6.4 実験
6.4.5 システムの規模数変化の実験
実験3は,システムの規模数の変化として,2つのケースについて正解率の変化 を測定した.
1. スケールアウトによる大規模化 2. スケールアップによる大規模化
スケールアウトによる大規模化は,主にクラウドデータセンターに代表される ケースである.このケースでは,サーバ,ストレージ,スイッチのシステム構成を予 め固定的に定めておき,同じ構成のシステムが,クラウドデータセンターを利用する ユーザーの数とともに増加させる.このようにスケールアウトするシステムの,代表
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図 6.15: スケールアウトによる正解率
的なものにCloudStack などテンプレートを用いて構築されるIaaS(Infrastructure as a Service)のシステムがある.
スケールアップによる大規模化は,主に性能向上を要求されるようなエンター プライズのデータセンターに代表されるケースである.このケースでは,CPUや メモリの向上が必要な場合はサーバを,Disk I/Oの向上が必要な場合はストレー ジをそれぞれ追加し性能向上を図る.このようにスケールアップを行うシステム の代表的な例として,並列計算処理のシステムがある.
本実験では,まずスケールアウトによる大規模化の正解率の変化を測定した.測 定では,6.4.2節に示す環境での16週間分のログファイル使い,サーバ4台,スト レージ2台,スイッチ2台を1システムとし,構成を変えずシステム数を増加させ た.本測定では,6.4.2節のログファイルの日付を変更し,256システム分まで複 製した後,ログファイル中に出力されているリソース名が一意の値となるように 文字列置換を行うことで,スケールアウト環境のログファイルを擬似的に生成し た.なお,学習の処理時間は,表6.2の高性能な並列計算機で約8時間であった.
測定結果を,図6.15に示す.
本実験の結果,隠れマルコフモデル,ベイズ推定ともにシステムがスケールア ウトしても,正解率は低下しない結果となった.これは,システム数が増加して も,1システム内の構成は一定であり,それぞれのシステム間の依存関係がないた
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図 6.16: スイッチのログファイル例
めであると推察する.
次に,スケールアップによる大規模化について測定を行った.測定では,6.4.2 節の環境での16週間分のログファイル使い,ストレージ2台,スイッチ2台は固定 とし,サーバ台数のみ増加させ測定を行った.本測定では,6.4.2節のサーバのロ グファイルを256サーバ分まで複製した後,ログファイル中に出力されているサー バ名が一意のサーバ名となるよう文字列置換を行った.さらに,仮想ネットワーク を用いたサーバのスケールアップを想定し,スイッチのログファイル内の置換前の サーバ名の出現箇所の直後に,サーバ名を置換後のメッセージを追加し,スケー ルアップ環境のログファイルを擬似的に生成した.一例をあげると,複製したロ グファイル内のServer1のPort1をServer10のPort10 に変更し,さらにスイッチ のログファイル内のServer1 の Port1 の出現箇所の直後に Server10 のPort10 の メッセージを追加した.スイッチのログファイルの例を図6.16に示す.これによ りスイッチとログファイルの複製で作成したサーバが接続されているかのように 扱えるログファイルを生成した.なお,学習の処理時間は,表6.2の高性能な並列 計算機で約5時間であった.
測定結果を図6.17に示す.
この図より,隠れマルコフモデル,ベイズ推定ともに,サーバ数の増加と共に 正解率の低下が見られるが,それぞれ63%,74%で収束傾向となった.本実験で は,サーバの台数増加による構成の複雑性は増すものの,ストレージ・スイッチ間 の構成は変わらない.構成が変化しないストレージ・スイッチ間に関しては,ス ケールアウトの実験結果より正解率の低下の影響は少ないと考えられる.そのた め,正解率の低下は,サーバ・スイッチ間の構成が複雑化したことによる影響と 推察する.
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図 6.17: スケールアップよる正解率