の差が明確になります。 回収件数 / 報告件数
NITEに報告された合計 66 件のエスカレー
ター巻き込まれ事故の事故内容を分析すると次 のとおりです ( 図2~8参照)。
4.エスカレーターによる再現試験方法と 結果
エスカレーター4機 (3施設) を用いて、 そ れぞれ上り、 下りについて、 事故と同様に巻き 込まれ現象が再現されるか、 次のとおり試験を 実施しました。
(1) 再現試験方法
①試料の接触部位 (図9参照)
イ ) つま先、 ロ) 親指側つま先、 ハ ) 小指側つ ま先、 ニ ) 側面、 ホ ) かかと、 ヘ ) かかと斜め後 ろ
②接触条件 (角度)
試料を、 ステップに乗せた状態で水平及び 45 度の角度で、 手により1Kgf 程度の力で押し つけました。
③エスカレーターの接触個所 (図 10 参照)
イ ) スカートガード、 ロ ) ステップ中央の踏段ラ イザー、 ハ ) 上り ・ 下りの降り口のくし板
④エスカレーター の4機の条件 E S Ⅰ : ス カ ー ト ガードにシリコンオ イ ル が 塗 布 さ れ た 条件
図 2 巻き込まれた
履物の種類別分類 図 3 巻き込まれた 履物の構造別分類
図5 履物が巻き込まれた エスカレーターの個所別分類
図6 巻き込まれた 履物の部位別分類
図7 被害の程度別分類 図8 大人・子ども別分類 図4 サンダルの分類図
図9 接触部位
図 10 上りエスカレーターの接触個所 親指先
つま先
小指先 側面
かかと
サンダル 65 件
(98.5%)
長靴 1 件
(1.5%) 樹脂製サンダ
ル ( 甲 部 分 が覆われたタ イ プ ) 33 件
(50.8%)
詳細不明 31 件
(47.7%)
つ ま 先 が 覆 わ れていないタイ プ 1 件 (1.5%)
ステップ端 部とスカー トガードの 間 3 7 件
(56.1%)
ステップとライザーの間 14 件 (21.2%)
詳細不明 11 件 (16.7%)
くし板部分 4 件 (6.1%)
つま先 28 件
(42.4%)
詳細不明 28 件
(42.4%)
側面 5 件 (7.6%)
かかと 5 件 (7.6%)
子ども 49 件(74.2%)
詳細不明 10 件 (15.2%)
大人 7 件 (10.6%)
ケガはない 49 件 (74.3%)
重傷 2 件
(3.0%) 軽傷
15 件
(22.7%)
甲部分が覆われたタイプ つま先が覆われていないタイプ
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NITE安全の視点
ESⅡ : スカートガードにシリコンオイルが塗布 されていない条件
ESⅢ : スカートガードにシリコンオイルが塗布 されていない条件
ESⅣ : スカートガードにシリコンオイルが塗布 されていない条件
(ESⅠ以外は、 滑りを良くするシリコンオイル が塗布されていない条件で行いました)
(2) 再現試験の結果
表1に示すとおり、 樹脂製サンダルは、 ほと んどが巻き込まれました。 長靴は1銘柄のみ巻 き込まれましたが、 ビーチサンダル及びズック は巻き込まれることはありませんでした。
また、 エスカレーターのコンディション (スカー トガードのシリコンオイル塗布) にも影響を受け ていると思われ、 エスカレーターによって異なる 傾向を示しました。
試料№(銘柄番号) サイズ(㎝) 区分 エスカレーター現場調査結果
ES Ⅰ
(スカートガードにシリコン油を 塗布された条件)
ES Ⅱ
(スカートガードにシリコン油を 塗布されていない条件)
ES Ⅲ
(スカートガードにシリコン油を 塗布されていない条件)
ES Ⅳ
(スカートガードにシリコン油を 塗布されていない条件)
(1)
14
樹脂製サンダル
巻き込まれなし 巻き込まれなし 上 り の サ イ ド で 親 指 先 ( 傾 斜)、 つま先で巻き込んだ。
上り、 下りのサイド、 ステップ で巻き込んだ。
18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 上 り の サ イ ド で 親 指 先 ( 傾 斜)、 つま先で巻き込んだ。
上り、 下りのサイド、 ステップ で巻き込んだ。
24 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
上 り の サ イ ド で 巻 き 込 ん だ。
下りのサイドでつま先が巻き 込んだ。
