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第 4 章 セマンティックグリッドサービスの提案 56

4.6 ケーススタディ

分散したデータを管理するためにグリッドを使用する.グリッドを使用するには,利用者 によるノード情報の把握とジョブの記述が必要である.ジョブはノードの利用方法を決める ために必要であり,必ず記述しなければならない.そのことが利用者がグリッドを使用する 妨げとなっている.

そこで,分散しているオントロジのデータを管理するために,提案したセマンティックグ リッドサービスを使用する.すべてのノードの計算機性能を表4.2に示す.実装した環境の 構成を図4.7に示す.4つのノードと1つのセマンティックグリッドポータルサーバで構成 する.利用者はセマンティックグリッドポータルサーバへウェブブラウザでアクセスし,グ リッドを利用する.図4.8にウェブアプリケーションの画面を示す.キーワードを入力しセ マンティックグリッドサービスを使用する.

また,実装の詳細を図4.9 に示す.セマンティックグリッドポータルサーバと資源は,

エージェントとグリッドでつながっている.ウェブアプリケーションの実行環境はTomcat

ノード 1

ノード2

ノード3

ノード4 セマンティックグリッド

ポータルサーバ ユーザ

図4.7 実装した環境の構成

図4.8 サブオントロジ抽出アプリケーション画面

表4.2 ノードの性能 CPU Core-i 7 2.67GHz

MEMORY 12GB

STORAGE 500GB

OS Ubuntu 10.04

ウェブアプリケーション モジュール群

エージェント Globus Toolkit 資源オントロジ ユーザ

Globus Toolkit エージェント

Globus Toolkit エージェント

Globus Toolkit エージェント

Globus Toolkit エージェント

ノード 1

ノード 2

ノード 3

ノード 4 セマンティックグリッドポータルサーバ

ウェブアプリケーション

図4.9 実装環境

6で構築し,JSP とServletで動作の記述を行った.エージェントはJADE[17] を使用し,

グリッドは Globus Toolkit 5.0.2で構築する.Servletでのオントロジの読み込み書き込み はJenaを利用する.

図4.9のセマンティックグリッドポータルサーバのウェブアプリケーションの構成を図 4.10に示す.6つのモジュールで構成されている.ログインモジュールはログインを管理す る.利用者はユーザIDとパスワードを入力しログインモジュールを介してグリッドへのロ グインを行う.グリッドポータルモジュールは,グリッドアプリケーションを利用するため の窓口を提供する.アプリケーションモジュールは,登録されたウェブアプリケーションが 保管されている.資源発見モジュールは,エージェントとオントロジを使用してノード発見 を行いジョブマネージャモジュールへ渡す.ジョブマネージャモジュールは,ジョブの流れ を管理し,各モジュールへ指示を行う中心的なモジュールである.グリッド接続モジュール は,グリッドとの通信を行う.

資源発見モジュールは,資源オントロジとエージェントと通信を行う.資源オントロジを

ログインモジュール

モジュール資源発見 アプリケーション モジュール

ジョブマネージャモジュール グリッドポータル

モジュール

グリッド接続モジュール HTTP 接続

グリッド ウェブアプリケーション

資源オントロジ

図4.10 セマンティックグリッドポータルサーバの構成

アプリケーション名 要求コンテンツ

要求性能 要求データ DNS

IP アドレス 性能

アプリケーショングループ

ノード情報 アプリケーション情報

図4.11 資源オントロジの構造

図4.11に示す.資源オントロジの要素は主にノード情報とアプリケーション情報の2つに 分けられる.これらの情報が関連性を含んで記録されている.例えば,アプリケーション名 だけを検索条件にした場合,アプリケーションを利用できるノードのIP一覧が結果として 返ってくる.資源オントロジを使用することで,このような柔軟なノードの検索を行えるよ うなサービスが構築できる.

以下で,セマンティックグリッドサービス上にアプリケーションを実装した場合の動作例 を説明する.

ノード 1

ノード2

ノード3

ノード4 セマンティックグリッド

ポータルサーバ ユーザ

ノ ド 1

ノ ド2

ノ ド3

ノ ド4

データ A

ダミーデータ

ダミーデータ

ダミーデータ

図4.12 データの要求アプリケーションの環境

4.6.1 データの要求アプリケーション

ノード1上にデータAを配置する.他のノードにはダミーデータを配置する.図4.12に 環境を示す.利用者はデータAを利用するために,セマンティックグリッドサービスへデー タAを要求した場合の例を示す.セマンティックグリッドポータルサーバの資源オントロ ジには,どのノードにどのデータがあるか記述している.

