事を済ませてから合流することとなり、どうやって連絡しようかという話の中で、
まずは「LINE」で連絡を取ることになりました。また、これから店を探すの ですがその際にはスマホのアプリを使用することと思います。このように私た ちの世代でさえ既にスマホが非常に身近なものになっています。そう考える と、子どもたちがスマホに馴染み、利用するのは当然のことであり、いかに ネットリテラシーをしっかり習得させて、保護者が使用方法等やその危険性に ついて理解をして、ある程度保護者の管理の中で子どもたちに使用をさせる ことが大切ではないかと考えています。
それでは、中身に入っていきたいと思います。30分という時間をいただい ていますので、まずは少年鑑別所、少年院とはどのような施設なのかという 説明を最初にさせていただきます。今日は大学生の皆様が多数参加されてい るようですので、本日の説明を聞いて、法務教官になってみたいという方は 是非法務省専門職員採用試験をチャレンジしていただければと思います。次 に、近年の非行の動向ということでお話をしますと、後に詳しく説明いたしま すが、詐欺事犯がすごく増えています。また、詐欺事犯とともに傷害や暴行 による少年院送致もまた増えています。あくまでも今回の私の調査研究という ことで申しますと、詐欺と傷害、暴行が非常に増えてきている要因の一つとし て、場合によってはネットに係る「依存」と何か関係があるのではないかと 思っています。そして多摩少年院の在院者の特性を説明させていただいた 後に、当院の158名の在院者に対してインターネットに係るアンケート調査を 実施し、興味深い結果が出ましたので説明をいたします。そして最後に、当 院の場合はネットを使った非行とか犯罪はそれほど多くはないのです が、在 社会時における使用の仕方には問題があり、このまま放っておくと、社会に 復帰した後に多分加害者、被害者になっていくだろう危険性が高いと思われ ることから、少年院在院中にわれわれがどのような教育を実施すればよいの かという考察をしたいと思っております。
御存知の方も多いかとは思います が、少年非行について簡単に説明いた します。20歳未満の子どもの事件、犯罪、非行は全件送致主義といって全 て家庭裁判所に送致されます。先ほどの発表の中で少年の非行が年々減っ ているという話がありましたが、昨年の犯罪白書のデータを見ますと、実際に 家庭裁判所に事件が送致されて受理されるのは10万5,000件ぐらいです。
そこから少年鑑別所に送られるのが1万1,000件ということですから、9%程 度の非行少年が少年鑑別所に入所いたします。さらに、私たちが少年院で 行っている教育活動を「矯正教育」といいますが、少年院で矯正教育を施し て、社会復帰させた方が良いと判断されて少年鑑別所から少年院に送致に なる非行少年はわずか3,000名、約2.6%ということとなります。そのわずか 2.6%の非行少年たちは、自身の問題性も非常に大きいのですが、そこに辿り 着くまでの家庭環境や交友関係などいろいろ要因が複雑に絡み合っているこ とから、その複雑な個々の要因をしっかり整理し、個人に応じた教育を実施し ていかなければならないということになります。
これは、犯罪白書から引用した平成23年の少年院入院者の非行名別の 構成比になります。男子も女子も圧倒的に窃盗が多く、特に男子の場合は 40%を超えています。次に、傷害、暴行、道路交通法という順になっていま す。女子の場合は、窃盗と傷害、暴行が同程度の割合で、特徴的なのは、
年長少年といって18、19歳の女子少年については覚せい剤事犯が非常に 多くなっています。です から、このデータを見る限りは、女子については特 に薬物に係る教育を在院中にしっかり実施する必要性が高い少年が多いとい うことになります。
次に平成25年の犯罪白書のデータを見ます。わず か2年後です が非行 名別の構成がどのように変化するかというと、先ほど少し触れましたが、窃 盗が減少してきて、代わりに男子は19%だった傷害、暴行が24%に増えてい ます。かつ、詐欺は6%と大幅に増加しています。女子も同じく、窃盗を大き く引き離して傷害、暴行が27%、詐欺が4.3%に増加しています。少年院に 入院してくる少年の詐欺というのは、俗に言うオレオレ詐欺の「受け子」と呼
ばれているもので、何かの機会で知り合った人物からいいバイトがあるから やってみないかと誘われて、実際にお金の受け渡しの場所で被害者からお金 を受け取るという事犯がほとんどです。女子の詐欺事犯についても、都内の 女子少年院から実情を聞いたところ、同じように振り込め詐欺の受け子を彼 氏から頼まれて、もしくは一緒に受け渡し場所に行って被害者からお金を受 け取るというケースがほとんどとのことです。このように、わずか2年間で傷 害、暴行事犯及び詐欺事件で少年院に入院する少年が増加しているという 傾向についてはその裏に何か原因があるものと考られます。
