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インパルス応答を用いた音場再現性能に関する客観評価実験

3. セミトランスオーラルと音場模擬技術に基づく

3.6 インパルス応答を用いた音場再現性能に関する客観評価実験

表10 実験で用いた音場シミュレータのパラメタ

Sonic speed 340 m/s

Time resolution1/∆t 3.8×105sample/s Spatial resolution1/∆r 1130 sample/m Boundary condition Perfectly

matched layer (PML)[110][122]

表11 客観評価実験の条件 Environment Anechoic chamber Noise level(LA) 19 dB

Sampling frequency 48 kHz Quantization 16 bit

Angle range 0180(interval: 15)

ため必要な帯域より高帯域まで模擬を行うが,本評価実験では計算の一部を空間周 波数領域を経由して行うことで数値分散のないWE-FDTDに基づく音響シミュレー ションを用いている[120].

インパルス応答は頭部近傍スピーカアレーの制御領域内,地上1mの受聴者頭部

周辺0.3 m四方を対象として,マイクロホン移動装置を用いて0.01 m間隔で計測し,

室内音響指標C値[121]を用いて比較した.C値は初期反射と後続残響のエネルギー 比を示す指標であるが,無響室で行われた本実験においては後続残響は無視できる ため,音像定位に重要な直接音と初期反射の時間差および強度比を評価できると考 えられる.本論文ではC20からC80までのC値を10 msec毎に導出し,提案手法と 実音源それぞれのインパルス応答に対する2乗平均平方根誤差を評価値とした.そ の他実験条件については表11に示す.

D[cm]

W[c m ] -10

-5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

4 6 8 1 0 1 2 1 4 1 6

Error of clarity[dB]

(a) Proposed method with inverse filter and HRTF

D[cm]

W[cm]

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

4 5 6 7 8

Error of clarity[dB]

(b) Proposed method with computer simulation

図46 実音場と再現音場間のC値誤差(受聴者の頭部なし)

3.6.2 客観評価に関する実験結果

図46, 47に実験結果を示す.これらの図は実音場と再現された音場におけるイン

パルス応答の差異をC20 C80によって比較し,2乗平均平方根誤差を可視化した ものである.図47の中央に存在する「Head area」と記載された領域は受聴者の頭 部(計測不能領域)である.横軸が幅W,縦軸が奥行Dをそれぞれ示しており,縦 軸が正の方向に頭部近傍スピーカアレーヘッドレストが存在している.実験結果に より,提案手法が頭部物体が存在しない場合の音圧分布にて平均8.0 dB,頭部物体 が存在する場合の音圧分布にて平均8.0 dB,平均10.9 dBだけ従来よりも実音源の インパルス応答に近い特性を示している.無響室におけるC値は直接音と反射音の エネルギー反射時刻に対応し,C20からC80までにわたる平均誤差の抑圧から,よ り実音源のインパルス応答に等価なエネルギー分布のインパルス応答の予測を達成 したといえる.

3.6.3 客観評価実験に対する考察

トランスオーラル方式では,制御される座標が両耳となるため音場の再現される 領域が非常に狭く,わずかでも受聴者の両耳が移動することによって音場再現の品

D[cm]

W[cm]

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10 0

5 10 15 20

Head area

Error of clarity[dB]

(a) Proposed method with inverse filter and HRTF

D[cm]

W[cm]

-10

-5

0

5

10

-10 -5 0 5 10

Error of clarity[dB]

0 1 2 3 4 5 6 7 8

Head area

(b) Proposed method with computer simulation

図47 実音場と再現音場間のC値誤差(受聴者の頭部あり)

質が低下することが確認された.その反面,頭部周辺を制御する手法では, トラン スオーラル方式に基づく制御と異なり制御領域が広く首振りなどわずかな受聴者頭 部の運動では品質が保たれることが確認された.その反面,頭部後方領域の誤差増大 がいずれの結果でも確認された.音場シミュレーションにて仮想音場に定義されな かった音響装置のヘッドレストに基づく反射と考えられる.この反射波は受聴者の 両耳に直接到来する経路ではないが,受聴者が首振りを行う場合や浸透による音像定 位の前後誤りなどを引き起こしている可能性もあり,抑圧が必要であることが示さ れた.