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第3章 初代肝細胞の三次元培養法の確立

W- lタイフ。

のPUF

ラット肝細胞 イ

肝細胞 ブタ肝細胞

200μm Photo.3-3-4 初代)J干細胞のPUF/スフエロイド培養法(培養後7日目)

3.3.2.3スフエロイドの形成過程

スフエロイドの形成は, まず細胞のPUF表面への付着・イI�展が生じ, PUF孔内において単層状態の形 成が見られる。 その後, PUF表而から肝細胞の 剥離が起こり, 細胞同士の凝集が進行する。 そして, *1lI 胞表面が平滑化することで球状の細胞集塊であるスフエロイドが形成される。 その形成過程の僕式図を Fig.3-3-5に示す。

ラット肝細胞では, 三種類のPUFにおいて培養後l日目までに細胞のPUF表面への付着・伸展が生じ ,

PUF孔内において単層状態を形成した。 培養後2-3日目に, PUF表面から 肝細胞の剥離が生じると同時 に細胞同士の凝集が進行し, 細胞表面が平滑化した球状の細胞集塊であるスフエロイドを形成した。

一方, R-lタイ プ のPUF孔内に帰種され たイヌおよびブ タの肝細胞は, 培養1-2日間にわたってPUF 孔内において単層状態を形成し, その後PUF表面から肝細胞の剥離が生じるにもかかわ らず, 細胞が集 まった細胞集塊にとどまり, 細胞同士が凝集して細 胞表面が平滑化したスフエロイドを形成するには府 養に約1週間程かかった。 これに対して, W-lタイプのPUF孔内に播種されたイヌおよびブタの肝細胞は,

細胞播種後すぐにPUF表面への付着・伸展が生じるものの, 培養4-12時間目にはPUF孔内 で細胞の集 塊化が始まり, 培養後1-2日目には凝集した細胞の表面が平滑化したスフエロイドを形成した。

( 1 )肝細胞のPUFへの付着

500μm

に口口口00000…よ

( 2 )肝細胞の伸展

( 3 )肝細胞の剥離凝集

しふι人

( 4 )肝細胞のスフエロイド形成

ド鐙l

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Fig. 3-3-5 スフエロイド形成過程 42

3.3.2.4生細胞の経時変化

ブタの初代肝細胞の生細胞数の経時変 単層培養法と PUFIスフエロイド培養法によるラット, イヌ

化をそれぞれFig.3-3-6 -Fig.3-3-8に示す。 PUFIスフエロイド 培養肝細胞の生細胞数経H寺変化において,

ラット月干来四月包はR-lタイプのPUF, イヌおよびブタ肝細胞はW-lタイプのPUFを使用した場合 を示してい る。

培養l日目 に 維持さ れる生細 胞数(約3.1 X 105 培養10日日に は 培養初期の約 50%(約 1.4X 105 viable 培養条件の違いに関係な く,

viable cells/dish)が培養 経過ととも に減少し , 初代ラット肝細胞では,

cells/dish)に減少したO

初代イヌ肝細胞においては, 単層培養およびスフエロイド培養の両培養系とも培養 初期の生細胞数を 少なくとも培養13日間にわたって維持することが可能であり, 単層培養法の場合には約5 .0X 105 viable

スフエロイド培養法の場合には約8.1 X 105 viable cells/dishの生細胞数が維持された。

cells/dish,

初代プタ肝細胞において, 単層培養法の場合には培養!日目から8日目にかけて細胞 の増殖が見られ,

スフエロイド培養法の場合には培養8 これに対し,

その後は約1.7 X 10(i viable cells/dishで一定となった。

日目に約8.1X 105 viable cells/dishの増殖が見られる程度であった。 培養8 日目以降の培養デイシュ当りの 単層培養と スフエロイド培養の生利!日包数 を比較すると, 単層培養法ではスフエロイド培養 法よりも約2 倍以上高い生細胞数を有していた。

4.0X 105

」コcn

℃ζ 3.0X 10J

ω υ

ω .D E

� 2.0X 105

Q) .D cd

8 10

4 6

Culture time [day]

2 1.0X 105

初代ラット肝細胞の生細胞数経時変化 e γι u u tt F」eM げ O 'ELVE且・HHeHULH ep-rh 円、、、,J

9uVJ1 f O什、

∞市川

一寸.一 Mmn 一-0-ー Fig. 3-3・6

1.3 X 106

1.1 X 106 .c f/)

てコ F

:0" 9.0XI 0コ

ω υ

ω F

E

7.0X 10::l c

o戸5.0 X 10::l

..D (1j

3.0 X 105

15 12

6 9

Culture time [day]

3 1.0 X 105

0

初代イヌ肝細胞の生細胞数経時変化

Monolayer culture

PUF(明人l)/spheroid culture 一-e一

一べ〉ー Fig. 3-3-7

2.1 X 106

1.6X106

1.1 X 106

6.0 X 105

{去一刀\凶=ωυ]』ω』日コロ=ωυω25〉

12 10

4 6 8

Culture time [day]

