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図8.5複数議事録にまたがる特定事項の抽出と時系列表示

標準レビューテーマのうち検討されたもの、

未検討のものを区別して表示

大項目 小項目

DB設計 D8データ項目設計 bモデル挨討 F理設計

@理醜計

2012

討済

「検討1

@討済

図8.6 標準レビューテーマと検討項目の比較によるレビュー充実度の評価

8.5 適用評価

8.5.1 適用状況

 1999年6月に適用を開始後,2度の機能拡張を行い,現在,日立製作所内で,

800の業務ソフトウェア開発のプロジェクトで適用している.これらのプロジェ クトは,官庁や地方自治体,大学,病院,金融機関,流通・サービス業など多岐 にわたる業種の財務会計,税金,給与といった基幹業務およびユーザ業務用の特 注システムを開発する大規模プロジェクトから,社内の事務や開発支援のツール を開発する小規模プロジェクトまで様々である.レビュー議事録の登録件数は,

約20,000件に達する.

8.5.2 効果

 定量的な効果の算出は難iしいが,定性的な効果としては以下の4点が挙げられ

る.

(1)プロジェクトマネジャが設計の進捗を随時把握できる.

   プロジェクトマネジャは,特別な報告を求めなくても,レビューの実施状   況と内容を随時把握できる.

(2)問題を早期に発見しやすい.

  テーマごとにレビューの実施回数がわかるため,検討漏れが無いか,十分な  レビューを実施しているか,レビューの実施順序に矛盾が無いか,作業が停滞  していないかといった点からチェックすることで,潜在的な問題を見つけやす  くなった.

(3)設計内容の是非が判断しやすい.

   レビュー議事録から,データ設計・インタフェース設計など設計項目毎に   議事内容を把握できるので,チェックがしやすくなった.

(4)効果的な設計レビューが実施できる.

  標準テーマはプロジェクトで自由に編集が可能なため,プロジェクト開始時  に標準テーマをべ一スとしてプロジェクト内でレビューテーマを選定し,レビ  ュー計画を立てることで,効果的な設計レビューが可能になった.

本ツールを使いこなせば,以上のような効果がある.本ツールが提供するテー

マごとのレビューの実施回数という情報は,設計の十分性や網羅性を判断するた めの1つの材料に過ぎない.ツールが示す情報から,プロジェクトマネジャが行 動を起こしてはじめて,本ツールは価値あるものとなる.つまり,プロジェクト マネジャが検討の不十分な点,問題が未検討と思われる点にいち早く気づき,対 策を打つ,あるいはプロジェクトリーダから進捗状況をヒアリングして,設計状 況を把握することが必要である.

 本ツールの上記の複合効果により,プロジェクトマネジャは早期に設計の弱点 を見つけ出すことができ,設計品質を向上させるのに役立っている.今後機会が あれば,本システムの適用による品質向上のデータを分析し,報告したい.

8.6 まとめ

 ソフトウェア品質向上のための取り組みとして,レビューの議事録を検索・分 析し,レビューを定性的,定量的に評価するツールを開発した.ツールには,レ ビュー議事録から特定のテーマやキーワードに関する議事内容を検索する機能を もたせ,設計の検討経緯が把握できるようにした.また,レビューの実施状況を 分析する機能をもたせ,定量的に把握できるようにした.

 さらに,レビュー議事録の分析結果は,進捗状況や設計の品質問題の存在を推 測するためのデータとしても活用でき,品質管理はもちろん,プロジェクト管理 の観点からも利用可能であることを述べた.

 従来の開発では管理されていなかった設計レビューの議論を管理することに より,設計品質の向上を図り,開発するソフトウェアの品質向上に寄与すると考

えている.

第9章プロジェクトナビゲーションツールによる