IIIIIIIII
1. テネリフェ事故の概要
今、 テネリフェから学ぶこと
[衝突後炎上する PAA 機と脱出した乗客達]
ATS 委員会
第 30 回 ATS シンポジウム
第30回 ATS シンポジウム
ぶ過激派テロリストの仕掛けた爆弾が、 空港のカウンターで爆発する事件が発生した。 2発目の爆 発が懸念されたので同空港は一時閉鎖され、 ここへ向かっていた航空機は隣の島、 テネリフェ島の ロス・ロデオス空港へダイバートした。
アムステルダムから飛んできた KLM4805 便 (B-747) が着陸した 1338Z には、 すでにエプロン では航空機がひしめき合っていた。 そのため KLM4805 便は Rwy12 のランナップ・エリアに駐機 した。 乗客235名は機内に20分待たされた後、 バスでターミナルへ向かった。 一方、 ロサンゼルス 発ニューヨーク経由でやって来たパン・ナム PAA1736 便 (B-747) は 1415Z に到着し、 KLM 機 の隣に駐機した。 PAA 機の乗客377名は全員終始機内に留められていた。
1530Z 頃ラス・パルマス空港が再開すると、 PAA 機はただちにエンジンスタートを要求したが、
PAA 機と滑走路入口の間に KLM 機が駐機しており、 反対方向のタクシーウェイはメインエプロ ンの航空機の混雑でタクシーには使えない旨が告げられた。 KLM 機に乗客が揃ったのは 1630Z 頃 になった。 ところが KLM 機の機長は燃料補給が必要であり、 そのために約30分を要する旨を告げ、
55,500
の燃料を搭載後、 エンジンスタートして 1656Z にようやくタクシーを開始した。 引き続い て PAA 機も 1701Z にタクシーアウトし、 両機は滑走路上をタクシーした。 その頃北西の海上から 湿った風が吹き寄せ、 2,000ft の高台にあるテネリフェ空港には霧が発生しはじめた。1702:49Z :(ATC) KLM4805の位置を聞き OK at the end of the runway, make l80 turn and re-port ready for ATC clearance. とつけ加えた。
1705:45Z :(KLM) KLM Uh, the KLM ... 4805 is now ready for take-off ... uh and we're wait-ing for our ATC clearance.
1705:53Z :(ATC) KLM 8705 uh you are cleared to the Papa Beacon climb to and maintain flight level 90 right turn after take-off proceed with heading 040 until intercepting the 325 radial from Las Palmas VOR.
テネリフェ島 ロス・ロデオス空港
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1706:09Z :(KLM) Ah Roger, sir, we're cleared to the Papa Beacon flight level 90, right turn out 040 until intercepting the 325 . We're now at take-off.
1706:18Z :(ATC) OK ....(2sec).... Stand by for take-off, I will call you.
