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5. 4

実験

吸収スペクトルは、 目立U-3410スペクトルメーターで測定した。IHNMRは、Varian 社製Gemini-200(200 1\但z)で測定した。 量子収率 はヘキサン中のジアリールエテン の異性化速度とトルエン中のフリルフルギドの異性化速度を比較して求めた。 ll,12)

サンプルは脱気していない。

3, 5-ジメチル-2-フェニルチオフェン(59a) .

2ヲ4・ジメチルチオフェン48を2.24 g (20.0 mmol), N,N,N',N',ーテトラメチノレエチレ ン ジアミン(TEお伍D)を2.55 g (22.0 mmol), 含む20 mlのエー テル溶液に13.7 ml (1.6 N, 22.0 mmol)のn- フゃチルリチウム ヘキサン 溶液を窒素雰囲気下、 室温で滴下し、

これをその温度で12時間撹排した。 その後、20 ml (1.0 M, 20 mmol)の塩化亜鉛エー テル溶液を加え、 4時間撹持した。別の乾燥した反応容器に、 4.08 g (20.0 mmol)の ヨードベンゼンと231 mg のテト ラキス( トリ フェニルホスフィン)パラジウム (0) を溶解した 20凶の無水THFを撹鉾しておき、 これに先のエーテル 溶液を室温で滴 下した。 反応混合物 は 50 ocで20 時間加熱撹排した 後、 室温で1晩撹排しておい た。 水を加えて反応を止め、反応混合物 は エーテルで抽出した。この有機層は水で、よ

く洗浄し、 これを無水 硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを鴻別後、 鴻液 から溶媒を留去した。 残さを、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン〉により

精製して3.66 gの3,トジメチルー2・フェニルチオフェン(59a)を得た(収率97 %)。

59a : 1 H NMR (200附Iz, CDC13., 1MS)δ2.22 (3H, s, 5-Me), 2.40 (3H, s, 3-Me),

6.48 (1H, s, 4-H), 7.09・7.38(5H, m,

Ph)

; MS m / z 188 (M+). Anal. Calcd for C1JI12S: C,

76.55; H, 6.42. F ound: C, 76.49; H,6.60.

3-ヨード-2,4-ジメチル-5-フェニルチオフェン(60a) .

1.83 g (9.73 mmol)の化合物 (59a)、6.3凶の酢酸 、6.3 mlの四塩化炭 素の混合物に ヨウ素酸水 溶液 (0.370 g (2.10 mmol)のヨウ素酸を1 mlの水に 溶かしたもの)、と 0.850 g (3.35 mmol)のヨウ素を加え、 この溶液を2時間加熱還流した。反応終了後、

室温まで戻した反応混合物を氷水にあけ、 クロ ロ ホルムで抽出した。 有機層は、炭酸 ソータゃ水溶液 、 チオ硫酸ソーダ水溶液 、 水を用いて順次洗浄し、 その後、無水 硫酸マ

グネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを鴻別後、 鴻液から溶媒を留去した。 残さ を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン〉により精製して2.36 gの3- ヨー ド

ー2,4-ジメチルふフェニルチオフェン(60a)を得た(収率97 %)。

60a: 1 H NMR (200附fz, CDC�ヲ1MS)δ2.27(3H, S, 5-Me), 2.43 (3H, S, 3-Me),

7.36 (5H, m, Ph); MS m /z 315 (M+). Anal. Calcd for C12HllIS: C, 45.87; H, 3.53. Found:

C, 46.04; Hヲ3.54.

1, 2-ビス(2,4-ジメチル-5-フェニルチオフェン-3-イル)ペルフルオロシクロ ペンテン (52a ).

