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クラウドサービス発見システムの提案

第 3 章 オントロジのクラウドコンピューティングへの適用 39

3.3 クラウドサービス発見システムの提案

利用者が適切なクラウドサービスを選択するための,オントロジを利用したクラウドサー ビス発見システムを提案する.利用者は,自身の所有するプライベートクラウドとパブリッ ククラウドのインスタンスタイプを検索する.クラウドサービスによって異なるインスタン スタイプの表現の差異を吸収するためにオントロジを使用する.オントロジは各クラウド サービスに分散配置し,このオントロジの管理に2.6節で提案したアップデート管理手法を 適用する.

本研究のシステムの環境は,クラウド上で動くエージェントシステムとブローカサーバで 構成される.図3.1は,プライベートクラウドとパブリッククラウドが存在する環境の例で ある.プライベートクラウドは,利用者が所有しているクラウドサービスである.パブリッ ククラウドは,不特定多数にクラウドサービスを提供する事業者である.ブローカサーバ は,オントロジやインスタンスタイプの情報を集約・管理する.

クラウドサービス発見システムは,“資源情報の収集”と“ユーザによる検索”と“オント ロジの更新”の3つの機能をもつ.“資源情報の収集”を行う機能では,プライベートクラウ ドとパブリッククラウドを監視する.変更があればブローカサーバへ変更内容を伝えること で常に最新の状態をブローカサーバへ集約する.“ユーザによる検索”の機能では,ブロー カサーバに集約・管理されているクラウドサービスの情報を検索する.利用者が仮想マシン を起動したい際に検索項目を指定することで適切なクラウドサービスの検索が行える.“オ ントロジの更新”の機能では,プライベートクラウドとパブリッククラウドのオントロジが 更新された場合,ブローカサーバのオントロジへ変更を反映する.

パブリッククラウド (1) パブリッククラウド (n) ブローカサーバ プライベートクラウド

図3.1 クラウドサービス発見システムの構成

3.3.1 資源情報の収集

資源情報の収集には,エージェントを使用する.エージェントを使用することで,各プ ラットフォームで柔軟な処理を行うことができる.また,CPU使用率などの動的な情報を 取得することができる.エージェントは役割ごとに存在し,複数のエージェントがコミュニ ケーションを取ることで様々な処理を行う.利用者はブローカサーバに蓄積されたクラウド サービスの情報をオントロジを使って検索する.よって,ブローカサーバに蓄積されるクラ ウドサービスの情報は常に最新のものでなければならない.そのために,プライベートクラ ウドとパブリッククラウドにはエージェントが常駐し監視を行う.主な監視対象は,インス タンスタイプの表現が記述されたオントロジとインスタンスタイプが格納されているデータ ベースである.オントロジとデータベースは更新があれば,エージェントを介してブローカ サーバへ転送される.(図3.2).

図3.3はプライベートクラウド,ブローカサーバ,そしてパブリッククラウド上のエー ジェントの配置図である.これらのエージェントは,個々が独立して動作する.情報のやり 取りが必要な場合は他のエージェントと通信を行う.

図3.3の5種類のエージェントの詳細を以下に示す.

MA(Master Agent)

 MAは各プラットフォームに必ず常駐しており,すべてのエージェントはMAを 介して連携する. DCAとはデータベースのデータの受け渡しを行い,OBAとはオ

オントロジ データベース オントロジ データベース

監視 監視

エージェント エージェント

マージ 保管

転送

ブローカサーバ プライベートクラウド /

パブリッククラウド

図3.2 プライベートクラウド/パブリッククラウド情報の監視と収集

オントロジ データベース

プライベートクラウド

OBA DCA

MA

GA

オントロジ データベース

ブローカサーバ

OBA DCA

MA

GA DMA

オントロジ データベース

パブリッククラウド OBA

GA

MA

DCA 他の GA との接続

他の GA との接続

他の GA との接続

データベースの書込

データベースの読取 データベースの読取

オントロジの読取

オントロジの読取 オントロジの読書

データのマッチング

図3.3 エージェント配置図

ントロジデータの受け渡しを行う.DMAからはマッチングの結果を受け取る.他の プラットフォームのMAとの連携はGAを通して行われる.

DCA(Database Connect Agent)

 DCAはデータベースに保管されているインスタンスタイプのデータを読み書きす る際に利用される.データベースを利用するためのドライバを管理しており,データ ベースへの接続はこのエージェントを介して行われる.また,データベースに変更が ないか監視をしている.

OBA(Ontology Broker Agent)

 OBAは保管されているオントロジデータを読み込みMAへ渡したり,ブローカ サーバでは他のエージェントが収集した情報を MAを介して受け取り既存のオント ロジとマージする.また,オントロジに変更がないか監視をしている.

DMA(Data Matching Agent)

ブローカサーバのみに存在し,ユーザの要求とマッチングを行う.

GA(Gate Agent)

各プラットフォームの窓口となる.プラットフォーム間のMAのやり取りはすべて このエージェントを通して行われる.

3.3.2 ユーザによる検索

利用者の要求する情報と,プライベートクラウドやパブリッククラウドのインスタンスタ イプのマッチングを行う.インスタンスタイプの項目は,CPU数,CPU性能,メモリ容 量,ストレージ容量,オペレーティングシステム,初期費用,月額費用である.ユーザの検 索はGUIからプライベートクラウド上のエージェントを介してブローカサーバに伝えられ,

結果が返ってくる.

図3.4はプライベートクラウド上にユーザインターフェースがある例を示している.ユー ザの要求はプライベートクラウド内の MAへ渡す.プライベートクラウド内では,MA→ GA→[ブローカサーバ]となり,ブローカサーバでは[プライベートクラウド]→GA→MA

→OBA→MA→DCA→MA→DMA→MA→GA→[プライベートクラウド]という 流れで処理を行う.結果は,[ブローカサーバ]→GA→MAの流れで返す.

3.3.3 オントロジの更新

プライベートクラウドやパブリッククラウドのオントロジは,それぞれの管理者が更新を 行う.オントロジが更新された場合,OBAを介してブローカサーバにオントロジが転送さ れる.しかし,オントロジ全体を転送するのは効率が悪い.そこで本研究では,2.6節で提

オントロジ データベース

ブローカサーバ エージェント

プライベートクラウド エージェント

GUI ユーザ

操作

要求

要求

結果

結果 問い合わせ 問い合わせ

図3.4 ユーザの検索要求

案したオントロジアップデートを適用することで問題の解決を図る.

プライベートクラウドやパブリッククラウドの管理者は,オントロジを更新する際にアッ プデートパッチを作成する.アップデートパッチをブローカサーバに転送することで,オン トロジ全体の転送に比べて帯域の削減ができる.図 3.5は通常の方法とオントロジアップ デートを適用した場合の違いを示している.(A)オントロジを転送する場合は,オントロジ 全体を転送しブローカサーバのオントロジとマージしている.(B)アップデートパッチを転 送する場合は,アップデートパッチのみ転送し,ブローカサーバのオントロジとオントロジ アップデートを行っている.また,アップデートパッチを使用したオントロジのアップデー トはOBAが行う.

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