• 検索結果がありません。

3. 民需・軍需航空機部門の市場動向

3.2 ゼネラル・アビエーションの市場概観

3.2.1 ゼネラル・アビエーションの市場動向

米国企業が全世界のゼネラル・アビエーション市場に占めるシェアは、2009 年に 69%であったの が、2010 年には 66%となり、シェアは縮小傾向にある75。2001 年~2010 年の間で、米国企業の 航空機出荷数や売上額がプラス成長を達成したのは 2008 年のみで、その間の同市場における米国 企業の成長率はマイナス 3.5%であった一方で、同時期の米国以外の成長率は 10.6%となってい る。同期間の米国の落ち込みが顕著であった理由としては、ゼネラル・アビエーション部門の① ターボプロップス機、②ビジネスジェット機、③ピストン機のうち、米国が最も得意としていた

③のピストン機の生産数が 2008 年~2009 年において 58%以上縮小したことが挙げられる。また、

ゼネラル・アビエーションの全航空機の販売機数は 2010 年において 1,334 機と前年比 15.8%減で あり76、2011 年の販売機数も 2010 年の結果からほぼ横ばいであると予想されている77

75 U.S. Department of Commerce, ITA Flight Plan 2011, March 2011.

http://trade.gov/wcm/groups/internet/@trade/@mas/@man/@aai/documents/web_content/aero_rpt_flight_pla n_2011.pdf

76 General Aviation Manufactures Association, “General Aviation Statistical Databook & Industry Outlook”.

なお、ゼネラル・アビエーションのうち、大型ビジネスジェット機の納入数は、景気後退の影響を あまり受けない一方で、小型ビジネスジェット機は、好景気の際に受注数が増加したものの、そ の後不景気のあおりを受けてキャンセルが続出している78。以下にビジネスジェット機の市場動 向について取りまとめる。

ビジネスジェット機の市場動向

米国製ビジネスジェット機の世界市場シェアは 2008 年の 72.7%から 2009 年は 59.1%と落ち込み を見せた。この背景には、景気後退となり、資金が欠如したことでエクリプス・アビエーション 社79(Eclipse Aviation)が 2008 年にビジネスジェット機の生産を中止し、2009 年に倒産したこ とがある80

さらに、2010 年にはセスナ社が生産削減を行ったことで、世界市場における米国企業の市場のシ ェアはより一層縮小傾向にある。セスナ社は 2001 年~2009 年の間、ビジネスジェット機納品数 において世界市場を平均 36%独占する状態であった。しかし、同社は、2009 年に製造数を前年比 43%削減し、2010 年にはさらに 28%削減させたことで同年の製造機体数は 534 機に留まっており、

この数は、2008 年の年間製造数 1,300 機から大幅の減尐となる。また、2010 年同社は小型及び中 型ジェット機のみを製造したことでビジネスジェット機市場における同社占有率は 23%にとど まった。さらに、別の米国企業であるホーカー・ビーチクラフト社も市場シェアを下げたが、そ の分ボーイング社とガルフストリーム社の市場シェアが増加した。なお、ホーカー社も小型及び 中型ジェット機を生産しているが、同社の市場シェアは 2008 年の景気後退以前から縮小傾向にあ った81

エクリプス・アビエーション社の倒産や、セスナ社の生産削減などに伴い、米国企業のビジネス ジェット機市場シェアが縮小する一方で、ブラジルのエンブラエル社は、超軽量ジェット機(very light jet)であるフェノム 300 型機(Phenom 300)の事業化を 2005 年に発表した82ことで、同機 への需要が増加し、同社は世界市場シェアを 3%から 14%に伸ばしている83。また同社は、2011 年にはフロリダ州に組み立て工場を設立するなど、積極的な事業展開への取り組みを見せている。

通常、新種機を発表すると顧客からの需要が高まる傾向にあり、例えば、フランスのダッソー社 が 2007 年にファルコン 7X型機(Falcon 7X)を発表した際、数年間に亘り同社の市場シェアが 伸びたという実績がある。しかし、セスナ社においては 2010 年に景気後退の影響から、比較的新 しい機種である超軽量ジェット機の受注キャンセルが相次ぎ84、納品数が 42%減尐するという事 http://www.gama.aero/files/GAMA_DATABOOK_2011_web.pdf

77 U.S. Department of Commerce, ITA Flight Plan 2011, March 2011.

http://trade.gov/wcm/groups/internet/@trade/@mas/@man/@aai/documents/web_content/aero_rpt_flight_pla n_2011.pdf

78 同上

79 1998 年にマイクロソフト社(Microsoft)の 1 社員が設立したベンチャー企業であり、超軽量ジェット(VLJ)

の開発製造を行っていた。

80 U.S. Department of Commerce, ITA Flight Plan 2011, March 2011.

http://trade.gov/wcm/groups/internet/@trade/@mas/@man/@aai/documents/web_content/aero_rpt_flight_pla n_2011.pdf

81 同上

82 Aerospace-technology.com, “ Embraer Phenom 300, Brazil”.

http://www.aerospace-technology.com/projects/embraer-phenom/

83 U.S. Department of Commerce, ITA Flight Plan 2011, March 2011.

http://trade.gov/wcm/groups/internet/@trade/@mas/@man/@aai/documents/web_content/aero_rpt_flight_pla n_2011.pdf

84 Privatefly, “ Cessna Citation production slows”, September 28, 2010.

例もあった。そのため、今後エンブラエル社のパフォーマンスが持続性のあるものとなるか、あ るいはセスナ社同様の落ち込みを経験するかは現時点では不明であるが、2011 年 2 月に同社は 2 ヶ所目となるフェノム 100 型機の組立工場を開設したばかりであることから、尐なくとも同社は 今後に関して楽観的であると分析されている85。なお、ビジネスジェット機の売り上げは景気回 復から一年遅れで上昇する傾向にあると言われている86

http://blog.privatefly.com/cessna-citation-production-slows

85 U.S. Department of Commerce, ITA Flight Plan 2011, March 2011.

http://trade.gov/wcm/groups/internet/@trade/@mas/@man/@aai/documents/web_content/aero_rpt_flight_pla n_2011.pdf

86 同上

関連したドキュメント