・ レ イ プ
・ オ ブ ・ 南 京
﹄
第二次世界大戦の忘れられたホ口コースト
アイリス・チャン著・亙百鴻訳
同時代社刊
四 六 判
274
頁二
000円+税
し︑翻訳と解説を引き受ける人間
を︑日本人の中に見つけられなか
っ た
の も
︑
同じ背景によるらしい
︒
﹁南京大虐殺﹂については︑日
本の研究者からも︑いくつか真実
に迫る本が出されている(例えば
笠原十九司
﹃南京事件﹄岩波新書) ︒
日本軍による拷問︑虐殺︑強姦と
いった蛮行は︑これらの本でも赤
裸々に暴かれているのに︑なぜ︑
チャンのこの本ばかりが︑今も︑
右翼を初めとする攻撃や良識的研
究者の批判に曝されるのか
︒ 一般的には︑﹁この著作には誤
りが多過ぎるから﹂ということに
なっている
︒
しかし︑訳者︑亙召鴻の同時発売の解説書
( ﹃
﹁ザ
・レ
イプ
・オ
ブ
・南京﹂を読む﹂同時
代社)が詳しく検証したように︑
一つの写真を除けば︑大事な問題
については︑むしろ批判者のほう
が誤っていたり︑不当に事実をね
じ曲げている
︒
その意味で﹁ホロコー
スト否定論者の共通の方法は︑
些細な事実を取り上げて︑ジェノ
サイドの範囲や規模から注意を逸
らそうというものだ﹂という︑チ
ャンの反批判は正鵠を射ている ︒
やは
り︑
この本が虐殺人数の推
定を﹁三
O 万人﹂と︑最大にして
いるのが︑右翼に目の仇にされた
直接の原因なのだろう
︒
また︑南京大虐殺には︑皇族で
あった朝香宮の関与があり︑昭和
天皇の責任を灰めかしているとこ
ろにも︑右翼がいきり立つ原因が
あっ
たと
思わ
れる
︒さ
らに
は︑
﹁こ
れらの犠牲者を日本の歴史修正主
義の更なる冒涜から救い出す﹂と
いう
チャ
ンの
執筆
動機
その
もの
に︑
危機感を抱いたのかもしれない︒
それでは︑良識的研究者の側は
どこ
が不
満だ
った
のか
︒そ
れは
︑﹁
南
京における日本人の心の状態﹂﹁虐
殺を実施していたときの日本の兵
士と将校の心﹂を︑チャンが繰り
返し﹁理解できない﹂と語ってい
る点のようだ︒なぜ日本軍兵士が
南京で︑無差別な虐殺・強姦に走
ったかに関しては︑日本側に︑詳
細な研究がある︒それをチャンは
踏ま
えて
いな
い︑
とい
う不
満で
ある
︒
日本
側の
研究
は︑
おし
なべ
て﹁
軍
紀の弛緩﹂を︑﹁上海事変以来続
いた兵描補給なしの強行軍﹂に︑
その
理由
を見
いだ
して
いる
︒そ
れは
︑
責任を軍部上層に負わせ︑兵士は
被害者だったと免罪することへと
繋がりかねない︒それではチャン
は︑納得できなかったのである︒
﹁南京の市民を責めさいなんだ
日本人の多くが︑日本政府による
十分な軍人恩給と救済を受けてい
るのに対して︑何千人もの被害者
は︑
沈黙
の中
で︑
貧困
︑恥
辱あ
るい
は慢性的な肉体および精神の苦痛
に耐える日々を送り︑今も送り続
けている﹂という何げない指摘に
は︑被害者の立場にこだわるチャ
ンの
痛切
な思
いが
こめ
られ
てい
る︒
東京裁判で昭和天皇の戦争責任
が免責されたことと併せて︑そこ
には︑加害意識の希薄な日本の戦
後﹁民主主義﹂社会のあり方に対
する
︑彼
女な
りの
鋭い
糾弾
があ
る︒
それは︑ある意味で︑沖縄県民の
心にも通じる︑と言えるだろう︒
その観点からは︑本書の刊行が
遅れ
たの
は︑
安穏
な戦
後﹁
民主
主義
﹂
という﹁寝た子﹂を起こすことを
恐れた︑日本人の共同謀議だった
と言えるかもしれない︒昭和天皇
が
A
級戦犯の靖国合記に怒りを示したと伝えられるのも︑同じ文脈
で理解されよう︒﹁もう反省した
のだ
から
そっ
とし
てお
いて
ほし
い︒
﹂
本書を読むことは︑そう考えてい
る日本人にとって︑ひとつの挑戦
で も あ る
︒ ( 牧 梶 郎 )
あ と ら 読 書 室
写 真 絵 本 ' ' 了
︑
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合使令4
刷 ピ 干 し
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﹁ こ ん に ち は 泡 瀬 干 潟
﹂
小 橋 川 共 男 著 発 行 泡 瀬 干 潟 を 守 る 会 連 絡 会
B 4 変形判
何m
ペ ー ジ 定 価
2000
円(
税込
)
この一月︑沖縄の写真家・小橋
川共男さんの写真絵本﹁こんにち
は泡瀬干潟﹂が出版されました︒
空の青と白の砂浜の表紙をめく
ると︑海草︑藻場の草原︑朝日に
映える波紋の上の︑光のダンス︒
トカゲハゼ︑イソスギナ︑ハボ
ウキガイ︑ミナミコ
メツ
キガニ︑
ザルガイ︑ガ
l
ラ ︑
ルリマダラシ
オマネキ︑海草ボウパアマモ︑ゥ
スユキウチワ:::などなど︑四三
枚のいのち輝く美しい写真に﹁交
じりあう潮の波紋にテイダ踊る﹂
﹁た
くましき大地の母乳あたたか
し ﹂ などの短詩︒目と心を奪われます︒
小橋川さんは︑日本リアリズム
写真集団会員で︑これまでも写真
集﹃沖縄・御万人の心﹂﹃魚わく海・
白保
﹂ ﹁
四季のたより
﹂﹁
石垣
島・
サンゴの海﹄などを出して︑九二
年には︑沖縄タイムス芸術選賞奨
励賞を受賞︒ご活躍が期待されて います︒
お問い合わせは︑泡瀬干潟を守
る 連 絡 会 電 話 と
FAXO
九八l
九三九
l
五六
二二
へ
︒
(桑
江
テル子)