化合物 60a を2.08 g (6.60 rnmol)含む25 mlのテトラヒドロフラン(TH F) 溶液 に6.21 ml (1.6 N, 9.94 mmol)のn-フ、、チルリチウムヘキサン溶液を- 60 ocで滴下し、

これをその温度で1時間撹祥した。 その後、0.222 ml (1. 65 rnmol)のペルフルオロシ クロペンテンを- 60 ocで2度滴下し(全部で0.444 ml) 、さらに この混度で終夜撹持 した。希塩酸を加えて反応を止め、反応混合物はエーテルで抽出した。 この有機層は 水で、よく洗浄し、これを無水硫酸マグ、ネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを鴻別後、

鴻液から溶媒を留去した。残さを、シリ カゲルクロマトグラフィー(ヘキサン〉によ り精製して948 mgの1,2-ビス(2,4-ジメチル-5-フェニルチオフェンー3・イノレ〉ペルフ ルオロシクロ ペンテン(52a)を白色結晶と して得た(収率52 %)。

52a : mp 136 - 137 oC; 1 H NMR (200時Iz, CDC�., 1MS)δ2.09 (6H, S, 2-Me x 2),

2.36 (6H, S, 4-Me x 2), 7.35 (10Hヲ m, Ph x 2); MS m / z 548 (M+). Anal. Calcd for C29H22F6S2: C, 63.49; H, 4.04. Found: C, 63.58; H,4.28.

3, 5-ジメチル-2-(4-メトキシフェニル)チオフェン(59b).

2,4 -ジメチルチオフェン(48)(1.12 g , 10.0 mmol)と 4-ヨードアニソール(58b) (2.34 g , 10.0 mmol)とのカップリング 反応は、化合物(59a)の合成に従って行った。

粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロフォルム= 1/1) により精製して1.99 gの3,5 -ジメチルー2・(4-メトキシフェニノレ)フェニルチオフェン (59b)を得た(収率91 %)。

59b : 1 H NMR (200阻z, CDC13., 1MS)δ2.22 (3H, S, 5-Me), 2.40 (3H, S, 3拍),

3.83 (3H, S, MeO) , 6.48 (1H, S, 4 - H), 7.09 ・ 7.38(4H, m, Ph) ; MS m / z288 (M+). Anal.

Calcd for C13H140S: C, 71.52; H, 6.46. Found: C, 71.47; H,6.57.

3- ヨー ド-2,4-ジメチル5-(4-メトキシフェル)チオフェン (60b).

化合物(59b) (800 mg , 9.73 rnmol) を、 化合物(60a)の合成に従ってヨウ素化した。

粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム= 3/ 1)に より精製して900 mg の3-ヨードー2,4・ジメチル-5-(4-メトキシフェニノレ)チオフェン (60b) を得た(収率71 %)。

60b : 1 H N恥侭(200悶Izヲ CDC13.,刊1S)δ 2.23 (3H, S, 5-Me), 2.44 (3H, S, 3-Me),

3.83 (3H, S, MeO), 7.25 - 7.36 (4Hヲm, Ph) ; MS m / z 344 (M+). Anal. Calcd for C13H130IS:

C, 45.36; H, 3.81. Found: Cヲ45.89;H,3.91.

85

1,2-ビス[2,4-ジメチルー5-(4-メトキシフェニル)チオフェンー3-イル]ペル フルオロシクロペンテン(53a).

化合物60b (3.44 g , 10.0 mmol)と 、0.671 ml (5.00 mmol)のペルフルオロシクロペ ンテンを化合物52aの合成時と同様に反応させた。 粗生成物を、 シリカゲルクロ

マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製して1.40 gの1,2・

ビス(2,4-ジメチルー5-(4-メトキシフェニノレ)チオフェンー3-イノレ) ペルフルオロシクロペ ンテン(53a) を白色結晶として得た (収率46 %)。

53a : mp 100 - 101 oC; 1 H NMR (200 MHz, CDC13., TMS)δ2.05 (6H, S, 2-Me

x 2), 2.33 (6H, S, 4-Me x 2), 3.83 (6H, S, MeO x 2), 6.90 - 7.27 (8H, m, Ar町;MS

m/z608 (M+). Anal. Calcd for C31H26F602S2: C, 61.17; Hヲ4.31. Found: C, 61.34; H,4.55.

4-ヨード-N,Nージエチルアニリン(58c) .