(2)
18 巻き込まれなし 下りの中央で、 側面 (傾斜)
を巻き込んだ。
上 り の サ イ ド で 親 指 先 ( 傾 斜)、 つま先で巻き込んだ。
上り、 下りのサイドで巻き込 んだ。
24 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし 上り、 下りのサイドで巻き込
んだ。
(3) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 上 り の サ イ ド で 親 指 先 ( 傾 斜)、 つま先で巻き込んだ。
上り、 下りのサイドで巻き込 んだ。
(4) 17 下りのサイドで、 つま先が挟
まりかけた。 巻き込まれなし 上 り の サ イ ド で 親 指 先 ( 傾 斜)、 つま先で巻き込んだ。
上り、 下りのサイドで巻き込 んだ。
(5)
18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
19 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし 上りのサイドで親指先を巻き
込んだ。
(6) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし 上りのサイドでつま先、 親指
先を巻き込んだ。
(7) 24.5 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし 下 り の ス テ ッ プ で 小 指 先 が ひっかかった。
(8) 17 ビーチサンダル
巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(9) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(10) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(11) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(12) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(13) 18
長靴
上り、 サイドで小指先 (傾斜)
で挟まりかけた。 巻き込まれなし 巻き込まれなし 上り、 下りのサイドで側面を
巻き込んだ。
(14) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(15) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(16) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(17) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(18) 18
ズック
巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(19) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(20) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(21) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
(22) 18 巻き込まれなし 巻き込まれなし 巻き込まれなし
表1 再現試験の結果
※背景色がピンク色がかかったのは試料が巻き込まれかけた、 青色は試料が巻き込まれたことを示します。
82
5.物性試験方法と結果 5-1 組成分析
(1) 試験方法
組成分析の対象部位は、 樹脂製サンダル及 び長靴は甲部分、 ビーチサンダルは甲部分が 無いため底 (ソール) 部分、 ズックは甲部分と 底部分とし、赤外分光光度法によるATR法 (多 重反射方式) 等で行いました。
(2) 試験結果
①樹脂製サンダルは、 7銘柄中6銘柄がEV A (ポリエチレン ・ 酢酸ビニル共重合体)、 1銘 柄が低結晶性ポリエチレンでした。
②ビーチサンダルは、 EVA (ポリエチレン ・ 酢酸ビニル共重合体)、 ポリ塩化ビニル、 及び ポリブタジエン系ゴムでした。
③長靴は、 クロロプレン系ゴム、 ポリ塩化ビ
ニルでした。
