第 3 章 オントロジのクラウドコンピューティングへの適用 39
3.4 プロトタイプシステムの実装
3.4.4 オントロジ更新の評価
オントロジの更新時間の比較を行う.オントロジ更新時のエージェントの処理の流れを図 3.11に示す.
オントロジをブローカサーバへ転送して既存のブローカサーバのオントロジとマージを行 う場合の検証を行うパブリッククラウドのCPUの下位プロパティをhas CPUNumberか
らhas CPUNumへ変更する.図3.12にブローカサーバのオントロジのプロパティを示す.
次にパブリッククラウドのオントロジのプロパティを示す(図3.13).図3.12のオントロジ と図3.13のオントロジをマージすることでオントロジがブローカサーバに生成される(図
3.14).以前のブローカサーバのオントロジにはなかったプロパティが追加されていること
がわかる.よって,正しく動いているといえる.
次に,パブリッククラウドのオントロジ全体をブローカサーバへ転送する場合の時間を計 測する.パブリッククラウドが保持しているオントロジデータは12KBである.オントロ
図3.9 ユーザの検索項目
図3.10 検索結果
オントロジ データベース
ブローカサーバ
OBA DCA
MA
GA DMA
オントロジ データベース
パブリッククラウド OBA
GA
MA
DCA
①
②
③
④
⑤
図3.11 オントロジ更新時のエージェントの処理の流れ
ジマージ処理は全体で1639msかかった.ブローカサーバから追加されるプロバイダへのオ ントロジデータ要求に139msかかり,パブリッククラウドからブローカサーバへのオント ロジデータの転送に158msかかった.パブリッククラウドでのオントロジデータの読み込
みに112msかかり,ブローカサーバでのオントロジのマージに1230msかかった.
通信全体にかかった時間とオントロジの読み込みとマージの時間の割合を図3.15に示す.
オントロジ関連の処理が全体の82%を占めていることがわかる.このことからオントロジ マージ処理のボトルネックは通信ではなくマージ処理にあり,マージ処理のアルゴリズムを 改善することで処理全体にかかる時間を短縮することが可能であると考えられる.
同様に,アップデートパッチを使用するオントロジの更新の検証を行う.パブリックク ラウドのオントロジの更新はマージと同様のものとする.アップデートパッチのサイズは 1KBである.パブリッククラウドのオントロジの変更が検知され,ブローカサーバのオン
図3.12 ブローカのオントロジのプロパティ
トロジに更新が適用されるまでに全体で230msであった.パブリッククラウドからブロー カサーバへの転送に 138ms かかり,ブローカサーバでのアップデート処理には92ms か かった.
2 つの方法の更新時間の比較を行った.オントロジ全体を転送しマージする場合は
1230msであり,アップデートパッチを用いる場合は230msであった.処理時間は20%を
下回る結果となった.よって,アップデートパッチを用いてブローカサーバのオントロジを 更新する方法は有効といえる.