N,N-ジエチルアニリン(1.47 g, 10 mmol)と酢酸 (6.30凶)、 四塩化炭素 (6.30 ml) の混合物に0.850 g (3.35 mmol)のヨウ素と ヨウ素酸 水溶液(0.370 g (2.10 mmol)のヨ

ウ素酸を0.90 mlの水に溶かしたもの)を加え、この溶液を2時間加熱還流した。反 応終了後、室温まで下げた 反応混合物を氷水にあけ、クロロホルムで抽出した。有機 層は、炭酸ソーダ水溶液、 チオ硫酸、ノーダ水溶液、水を用いて順次洗浄し、 その後、

無水 硫酸マ グネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを鴻別後、i慮液から溶媒を留去し た。 粗生成物を、 シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン/酢酸エチル=20 /1) により精製して 1.82 g の4-ヨードーN,N-ジエチルアニリン(58c)を得た (収率

66 %)。

58c : 1 H NMR (200悶Iz, CDC13., TMS)δ1.14 (6H, t, J=7 Hz, CH3), 3.31 (4H, q,

J=7 Hz, CH2), 7.36 (4H, ID, ArH) ;附m /z275 (M+). Anal. Calcd for C1J114NS: C, 43.66;

H, 5.13; N, 5.09. Found: C, 43.48; H, 5.05; N, 5.26.

3,5-ジメチル-2-(4-N,N-ジエチルアミノフェニル)チオフェン(59c).

2,4 -ジメチルチオフェン(48) (1.12 g , 10.0 mmol)と 4-ヨードー N,N-ジエチルア ニリン(58c) (2.75 g , 10.0 mmol)とのカップリング反応は、化合物(59a)の 合成に

従って行った。粗生成物を、 シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル

=30 /1)により精製して1 .85 gの3,5-ジメチルー2-(4 -N,N-ジエチルアミノフェニ ノレ)チオフェン(59c) を得た (収率71 %)。

59c : 1 H NMR (200 MHz, CDC13., TMS)δ1.18 (6H, t, J=7 Hz, CHJ, 2.23 (3H, S, 3-Me), 2.43 (3H, S, 5-Me), 3.37 (4H, q, J=7 Hz, CH2N), 6.55 (1H, S, 4-H), 6.68 (2H, d, J=9 Hz, ArH), 7.27 (2H, d, J=9 Hz, ArH) ; MS m / z 259 (M+). Anal. Calcd for C1凡lNS: C,

74.08; H, 8.16; N, 5.40. Found: C, 74.10; H,8.30; N, 5.50.

3-プロモ-2,4-ジメチル-5-C4-N,N-ジエチルアミノフェニル)チオフェン C60c).

化合物(59c) (1.00 g, 3.86 mmol) を 10 mlの二硫化炭素に溶解させた中に、0.200 ml (3.88 mmol)の臭素を滴下し、室温で48時間撹祥した。反応混合物を 水にあけ、

クロロフォルムで抽出した。有機層をチオ 硫酸ソーダ水溶液、水を用いて順次洗浄し、

その後、無水硫酸マクοネシウムで乾燥し、硫酸マ グネシウムを鴻別後、11養液から溶媒 を留去した。 粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/ベンゼン=

3/2 )により精製して 1.12 gの3・ブロモ久4ジメチル-5-(4-N,N-ジエチルアミノ フェニノレ)チオフェン( 60c) を得た(収率86 %) 。

60c : ] H NMR (200 MHz, CDC13., TMS)δ1.17 (6H, t, 1=7 Hz, CHふ2.22 (3H, S, 4-Me), 2.38 (3H, S, 2-4-Me), 3.35 (4H, q, 1=7 Hz, CH2N), 6.68 (2H, d, 1=9 Hz, ArH), 7.27 (2H, d, 1=9 Hz, ArH) ;附m/ z 337 (M+), 339 (M+ + 2). Anal. Calcd for C1凡aNBrS: C,

56.80; H, 5.96; N, 4.14. Found: C, 56.24; H,5.46; N, 3.90.

1, 2-ビス[2,4ージメチルー5-(4-N,Nージエチルアミノフェニル)チオフェンー3-イル]ペルフルオロシクロペンテン(54a).