2 1.0 X 105

0

初代ブタ肝細胞の生細胞数経時変化

Monolayer culture

PUF(\ヘ1-1)/spheroid culture 一-e一

一一0一 Fig.3-3-8

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3.3.3考察

3.3.3.1 細胞形態

初代ラット肝細胞のPUF孔内でのスフエロ イド形成の再確認と初代イヌおよびブタ肝細胞のPUF孔内 でのスフエロイド形成を見出すこ とができた。 このスフエロイドは, PUF孔内で自発的に形成され, ま た, その一部がPUF孔内の表面に付着固定化されていることから, 装置化を考えると浮遊状態でスフエ ロイドを形成させる方法に比べ有利である。 また, 本研究の結果では粒径を100� 150μm程度に制御す ることが可能であった。 スフエロイド内部は血管様の構造が存在しているわけではなく, 酸素や栄養素 の供給を考えると, その粒径は機能発現や細胞壊死と大きくかかわるものである。 スフエロイド培養に 関する多くの報告では, スフエロイド粒径を制御することが難しいとされているが, 粒径が制御できる 点もPUFによるスフエロイド培養の利点であると思われる。

3.3.3.2 PUF孔径および表面特性のスフエロイド形成への 影響

ラット肝細胞ではR-l, R-4, W-lタイプのすべてのPUF孔内で培養後2�3日間という期間でス フエロ イドの形成が見られたことから, PUF孔径や表面特性の スフエロイド形成への影響はほとんどないもの と思われる。 一方, イヌやブタ肝細胞ではR-l, R-4タイプを使用した場合, スフエロイド形成には培養 偽約1週間程の期間を必要とするが, W-lタイプを使用した場合, 培養後1�2日という短い期間でスフエ ロイド形成が見られた。 これは, PUF孔径よりもPUF表面特性がス フエロイド形成に 影響を与えること を示している。 このようなPUF表面特性の違 いによるスフエロイド形成への 影響は, 一つは各細胞が有 する人工的な培養担体への接着力の強弱の差に起因するものと思われる。 ラット肝細胞の場合, 細胞一 培養担体聞の接着性が比較的弱く, すぐに細胞-細胞聞の凝集に移行するのに対して, イヌやブタの肝 細胞では細胞-培養担体間の接着性が強固であり, R-l, R-4タイプのPUFでは細胞-細胞間の凝集に移 行するのに時間がかかると考えられる。

また, アルブミンなどのようなタンパク質 やコラーゲン ・フイブロネクチンなどの細胞外マトリック スのPUF表面への吸着量の違いがスフエロイド形成に影響を与えるもう一つの原因であると考えられる。

R-1, R-4タイプのような疎水的表面は, W-lタイプでの親水的表面に比べ, タンパク質や細胞外マトリッ クス を吸着しやすいことが知られている。 ここで, イヌやブタの肝細胞の培養を考えてみると, 培養培 地中に存在するアルブミンと細胞自身が分泌するマトリックス成分は, W-lに比べR-lタイプのPUFに吸 着しやすく, そ の結果としてPUF 表面に細胞 が伸展しやすい表面を形成するも のと考えられる(Fig.

3-3・9)。

スフエロイド形成過程の第一段階は, 付着担体か らの細胞剥離および細胞同士の凝集過程であり, 細 胞の剥離には, 細胞と培養担体の聞の接着性を弱める細胞からのプロテオグリカンなどのような自己分 泌物質が関与す ると考えられる62)。 しかしながら, R-l, R-4タイプのPUFでは細胞の接着性を高める物 質の吸着量が多く, 細胞剥離の過程に移行するには時間がかかるものと予測される(Fig. 3-3-9)0

R-lタイプのPUFの場合

偏議議漏 ゐ+中 m川

堵ーー↓ sm ふ寸J 44 , 什, 市 且

W-lタイプのPUFの場合

田市高高RK

細胞の付着(播種後)

細胞

扇面議孟漏 A強泊企

細胞の伸展(培養1�2日目) 細胞の凝集(培養4� 12時間目)

ぷ 蹴

イr�]展および凝集(培養3�7日目) スフエロイド化(培養1�2日目)

。タンパク質および細胞外マトリックス (細胞-培養担体問の接着因子) A 細胞由来の非付着性因子の蓄積

(プロテオグリカンなど) スフエロイド化(培養7�9日目)

Fig. 3-3-9 イヌおよびブタ肝細胞のPUF材質の違いによるスフエロイド形成過程の差異(仮説)

3.3.3.3 ijJ物種の違いによる生細胞維持力の比較

本研究で使用した三種類の動物種において, ラット肝細胞では培養経過に伴う生細胞数の減少傾向が 見られたが, イヌおよびブタ肝細胞では培養初期からの生細胞数の維持および増殖が確認された。 こ の 違いとして, ラット肝細胞で使用した培養培地には肝細胞増殖因子などの添加を行っていないが, イヌ およびブタ肝細胞の培養系では肝細胞増殖因子の添 加を行っている点が挙げられる。 しかしながら, イ ヌ肝細胞において, 肝細胞増殖因子などの添加を行っていない培養培地で培養を行っても, 生産1l1JJ包数は 初期の値を培養約2週間にわたって維持するという事実を確認することができ た。 このことから, Jìi.�IE された後の生細胞数の維持期間は動物種によって異なるものであり, ラットのような小動物よりもイヌ やブタのような大型動物の肝細胞の方が生細胞維持に優れていると考えられる。 また, Guillouzoら仙に よって大型動物やヒトの初代培養肝細胞は初代ラット培養肝細胞よりも生体外で機能維持ができるとい う結果が報告されており, この結果と一致している。

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