第 3 章 要件定義フェーズ
3.7 コーチ勤務評価について
本節ではコーチ勤務評価に関する要件定義について述べていく.
3.7.1 コーチ勤務評価の評価方法
顧客と議論を行い,コーチの勤務評価を実施するに当たっての基本的な概念を次の図 3-4 の様に取り決めた.勤務実績による定量的評価と具体的な取り組みによる定性的評価をポイ ント化し,その合計値を最終的な評価ポイントとする方法である.
図 3-4 T1のコーチ勤務評価の方法
定量的評価は実際のコーチの勤務回数や代行回数を基に算出する.通常のレッスンと代行 レッスンでポイント計上の重みを変える事で,負担の大きい代行レッスンの実施に対してよ り大きい評価をすることが出来る.
定性的評価は経営理念の理解や生徒への対応など,T1が定める評価基準に対してどの程度 達成できているかを評価し,算出する.T1のコーチとして推奨する行いについて評価基準を 設け,定期的に評価する事はコーチの育成という観点で効果が期待できる.この評価基準に ついては次節で説明する.
これらの評価から算出された評価ポイントの累計をそのコーチへの評価とする.評価を定 量的なポイントとすることでコーチの貢献度を見える化することが出来,より客観的に正当 な評価が可能になる.また,定量的なポイントとすることで閾値を設け,賞与を与える為の トリガとするなどの応用も考えられる.
3.7.2 コーチ能力評価基準の定義
本プロジェクトでは現在の T1 に整備されていないコーチ評価業務を新たに定義するに当 たり,全てを独自に作り上げることは時間や知識の不足により不可能であると判断した.そ こで本プロジェクトでは調査を行い,中央職業能力開発協会が公開している,職種別の中小 企業の人事制度モデルである職業能力評価基準を参考に作成した.コーチの能力評価基準の 定義にあたってはT1の経営陣にヒアリングを行い,意見を反映したものを作成した.
表 3-4 コーチの能力評価基準の項目
評価大項目 評価項目 評価の着眼点
取り組みの 評価
T1の企業理念と 経営者の想いの理解
・T1インドアテニススクールの企業理念を正しく理 解している
・経営者の思いを認識し,業務を行っている 生徒への対応 ・正しい敬語とお客様(生徒)に配慮した丁寧な言葉遣
いで応対している
・日頃の会話を通じて,生徒の年齢・性別・興味の 把握を心がけている
・定刻より早めに到着し,生徒一人ひとりと笑顔で 挨拶し,全員を気持ちよく迎え入れている.
レッスンの実施 ・当日のレッスンの目標やポイントを参加者に説明 している
・初めての生徒やレベル差のある生徒を把握し,必 要な配慮を心がけている
・一人の生徒への集中的な指導を避け,生徒全員の レベルアップを心がけている
・生徒が子どもの場合,打ち解けた態度で指導を行 い,子供たちの集中力が途切れないよう配慮してい る.
レッスンの品質向上と 改善の取り組み
・ミーティングに積極的に参加している
・レッスンの指導方法の改善を提案している
・やむを得ず欠勤する場合は,クラスの状況などの 情報を提供し,円滑な引き継ぎを心がけている 勤務実績
勤務回数 ・勤務したレッスンの回数 土日勤務回数 ・土日に勤務したレッスンの回数
代行勤務回数 ・代行コーチとして勤務したレッスンの回数
表 3-5 コーチの能力評価基準における評価方法
評価大項目 評価方法 備考
取り組みの 評価
各評価項目に0~2の3段階 の点数を付ける.
正確な評価を行うため,コーチ自身が付けた点 数と,経営陣が付けた点数を比較後,最終的な 点数を付ける.
勤務実績 各勤務回数に重みを掛ける. 勤務実績の点数はシステムで自動的に算出可 能.
3.7.3 提案した業務プロセス
実際にコーチを評価していく際の業務プロセスについて,概念図を次の図 3-5に示す.
図 3-5 コーチ勤務評価業務の業務プロセス(システム導入)
コーチの評価業務は4半期ごとに実施する.図 3-5における②評価の実施ではコーチとの 面談を実施し,これまでの勤務実績や能力評価基準に基づく定性的評価を基に評価を行う.
また,経営理念や経営者の思いを伝える場やコーチとの意識共有を図る場としても活用し,
レッスンの指導方針の共有なども行う.コーチ全員に対して面談を実施する事で,週例ミー ティングに来られないコーチともコミュニケーションを図ることが出来る上,全員に平等に 評価される機会が与えられるため,従来の場当たり的な評価に起因する不平等感などについ ても解消することが出来る.