化合物60c (1. 76 g, 5.22 mmol)と0.340 ml (2.53 mmol)のペルフルオロシクロペン テンを 化合物52aの 合成時と同様に反応させた。 粗生成物を、 シリカゲルクロマ ト グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製して1.40 gの 1, 2-ビ ス[2,4・ジメチノレ-5-(4-N,N-ジエチルアミノフェニノレ)チオフェン-3-イノレ]ペルフルオロ シクロペンテン(54a)を白色結晶として得た(収率46 %) 。

54a : mp 63 - 64 oC; 1 H NMR (200 MHz, CDC13., TMS)δ1.17 (12H, t, 1=7 Hz, CHム 2.06 (6H, s, 2・Me), 2.31 (6H, s, 4・Me), 3.35 (8H, q, 1=7 Hz, CH2N), 6.61 - 7.24 (8H, m,

ArH) ; MS m /z690 (M+). Anal. Calcd for C3fI40F6N2S2: C, 64.33; H, 5.84; N, 4.05. Found:

C, 64.23; H,6.03; N, 4.23.

3, 5-ジメチル-2-(4-シアノフェニル)チオフェン(59d).

2,4・ジメチルチオフェン(48)(2.69 g, 24.0 mmol)と 4-ブロモベンゾニトリル(3.64 g, 20.0 mmol)とのカップリング反応は、化合物(59a)の合成に従って行った。組生 成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)により精製して4.14 gの3,5

-ジメチルー2-(4-シアノフェニノレ)チオフェン(59d)を得た(収率97 %) 。

59d : mp 71 - 72 oC; 1 H NMR (200 MHz, CDC13., TMS)δ2.12 (3H, s, 3-Me), 2.39 (3H, S, 5-Me), 6.48 (1H, s, 4-H), 7.45 - 7.69 (4H, m, ArH) ;恥1s m / z 213 (M+). Anal.

Calcd for C13HllNS: (二73.20; H, 5.20; N, 6.57. Found: C, 72.91; H,5.04; N, 6.48.

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3-ヨード-2,4-ジメチルー5-(4-シアノフェニル)チオフェン(60d).

化合物(59d)(3. 97 g , 18.6 mmol) を化合物(60a)の合成例に従ってヨウ素化した。

得られた粗生成物を、 シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン〉により精製して 3.06 gの3・ヨードー2,4-ジメチル-5・(4-シアノフェニノレ)チオフェン(60d)を 得た(収率 49 %)。

60d : mp 136 - 137 oC; 1 H NMR (200 MHz, CDCl3., TMS)δ2.12 (3H, s, 4-Me), 2.39 (3H, s, 2-Me), 7.45 - 7.69 (4H, m, ArH) ; MS m / z 339 (M+). Anal. Calcd for C13H1

aN

1S: C,

46.03; H, 2.97; N, 4.13. Found: C, 46.08; H,2.95; N, 4.09.

1, 2-ビス[2,4-ジメチルー5-(4-シアノフェニル)チオフェン-3-イル]ペルフ ルオロシクロペンテン(55a) .

化合物60d (3.06 g, 9.03 mmol)と0.600 ml (4.47 mmol)のペルフルオロシクロペン テンを化合物 52aの合成時と同様に反応させた。 粗生成物を、 シリカゲルクロマ トグラフィー(ヘキサン〉により精製して540mgの1ユービス(2,4-ジメチル- 5-(4-シア ノフェニノレ)チオフェン- 3-イノレ〉ペルフルオロシクロペンテン(55a)を白色結晶とし て得た(収率20 %)。

55a : mp 188 - 189 oC; 1 H NMR (200 MHz, CDC�., TMS)δ2.12 (6H, s, 2-Me), 2.39 ( 6H, S, 4・Me), 7.45・7.69 (8H, m, ArH) ; IR

(KBr)

2230 cm-1 (CN) ; MS m / z 690 (M+).

Anal. Calcd for C3IH2aF6N2S2: C, 62.20; H, 3.37; N, 4.68. Found: C, 62.48; H,3.67; N,

4.43.

5. 5 まとめ

1 .ジアリールエテンにp-メトキシフェニル基、 p-N,N-ジエチルアミノフェニル基 等の電子供与性基を導入した誘導体が合成できた。

2. 電子供与性基を導入することにより、吸光係数が増大し、開環反応の量子収率が 減少することが認められた。

参考文献

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12) Y. Yokoyama, Y. Kurita, Synth. Org. Chem. Jpn., 49, 364 (1991).

