第 3 章 研究方法
3.5 解析手法
3.5.2 オプティカルフロー
可視化画像計測の結果から、流体内の速度ベクトルを算出する方法はいくつか存在す る。
本研究では、複数の方法を用いて、比較検証を行い、使用する方法を決めた。
比較した方法は以下の3通りである。カッコ内は使用したオープンソースである。
①相互相関PIV(OpenPIV)
②オプティカルフロー Lucas-Kanade法(OpenCV)(以下 オプティカルフローLK)
③オプティカルフロー Gunnar Farneback法(OpenCV)(以下 オプティカルフローGF)
比較検証に使用した画像の概要は以下の表の通りである。
表 3.2 検証画像概要
まず、それぞれの手法について、簡単に説明する。
①相互相関PIV
連続する2画像間にある領域を設けて、その領域内の輝度値パターンの類似性を評価 することにより移動量を算出する方法である。ただし、領域内の流速はすべて等しいと いう仮定の元に計算を行う。まず1枚目において、任意の位置Aを中心として検査領域 を設定する。2 枚目の画像において、先ほどの同じ位置を中心として検査領域より大き い探査領域を設ける。そして、検査領域内から探査領域と最も類似度が大きい場所の中 心位置Bを求め、AB間の距離を移動量とする。この移動量を2枚の画像間時間間隔tで 除したものが流速ベクトルとなる。
②オプティカルフロー LK
連続した2画像間の物体の移動は微小であるという仮定の下に勾配法を用いて速度ベ クトルを算出する方法である。時刻tにおける座標(x,y)の画素値I(x,y,t)と、時刻t+Δtに おける座標(x+Δx,y+Δy)に移動した画素値I(x+Δx,y+Δy, t+Δt)が等しいとすると、
I(x, y, t) = I(x + ∆x, y + ∆y, t + ∆t) (3.1)
となる。
撮影者 石川成美 撮影日 2016年1月8日
サイズ 1024 x 824(pixel)
フレームレート 250fps 枚数 313枚
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右辺をテイラー展開し、2次以上の項を無視して、近似すると、以下のようになる。
I(x, y, t) ≈ I(x, y, t) + I(x, y, t)Ix(x, y)∆x + I(x, y, t)Iy(x, y)∆y + I(x, y, t)It(x, y)∆t (3.2)
これを整理すると、
Ix(x, y)∆x
∆t + I𝑦(x, y)∆y
∆t+ It(x, y) = 0 (3.3)
となる。式(3.3)をオプティカルフローの拘束条件式という。
時刻tの座標(x,y)におけるオプティカルフローをu =∆x
∆t, v =∆y
∆tとすると、
Ix(x, y)u + Iy(x, y)v + It(x, y) = 0
Ix(x, y)u + Iy(x, y)v = −It(x, y) (3.4)
となる。
しかし、この式だけでは、未知数 u,v を持つオプティカルフローを求めることはでき ない。
Lucas-Kanade 法では、ある画素の近傍画素も同じオプティカルフローであるという仮
定の元、方程式を増やすことで、流速ベクトルを算出する方法である。
③オプティカルフロー GF
Gunnar Farneback法は、基本原理はLucas-Kanade法と同じである。違いは、連続する
2画像間の近傍画素を2次の多項式で近似し、環境光の変動を受けにくくした点である。
今回は、それぞれの方法において、グリッドのサイズを8,16にし、比較検証を行った。
比較項目と理由は、以下の3つである。
①計算時間・・・同じ精度なら計算時間が早いほうがより多くの解析ができるため。
②最大水平流速・・・理論や電磁流速計との結果と比較し、精度を確かめるため。
③最大水平流速の分散・・・精度が同じ場合、画像ごとに処理にばらつきが少ないほう がいいため。(単独波では、理論上最大水平流速は時間の経過により変化しない)
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①計算時間
計算時間は、以下の表 3.3の結果となった。
表 3.3 手法、グリッドごとの計算時間
グリッドサイズが大きくなれば、解像度が荒くなり、その分計算時間が短くなる。オ プティカルフローは相互相関PIVの8ピクセルの場合で約70倍、16ピクセルの場合で
約20~30倍速くなることが明らかとなった。また、オプティカルフローでは、グリッド
サイズを大きさによる計算時間に違いはほとんどなかったが、相互相関PIVでは、グリ ッドサイズを1/2にしたことにより、計算時間が4倍長くなった。
②最大水平流速
最大水平流速の鉛直分布は、図3.31、3.32のようになった。8ピクセル、16ピクセル どちらも手法による違いはほとんどなかった。よってどの手法を使用しても、問題なく 解析できると考えられる。
③最大水平流速の分散
最大水平流速の鉛直分布は、図3.33、3.34のようになった。水面付近と水底付近は、
レーザーが強く反射してしまい、粒子をとらえることが難しいため、ずれが大きくなり、
分散が大きくなったと考えられる。それ以外の部分を見ると、相互相関PIVよりオプテ ィカルフローの方が分散は小さいことが分かる。オプティカルフローの中でも全体的に みると、Lucas-Kanade法の方が小さい。よって、オプティカルフローLucas-Kanade法が 最も安定して処理できていることが分かる。
①②③の結果より、計算時間が早く、精度もよい、「オプティカルフロー Lucas-Kanade 法」の8ピクセルを本研究では、用いることとした。
16 43分40秒 1分30秒 2分10秒
8 2時間54分45秒 2分30秒 2分40秒
グリッド
(pixel) 相互相関PIV Optical Flow
Lucas-Kanade法
Optical Flow
Gunnar Farneback法
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図 3.33 最大水平流速の鉛直分布 16ピクセル
図 3.34 最大水平流速の鉛直分布 8ピクセル
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図 3.35 最大水平流速の分散の鉛直分布 16ピクセル
図 3.36 最大水平流速の分散の鉛直分布 8ピクセル
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