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コラム1

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590、780、281g/ 袋となり(図4上)、砂利だ けを網袋に詰めてもアサリを採苗出来ることを 確認した。一方、ケアシェル 100%では、個体数、

重量ともやや劣る結果となった。その理由とし て、ケアシェルはアルカリ性が強いため、設置

直後は新規に着底したアサリの生残に若干悪影 響を与えたことが考えられる。また、全 16 袋 分を合計して得た殻長組成から 3 つのコホー トが分離され、それぞれの殻長モードは 29.0、

21.9、13.5㎜と推定された。これらは網袋を設 置した後に経過した 3 回の産卵盛期、すなわち 2010 年初夏産卵群、2010 年秋季産卵群、2011 年初夏産卵群に相当すると考えられる(図4 下)。伊勢湾でのアサリの成長は 1 年で殻長 15

㎜程度までと報告されているので、網袋内では 加入と成長が良好であったと推察される。網袋 でアサリの稚貝が集積され良く成長したメカニ ズムを図5に模式的に示した。アサリの浮遊幼 生が網袋の中の基質に着底する、あるいは周辺 に着底した初期稚貝が網袋の目を潜り抜けて内 部に入る、網袋の内部では食害や波浪の影響を 受けにくくなるため、アサリ稚貝の生残が良い と思われる。また、網袋内のアサリは成長が速 かったことから、網袋にはアサリの餌料となる 微細藻類などの懸濁粒子も捕捉されたと考えら れる。

図3 敷設 15 カ月後に網袋から取り出した基質と 成長したアサリ。目合 4.75㎜の篩上に残っ たアサリを計数、測定した。

図4 敷設 15 カ月後に網袋(接地面は約 25 × 35cm)から採集されたアサリの 1 袋あたり 個体数および生物量(上)。16 袋分を合計 したアサリの殻長組成と推定されたコホート

(下)。

図5 天然採苗のメカニズム

アサリの浮遊幼生が袋の中に入って着底、小さい稚 貝は袋の中に潜り込む。アサリは網袋の中で食害や 波浪から守られると同時に餌料となる微細藻類がト ラップされ良く成長すると考えられる。

天然種苗を用いたアサリの垂下養殖

 鳥羽市浦村町ではカキの垂下養殖が盛んであ るが、鳥羽磯部漁業協同組合浦村支所に浦村ア サリ研究会が発足し、同研究会は網袋式のアサ リ天然採苗と共にアサリの垂下養殖を試験的に 開始した。そこで、アサリ垂下養殖の利点や問 題点を把握するため、2011 年 4 月に前述の網 袋から採集した平均殻長 22㎜、平均重量 2 g の アサリを用いて垂下飼育実験を実施した。プラ スチックコンテナに砂利に対するケアシェルの 容量比を 0、20、50、80、100%となるように 混合し、厚さ 6cm に敷き詰めた。それぞれに アサリを 150 個体ずつ収容し、生浦湾内のカ キ筏に垂下して(水深 2 m)生残と成長を調べ た(図6)。6 カ月後の結果を図7に示す。生

残率はほぼ 90%以上、平均殻長 33 ~ 35㎜に 達した。収容時 300 g であったアサリの総重量 はコンテナあたり 1,100 ~ 1,250 g と約 4 倍に 増えた。本試験ではケアシェルの比率と生残、

成長、収穫量の間に差は見られなかったが、ケ アシェルの比率の高いコンテナでは,アサリの 殻が黒変するのが防止された。これは、舞鶴湾 や栗田湾で実施されたアサリの垂下飼育試験結 果に比べると成長は劣るものの、伊勢湾の干潟 域では殻長 25㎜に成長するのに約 2 年要する のに比べて遥かに成長が速い。網袋で採苗した 殻長 20㎜以上の種苗を用いれば半年程度で収 穫が期待でき、アサリの垂下養殖は新たな産業 に発展する可能性が示された。既に鳥羽磯部漁 協の浦村アサリ研究会が天然採苗で得た地元産 アサリを垂下養殖し、地域特産品として販売を 開始し好評を博している。さらに、地元小中学 校の野外教育への協力、漁協など数多くの視察 やマスコミへの対応など普及活動にも積極的に 取り組んでいることが評価され、浦村アサリ研 究会は第 18 回全国青年女性漁業者交流大会で 農林水産大臣賞受賞、さらに第 52 回農林水産 祭の水産部門で天皇杯を授与された。

