第2章 英熟語学習における学習インターフェースによる学習効果の検討(実験1)
第2節 方法
実験は,第1セッション,第2セッション,第3セッションの,3段階で構成された(Figure
10)。大学の3クラスで実験が行われ,それぞれのクラスにおいて全てのセッションが同日
に,大学の授業中に一斉に実施された。実験条件は学習条件の1条件で,紙教材とコンピ ュータ教材が使用され,統制群法を用いて実施された。参加者は全てのセッションに参加 した。
第2項 実験参加者
情報関係の入門の授業を履修している文科系専攻の大学生,3クラス合計 140 名が実験
2 本研究の一部は,International Conference on e-Commerce, Administration, Society, and Education 2007, Hong Kongで発表された。
に参加した。実験材料に英語が用いられたため,英文学,英語教育,等の,英語関係分野 を専攻する文科系の学生は参加しなかった。参加者は無作為に実験群,統制群の2グルー プに分けられ,それぞれ同数になるように微調整がされた。
SESSION 1st
3 min break
SESSION 2nd
3 min break
SESSION 3rd
Comments
(7 min) (7 min) (7 min)
Control Group
Test 1
Study with paper
material
Test 2 Experi-
mental Group
Study with computer-based
material
Figure 10. Structure of the experiment and time schedule
第3項 実験準備と実験材料
まず,2種類の実験説明書(実験群用,統制群用)が作成された。
次に,2種類のテスト,事前テスト(Test 1)と事後テスト(Test 2),が作成された。こ のテストは,熟語を含む20の英文が問題として出題され,熟語の部分が空欄の穴埋めテス トとなっている。答えは20個の選択肢から選ぶ選択肢方式である。また,それぞれの英文 には日本語訳がつけられた(Figure 11)。英熟語の選択にあたっては,ウェブサイト http://www.rondely.com/zakkaya/index.shtmlから選出され,用法の正誤を研究社新英和中辞典,
および,オンライン辞書 http://www.alc.co.jp/ で確認後,使用が決定された。熟語の学習成 績が検討事項であるため,Test 1とTest 2には,同じ熟語が異なる文の中に現れる形で出題 された。
さらに,事前テスト後の学習用に,2種類の教材,紙教材とコンピュータ教材が作成さ れた。紙教材はTest 1に解答を載せた紙面学習形式で作成された(Figure 12)。コンピュー タ教材は,紙教材と同じ内容が HTML で作成され,問題文の空欄部分をクリックすると,
右側に解答が現れるように設計された(Figure 13)。コンピュータ教材はウェブサイト上に 掲載され,実験当日,オンラインで使用できるように準備された。尚,紙教材とコンピュ ータ教材の問題配置,解答の位置などのレイアウト等,インターフェース以外の条件は,
バイアス排除のため,極力同じになるように配慮された。
Figure 11. Test 1
Figure 12. Study material in paper
( ) に入る適当な熟語を下から選び番号を記入して下さい。
時制,人称の一致,等は考慮しません。
1. Don’t ( ) your brother.
弟をからかうのはやめなさい。
2. The criminal ( ) for years.
その犯罪者は何年間も逃亡している。
……
19.He always ( ) someone.
彼はいつもだれかをののしっている。
20.Your stress comes from ( ) your irritation and anger.
君のストレスはイライラや怒りを抑えていることからきてるんだよ。
(1) turn up (2) be fed up (3) be out to (4) bottle up (5) take a fling at ……
(18) fork over (19) make a fuss over (20) be at odds
右の熟語を見て、正しい熟語を覚えて下さい。時制,人称の一致,等は考慮しませ ん。
1. Don’t ( ) your brother. pick on
弟をからかうのはやめなさい。 からかう、いじめる
2. The criminal ( ) for years. be at large
その犯罪者は何年間も逃亡している。 (犯人などが)逃げて いる、つかまっていない
3. He's always ( ). be on the go 彼はいつも走り回っている。 走り回っている
活発に動き回っている 働きづめだ
……
Figure 13. Computer-based study material on computer
第4項 実験手続き
① 準備:口頭で実験説明が行われ,その後,参加者が無作為に同数の2グループ(実験 群,統制群)に分けられた。それぞれに合致した実験説明書が配付され,参加者は説明書 を注意深く読むように促された。質問が受け付けられた。Test 1が両グループに配られた。
② セッション1(Test 1):統制群,実験群,同時にテストが開始された。
(7分)
③ 休憩:Test 1が回収され,学習教材が配付された。統制群には紙教材が配られ,実験群 は,説明書に記載されたURLをタイプして学習教材掲載のウェブサイトにアクセスし,学 習の準備をした。(3分)
④ セッション2(学習):統制群,実験群,同時に学習が開始された。(7分)
⑤ 休憩:統制群の紙教材が回収され,実験群はコンピュータ画面のスイッチを切った。
Test2が両グループに配られた。(3分)
⑥ セッション3(Test 2):統制群,実験群,同時にテストが開始された。
(7分)
⑦ 実験後調査:Test 2回収後,参加者は,両教材に対する自由記述のコメントを求められ た。紙教材で学習をした統制群は,コンピュータ教材を使ってみるよう指示された。