黄色粘着トラップを利用した簡便な発生予察方法と簡易ELISA法による保毒虫検定法 研究開発の背景
研究成果の内容
期待される効果
農研機構 中央農業研究センター 平江雅宏・柴 卓也
導入をオススメする対象
公設試、病害虫防除所、普及指導センター
•
イネ縞葉枯病の防除対策を行うには、媒介虫であるヒメトビウンカの発生時期とイネ縞葉枯 ウイルス(RSV)保毒虫率を把握すること(発生予察)が重要•
発生予察に必要な調査をより簡易に使える技術を開発する•
ヒメトビウンカの発生時期や量を簡便に把握できる•
ヒメトビウンカのRSV保毒虫率を迅速・簡便・低コストに把握できる•
イネ縞葉枯病の薬剤防除適期の推定や防除要否の判断の迅速・簡便化につながる② 簡易ELISA法による迅速・簡便なRSV保毒虫率検定 作業工程
2時間
静置 二次抗体液と虫 を一緒に入れて 反応基質を添加し判定
簡便な虫検体処理
ピンセットではさんで虫体 に傷をつけてからウェルに 入れる
虫をすりつぶす必要はあり ません
判定が容易 その他の特徴
1検体あたりの費用は20円程度 100~200検体を3時間/1人で可能 DAS-ELISA法より簡便・迅速
ラテックス法より高感度・低コストこれだけ!
黄色の明瞭な発色 0
100 200 300 400
成虫捕獲数 (頭/20回振り) すくい取り
0 20 40 60 80
3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1
成虫誘殺数(頭/日) 黄色粘着トラップ 水田ほ場
小麦ほ場 畦畔 雑草地
黄色粘着トラップ の設置状況
黄色粘着トラップとすくい取りによるヒメトビウンカ成虫 捕獲数の推移(2014年)
すくい取りでは あまり捕れない 時期(
6
月)に、黄色粘着トラッ プでは成虫を効 率よく捕獲でき る
① 黄色粘着トラップを利用した簡便な発生予察方法
イネ縞葉枯病の情報サイト
イネ縞葉枯病の防除のことがいろいろ分かるインターネット版総合防除マニュアル 研究開発の背景
研究成果の内容
期待される効果
中央農業研究センター 奥田充・柴卓也・平江雅宏
導入をオススメする対象
普及指導者・生産者
•
イネ縞葉枯病の発生は増加しており、その特性や防除対策を周知する必要がある•
インターネットで誰でも閲覧できる総合防除マニュアルを作成するイネ縞葉枯病の被害は増加傾向
薬剤による防除に最適なタイミングを紹介 インターネットで本日(12月6日)より公開開始
←スマホで読み取って 素早くアクセス
イネ縞葉枯病の防除に役立つ情報が満載
病徴や写真を豊富に掲載 よく似た病害との区別も解説
•
イネ縞葉枯病についての理解が深まる•
防除対策に関する情報に素早くアクセスできる•
抵抗性品種への切り替える場合の参考となる抵抗性品種を紹介 https://ml-wiki.sys.affrc.go.jp/rsv̲web/manual/start
イネ縞葉枯病防除に関する最新の研究成果の紹介*
縞葉枯病抵抗性を導入した同質遺伝子系統水稲品種
「コシヒカリ近中四SBL1号」
縞葉枯病に抵抗性で「コシヒカリ」と同等の特性をもつ水稲品種 研究開発の背景
研究成果の内容
期待される効果
農研機構 西日本農業研究センター 出田 収
導入をオススメする対象
イネ縞葉枯病発生地域
•
関東地方ではイネ縞葉枯病の発生が増加しているが、主力品種「コシヒカリ」は本病に対して 罹病性であり、本病激発地域では減収要因の一つとなっている。•
縞葉枯病への対策としては抵抗性品種の利用が有効とされているが、販売価格の優位性や 栽培体系の変更の困難さ等から品種転換が進みにくい。•
イネ縞葉枯病による減収の回避。•
ヒメトビウンカ防除回数の削減による省力低コスト化。•
コシヒカリと同様の栽培体系で生産可能。01 %
01 %
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
40
2
2 S
B ()
L 2