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第6章 鍵機構をもっビスベンゾチエニルエテン 6. 1 序

フォトクロミック化合物は、通常光照射によりその色を変え、暗所下に放置してお くと元の色に戻る。最近、 熱では元の状態、に戻らず、光のみで色変化を起こすフォト クロミック化合物が開発されてきた。 同その中でも、 本論文で述べているヘテロ 5 員環をもっジアリールエテンは、繰り返し耐久性に優れるなどの特性を合わせ持って おり様々のオプトエレクトロニクス材料への応用が期待されている。例えば、1,2-ビ ス(2-メチルベンゾ[b]チオフェン-3-イノレ)ペルフルオロシクロペンテンは、着色/退色 のサイクルを 104回繰り返した後もフォトクロミック特性を保っている。 州しかし、

オプトエレクトロニクス材料にこれらの物質を使おうとすると、まだ幾つかの未解決 の問題が残っている。それらの1つは、フォトクロミック反応に反応しきい値がない ことである。光メモリ材料へ用いる場合、しきい値をもたないため、数回読み出しを 続けると記録が消えてし まうとしづ欠点をもっ。その欠点を克服するには、フォトク ロミック反応にゲート機能をもたせる必要がある。ゲート機能とは、どの波長の光を 照射しても色変化は起きないが、他の外部刺激を加えると、例えば他の波長の光、化 学物質、熱などが存在すると光照射によりフォトクロミック反応を起こすというもの である。 このような反応性にしきい値があることは、 光記録媒体に応用する際に必 要不可欠である。

反応性にし きい値を持たせる1例として2光子の光 を吸収して2段階で光異性化 する系が考えられる。6) 2光子で不可逆光反応を示す例はいくつか報告されているが、

下10)多光子でフォトクロミズムを示す例は限られている。もう1つの方法は、フォト クロミック化合物の反応性を化学的に制御する方法である。5位にジメチルアミノ基 を置換したインドール環をもっフルギドが酸の添加によりその開環反応の量子収率 を変えることが見出されている。 川

本章では、 コンフォメーションを制御することにより、ゲート機能を導入すること を試みた。 1,2-ジアリールエテンには2つのアトロープ異性体が存在し、anti-parallel 型は光閉環反応を起こすが、 parallel型からは光反応は起こらない。 1司そこで、 可逆 な分子内水素結合性基、s-s結合性基をジアリールエテンに導入して(Fig. 6-1)、 コン フォメーションを光反応性のない parallel型に固定化し、 光反応性を制御することを 試みた。 それらの模式図をScheme 6-1及びScheme 6-2に示した。

HO OH

HO OH

61 62

OH

HS '(CH2)n-ベミ\ SH

dヘ(CHぷ

、,‘仁'

63

64,: n = 4

65: n = 2

Fig. 6-1 Diarylethenes with Intralocking Arms.

6. 2 分子内水素結合生成能を有するビスベン、ノチエニルエテンの合成

基本骨格には1,2-ビス(2・ メチノレー1-ベンゾチオフェンー3・イノレ)ペルフルオロシクロ ペンテン(66)を選び、 この化合物への修飾を行ったo 4) (66)に末端カルボン酸をも っ脂肪鎖を導入した化合物の合成ルートを Scheme 6-3 に示す。

1,2-ビス(2-メチノレー1-ベンゾチオフェン-3-イノレ)ペルフルオロシクロペンテン(66)に 過剰の塩化アセチルを塩化アルミニウムの存在下反応させ、各々のベンゾチオフェン 環の6位にアセチル基を持つジアセチル誘導体 (67)を得た。 これを次亜塩素酸ソ

ーダで分解してジカルボン酸(63)とした。 ベンゾチオフェン環とカルボン酸部の 聞に1つメチレン鎖をもっジカルボン酸 (62)は、 (67)を硝酸第二タリウムを用 いるWillgerodt反応1 9)によりメチルオキシカルボニルメチル体(69)に変換した後、

これを加水分解して合成した。 さらにベンゾチオフェン環とカルボン酸部の間に2 つメチレン鎖をもっジカルボン酸(61)は、 以下のように合成した。 ジカルボン酸

(62 )を大過剰のチオニルクロライドと加熱することにより酸クロライド (70)に 変換し、 これにジアゾメタンを作用させ化合物 (71)を合成した。 これを酸化銀の 存在下メタノール中で加熱することによりジエステル(72)を生成した。 これを 40%