こ の 後 KLM 機 と ATC の 間 に 会 話 は 交 わ さ れ て い な い 。 KLM 機 は 謎 の 離 陸 を 始 め 、 1706:49Z、 濃い霧の中でまだ滑走路上を Taxi down していた PAA 機に衝突した。
事故原因は何かスペイン政府は、 翌年8月に事故調査報告書 (Spanish Report) を発表した。
それによると、 「究明された事実に基づけば、 KLM 機の機長は ATC クリアランスを受領するや 否や離陸することを決断していた」 として、
この事故の根本的な原因は当該便の機長が;
① 許可無く離陸したこと、
② ATC の Stand by for take-off の指示に従わなかったこと、
③ PAA 機が滑走路上いることを知ったにもかかわらず離陸を中止しなかったこと、
であると結論し、 以下の3項目の勧告を行った。
【勧告】
① 管制指示および管制承認の厳格な遵守の徹底
② 簡潔明瞭な標準航空用語の使用
③ 管制承認に take-off の用語を使用しないこと、 および管制承認と離陸許可には適切な時 間的間隔を設けること
これに対して事故機の登録国オランダ政府は、 合同調査委員会において立証された事実・証拠に ついて意見の相違はないが、 それらの解釈において見解を異にするとして、 事故調査報告書に対し
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コメント (Dutch Report) を発表した。
それは、 「調査の結果によれば、 事故の原因は単一ではない。 誤解は、 一般的に使用される方式、
用語および習慣的な行動パターンなどの複合要素によって発生した。」 とした上で、
① KLM 機は、 誤解によって、 離陸許可が発出されたことを確信して許可なく離陸した。
② 誤解は、 相互に使用された通常の用語により発生した。 他の偶然の出来事と重なり、 KLM 機が性急に離陸したことによって、 指示された誘導路から滑走路を離脱しなかった PAA 機 と滑走路上で衝突した、 と結論している。
衝突直前の状況 (最後の88秒)事故調査報告書の最後の88秒に関する記述に基づき、 衝突直前の KLM 機、 PAA 機、 ATC (Te-nerife) の状況を考察してみよう。 便宜上4つの場面に分けて検討する。
Scene 1 KLM 機は、 低視程下に幅45m の滑走路で困難な180°Turn をやり遂げ滑走路に正対し、
Before Take-off Checklist を終了した。 そこで機長は Thrust Lever を進めようとして、 副操縦士 にまだ ATC クリアランスを受領していない旨を指摘された。
(考察)
KLM 機長は、 短時間のうちに離陸しなければ、 勤務時間に対するオランダの厳格な規定に基づ いて、 そのフライトをキャンセルしなければならないということ―それが会社の不利益と乗客の不 都合をもたらす結果となること―を懸念していた。
さらに、 空港の天候は急速に悪化しており、 最低の気象条件下で離陸するか、 規定の勤務時間を 超過することを承知の上で天候の回復を待つか、 の選択を迫られていた。
テネリフェ空港の特殊な気象条件も考慮に入れなければならない。 霧は濃さに基づいて視程がか なり正確に計測できるが、 頻繁に視程を悪化させるものは実際には霧ではなく、 風により吹き寄せ られる低層の雲である。 それ故、 視程は突然急激に変化する。 後者によって、 視程はある時は 0m となる場合もあり、 短時間の間に 500m から 1,000m に変化し、 そして束の間の後、 実質的に 0m に戻ってしまう。 このような気象条件によって、 パイロットの離着陸に関する判断が、 よりいっそ う困難となることは疑うべくも無い。
こうした種々の問題の蓄積に伴って、 KLM 機長のストレスは増大していた。
ATC Communication GMT KLM 機
【1705Z】
27.8 36.7 41.22
180°Turn 終了
Before Take-off Check List 終了 All thrust Lever slight increase.
41.5 (F/O) Wait a minute, we don't have an ATC Clearance.
(CAPT) No, I know that, go ahead ask.
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Scene 2 KLM 機は Ready を通報し、 ATC Clearance を受領して離陸を開始した。 この間の経緯 から、 副操縦士が ATC クリアランスを復唱している間に KLM 機は、 既に離陸滑走を開始してい たと認められる。 (離陸を急いでいた機長は、 ATC クリアランスに含まれる Take-off という用語 を聞いて、 離陸も許可された、 と理解したと推察される。)
(考察)
Spanish Report は、 「究明された事実に基づけば、 KLM 機の機長は、 ATC クリアランスを受 領するや否や、 離陸することを決断していた。 事故の根本的な原因は、 当該便の機長が許可無く離 陸したことである。」 と結論した。 そして、 「管制承認に Take-off の用語を使用しないこと、 お よび管制承認と離陸許可には、 適切な時間的間隔を設けること。」 を勧告した。
また、 事故の一因と考えられる不適切な用語の使用について、 「KLM 副操縦士のクリアランス に対するリードバックは、 We are now at take-off で終わっている。 管制官は離陸許可を要求 されておらず、 許可も与えていないので、 KLM 機が離陸滑走を開始したことを予想することすら できなかった。 管制官の Stand by for take-off. に前置された、 OK もまた不適切であった が、 当該機は、 この約 6.5 秒前に離陸滑走を開始していたため、 結果として直接の関連はなかった。」
と述べている。
これに対し、 Dutch Report は、 「この段階で、 副操縦士は Take-off Clearance と ATC Clear-ance の両方を要求している。」 「クリアランスの復唱が終了する 5.5 秒前に、 エンジンが Take-off Thrust まで増加させられ、 離陸滑走が開始されていたが、 これらの事実は、 KLM 機のクルーは
ATC Communication GMT KLM 機
(F/O) KLM Uh, the KLM ... 4805 is now ready for take-off ... uh and we're wait-ing for our ATC clearance.
