1. 相談形式
各更生相談所が肢体不自由(重度障害者 用意思伝達装置を含む)の補装具判定をど のような相談形式で行っているかを重複回 答形式で調べた。所内(来所)相談は 9 割 以上の更生相談所で行われていた。巡回相 談が 7 割近くで行われていたが、在宅(訪 問)相談を行っている更生相談所は 6 割以 下に過ぎなかった。また、その他と回答し た 31 ヵ所の更生相談所のほとんどが選択 肢になかった「文書判定」の回答であった。
来所相談の回答が 100%でなかったという ことは、主として文書判定で補装具判定を 行っているところもあると解釈できる。医 師やリハビリテーションスタッフが常勤で 確保できない地域の実情があると思われる が、その場合、医師意見書を作成する資格 のある医師との信頼関係があり、充実した 意見書が得られるからこそ、文書判定を主 体とした補装具判定が可能となっていると 理解したいところである。
2. 種目別判定事務取扱
判定事務の取り扱いは、補装具の種目に 応じて①更生相談所による来所判定、②医 師が作成する補装具費意見書による判定、
③医師意見書による市町村決定(ただし、
身体障害者手帳によって当該申請者が当該 補装具の購入または修理を必要とする者で あることを確認できるときは意見書を省略 することができる)に分かれている(補装
具費支給事務取扱指針について、平成 18 年 9 月 29 日、21 年 3 月 31 日一部改正)。
これは、専門的な処方内容の決定、適合確 認の必要度に応じて種目別に更生相談所の 判定形式の対応が分かれているものである が、各更生相談所によって対応はさまざま であり、職員配置等さまざまな理由がある と考えられる。
■ 国が取扱指針の中で直接判定を勧めて いる種目
義肢は、直接判定 6 割、文書判定 3 割と 書類での判定が 3 割も行われていた。装具 では直接判定 4 割、文書判定 5 割とむしろ 文書判定で処理されている方が多かった。
座位保持装置においても直接判定 5 割、文 書判定 4.5 割と半々であった。一方、電動 車いすでは、9 割以上で直接判定が行われ ていた。義肢、装具、座位保持装置という 処方の内容や適合性をしっかり見極める必 要がある種目でも、文書判定で取り扱える ということは、地域の医師が作成した意見 書がよほど充実していると信じたい。電動 車いすでは適合というより、生活の中での 必要性、操作性などの判定が主となるため、
医師やリハ専門職等の技術職が不在でも直 接判定がしやすいという点が 9 割以上とい う高率になった理由と考えられる。
■ 国が取扱指針の中で文書判定でも対応 可能と位置付けている種目
オーダーメイド車いすは、直接判定 4 割、
文書判定 5 割と比較的多くの更生相談所が
直接判定を行っていた。平成 18 年 10 月か
ら障害者自立支援法で補装具の種目に取り
資
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考察・提言事例概要代表事例アンケート結果総括的事項 資
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入れられた重度障害者用意思伝達装置にお いても、直接判定 4 割、文書判定 5 割と比 較的多くが直接判定を行っていた。
■ 国が市町村判断で対応可能としている種目
レディメイド車いすは、直接判定、文書 判定とも約 1 割で市町村判断が 7 割であっ た。同じくレディメイド手押し型車いすも 直接判定、文書判定とも 1 割以下で市町村 判断が 8 割であった。車いすの処方は、実 際に相談者の障害状況、生活状況を理解し ないと決まらないため、レディメイド車い すの希望で申請があっても、数は少ないが 直接判定を行っている相談所があることを 意味している。
■ ティルト式車いす
平成 20 年度から基準化されたティルト 式車いすでは、直接判定、文書判定とも約 5 割と半々で行われていた。
3. 補装具判定に関わっている職種
常勤、非常勤、兼務、嘱託等を問わない 設問であったせいもあると思われるが、回 答のあった 76 ヵ所中 75 ヵ所(98.7%)と ほとんどの更生相談所で補装具判定に医師 の関わりがあった。このうち常勤医師がい るのは 11 ヵ所(17 名、14%)に過ぎない。
リハ専門職では理学療法士が 43 ヵ所
(56.6%)と最も多く、作業療法士 27 ヵ所
(35.5%)、言語聴覚士 15 ヵ所(19.7%)で あった。義肢装具士が 18 ヵ所(23.7%)
と言語聴覚士を上回った。リハエンジニア が 3 ヵ所(3.9%)に過ぎなかった。
4. 補装具判定に関わっている職種の経 験年数(複数の職員の場合最長の者)
更生相談所の補装具判定に関わっている
経験年数を調査した。複数の職種がいる場 合は、最長の者を対象として回答を得た。