0 50 100 150 200 250 300
A B Bt Cr C D
1 0 1 3 18
12 289
123
64
16 7 1 0
71
B ()
2 6
農研機構で開発したイネ縞葉枯病抵抗性品種
農研機構で開発した、温暖地の稲と麦の二毛作に適するイネ縞葉枯病抵抗性品種を紹介 研究開発の背景
研究成果の内容
期待される効果
次世代作物開発研究センター・山口誠之
導入をオススメする対象
生産者・実需者
ほしみのり
ほしじるし
ミルキースター
・熟期は「朝の光」よりやや早い多収良食味品種。
・晩植で「朝の光」より24%多収(玄米重484kg/10a)。
・縞葉枯病抵抗性で、いもち病抵抗性(穂いもち)は、やや弱い。
・玄米品質は「朝の光」並で、食味は「コシヒカリ」並。
・熟期は「月の光」に近い多収良食味品種。
・稈長は「月の光」よりやや短く、倒れにくい。
・晩植で「月の光」より18%多収(玄米重630kg/10a)。
・縞葉枯病抵抗性で、いもち病抵抗性(穂いもち)は弱い。
・玄米品質は「月の光」よりやや劣り、食味は「コシヒカリ」
に近い。
・熟期は「ミルキークイーン」と同じ多収低アミロース米品種。
・稈長は「ミルキークイーン」より短く、倒れにくい。
・晩植で「ミルキークイーン」より17%多収(玄米重 569kg/10a)。
・縞葉枯病抵抗性で、いもち病抵抗性(穂いもち)は、やや強い。
・玄米品質、食味とも「ミルキークイーン」並(晩植でのアミロー ス含有率9.2%)。
ほしみのり 朝の光 ほしみのり 朝の光
ほしじるし 月の光
ミルキー ミルキー クイーン スター
・これらの縞葉枯病抵抗性品種を利用することで、稲と麦の二毛作地帯では麦作後の水稲品種 の選択幅が広がります。
・これらの縞葉枯病抵抗性品種を利用することで、縞葉枯病が問題となっている地域での水稲 栽培が行いやすくなります。
・データは全て、茨城県つくばみらい市でのものです。
・種子の入手先は、農研機構のウェブサイト「品種・特許」の「育成品種の種苗入手先リスト」をご覧ください。
・稲と麦の二毛作地帯で、市場性が高い晩植栽培用の水稲品種が求められています。
・イネ縞葉枯病が問題となっている地域では、抵抗性品種が求められています。
(2013年育成)
(2009年育成)
(2011年育成)
イネ縞葉枯病発病抑制のためのヒメトビウンカに対する 本田防除適期
媒介虫ヒメトビウンカの発生生態に対応した本田への薬剤散布による効果的なイネ縞葉枯病の防除法 研究開発の背景
研究成果の内容
期待される効果
茨城県農業総合センター農業研究所 諏訪順子・杉山恵乃
*
・北村舞・西宮智美導入をオススメする対象
イネ縞葉枯病発生地域
イネ縞葉枯病による減収の軽減ならびに所得の向上
•
茨城県では、イネ縞葉枯病の発生が増加し、問題となっている。•
感受性品種の作付けが主体であるため、病原ウイルスを媒介するヒメトビウンカに対する 効果的な薬剤防除技術の確立が求められている。ヒメトビウンカ幼虫の発生開始期から増加期に薬剤の本田散布を行うと、イネ縞葉枯病に 対する防除効果が高い
適期に本田散布を行うと
ヒメトビウンカ幼虫の本田散布適期(発生開始 期〜増加期)は気温データをもとに予測
病害虫防除所等から情報提供 ヒメ
トビ ウン カ発
生量 5月 6月 7月
移植 分げつ期 幼穂形成期
成虫 この時期の 幼虫 防除が大事!
水田におけるヒメトビウンカの発生消長
本田への薬剤散布によるヒメトビウンカ幼虫およびイネ縞葉枯病に対する防除効果 発病茎率の調査日は8月8日(平成28年茨城県筑西市現地試験結果より)
本田散布時期
幼虫数が減少
0 50 100 150
6
月6
日6
月13
日6
月20
日6
月27
日7
月4
日7
月11
日 ヒメトビ ウン カ幼 虫数
︵頭
/3 0回 吸い 取り
︶
縞葉枯病の発生が減少
0 5 10 15 20
発病 茎率
︵%
︶
開始期発生 増加期 無処理
発生前 最盛期
発病を抑えることで収量UP!