話を矯正施設についての説明に戻します。少年鑑別所は、主として家庭 裁判所から観護措置の決定によって送致された少年を最高8週間収容し、
専門的な調査や診断を行う法務省所管の施設です。昭和24年の少年法及 び少年院法の施行により発足し、各都道府県庁所在地など、全国で52か所
(分所1か所を含む。)に設置されています。家庭裁判所に事件が送致され た少年たちの中で、社会復帰させるに当たり、その少年の非行に至った原因 について更に詳しく調べる必要があると判断された場合に少年鑑別所におい て専門家による専門的なアセスメントが行われ、その少年の心身面、あるい は生活環境などいろいろな特性、問題性を調べて、この少年にとってどのよ うな措置をしたら改善更生につながっていくのかということを調査、診断する
施設で、教育を施す場所ではありません。
次に少年院です が、少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致され た少年に対し社会不適応の原因を除去し、健全な育成を図ることを目的として 矯正教育を行う法務省所管の施設です。少年院は、少年の年齢や心身の状 況により、第1種、第2種、第3種及び第4種の四つの種類に分けて設置 されており、どの種類の少年院に送致するかは、家庭裁判所において決定 されます。全国で52か所の少年院が設置されています。まだまだ少年院に は、暗くて怖くて、施設の中ではいじめがあって…というマイナスのイメージ
を抱いている方もいらっしゃるかもしれませんが、教育の場において、脅した り体罰を与えたり懲らしめたりすることでは人は更生をするどころか、むしろ 逆効果で、かえって問題行動が増えるといった調査研究もあり、暗くて怖くて というような環境の中で教育を施しても少年の健全育成や改善更生につなが るわけがありません。私たち法務教官は、明るく更生的な雰囲気の中で、少 年たち自身の非行について深く反省を促しつつ、一人一人の少年の特性や問 題性に応じた教育計画を立て、問題性を除去し、その少年の強みを引き出し、
スモールステップで目標をクリアさせ、自己肯定感や自尊感情を回復させるた めのさまざまな教育活動を行っています。
多摩少年院は、関東近県の1都10県における第1種少年院で、概ね17 歳以上の第1種少年院送致の決定を受けた少年が送致される男子少年院で す。11か月で教 育 期 間を設 定し、処 遇 段 階の3級 から始まり2級、1級、
仮退院と進んでいくことになります。入院期間を通して様々な教育活動を実施 しています が、その中でも資格取得については、コンピューターサービス技
能評価試験他多種多様な資格取得が可能です。能力の高い少年も多数おり、
例えばCAD利用技術試験のように非常に難しい資格を取得を果たす少年も います。
それと、6月に少年院法という法律が新しくなり、その中で、今までは各施 設でいろいろと工夫をしながら対象少年の問題性に応じたプログラムを実施し ていましたが、新法下では、交友、家族、被害者、性、薬物、暴力の6つ については、中核プログラムが開発されて全国どこの少年院においても共通 のプログラムを実施しています。ただし、中核以外の周辺プログラムについ ては、各施設の工夫で実施しており、当院では、交友関係指導の周辺プログ ラムにおいてSNSの活用に関する指導を取り入れています。そこでは、本日 シンポジストとして参加していらっしゃいますエンジェルアイズの代表の遠藤美 季様にお越しいただき、講話を通じて在院者に指導をしていただいておりま す。講話に対する在院生の反応については、後ほど感想文を紹介させてい ただきます。
次に、社会復帰支援ということでは、社会に戻ってすぐに就学をする少年、
あるいは就職する少年の再非行率は低いというデータがあります。少年院に 在院している間に様々な就労、就学支援を行い、復学や進学、あるいは就 職を決めてから社会に復帰することは改善更生の上では非常に大切な事項に なります。当院では新しい法律の下「支援部門」というセクションが設置さ れ、社会復帰支援の充実に取り組んでいます。その他、多摩少年院には本 日現在159名の在院生がいて、それぞれの送致家庭裁判所は、横浜、東 京、埼玉から多く入院して来ています。それと、先ほど紹介しましたように、
非行名別構成比につきましては、全国的には窃盗、傷害が多く、詐欺は6% 程度ですが、当院においては、全体の25%が詐欺事件で入院してきており、
窃盗よりも多くなっています。また、詐欺のほとんどがオレオレ詐欺の受け子 です。それから、多摩少年院に入院する少年は、年齢の高い少年が対象と