3.2 トリガ操作
3.2.3 トリガ設定
DL-2060 は測定用に各トリガのサンプル数、各測定のトリガ数、測定値のホールド機能、トリガのディレイ等の
様々なトリガ設定をおこなうことができます。
A. 各トリガのサンプル数
初期設定でマルチメータは各トリガにつき 1 回の読み取りをおこないますが、トリガを受け取る毎に指定した回 数を(50000 まで)読み取るように設定することが可能です。設定は揮発性メモリに保存され、マルチメータの電 源が切れると初期設定に戻ります。各トリガのサンプル数は、前面パネルまたはリモートインタフェースによっ て設定することができます。
前面パネル操作
MENU ボタンの次に △ および ▽ ボタンを押して“TRIG”表示”を選択し、ENTER ボタンを押します。次に △ およ び ▽ ボタンを押して“N SAMPLE”表示を選択し、ENTER ボタンを押します。△および▽、 △ および ▽ ボタンを 使い希望の数値を設定し、ENTERボタンを押します。使用するボタンの位置は図4-11上に赤枠で示します。
手順: MENU → TRIG → N SAMPLE →<Number>
図4-11
リモートインタフェース操作
パソコンのインタフェースから以下のコマンドを使用してサンプル数を設定します。
SAMPle:COUNt <value>
B. トリガ数
通常、マルチメータはトリガを受信するとアイドル状態に戻ります。トリガ待ち状態に戻り、複数のトリガを受信 するように設定することも可能です。この操作はリモートインタフェースによってのみおこなわれます。以下のコ マンドによって、このトリガ数を指定します。
TRIGger:COUNt <value>
+
C. 測定値のホールド機能
測定値のホールド機能は、測定値が安定している時ディスプレイに値を表示する機能です。測定値の変動幅 がある範囲内(感度)にあるときホールド機能が働きこの値を保持し、ビープ音を鳴らします。ホールド機能が 働く感度は設定が可能です。連続した 3 つの測定値が感度以内に収まっているときに、マルチメータは測定値 が安定していると見なします。感度帯域の詳細な設定方法については3.4.4章を参照してください。
測定値のホールド機能の使用方法
設定値のホールド機能は前面パネルの操作によってのみ有効です。ホールド機能を有効にするには、SHIFT、
AUTO TRIGGERボタンの順で押し、無効にするには、AUTO TRIGGERボタンのみを押します。使用するボ
タンの位置は図4-12上に赤枠で示します。
図4-12
D. トリガディレイ
トリガディレイは、システムが安定化するまでにより長い遅延時間が必要な場合に便利な機能です。測定シス テムを安定化させるのに必要な時間をセトリングタイムと呼びます。セトリングタイムは測定レンジ、ケーブル特 性、信号ソースによって異なります。
初期設定
トリガディレイの初期設定は Autoに設定されています。ディレイ時間を指定していない場合には、DL-2060 が 測定条件に基づいて自動的にディレイ時間を選択します(各測定機能の初期設定については表 4-4 を参照し てください)。 ディレイ時間の設定値は 0 から3600 秒です。ディレイ時間の設定は揮発性メモリに保存され、
マルチメータの電源が切れると初期設定に戻ります。
Autoトリガディレイの内部設定値
Autoトリガディレイのディレイ時間は、測定機能、レンジ、積分時間、ACフィルタ速度によって決まります。
HOLD
+
表 4-4
測定機能 設定 トリガディレイ時間
DCV/DCI PLC >= 1 1.5 ms
PLC < 1 1.0 ms
Ω2およびΩ4 (PLC >= 1)
100Ω ~ 100kΩ 1.5 ms
1MΩ 15 ms
10MΩ ~ 100MΩ 100 ms
Ω2およびΩ4 (PLC < 1)
100Ω ~ 100kΩ 1.0 ms
1MΩ 10 ms
10MΩ ~ 100MΩ 100 ms
ACV/ACI (リモートインタフェース/
外部トリガ/シングルトリガ)
3 Hz 7.0 s
20 Hz 1.0 s
200 Hz 600 ms
ACV/ACI (前面パネル w/ auto トリガ On)
3 Hz 1.5 s
20 Hz 200 ms
200 Hz 100 ms
周波数/周期 リモートインタフェース:外部 1.0 s 前面パネル: Autoトリガ ON 0 s ディレイ時間の指定方法
前面パネルまたはリモートインタフェースの操作によってディレイ時間を設定することが可能です。
前面パネル操作
ディレイ時間を設定するには、MENUボタンを押し、 △ および ▽ ボタンで “TRIG”表示を選択し、ENTERボタン を押します。次に △ および ▽ ボタンで“DELAY”表示を選択し、ENTER ボタンを押します。 △ および ▽ 、△およ び▽ボタンを使いディレイ時間を設定し、ENTERボタンを押します(設定値は0から3600秒です)。使用するボ タンの位置は図4-13上に赤枠で示します。
図4-13 リモートインタフェース操作
パソコンからリモートインタフェース操作によってトリガディレイを設定することが可能です。以下のコマンドを利 用してディレイ時間の設定をおこないます。
TRIGger:DELay {<seconds>|MINimum|MAXimum}
または
TRIGger:DELay:AUTO {OFF|ON}