3 4 5 6 7 8 9 10
3 4 5 6 7 8 9 10
ヒメトビウンカの生活環
* 現茨城県農業総合センター農業大学校
時 期 発生 概況
‘60
年代後半~ 多発状態(前回 流行)1970
年 発生面積ピーク(作付 約70
%)‘80
年代 引き続き多発状態(前回 流行)1996~2007年
本田で 発生なし2008年
県西地域で12年ぶりに発生を確認2009~2013年
県西地域を中心に発生面積が拡大2014
年~‘80
年代と同等に面積が拡大←
現況茨城県病害虫防除所(茨城県農業総合センター病害虫防除部) 発生予察課 発生予察課TEL : 0299-45-8200 FAX : 0299-45-8255 E-mail : [email protected]
茨城県におけるイネ縞葉枯病 発生状況
茨城県病害虫防除所 藤原聡・間庭愛・市村勉・仲田道生
2017年現在、イネ縞葉枯病 茨城県全域に発生、県西地域を中心として発病程度も深刻化
外円(青色):’17年 内円(橙色):’13年
発病株率(%)
8月上旬調査
:20%以上
:10~20%
:5~10%
:1~5%
:1%未満 ひ こ えに お け る 市町村内平均発病 株率(%)
9~10月調査
前回流行時から 発生状況 推移
イネ縞葉枯病発生推定面積と水稲作付 面積 推移
面 積( 千
)ha
イネ縞葉枯病 調査地点別発生株率 変化(’13→’17)とひこ え(再生稲)における 市町村内平均発病株率(’17)
福島県
千葉県 水戸市
日立市
土浦市 筑西市
埼玉県 栃木県
0 20 40 60 80 100 120
'55 '57 '59 '61 '63 '65 '67 '69 '71 '73 '75 '77 '79 '81 '83 '85 '87 '89 '91 '93 '95 '97 '99 '01 '03 '05 '07 '09 '11 '13 '15 '17
縞葉枯病推定発生面積 水稲作付面積
つく 市
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500
1993 1997 2001 2005 2009 2013
近畿地方におけるヒメトビウンカおよびイネ縞葉枯病の多発生要因
ヒメトビウンカとイネ縞葉枯病が多発生している地域で起きていること
兵庫県立農林水産技術総合センター 吉田和弘・柳澤由加里・冨原工弥・
田中雅也・望月証・八瀬順也
兵庫県の稲作地帯で何が起こっている?
雑草 麦 水稲
越冬 世代
第1 世代
第3
世代 第 4 世代
越冬 世代
成虫 幼虫 月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
移動
兵庫県西部におけるヒメトビウンカの発生生態
兵庫県におけるイネ縞葉枯病の発生面積の推移
発生面積(ha)
4.4 3.3 3.3
3.3
13.0 0.0 0.0
0.0 0.0
兵庫県の地域別保毒虫率(%)
(2017年小麦での第1世代)
1.1 1.1 1.1 1.1
兵庫県では2008年以降、イネ縞葉枯病が多発生
小麦作付面積(ha)
兵庫県における小麦作付面積の推移
県西部の稲作地帯ではヒメトビウンカが小麦から水稲へ円滑に移動できる環境が整っている
(イネ縞葉枯病発病の推移と寄主植物間移動の模式図)
第2 世代
感染 越冬
移植済み水稲 収穫前の小麦
越冬
発病
感染拡大
イネ縞葉枯病 翌年へ
増殖
増殖 越冬
越冬
ヒ メ ト ビ ウ ン カ
・ 小麦の作付面積が2006年から急増、その多くは収穫期の遅い品種
・ 収穫期の遅い小麦が多い県西部で、収穫前の小麦から採集したヒメトビウンカは高い保毒虫率 小麦は越冬後のヒメトビウンカの増殖地、
収穫期が遅くなることで長期間増殖が可能に
・ 保毒虫の吸汁による初期感染
・ 発病株を多数のヒメトビウンカが吸 汁し、感染が拡大
・ 翌年へ高い保毒虫率が持ち越される 小麦ほ場で増殖したヒメトビウンカ が、高密度のまま移植直後の水田へ 移動