④ズックは、 甲部分が綿、 ポリウレタン、 底 部はポリ塩化ビニル、 クロロプレン系ゴム、 スチ レンブタジエンゴムでした。
5-2 断面観察
(1) 試験方法
断面観察の対象部位は、 樹脂製サンダル及 び長靴は甲部分、 ビーチサンダル、 ズックは 底部分とし、 走査型電子顕微鏡により倍率 100 倍で断面を観察しました。
(2) 試験結果 (図 11、 12)
①樹脂製サンダルは、 いずれも発泡性樹脂 材のものでした。
②ビーチサンダルは、 底部が発泡性樹脂材 のものが4銘柄、 発泡性ではない樹脂材のもの が1銘柄でした。
テスト項目 テスト方法 試験のねらい
組成分析 赤外分光光度法
ATR法 (多重反射方式) 基礎的な性質を把握するため組成を確認した。
断面の形状
樹脂製サンダル及び長靴は甲部分、 ビーチサンダル、 ズック は底部分を観察対象部位とし、 走査型電子顕微鏡により 100 倍で断面を観察した。
基礎的な性質を把握するため断面を確認した。
引張荷重
(破壊時の荷 重)
JIS K 7113 プラスチックの引張試験方法による。 測定個所は、
樹脂製サンダル、 長靴及びズックは甲部分を、 ビーチサンダ ルは甲部分がなく、 底部分を測定した。
各種物性を測定する前の基礎試験として、 試料の破壊時の強 度特性を確認した。
圧縮荷重
JIS K7181 プラスチック-圧縮特性の試験方法による。 測定個 所は、 樹脂製サンダル、 長靴及びズックのつま先甲部分を圧 縮して甲部分が底部に接触する手前まで圧縮したときの押圧 荷重を測定した。 なお、 ビーチサンダルは甲部分がないため 実施していない。
小さい力で押しつぶされやすいほど、 エスカレーターの隙間に 引き込まれやすいという想定から、 圧縮荷重 (押しつぶされや すさ) を測定し、 巻き込まれやすさの要因の1つであるかどう かを検証した。
硬さ
JIS K6253 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法による。
測定個所は、 樹脂製サンダル、 長靴及びズックは甲部分を、
甲部分がないビーチサンダルは底部分を測定した。
材質が軟らかく変形しやすいほど、 エスカレーターの隙間に引 き込まれやすいとの想定から、表面硬さ (軟らかさ) を測定し、
巻き込まれやすさの要因の1つであるかどうかを検証した。
10%引張荷 重
JIS K7113 プラスチックの引張試験方法による。 測定個所は、
樹脂製サンダル、 長靴及びズックは甲部分を、 ビーチサンダ ルは底部分を測定した。
弱い力で初期の伸びが起こるほど、 エスカレーターに引き込ま れやすいという想定から、 伸び率 10%時の引張り応力 (この 値が小さいと、 初期段階の伸びに必要な力が小さいことを示す が、 逆に小さい力で伸びることでもあり、 伸びやすさをも示す。)
を測定し、 初期の伸びに必要な力が、 巻き込まれやすさの要 因の1つであるかどうかを検証した。
厚さ
JIS Z1711 ポリエチレンフィルム製袋 厚さ測定方法による。 測 定個所は、 樹脂製サンダル、 長靴及びズックは甲部分を、 ビー チサンダルは甲部分が無いことから底部分を測定した。
素材が薄いほど、 エスカレーターの隙間には巻き込まれやす いとの想定から、 材質の厚さが、 巻き込まれやすさの要因の1 つであるかどうかを検証した。
伸び率
JIS K7113 プラスチックの引張試験方法による。 測定個所は、
樹脂製サンダル、 長靴及びズックは甲部分を、 ビーチサンダ ルは底部分を測定した。
素材が伸びるほど、 エスカレーターの隙間に巻き込まれやす いという想定から、 伸び率が、 巻き込まれやすさの1つである かどうかを検証した。
動摩擦係数
JIS K7125 プラスチック-フィルムシート及びシートの摩擦係数 試験方法による。 測定個所は樹脂製サンダル、 長靴及びズッ クは甲部分を、 ビーチサンダルは底部分について動摩擦係数 を測定した。 測定では、 スカートガードに使用されているフッ素 樹脂加工を施したステンレス板を使用し、 シリコンオイルをステ ンレス板に塗布した場合と塗布しない場合の動摩擦係数を測 定した。
履物が接触するスカートガードとの摩擦係数が大きいほど、 巻 き込まれやすいという想定から、 動摩擦係数の大きさが、 巻き 込まれやすさの要因の1つであるかどうかを検証する。 併せて、
シリコンオイルを塗布することで動摩擦係数がどの程度低下す るかを検証した。