調べたo また、
Lineweaver-Burlζplotを用いてミカエリス定数(Km)、 最大速度 (Vmax)そして触媒効率(Vmax/Km)を求めた(Table 3-2)。 その結
29
果、 いずれのイソフォームもL-ドーパ、 ドーパミンそしてNーアセチルドー パミンに対してのKm値は、 0.99'"'-'4.71 mMの範間にあった。 その触媒効率 は、 Q3> Q2 > Q1であった。 いずれのイソフォームもドーパミンを最も良
い某質としていた。 Lーチロシンおよびヒドロキノンの酸化は、 触媒しなかっ た。
以上、 3E性質を調べた結果をTable 3-3にまとめた。
第五節 考察
カイコPPOのイソフォームの分離、 精製に初めて成功し、 Q1、 Q2および Q3の精製標品を得た。 SDS-PAGEの結果、 Q1、 Q2およびQ3は、 いずれの イソフォームにも73kDaおよび74kDaのポリペプチドが含まれることがわ かった。 Q3の分子サイズは、 ゲル瀦過を用いて調べたところ122kDaであ り、 Q3は73kDaおよび74kDaのヘテロダイマーであることが予想される。
安原らは、 錦秋×鐘和系統由来のPPOは、 71.5kDaおよび71kDaの2つの ポリペプチドより構成され、 native状態の分子サイズは、 126kDaであるこ とを報告している3)。 この結果から、 彼らは、 2つのポリペプチドは、 ヘテ ロダイマーを形成していると示唆している。 そして、 錦秋×鐙和系統の体液
中には、 2種類のヘテロダイマーの存在を報告している。 しかし、 これらの ヘテロタイマーすなわちイソフォームは、 Mono-Qやhydroxylapatiteを用 いても分離不可能であることを報告しており3)、 彼らが調べたPPOの諸性質 は、 2種類のイソフォームが混合した状態で検討したものである。 その他の 無脊椎動物において、 SDS-PAGEの結果、 ショウジヨウバエ(Drosophi1a melanogaster) PPOの分子サイズは、 78kDaおよび77kDa 4)、 ザリガニ
(Pacifastacus leniusculus)の分子サイズは76kDa 5)、 タバコスズメガ (Manduca sexta)の分子サイズは、 77kDaおよび71kDa 6)であり、 カイ コPPOの分子サイズと近い。
Q1、 Q2そしてQ3の等電点(pl)は、 5.55、 5.58そして5.63であった。 そ の他の無脊椎動物由来のPPOのpIは、 錦秋×鎧和系統のpIが、 それぞれ4.95
そして4.98であり3)、 ザリガこでは、 5.45)、 ショウジョウパエでは、 5.8お よび6.7である4)。 すなわち、 報告されている無脊椎動物由来のPPOは、 いず れも酸性タンパク質である。
前章において確立したDBMAを用いての活性測定法で基質特異性について 検討した。 いずれのイソフォームもoージフエノールの酸化を触媒したがpージ、
フエノールおよびモノフエノール類の酸化は触媒しなかった。 これに対し て、 ショウジョウバエにおいては、 モノフエノール類を酸化するものとジフ エノール類を酸化するイソフォームの存在が報告されている4)。 次にKm Vm以そしてVmax/KmをL-ドーパ、 ドーパミンそしてN-アセチルドーパミ
ンに対して測定したo Km{1直は、 0.99"'-'4.71mMの範囲にあり、 ほとんど同 じであった。 タバコスズメガにおいては、 体液のPPOと皮膚のPPOのドーパ に対するKm{1直は、 それぞれ4.15そして8.4mMであった6)。 また、 ドーパミ ンに対する両酵素のKm{1直は、 0.71および0.91であり、 ドーパに対してはカ イコ由来のPPOの方が親和性が高く、 ドーパミンに対してはタバコスズメガ 由来の方が親和性が高かった。
第六節 小括
(1)カイコa80系統の体液から、 ButylToyopearl 650M疎水クロマトグラ フィー、 SephacrylS-200ゲル癒過クロマトグラフィー、 Q-Sepharose�
イオン交換カラムクロマトグラフィーを用いて3種のPPOイソフォーム、
Q1、 Q2およびQ3を分離、 精製した。
(2)いずれのイソフォームもSDS-PAGEの結果、 73kDaおよび:74kDaの ポリペプチドより構成されていた。 ゲル滅過の結果、 Q3の分子サイズは、
122 kDaであった。
(3)等電点は、 Q1が5.55、 Q2が5.63そしてQ3が5.58であった。
(4)いずれのイソフォームもpH6-10の範囲で安定であり、 DBMAによる 活性化の至適pHは、 6.5であった。 また、 活性化されたPPOの触媒反応にお
ける至適pHは、 Q1および、Q2がpH 5.5-7.5そしてQ3がpH 5.5-6.5であっ
31
た。
(5)いずれのイソフォームもLードーパ、 ドーパミンそしてN-アセチルドー パミンの酸化を触媒した。 一方、 L-チロシンおよびヒドロキノンの酸化は、
触媒しなかった。