第 2 章 インタラクティブなビジョンシステム
2.2 インタラクティブなビジョンシステム
2.2.4 物体に対する働きかけ
われわれの生活する空間には多くの物体が存在する.このことはビジョンシステムに おける物体認識に対して,大きな壁となっている.しかし,環境に存在する物体に関す る情報をビジョンシステムが何らかの方法で取得することが出来,その情報が仮に物体 のモデルデータである場合,従来のモデルベーストビジョンで問題視されていたフレー ム問題に対する解決策を示すことが可能となる.物体に対する働きかけとしていくつか のケースが考えられるが,ここでは以下の位置情報と物体情報の2点にしぼって議論を 行う.
(A) 位置情報の提示
ここでいう位置情報の提示とは,物体自身が自分の存在位置をアピールすることを意 味する.具体的には,図2.9に示すように,物体にLEDなどの位置提示装置を持たせ,
もしある物体を限定して認識を行ないたいとき,その物体に対してビジョンシステムは 指令を出し,物体はその応答として,LED を点灯させる[22].このようにすることで,
ビジョンシステム自体では判別が難しい見た目が同一物体の分別などを行なうことが 可能となる.
(B) 物体情報の提示
図2.10,2.11に示すように各物体に自分がどのような形状なのか,どのような色なの か,などの物体固有の情報を持っている場合には,ビジョンシステムは各物体に対して 情報を要求することにより,その物体の位置,姿勢を検出するために必要な情報を取得 することが可能となる.このような物体固有の情報を,物体自身に付随させることは,
IC タグなどのユビキタスシステムにおいて初めて実現可能となるものであり,ビジョ ンシステムの人,ロボット,環境,物体への働きかけの中でも,最もユビキタス的な要 素を必要とするものである.
最近,物体に対する働きかけを利用した手法として画像手段を用いないインタラクテ ィブなセンサシステムである,タグシステムが提案されている(図2.12).これは物体に IC タグを対象に貼付し,センサ側が働きかけることで物体の知識を取得し,物体の認 識を行う.このシステムでは未だに物体の位置姿勢検出は実現していないが,画像手段 を用いないため,これまで挙げてきた画像手段による問題を回避することができる.こ のような手法において位置検出のためにビジョンシステムを用いたシステムとしてタ グベーストビジョンシステムが提案されている[23][24].この手法では,前記したよう にビジョンシステムが物体認識を行なうために必要な情報をネットワーク上に存在す るデータベースから獲得し,物体認識を行なう.すなわち,ビジョンシステムは「取得
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画像情報」からではなく「タグから得られる情報」をもとにインタラクションを行う.
そのため,画像手段のみを利用する手法に比べ高い物体認識精度を利用することが出来 る.ここでは,これまで述べてきたインタラクティブなビジョンシステムとはインタラ クションのアプローチが異なり,物体がビジョンにおける取得画像を通した,すなわち 画像手段を用いたインタラクションではなく,画像以外の手段を用いたインタラクショ ンと言える.このタグベーストビジョンシステムについては第3章で詳しく述べる.
このような画像以外の手段を用いたインタラクションにおいても,物体とビジョンシ ステムの関係という観点においては,前述(A)では,ビジョンシステムが物体に対して
「物体の位置」の要求がなされ,それに対して物体が画像手段を用いて自分の位置を明 示するシステムであった.
それに対し(B)では,「物体の認識」というビジョンシステムからの要求に対し,画像 手段による情報提示ではなく,IC タグからの画像以外の手段による「認識のための情 報」を物体から応答として返している,ということになる.このことから,ビジョンシ ステムと他の機能との広い意味でのインタラクションがとられたと考えられる.本論文 では,このような画像以外の手段を用いたインタラクションもインタラクティブなビジ ョンシステムとして定義することとする.
Object Vision System Request
Responses
Dish1 Cup Light the
Dish1’s LED
LED
Dish2
Object Vision System
Request
Responses
Dish1 Cup Light the
Dish1’s LED
LED
Dish2
(a) ビジョンシステムから物体への指令
Object Vision System
Request
Responses
Dish Cup
Light LED
Dish
Object Vision System
Request
Dish Cup Responses
Light LED
Dish
(b) 物体からビジョンシステムへのLED点灯による応答
図2. 9:位置情報の提示を用いたインタラクティブなビジョンシステムから 物体への働きかけ
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Object Vision System Request
Responses
Dish Cup What kind of
object exists?
TAG
(a) ビジョンシステムから物体への指令
Object Vision System
Dish Cup Request
Responses
Name : Dish Weight : ・・・
・ ・ ・
Name : Cup Weight : ・・・
・ ・ ・
(b) 物体からビジョンシステムへの物体情報の応答
図2. 10:物体情報の提示を用いたインタラクティブなビジョンシステムから
物体への働きかけ
Object Vision System
Dish Cup Request
Responses
Dish Cup Localization
(c) 物体情報を用いた物体認識
図2. 11:物体情報の提示を用いたインタラクティブなビジョンシステムから
物体への働きかけ
画像以外の手段 画像以外の手段
画像手段 画像手段
人間 データベース
要求 要求
知識
センサ 知識 検出目的:
物体認識
ICタグ ICタグ
環境
(照明など)
ロボット
(視点位置など)
物体
図2. 12:タグシステム
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