第三章 SC における地域密着の実態
第三節 ダイヤモンドシティテラスとつかしんの比較
商圏がほぼ同じであるダイヤモンドシティテラスとつかしん。この三節では、二節で述 べた調査項目を調査する上で、両者のデベロッパーにインタビューを行った。その結果は 下記の通りである。
(つかしん=つ テラス=テ)とする。
<・・・>→デベロッパーに質問した内容 つ:→つかしんのデベロッパーからの返答 テ:→テラスのデベロッパーからの返答
→我々の補足コメント
<競合店として考えている商業施設は>
つ:特になし。もし言うならばテラス・カルフール・ららぽーと
テ:つかしん・川西アステ・カルフール・ヴィソラ・ららぽーと・関西スーパー・梅田百 貨店(特に意識している)
テラスは大阪の百貨店を意識している。テラスは商圏が近い所よりもターゲット層が同 じような所を競合として意識している。つかしんをそれほど意識していない。なぜなら、
つかしんのターゲット層と若干違うから。テラスより、つかしんはターゲット層の年齢 が高い。
<独自のイベントを行っているか>
つ:過去の例・・・つかしん雪祭り、アイドルコンサート(無料)、
長崎くんち(地方の祭りをつかしんで)etc
テ:年間の販促費から、時期に合ったクリスマスや母の日などに子供が楽しく体験できるよ うなファミリー向けのイベントを行う(似顔絵の展示 etc)
ケーキデコレーション(宝塚芸大の協力)・伊丹の小学生コンサート
スポーツオーソリティと共同で「親子グローブ教室」
⇒地域をからめて、子供を第一に(子供参加型)
⇒イベントでお客を呼ばない、来ているお客に楽しんでもらう
テラスはファミリー層を中心としたイベントが多い。つかしんは多くの年代に対応した イベントを催している。つかしんの方が変わったイベントが多く、イベントに力を入れ ているように感じた。わくわく猪名川ランドという猪名川の理解を深めるようなイベン トもあった。
<この商業施設全体で独自のものはあるか>
つ:湯の華廊、チャーチ広場、教会、つかしんケーブル
シネマつかしん(二番館シネマ)→上映時期を遅らせて、安く見れるシネマ テ:他のダイヤモンドシティとベースは同じ→今後は地域に合わしたものに変える 2 核 1 モール型・惣菜コーナーにデパ地下に似たスタイルを採用している。
つかしんはオープン型モール、テラスはクローズ型モール。テラスのシネマは普通のシ ネコン、つかしんは二番館シネマで安い価格(一般1000円・会員600円)で見ら れる。つかしんはモール内に天然温泉があり、一級河川である伊丹川が流れ、そばにア ヒルも住んでいる。テレビつかしんというケーブルテレビ番組があった。
<商圏内で初出店の業態はあったか>
つ:シネマつかしん、在宅ケアセンター、湯の華廊
テ:ビュッフェスタイルのレストラン・シネコン・育児施設・2 核1モールのスタイル・デ パ地下風の惣菜コーナー
つかしんは福祉に繋がる施設を導入している。テラスはニューファミリー層を強く意識 した出店を心がけている。
<ローカルチェーンとナショナルチェーンの割合>
つ:ローカルチェーン:ナショナルチェーン 8:2
テ:ローカルチェーン 1 店舗 ⇒今後はローカルチェーンを導入していきたいと考えて いる
つかしんはローカルチェーンを中心に構成されている。土地の所有の都合などでテナン トをあまり自由に決められない。テラスはテナントを自由に決める事ができ、選りすぐ られたナショナルチェーンで構成されている。条件面などの理由でほとんどローカルチ ェーンは入っていない。
<営利を目的としていない活動は>
つ:大学のインターンシップ・・・空き店舗を提供して大学生が出店する 中学生のインターンシップ、地域の祭りの協賛
従業員のボランティア活動・・・周辺の清掃活動
テ:募金活動(シマフクロウを守ろう、盲導犬の育成資金、災害の義援金 etc)
チャリティーコンサートを開くための場所を提供 猪名川の清掃(200 人規模)
どちらも営利を目的としていない活動を行っている。つかしんは地域色の強い活動を行 っている。テラスの募金活動は地域のためというより、全国的な社会貢献色が強い。
<ポイント還元カード・お客様からの意見カード等の有無>
つ:独自のカードの発行はしていない。
ご意見カード・・・各店舗が独自に実施しているところはある。
テ:テラスカード・・・ポイント制(クレジット機能無し)入会費 105 円
⇒個人情報を良い意味で利用(年齢・性別 etc)し、今の利用状況 を把握する・ロイヤリティは強くない
ご意見カード・・・インフォメーション横に設置
テラスはSC全体を通して地域のお客の意見を聞いている。テラスはカードを発行する ことによって顧客の個人情報を集めている。テラスカードの特典として、映画が 200 円 割引になったり、チャレンジポイントが 50 ポイントたまるごとにテラスでスロットのチ ャンスが与えられる。つかしん全体ではポイントカードはなく、お店単位で発行してい る。
<デベロッパーのSC開設後の経過年数>
(一ヶ所にスタッフどれぐらいいるのか)つ:6 ヶ月(西武百貨店が撤退し、今年 5 月から GUNZE が経営しているから)
テ:だいたい 2〜3 年で異動 オープン時 12 人→現在 3 人
つかしんはオープン時から勤めている人がまだいる。テラスは長く一箇所に留まること はまずない。(ダイヤモンドシティ株式会社が展開するSCの 1 つだから)
<地域の祭りや行事の情報をつかんでいるか。祭りや行事に合わしての SC の試 みがあるか。地域情報をどのようにつかんでいるか>
つ:テナントの人が地域住民だから、その人たちから情報を得ている 福祉連絡協会からの情報
地域祭りの協賛(夏祭り、だんじり)
テ:アルバイトの半数以上が伊丹市民だから、その人たちから情報を得ている
⇒一般的な媒体や市・お客様→店員→デベロッパー 運動会(対応するアイテムを売っている店に情報)
花火大会(商売目的ではない・事故のないように対応)
つかしんは主体的に協賛している。尼崎はだんじりの街でもあるから塚口町のだんじり がつかしん内をパレードする「つかしんパレード」がある。つかしん周辺の盆踊り大会 は、つかしんで行われている。
<ハード面でこの地域特色の工夫>
つ:チャーチ前広場、噴水、河川のアヒル テ:駅から直結のデッキ
ハートビル法(高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に 関する法律)&ユニバーサルデザイン(人に優しいすべての人のためのデザイン)
つかしんの周辺は住宅街が多いが、十分な公園がない。つかしんは散歩に適した環境を作 っている。テラスのハード面での考えは、万人に受ける施設を提供する事のようにみえる。
<ずばり地域密着をどうとらえているか>
つ:デイリー性の高い商品を扱う・・・食品をもっとたくさん 地域のネットワーク(大学・中学)
在宅ケアセンター・集会所の設置・・・コミュニティスペースの拡大 消費者のニーズに合わせて答えを出す・・・地域密着は地域住民が決める
テ:地域ナンバー1 のSCになること!!・・今の段階ではテラスの地域密着は見えづらい が、地域密着無しでは成功しない
商業施設は距離には勝てないものがある。だから、デイリーのお客様・足元の人々は ないがしろにできない。
10 回中何回テラスに足を運んでくれるか ・お客様のシェア率をトップにしたい
考え方に若干の違いはあるが、両者とも毎日来てくれるようなお客様を増やしたいとい う考え。両者とも今なお地域密着について模索している。現在、地域密着できていると いう事を両者とも言い切れてはいなかった。