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スラッシュ水素用高精度密度計の開発とスラッシュ水素流動 特性に関する研究

第4章 スラッシュ水素用高精度密度計の開発とスラッシュ水素流動

即ち、 円筒直径, 電極間距離を変えた3種類の平板 ・ 円筒型と1種類の 平行平板型について、 固体重量率(固化率)約30%までのスラッシュ水素 中での密度計測実験を実施した。 その結果、 型式の違いによる特性, 電極 問距離による特性が明らかとなり、 密度換算でおよそ::t 0.5 %以内の高精度 を満足するスラッシュ水素用密度計を開発した。 (43)(44)

また、 フリーズ ・ ソ一法により製造したスラッシュ水素を使用して配管 内流動実験を実施し、 圧力損失の測定を行った。 (42)

-9 3

-4.2 スラッシュ水素用高精度密度計の設計

4.2.1 スラッシュ水素の物性値

実験に使用した液体水素はパラ濃度95%以上のパラ水素で、 パラ水 素の主な物性値を表4 - 1に示す。

物性値は米国N 1 S T (旧N B S)より公表されている値を使用した。

(2())静電容量変化から密度測定を行う場合、パラ水素の三重状態 (P(=52.82 Torr, T(二13.803 K)での比誘電率変化は、 表4 - 1に示すように液体 ( C/

= 1.252)から固体 ( Cs = 1.286)に変化する場合、 2.7%の増加に過ぎず、

密度計の設計に際し、 静電容量変化が大きく、 かつ水素の固体粒が電極 聞に入り易い構造が望ましい。

4.2.2 静電容量型密度計の動作原理

静電容量型密度計では静電容量が電極間物質の誘電率に比例するので 静電容量Cと比誘電率Eの関係は次式で表される。

c = C()C + Cd 一(4-1)

C()は電極の大きさや形状によって決まる定数であり、 比誘電率に対す る静電容量感度に相当する。 Cdは密度計の電極以外の構造物等から発生 する無効静電容量で、 各々の密度計に固有の値であり比誘電率変化に関 係なく定数である。

従って、 C(), Cdの値が既知であれば、 スラッシュ水素中に設置した密 度計の出力 (静電容量C ) を計測することにより、 三重状態 での固体と 液体水素の比誘電率 (既知、 表4 - 1参照) から電極内の液体と固体の

占有体積比が算出でき、 密度が測定できる。

即ち、 スラッシュ水素中の固体の占有体積比をfとすると、 式(4-1)か ら求めたスラッシュ水素の比誘電率Eの聞には次式が成立する。

ε=

(

l-/

)

c/+[.εx 一(4-2)

fについて解くと

f===三二三L

εx一ε!

-94-一(4-3)

〈コ tノ、

Temperature (K)

Pressure (Torr) Density (kg/m3) Enthalpy (kJ/kg) Dielectric constant

Normal boiling point

Vapor Liquid Vapor

20.268 760 (101325 Pa)

1 .338 70.79 0.1256

189.3 -256.2 140.3

1.0040 1 .230 1.0004

表4 - 1 パラ水素の熱物性値

Triple point

Liquid S 0 1 i d

13.803 52.82 (7042 Pa)

77.02 86.50

-308.9 -367.2

1 .252 1 .286

前述のように8, ' ムは既知、 εは測定値であるのでfが算出でき、 固 体と液体の密度( 既知 )からスラッシュ水素の密度んが次式で計算でき

る。

ん=

(1-

f)p, + fpλ

4.2.3 密度計の電極形状検討と製作

一(4-4)

円筒を平板の両側に2個設置して感度向上を図った平板・円筒型と対 向平板を平行に配置した平行平板型について検討し、 試作を行った。 図 4 - 1に両型式の概略図を示す。 両型式共、 平板電極の大きさを 50 mm

X50 mmの正方形として検討した。

平行平板型密度計の静電容量は導体平板の距離をd, 平板の面積をS とすると近似的に次の式で表される。

c = =S80 一一一ε

d 一(4-5)