医師は 6 ヵ月から最長 41 年 6 ヵ月まで さまざまで、平均 10 年 6 ヵ月であった。
この 41 年 6 ヵ月は嘱託医であった。同じ 医師が 40 年間以上と長期にわたり、更生 相談所の判定に関わっていることがうかが えた。常勤医では 2 年 10 ヵ月から 28 年 7 ヵ 月であった。
リハ専門職では、理学療法士が平均 7 年 3 ヵ月、作業療法士が平均 5 年 7 ヵ月、言 語聴覚士が平均 6 年 6 ヵ月と大きな差はな かった。
他の職種では、義肢装具士が平均 14 年 9 ヵ月と平均年数では一番長かった。身体 障害者福祉司等は、4 ヵ月から最長 20 年 7 ヵ月で、平均 4 年と平均年数が一番短く、
これは技術職と違い、事務職の場合は定期 的な異動があることが理由であると考えら れる。
経験年数を 5 年単位で分け、その分布を みた。10 年以上の長期に関わっている職 員は少なく、リハエンジニアを除き、各更 生相談所における補装具判定の経験年数 は、どの職種においても 5 年未満に一番多 く分布していた。
5. 判定困難事例、特例補装具に対する 所内検討会議・審査委員会の有無
更生相談所で補装具判定の困難事例等を 検討する定期的な会議が 49 ヵ所(60.5%)
で行われていた。行っていないところは
16 ヵ所(19.8%)であった。その他と答え
た更生相談所の多くが、定期的な検討会議
は行っていないが、必要に応じて協議を
行っており、8 割の更生相談所で何らかの
検討会議を行っていると解釈できる。
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考察・提言事例概要代表事例アンケート結果総括的事項 資
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同じような傾向で特例補装具の検討会 議・審査委員会が 49 ヵ所(61.3%)で行 われていた。行っていないところは 19 ヵ 所(23.8%)であった。その他と答えた 5 ヵ 所の更生相談所でも必要に応じて協議が行 われていた。
6. 判定困難と感じる要因
最も多かった回答が「高額完成用部品の 処方」で 6 割以上の更生相談所が要因とし てあげた。次いで「複数同時支給の妥当性」
であった。「高額な加工・特別仕様」、「高 額な電動車いす」、「高額な外国製車いす、
歩行器」の処方など補装具費が高額となる 場合の判定は半数近くの更生相談所が困難 を感じる要因であった。一方、「医学的判 定」、「医師意見書の不備」、「使用目的の疑 義」を判定困難な要因としてあげた更生相 談所は 3 割程度と少なかった。
7. 判定内規、特例補装具処方内規の有無
判定困難に対応する内規が「ある」と回 答した更生相談所は 12 ヵ所(15%)に過 ぎず、「ない」が 56 ヵ所(70%)と多数を 占めた。同じく、特例補装具の処方内規が
「ある」と回答した更生相談所は 14 ヵ所
(17.5%)に過ぎず、 「ない」が 56 ヵ所(70%)
と多数を占めた。その他と回答した記述の 中には「申請の多いものに関しては作成し ている」など種目によっては作成している 所や、作成中という所があった。
自由記載欄では、高額な既製品、高機能 な義足の完成用部品の適用の判断に苦慮し ているとの意見が多かった。一方、必要性 を吟味して判定しているので判定困難が生
じることは少ないという意見もあった。
8. 児童補装具の対応
判定(直接・文書)を行うことがあると 回答したのは 24 ヵ所(30%)で、市町村 からの相談に対する助言のみという更生相 談所が 50 ヵ所(62.5%)と多数を占めた。
判定を行うことがあるとした更生相談所の 中には児童補装具でも特例補装具は必ず判 定するという所もみられた。意見書の記載 が不備な場合は、意見書を書いた医師に直 接確認を行う更生相談所もあった。
自由記載欄では、利用者の生活実態を知 らないで書かれているなど医師意見書の不 備が多いこと、児から者への移行期の判定 のあり方が問題となる、市町村では決定す る体制が整っていないなどの意見が多かっ た。児童補装具は原則的に助言を求めるべ きである、医師への意見書の書き方の研修、
市町村職員への研修、児童補装具の全国的 な判断基準(特に高額な歩行器、座位保持 装置の構造フレームなど)・マニュアルを 望む声もあった。児童補装具の判定に関し ても更生相談所が積極的に関与するシステ ムの構築が望まれる。
9. 統計分析
常勤医師の有無、リハ専門職の常勤の有 無、職員の経験年数が判定困難事例・特例 補装具検討会議の有無、判定内規・特例補 装具処方内規の有無、判定困難要因個数に 関与しているかを検討するためにクロス集 計を行い、χ
2検定による分析を加えた。
有意水準は p < 0.05 とした。
ドキュメント内
表紙案_最終
(ページ 50-53)