従来のグリッドでは,どのノードに要求するデータA が配置されているか利用者は把握 しなければいけない.さらにデータを要求するジョブを作成し,グリッドでジョブを実行 する.

セマンティックグリッドサービスでは,利用者はセマンティックグリッドポータルサーバ へアクセスし,データ要求のアプリケーションを利用する.利用者はデータA をウェブア プリケーションに要求することで,処理が始まる.まず初めに,要求はセマンティックグ リッドポータルサーバは,ジョブマネージャモジュールを介して資源発見モジュールへ伝え

られ,資源オントロジを検索する.

資源発見モジュールは,データAとデータ要求のアプリケーション情報を基に資源オン トロジを検索し,ノード1のIPアドレスが結果として返ってくる.エージェントでノード 1の動的な情報を調べる.資源発見モジュールは,ノード1のIPアドレスをジョブマネー ジャへ渡す.

ジョブマネージャモジュールでは,ノード1のデータAをブローカサーバへ転送するジョ ブの生成が行われる.生成が完了しジョブを実行することで,ブローカサーバにデータA が転送されてくる.

最後に,転送されてきたデータAを利用者へ返す.

データA とアプリケーションを指定するだけで,グリッド上のノードを検索しデータを 転送するというジョブが生成される.利用者はグリッドのジョブやノードの情報を知らずと もグリッドを利用できる.

4.6.2 2 つのセマンティックグリッドサービスでのデータ要求

ここでは,2つのセマンティックグリッドサービスが存在する環境を用いてデータの転 送を行う.異なるセマンティックグリッドサービスに属するノードにそれぞれデータ Aと データ Bが配置されている.他のノードにはダミーデータを配置する.それぞれのセマン ティックグリッドサービスの環境をVO-AとVO-Bとする.図4.13に環境を示す.VO-A のノード1にデータAを配置する.残りのノードにダミーデータを置く.VO-Bのノード 1にデータBを配置する.残りのノードにダミーデータを置く.

図4.14は利用者がデータを要求した場合の例を示している.利用者の要求に対して2つ のノードが選択された例である.

利用者は,VO-Bのセマンティックグリッドポータルサーバへウェブブラウザで接続す る.アプリケーションと要求するデータのデータ A とデータB を入力して実行すると,

ノードの検索が行われる.

VO-Bのセマンティックグリッドポータルサーバは,VO-A のセマンティックグリッド ポータルサーバへキューを送る.それぞれのセマンティックグリッドポータルサーバでノー ドの検索を行い,エージェントで動的な情報を調べ結果をVO-Bのセマンティックグリッ ドポータルサーバへ集約する.ノードの検索結果を基にジョブが生成される.

データはVO-A とVO-Bのノード 1からそれぞれのセマンティックグリッドポータル サーバへ転送される.VO-A のセマンティックグリッドポータルサーバは転送されてきた データAをVO-Bのセマンティックグリッドポータルサーバへ転送する.VO-Bのセマン ティックグリッドポータルサーバへ集められたデータAとデータBを返す.

2つ以上のセマンティックグリッドサービスが存在する環境では,セマンティックグリッ

ノード 1

ノード2

ノード3

ノード4 セマンティックグリッド

ポータルサーバ ユーザ

クググリ ド

ノ ド 1

ノ ド2

ノ ド3

ノ ド4 データ A

ダミーデータ

ダミーデータ

ダミーデータ

ノード 1

ノード2 ノード3 ノード4

セマンティックグリッド ポータルサーバ

ノ ド2 データ B

ダミーデータ

ダミーデータ ダミー

データ

Virtual Organization A (VO-A)

Virtual Organization B (VO-B)

図4.13 2つのセマンティックグリッドサービスが存在する環境

ノード 1

ノード2

ノード3

ノード4 セマンティックグリッド

ポータルサーバ ユーザ

クググリ ド

ノ ド 1

ノ ド2

ノ ド3

ノ ド4 データ A

ダミーデータ

ダミーデータ

ダミーデータ

ノード 1

ノード2 ノード3 ノード4

セマンティックグリッド ポータルサーバ

ノ ド2 データ B

ダミーデータ

ダミーデータ ダミー データ

Virtual Organization A (VO-A)

Virtual Organization B (VO-B)

図4.14 オントロジの配置と流れ

ドポータルサーバ間で連携を行うことができる.

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