(4-5)式で計算した静電容量感度を図4-2に破線で示す。

導体平板からdの距離をおいて、 平板の両側に半径αの円筒導体を対 称的に2個置いたときの平板・円筒型密度計の静電容量は近似的に次の 式で表される。

c = 4πtεo ー

d+必2ー

α

}

一(4-6)

(4-6)式で計算した静電容量感度を図4-2に実線で示す。 図中タイプ I'""'illは円筒直径(2α)を各々3, 5, 8.5 mmとして計算した結果である。

図4 - 2より平板・円筒型の場合、 電極問距離(d)が一定の場合、 円 筒直径(2α)が大きい程静電容量感度が大きくなる。 しかし、 円筒直径 が大きくなると、 定性的には平板と円筒聞に固体水素が侵入し難い構造 になると考えら れる。 平行平板型の場合、 平板・円筒型と比較すると平 板間距離(d)が5 mmではタイプIより感度が大きくとれ、 タイプEと ほぼ同程度であるが、 固体水素が電極の中央部まで自由に侵入できるこ とが前提となる。 平板間距離を10 mmにとった場合、 固体水素は電極聞 にある程度容易に侵入できると予想されるが、 感度はタイプ!とほぼ同

-96-程度であり、 タイフII, 1IIよりは劣っている。 以上のことから平板 ・ 円 筒型が密度計として優れた特性を持っていることが判る。

平行平板型密度計は、 文献(41)の結果より、 固体水素粒の侵入し易 さを 優先して、 電極間距離(d) を10 mmに選定して製作した。 式(4-5) より計算した設計上の感度は2.21 pFであり、 図4 - 2にム印で示す。

平板・ 円筒型密度計はタイプI'"'-'lIIの3種類について、 円筒直径(2α) を3, 5, 8.5 mm, 円筒中心から平板までの距離(d)を4.5, 7.5, 12.75 mm に選定して製作した。 式(4-6)で

計算した3種類の密度計の感度を図4-2 にO印で示す。 3種類共に設計上の感度を3.16 pFと同一に選ぶこと により , 電極間距離(d)と円筒直径 (2α) が精度に及ぼす影響を把握 できることを目的とした。

図4-3に平板・ 円筒 型密度計の形状および寸法を示す。

参考までに、 タイフ1'"'-'皿の 円筒外周から平板までの最小電極間距離 (d一α)は各々3, 5, 8.5 mmである。 図4-4に外観写真を示す。 電極 の材質は平板, 円筒いずれも無酸素銅製とした。 また、 平板, 円筒の支 持体は絶縁性を考慮してベークライト製とした。

-97-50mm

Parallel Flat Plates Type Flat Plate and Cylinder Type 図4 - 1 試作密度計の概略図

(La)

AE

」ω一vmuE-ωcuQhFohどとどωcuω no

u\OHOO Calibration Results

{:

4企‘P向arallel F円la抗tP刊la抗te閃dCω仰ω山山y凶凶州州山lin刷凶ind附n吋哨dωeS T ype III (8.5mm)

TypeII Pa叫el Flat

(5mm)

Design Point

J

0 Flat Plate and Cylinder (3.16 pF)

l

ムParallel円atPlates (2.21 pF)

ーー

。 10

Electrode Distance d (mm)

20

図4 - 2 試作密度計の感度(設計値と較正値)

-

98-Support (Bakelite)

Cylindrical Electrode (OFHC)

Flat Plate Electrode (OFHC)

。寸lON

d-a

50

| /1"

I

・卜-十-寸・

.

. |

。ト〉tom

Dimensions in mm Nut (Bakelite)

---一一

2a (mm) d (mm) Min.Gap=d-a(mm)

Type 1 3.0 4.5 3.0

Type II 5.0 7.5 5

.

