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エビデンスに基づく妊産婦の冷えと助産ケア

中村 幸代

(公立大学法人横浜市立大学医学部看護学科母性看護学)

 昨今、女性の2人に1人がが冷え症であるといわれ、女性の冷え症に関する問題や対策などが雑誌などで 多く取り上げられています。周産期においても、演者の研究結果では妊婦の約7割が冷え症の自覚を有して おり、冷え症は見逃すことができない症状です。また、冷え症が妊産婦の健康に悪影響を及ぼしていることは、

「経験知」や「臨床知」としては広く認識されています。一方で、科学的根拠(エビデンス)の乏しさゆえ、

臨床現場では軽視されがちであり、具体的な対応がとられていないことが多いのが現状です。演者は、妊婦 の冷え症に焦点をあて、妊婦の冷え症を改善することを目指し研究に取り組んできました。大きくとらえる なら、第1段階は課題の発掘であり、第2段階は冷え症改善システムの開発です。本シンポジウムでは、第1 段階で明らかになった、冷え症が妊娠期のマイナートラブルや分娩に与える影響など、妊娠期における冷え 症の現状や課題をご紹介しながら、第2段階での妊産婦の冷え症改善のための助産ケアについて、演者の研 究結果をもとにご説明させていただきます。また、妊婦の冷え症改善には、妊婦自身の日常生活行動の変容 が必須です。そのためには、妊婦健診などで関わる助産師のサポートが欠かせません。では、全国の病院・

診療所・助産所において、冷え症を改善するためにどのようなケアが、どのぐらいの割合で実施されている のでしょうか。そして、冷え症ケア実施に影響を及ぼす要因は何でしょうか。さらに、現在は看護職を対象 とした冷え症の知識をデジタルコンテンツで学ぶ『冷え症教育プログラム「冷エール」』を開発し、その効 果を検証しています。本シンポジウムにて研究結果のご紹介をしたいと思います。

 なお、学術集会1日目(3月21日11:30〜)には、演者が会長を務める、日本冷え症看護/助産研究会主催で「明 日から使える!冷え症ケアの「技」」というテーマで交流集会を開催し、すぐに活用できる冷え症ケアに関 する具体的方法についての情報提供を行います。ご興味のある方はお気軽にご参加ください。

 本シンポジウムが、冷え症ケアの実施の一助になれば幸いです。

   シンポジウム/ワークショップ/市民公開講座/交流集会

317 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 33, No. 3, 2020

中村 幸代

(公立大学法人横浜市立大学医学部看護学科母性看護学 教授)

【主な略歴】

2006年 聖路加看護大学大学院看護学研究科看護学専攻博士前期課程(修士課程)修了 2006年 聖路加看護大学 助教 入職

2008年 武蔵野大学人間関係学部 講師 入職

2011年 聖路加看護大学大学院看護学研究科看護学専攻博士後期課程(博士課程)修了 2011年 慶應義塾大学看護医療学部 講師 入職

2015年 横浜市立大学医学部 教授 現在に至る

【学会等の履歴】

2011年 日本助産学会編集委員 現在に至る

2012年 日本冷え症看護/助産研究会会長 現在に至る

【受賞】

2012年 日本助産学会学術賞

2014年 日本看護科学学会第13回学術論文優秀賞

【主な著書】

2015年 エビデンスをもとに答える妊産婦・授乳婦の疑問92,南江堂 2017年 パーフェクト臨床実習ガイド 母性看護,照林社

2018年 根拠がわかる母性看護過程 事例で学ぶウェルネス志向型ケア計画,南江堂 2019年 根拠に基づく冷え症ケア,日本看護協会出版会

   シンポジウム/ワークショップ/市民公開講座/交流集会

319 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 33, No. 3, 2020

3月22日(日)10:30〜12:00 第4会場(3F 中会議室302B)

ワークショップ

CLoCMiP® ウィメンズヘルスケア研修

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