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第5章 英単語の学習効果に与える学習インターフェースとインターバル 1 週間・

第3節 結果

第1項 正答数の分析

それぞれのテストを1 問1 点(6点法)で採点した。第2セッションのテストに不備が 認められたため,テスト結果は不採用とされた。第3セッション,第4セッションのテス トの平均値をTable 7に,平均値をプロットしたものをFigure 29に示した。

Table 7

Mean of the scores at one-week and three-week intervals

Week 1 Week 3

Paper 1.90 (1.54) 0.95 (1.09)

Computer 1.95 (1.29) 1.48 (0.91)

Non-study 0.43 (0.58)

(SD)

Figure 29. Mean of the test scores at one-week and three-week intervals Note: The test for the non-study condition was conducted once at the

three-week interval. The same score is shown at the one-week interval for comparison.

学習条件・インターバル条件を参加者内要因とする 2 要因分散分析を行った結果,イン ターバル条件の主効果が有意であった(F(1, 20)=6.25, p<.05)。学習条件の主効果,交互作用 はともに有意ではなかった(それぞれ,F(1, 20)=1.17, F(1, 20)=1.00)。

3週間のインターバル条件において,無学習条件を含む3つの学習条件の成績を参加者 内要因とする1要因分散分析を行ったところ,主効果が有意であった(F(2, 40)=7.56, p<.005)。

下位検定として,学習条件の主効果における多重比較(ライアン法)を行ったところ「コ ンピュータ教材と無学習」の間に有意差が認められた(MSe=0.76, p<.05)。「紙教材とコンピ ュータ教材」及び「紙教材と無学習」の間には有意差は認められなかった。

第2項 効果量

実験1,実験2においては,t検定を用いて2グループの平均値の差を比較したので,効 果量の指標としてCohen’s dを使用した。本章,および,本章以降の実験では,二元配置の 分散分析で検定を行っているので,相関比を用いたη(eta squared)を使用する。計算式は 次の通りである。

2

SS

effect

SS

total

本実験結果における効果量は,学習条件の主効果:η=.046(小),インターバル条件の主効

果:η=.287(大),交互作用:η=.032(小)であった。

第4節 考察およびまとめ

本実験における結果は,コンピュータ教材を用いて英単語を学習した効果が3週間後の テストに現れていることを示している。これはつまり,コンピュータ教材を使って1語あ たり約30秒学習した効果が3週間保持されているということであり,寺澤(1997)他が報

告している,わずかな学習の効果が数ヶ月単位で保持されるという知見を追認するもので ある。

第4章で述べた通り,語彙に関わる記憶はTulving(1972)により区分された意味記憶と して蓄えられると考えられ,Schacter & Tulving(1994)では意味記憶は潜在記憶に対応する ものと位置づけられている。また,太田(2007)は,意味記憶は知識の記憶であり,潜在 記憶としての働きもあると述べている。本実験で用いられた,約30秒で英単語とその意味 を覚えるという学習法では,学習時にそれぞれの単語にエピソードが付随するとは考えに くく,したがって,インターバルを設けたその後のセッションでのテストにおいて,学習 時のエピソードを想起しているとは言い難い。このことから,本実験で得られた結果,つ まり,数十秒間学習された英単語の記憶が3週間後に現れるという事実は,その記憶が潜 在記憶に蓄えられていることを意味すると言えよう。

では,なぜ,紙教材を用いた学習とコンピュータ教材,あるいは,無学習の間には有意 差が現れなかったのであろうか。これまでの研究では,潜在記憶は処理水準の操作などの 影響を受けにくい(Roediger & McDermott, 1993)と報告されている。処理水準効果とは,

符号化時に,記銘材料に対して物理的・形態的な処理を行う条件と,音韻的な処理を行う 条件,意味的・概念的な処理行う条件とを比べると,後の検索課題での成績は,物理的処 理より音韻的処理,音韻的処理より意味的処理を行っていた条件でよくなる,という効果 である(Craik & Lockhart, 1972;レビューとして,藤田,2004)。本実験では,学習条件と して紙教材とコンピュータ教材を使用しているが,物理的処理の違いにおいて処理水準効 果が低いという点を鑑みれば,コンピュータ教材と無学習条件の間のみに有意差が現れた という実験結果には疑問が残る。また,潜在記憶は顕在記憶に比べて,学習—テスト間の インターバルに対して頑強である(太田,1988,寺澤,1997b)ことが検証されているとこ ろから,本実験で採用した3週間というインターバルでは顕在記憶の影響が残っているこ とも考えられる。さらに,1〜数週間程度のインターバルでは学習の効果は現れず,月単 位の長いインターバルをあけた場合にのみ観察されるという報告もある(寺澤,1998)。こ れは,間接再認手続きを用いて検出された学習効果の研究であり,本研究での実験方法と は若干異なるが,潜在記憶レベルでの記憶保持を検証するという点においては共通してお り,検討の必要が十分にある。そこで,次章の実験4では,インターバルを長くして同様 の実験を行い,本実験で得られた結果と比較しながら,その再現性を検討する。

第6章 英単語の学習効果に与える学習インターフェースと