名古屋芸術大学 音楽文化創造学科 准教授 長江 和哉 1. ハイレゾレコーディングの利点とその考え
• 88.2kHz 24bit 以上で録音すると 40kHz 程度の高域が再生されるだけでなく 20Hz-20kHz の可聴帯域の再現性が格段に向上するという利点がある。(図1, 2)
• 今後 CD ではなく Web 配信によりそのデータはそのままコン シュマー再生機まで届く。
• 従来は大規模システムが必要であったが低廉化した。
2. それらを生かすには、
• 感動が伝わる優れた演奏をハイレゾで記録することが重要。
• 収録のどの過程で音が変化(劣化)してきたかを検証すること により、よりクリアで躍動感溢れる収録につながる。特に、ア ナログマルチでの音質劣化は MADI などのデジタル転送により 音質劣化なしに収録することができる。(図 3)
• マイクアレンジなどの技術はもちろん、
プロデュースワークが重要となる。
3. MADI との出会いとドイツでの使用事例
• 1949 年から 65 年間にわたり音楽大学で のトーンマイスターとよばれる、録音プ ロデューサーと録音エンジニアの両方を かねそろえたスペシャリストを養成する 教育の歴史があり、約 130 のプロオーケ ストラが活動するドイツで、放送、録音、
音響に関わるサウンドエンジニアの多く
がディプロムトーンマイスター(Dipl Tonmeister)である。
• その背景があり、音が変化する要因について深い理解がある。
演奏、ディレクション、アコースティック、マイク、ケーブル AD-DA、DAW、エフェ クト、エディット、ミキシング、マスタリング、電源などの要因があるが、その中でも、
重要なものは、演奏とディレクション、アコースティック、マイクである。
• そのために AD-DA や DAW はトランスペアレントなものがふさわしい。
• マイクレベルで長距離転送すると信号が劣化するのでマイクの近くに HA ADC を設置 し MADI 転送する。
4. MADI 機器導入とシステム紹介
• 実際に使用している収録システムについて説明を行った。
長江 和哉 氏
図 1 図 2
図 3
5. MADI 転送とアナログマルチケーブル転送の比較
以下、2つの比較音源を用い、MADI 転送とアナログマルチ転送の比較試聴を行った。
• 2013 年2月ベルリン・イエスキリスト教会 弦楽トリオのセッションレコーディング メインマイク出力を Micstasy に入力、MADI 経由で録音した音源と、Micstasy のダイ レクトアウトをアナログマルチ 50m を経由して Octamic II で収録した音源の比較
• 2013 年6月名古屋 しらかわホール オーケストラレコーディング
メインマイク出力を Micstasy に入力し、MADI 経由で録音した音源と、Micstasy のダ イレクトアウトを数百メートルのパラ接続された会館マルチを経由し、もう一台の Micstasy で収録した音源の比較。
6. 録音事例の紹介
以下、3つの MADI を使用した録音事例について紹介をした。
• 飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート 2013 年6月1日 飛騨芸術堂
• チコ本田氏 ライブレコーディング
2013 年9月 14 日(土)15 日(日)名古屋 Jazz inn Lovely
• 秋山和慶氏指揮中部フィルハーモニー交響楽団
2014 年5月 20 日 三井住友海上しらかわホール(写真 1 〜 4)
写真 1
写真 3
写真 2
写真 4
7. まとめ
• ハイレゾレコーディングでは、音質劣化がないように機材をルーティングすることで、
そのフォーマットを生かすことができる。また、技術のみではなく、どのように感動が 伝わる優れた演奏を引き出すかというプロデュースワークが重要となる。
• ホール収録など、マイクの長距離伝送が必要な場合、MADI を用いるとシステムも省力 化され、さらに音質劣化がなく収録できる。
• 省力化
→運搬作業効率の向上と仕込時間の短縮。
→バックアップシステム構築の容易さ。
→ 48kHz=64ch / 96kHz=32ch / 192kHz/16ch を 1 本のケーブルで転送。
→機材のセッティング時間も少なくなり、マイクアレンジや演奏者とコミュニケーショ ンする時間を増やすことができ、よりよい録音作品につながる。
• 高音質
→マイクレベル転送距離が短くなりマイク信号の鮮度を維持。
→→ハイレゾ収録にふさわしいロスレス転送。