 現在は、アサリの垂下養殖を産業として他の 地域でも定着できるよう、農林水産業・食品産 業科学技術研究推進事業「地域特産化をめざし た二枚貝垂下養殖システムの開発」において、

さらに実用的な技術開発の研究を実施してい る。

図6 アサリ垂下養殖試験に用いた筏と養殖容器。

プラスチックコンテナに砂利とケアシェル を収容しアサリ種苗を入れて水深 2m 層に垂 下。

図7 垂下養殖試験開始から 6 カ月後に計測したアサリの生残率、平均殻長(開始時は 22㎜)、コンテナあた りのアサリの収穫量(開始時は 300 g)。

■ はじめに

 全国的にアサリ資源が減少する中、有明海沿 岸のアサリ漁場も例外ではなく、1980 年前後 に年間漁獲量8万トン台のピークを示した後、

その量は数千トン台にまで落ち込んでいる1) その原因としては、埋め立てや干拓を含む海岸 工事、河川改修、水質汚濁などによるアサリ生 息地の喪失、さらには底質の泥化、貧酸素化、

赤潮の発生など、アサリ生息環境の悪化があげ られている2)が、秋元ら(2010)は 1980 年前 後のアサリ漁獲量急増時に熊本市沖の海底質が 粗粒化していたことを指摘しており3)、底質環 境の改善がアサリ資源回復の中核的な対策にな りうることが示唆される。

 このような状況と認識の下、筆者らは平成 25 年度から5カ年計画で進められている水産 庁委託事業「有明海の漁場環境改善実証事業」

の一部を受託し、主としてホトトギスの繁殖と 底質の泥化による生息環境の悪化に対する改善 技術の開発を進めてきている。現地試験開始か ら約1年を経て想定を大きく上回るアサリ資源 増殖効果が認められたため、本欄を借りて成果 の一部を紹介する。

■ 試験の背景・目的と方法 1.有害生物防除

 有明海沿岸の干潟では、毎年夏になると二枚 貝のホトトギスが足糸を絡めてマット状の群集 を形成する。さらに 2009 年、2012 年に発生し た九州北部豪雨以降は、阿蘇山系の河川から流

紐状素材とクラムマットを用いたアサリ資源増殖効果

-有明海の漁場環境改善実証事業-

れ込んだ泥土が厚く堆積し、ホトトギスのマッ トと一体化することによりアサリの生息が阻害 され、稚貝の新規着生も困難になっている。こ のような状況が繰り返されることで産卵母貝資 源も枯渇するような状況に至り、ホトトギスを はじめとする有害生物防除対策の開発が喫緊の 課題となっている。

 筆者らは、漁業者自身で運用可能な手法を前 提に、波や潮流により干潟表面を繰り返し掻把 する紐状の素材を設置することで、ホトトギス 初期稚貝の着生を防止できるのではないかとの 仮説を立て、水槽実験と現地試験によりその検 証を行った。

 水槽実験に供したのは、紐状の TBR 社製バ イオコード数種(写真1)とクレモナロープで ある。水槽実験では、過去の熊本新港の波浪観 測データから平均的な波高 0.22m と周期 2.1 秒 の波を与え、その力が最大となる砕波水位 0.4m の条件下で紐状素材の挙動を観察し、定性的な

㈱東京久栄 技術本部 環境部  上席研究員 

森 田 健 二

写真1 バイオコード(写真左が PV45)

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