0

Type m 8.5 12.75 8.5

図4 - 3 平板 ・ 円筒型密度計

-

99-図4 - 4 平板 ・ 円筒型密度計

-

100-4.3 実験装置と実験方法

4.3.1 実験装置

図4 - 5に使用した装置の概略を示す。 スラッシュ水素を製造するク ライオスタットは二重のガラス製デュワーで構成され、 外槽は常温から の侵入熱を防止する液体窒素容器であり、 内槽がスラッシュ水素を製造 する液体水素容器である。 2つの容器は各々パイレックスガラス製の真 空断熱二重構造となっており、 真空部の内面は輯射による侵入熱防止の ため銀蒸着されている。 また、 ガラス製容器の高さ方向に、 銀蒸着を施 行しないスリット状の観測窓を設けており、 スラッシュ水素製造状況の 観測と液位測定ができる。

スラッシュ水素の製造にはフリーズ・ ソー(freeze-thaw, 間欠減圧) 法を採用した。 液体水素を真空引きした際、 液表面に生成する固体水素 を細粒化すると共に、 密度測定時の密度分布を均一にするための撹伴器 (プロペラ)を容器内2個所(上部, 下部)に設置した。 撹伴器はデュ ワー上部に設置したモータで駆動される。 液体水素を減圧するための排 気速度10,000 l!min の真空ポンプ, 減圧用配管系には減圧を周期的に繰

り返すための圧力計, 制御器, 電磁弁を設置している。 スラッシュ水素 の温度はゲルマニウム半導体温度計にて測定し、 測定精度は+0.01 K以 内である。 密度計の静電容量はLCRメータにて測定した。

4.3.2 フリーズ・ ソ一法によるスラッシュ水素製造法と密度計算法

密度計の評価試験はfreeze-thaw 法で製造した三重状態スラッシュ水 素(52.8 Torr, 13.8 K)を用いて実施した。

freeze-thaw法は次の様な手順でスラッシュ水素を製造する。 大気圧沸 点下の液体水素を真空ポンプで減圧すると液体水素が沸騰、 蒸発し潜熱 を奪うため温度が低下する。 三重状態に達すると液体水素の表面に固体 水素が生成し始める。 このとき、 真空引きを停止すると表面の国体水素 が融け下方へ沈降する。 この真空引きと停止を繰り返してスラッシュ水 素が製造される。 この様な操作を繰り返すことから間欠減圧法とも呼ば

れる。

図4 -

6は製造時デュワー内を撮影したものである。 製造が進むにつ れ、 固体水素粒子のため、 デュワー内が白濁している。

スラッシュ水素製造開始時の三重状態液体水素の体積をV" 製造後の スラッシュ水素の体積を九とすると、 製造前後のみかけの減液量はV,

-V\.,であるが、 密度の異なる液体と固体が共存しているため、 実際の減 液量L1Vは

�V

= (只一�.,)一企与企-K

Fペi 一(4・7)

となる。 ここで、 Vçはスラッシュ水素中の固体水素の体積である。

製造開始時の三重状態液体水素の保有熱量Q,は

Q,

=

p

,.

κ

.h,

一(4-8)

液体水素の蒸発による全潜熱ムLは

必=向企V .(hg -h,)

一(4-9)

液体水素容器への全侵入熱量CJ.Qは単位時間当りの侵入熱をムQとする と

ムQ=CJ.Q.t

製造したスラッシュ水素の保有熱量Qs' は

Q.\" =ρ、-尺.h官+p, ・h, .(九一尺)

製造前後の保有熱量のバランスより

Q.

, \ =

Q,

+企

Q

企L

V、について解くと

に =ρI

.

(的- Vsl)い1 - hg )+ムQ.t

ρs・(hs -hg )一向・(hl - hg )

製造したスラッシュ水素中の固体質量はp\. .V\,

製造したスラッシュ水素中の液体質量はp,

.

(V:., - V:. ) スラッシュ水素の固化率x (%重量)は

x== ρv-V、 x 100

ρs\+Pl(Kl一�.)

となる。

-

102-一(4-10)

一(4-11)

一(4-12)

一(4-13)

一(4-14)

しCR Meter

ON寸

Controller

ーー-1

Glass Dewar LH2

しN2

丁O

Atmosphere

Vacuum Pump Dimensions in mm

図4 - 5 密度計実験装置

-

103-スラッシュ

水素

製造完了

53 Torr 1 3.8 K

ソ一法によるスラッシュ水素製造状況

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