硫酸中で加熱することによりジカルボン酸(61 )を合成した(Scheme 6-3)。

6. 3 脂肪鎖末端にメルカプト基を有するビスベンゾチエニルエテン合成

脂肪鎖末端にメルカプト基を有するビスベンゾチエニルエテン合成はScheme 6-4 にまとめた。代表例としてC4ユニットを導入した例を説明する。 基本構造の1,2-ビス(2-メチノレ-1-ベンゾチオフェンー3-イノレ)ペルフルオロシクロペンテン(66)と2倍 等量の4-クロロブチリルクロライドをニトロベンゼン中に溶解し、 これに無水塩化 アルミニウムを加えて室温で撹#した。シリカゲルクロマトグラフィーで分離精製す

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ることにより1ユービス [ 6-(4-クロロ-1 -オキソブチノレ)-2-メチノレベンソ[b]チオフェン-3-イノレ]ペルフルオロシクロペンテン(73)を合成した。 この(73)をジクロロエタ ン中でボランーt ert-フゃチルアミン錯体と無水塩化アルミニウムを作用させて室温下24 時間撹枠することにより1, 2-ビス[6-(4-クロロブチノレ)-2-メチルベンゾ[b]チオフェン ー3-イノレ]ペルフルオロシクロペンテン(74)を合成した。 これを大過剰のヨウ化ナト リウムと 2-ブタノン中で 24 時間加熱環流することにより、 1,2-ビス[6-(4-ヨードブ チル)之ーメチルベンゾ[b]チオフェン-3-イノレ]ペルフルオロシクロペンテン(75)に変 換し、続いてアセトン中でカリウム0-エチルジチオカルボネートを作用させて脂肪 鎖末端メルカプト基をキャップした化合物(76)を合成した。 C2ユニットを持つ 対応する各々の誘導体(77)(78) (79) (80)は、最初のフリーデルクラフツ反 応アシル化の時に4-クロロブチリルクロライドの代わりにクロロ酢酸クロライドを 反応させ、 後はC4ユニットを持つ誘導体と同様に合成することができた。 化合物 (76) (80)は、 エチレンジアミン中で室温下30分撹枠するだけで末端にメルカプ ト基を有するジアリールエテン(64)(65)を生成した。

6. 4 フォトクロミック反応挙動

6. 4. 1 分子内水素結合による鍵機構

1,2・ジアリールエテンのフォトクロミック反応は、 1,3,5-ヘキサトリエンがシクロ ヘキサジエンを生成する反応の型に属する。 Woodwar d - Hoffmann則によれば、 光閉 環反応は同旋的に進行する。アリール基がヘテロ5員環であるとき、 ジアリールエテ ンには、 2つの芳香環が互いに鏡像関係にあるコンフォーマーとC2対称の関係にあ るコンフォーマーの2つのコンフォーマーとがある。 同そして、 同旋的閉環反応は C2対称の関係にあるコンフォーマーからしか進行しない。 13)これは、 2つの芳香環 が互いに鏡像関係にあるコンフォーマー( parallel 型〉に固定されると光閉環は進行 しなくなり、 C2対称の関係にあるコンフォーマー(釦ti-p訂allel型〉がとれるように なると光閉環が進行できるようになることを意味する。 parallel型コンフォーマーは、

水素結合を形成で、きる官能基をアリール基に導入することにより、固定することがで きる(Schem e6-1)。

末端にカルボニル基をもっアルキル鎖をこの置換基に選び、6,6'位にカルボキシエ チル基、カルボキシメチル基、カルボキシ基を導入した1,2-ビス(2-メチルベンゾ[ b ] チオフェンー3-イノレ)ペルフルオロシクロペンテン誘導体61,62,63のフォトクロミッ ク反応をシクロヘキサン中で測定した。 同

Fig. 6-2 のa,bに化合物61と62のシクロヘキサン中で 313 nmの光を照射した時 の吸収スペクトルを示した。 化合物62の光閉環反応はある程度進行しているが、 化 合物61の閉環反応は完全に抑制されている。非極性溶媒であるシクロヘキサン中で は、 化合物61と 62のカルボニル基は分子内水素結合を形成しているため、 光反応

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