【1705Z】
44.8 50.77 (ATC) KLM 8705 uh you are cleared to the Papa Beacon climb to and maintain flight level 90 right turn after take-off proceed with heading 040 until intercept-ing the 325 radial from Las Palmas VOR.
53.41
【1706Z】
04.72 07.39 08.90
No.3/4 thrust lever slightly increase.
(CAPT) "YES"
(F/O) Ah roger, sir, we're cleared to the Papa Beacon flight level 90, right turn out 040 until intercepting the 325 . We're now at take-off.
09.61
11.08 12.25 13.99 14.00 17.17 17.79
Brake released.
(CAPT) "Les's go‐Check thrust"
All thrust levers increase.
Engine acceleration sound.
Air speed increase
(ATC) OK
(about 2 sec silence)
(ATC) Stand by for take-off, I will call you.
18.19
19.39 20.08
21.79
23.19
PAA and ATC communications caused a shrill noise in KLM cockpit - messages not heard by KLM crew.
第30回 ATS シンポジウム
発出されたクリアランスから、 離陸も許可されたと判断したことを示している。」 「管制官の OK の返答で、 KLM 機の乗員は離陸を許可されたことを確信した」 等と反論した。
また、 当該管制官は、 調査委員会の合同聴聞会において、 KLM 機は、 At take-off position と通報してきた、 と証言した。 これは、 当該機が停止した状態であったことを示し、 このことによっ て疑念を覚えたわけではなかった。
Scene 3 KLM 機の We're now at take-off. という送信に、 管制官は OK と答えその後、 2秒 間沈黙した。 この交信を傍受した PAA 機は誤解が生じる可能性に気付き、 And we're still taxi-ing down the runway, the clipper 1736 と警告したが、 管制官の Stand by for take-off, I will call you. の送信と重なり、 KLM 機には混信して Shrill Noise (甲高い騒音) しか聞こえず、 い ずれの送信も聴取できなかった。
(考察)
Spanish Report は、 「二つの送信が重なったという事実は曲げがたい。 管制官の、 Stand by for take-off, I will call you. という送信が、 PAA 機からの We're still taxiing down the run way と重なり、 十分な明瞭さをもって伝わらなかったことは明白である。 このキーイングの音に よって約3秒の間、 通信が妨害された。」 と述べている。
Dutch Report には、 「公聴会において、 誤解が発生した可能性の確認作業が行われ、 PAA 機の 機長と F/O の緊張した反応から、 OK を含む交信によって ATC クリアランスが離陸許可に誤 解されたことに対する恐怖が窺われた」 との記述がある。
Scene 4 混信の直後、 滑走路からの離脱に関する指示と確認に関する管制官と PAA 機の交信が、
KLM 機の航空機関士に傍受された。 この時 PAA 機は、 指示された3番目の誘導路 (C-3) を通 過し、 自分達から数えて3番目の誘導路 (C-4) に向かっていた。 航空機関士は機長に 「彼らはま
ATC (Tenerife) GMT PAA 機
OK
(about 2 sec silence) Stand by for take-off, I will call you.
【1706Z】
18.19
19.39 20.08
20.3 21.79
22.06 PAA and ATC communications caused a shrill noise in KLM cockpit - messages not heard by KLM crew.
No .. eh.
And we're still taxiing down the runway, the clipper 1736.
[19.39-23.19]
Shrill noise (About 3 sec)