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5.2 ディジタルスイッチング電源への応用

5.2.2 シミュレーション結果

抵抗容量並列負荷時における制御対象の伝達関数は以下となる。

(5.5) 負荷側に抵抗負荷𝑅𝐿が存在しない場合𝑅𝐿= ∞とし、同様に容量負荷𝐶𝐿存在しない場合 𝐶𝐿= 0とする。この一般化制御対象のモデルに対し 同定実験より得られた負荷が無い場合 の数式モデルは

𝑃(𝑠) = 2.885 × 1010

𝑠2+ (2.013 × 104)𝑠 + 3.795 × 109 となる。これを離散化したモデルが

𝑃(𝑧−1) =0.08022 + 0.1604𝑧−1+ 0.08022𝑧−2 1 − 1.892𝑧−1+ 0.9343𝑧−2

ディジタルスイッチング電源において、モデル化誤差に対するデータ駆動型適応化 DIMCの影響を検証する。まず、モデル化誤差ある場合のDIMCについて、制御対象の極 およびゲインを各 30%増減させ、そのときのステップ応答波形を図 5.9 に示す。ゲインを 30%減らした場合、整定速度は速くなるがオーバーシュートが発生した。しかし、ゲインを

30%増やした場合、追従速度は遅くなった。また、極を 30%減らした場合追従速度は遅く

なり、極を 30%増やした場合はオーバーシュートが発生した。いずれの結果も極およびゲ インを変動させると出力応答は悪化した。このため出力応答の性能向上には、高精度な制 御対象のモデルが必要不可欠であり制御系に適応機構を導入する必要があることがわかる。

同条件下の場合のデータ駆動型適応化DIMCについてシミュレーションをおこなったス テップ応答波形を図5.10に示す。また、DIMCとデータ駆動型適応化DIMCの目標値に対 する二乗誤差和を表5.8、表5.9に示す。この結果よりDIMCのときと同様にゲイン70%、

極130%の場合にオーバーシュートが発生し、ゲイン130%、ゲイン70%の場合に応答の遅

れが発生したが、二乗誤差和を比較するとDIMCの場合よりデータ駆動型適応化DIMCの 場合の方が、二乗誤差和が少なく、より目標値に対し追従していることが確認できる各モ デル化誤差において、データ駆動型適応化DIMCは制御器のモデル更新をおこなうことで 制御対象の状態変化に対してもロバスト性を有していることが確認できた。

L L L L

L L

p C

R

R C C L

R s R

R C C L s R C C L P K

L L

) (

) (

1 1 )

(

0 0

0 0

0 2 0 0

0

 





 

 

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表5.7 シミュレーション条件

表5.8 二乗誤差和比較(極増減)

表5.7 二乗誤差和比較(ゲイン増減)

サンプリング時間 データ数

時定数 設計パラメータ

設計パラメータ 設計パラメータ

DIMC(70%) DIMC(130%)

DD-DIMC(70%) DD-DIMC(130%)

二乗誤差和

0.0461 0.0260

0.0172 0.0152

DIMC(70%) DIMC(130%)

DD-DIMC(70%) DD-DIMC(130%)

二乗誤差和

0.0376 0.0352

0.0152 0.0110

46 (a) ゲイン増減

(b) 極増減

図5.9 DIMCステップ応答試験

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

x 10-3 -0.2

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

Time[s]

Output [counts]

130%

70%

100%

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

x 10-3 -0.2

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

Time[s]

Output [counts]

130%

70%

100%

47 (a) ゲイン増減

(b) 極増減

図5.10 DD-DIMCステップ応答試験

0.5 1 1.5 2 2.5 3

x 10-3 -0.2

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

Time[s]

Output [counts]

130%

70%

100%

0.5 1 1.5 2 2.5 3

x 10-3 -0.2

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

Time[s]

Output [counts]

130%

70%

100%

48

第 6 章 まとめ

本研究の目的であるディジタル制御に基づくDIMCの実現にあたって、まず、第2章で 外乱オブザーバに基づく内部モデル制御の基本概要を説明し、その有効性をシミュレーシ ョンで検証した。次に、第3章で外乱オブザーバに基づく内部モデル制御の制御器に含ま れる制御対象のモデルに対して適応機構を導入することが望ましいことを説明し、離散ベ ースのまま適応化するための手法としてzoh変換を用いたフィルタの離散ベース化の実現 方法を提案し、シミュレーションによって有効性を検証した。

ディジタル制御に基づくDIMCの適応化実現にあたって、まず、第4章では新たな適応 同定法としてデータ駆動型適応同定法を提案した。本手法では、データベースから要求点 に類似した状態に対応するデータを近傍データとして抽出して局所モデルを逐次算出する ため、学習時間と言う概念が存在せず、また、データの過剰な増加を抑制する工夫をして いることから、オンラインでの利用が可能である。このような利点は実システム適用時に おいて特に有用であり、産業技術の発展に大きく貢献するものと思われる。また、シミュ レーションによって真値の係数パラメータに対して良い近似結果が得られたことから、デ ータ駆動型適応同定の妥当性が検証できた。さらに、データ駆動型適応化手法をDIMCに 導入することを提案した。DIMCでは制御器にノミナルモデルを用いるので、データ駆動 型適応同定法によりモデルパラメータを更新することで、制御対象の摩擦特性・経年劣化 など特性の変化に対して有効な制御が可能になると思われる。また、シミュレーションに よって制御対象モデルのゲインおよび極を変動させ、適応化されていないDIMCと比較を おこない、パラメータ更新によってモデル誤差や外乱によって発生するオーバーシュート の補償を確認したことからデータ駆動型適応化DIMCの有効性を検証した。データ駆動型 適応化DIMCの応用として第6章では、精密ステージ・ディジタルスイッチング電源を対 象とし、実際の実験で発生すると思われるモデル化誤差や外乱を考慮しシミュレーション をおこない、適応化されていないDIMCとデータ駆動型適応化DIMCの比較をおこない、

モデル誤差によって発生する目標値応答に対する劣化の補償を確認し、有効性を検証でき た。

今後の課題

データ駆動型適応化手法では第4章にあるように、実験データに対して逐一同定を行 うため、その計算が多くなり計算機に負荷を与えてしまうことがある。これを改善するた めにデータ駆動型適応化手法の計算の圧縮による軽減が今後の課題である。また、データ 駆動適応化DIMCの実システムによる実験検証も今後の課題となる。

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謝辞

本研究を行うにあたり、多大なるご指導をいただきました橋本誠司准教授に深く感謝し ます。また、数々の有益な助言、的確なアドバイスをいただいた橋本研究室の皆様にも心 から御礼申し上げます。

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