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lV考 察

鼻 ア レル ギ ー 患 者 の 鼻 粘 膜 は特 異 的 抗 原 に 対 して 過 剰 に 反 応 す るの み で な く,hist細ine, methacholi皿e,acetylcholineな どの神 経 作用薬,冷 気,刺 激 性 ガス,そ の他 の 化学的,物 理 的 刺 激 に対 して過 敏 反 応 を示 す こ とが 知 られ てい る8‑12・94・95D.前 章 で は抗 原 誘 発 を反復 した卵 白 ア ル ブ ミン能 動感 作 鼻 ア レルギ ー モル モ ッ トに鼻粘 膜過 敏 性 が 出現 し,こ の 出現 には鼻粘 膜m‑ACh・ 翼 量 の増加 が関 連 して い るので は ない か と結論 した.Konnoら56⊃ は,鼻 粘 膜過 敏 性 を伴 うtoluene

diisocyanate経 鼻 感 作 モ ル モ ッ トで はm‑ACh・R量 の増 加 が 認 め られ た が,鼻 粘 膜 過 敏 性 を伴 わな い細 菌 結 晶性 α一a剛laseに よ る気 管支 喘 息 モ ル モ ッ トで は鼻 粘 膜 自律神 経 レセ プ タ ー量 が何 ら変動 しな か った と報告 して い る.ま た鼻 ア レル ギ ー 患者 の鼻粘 膜 で はrACh・R量 の 増 加 と α、・ R及 び β・R量 の 減 少 が見 られ ると報告 され て い る16‑2°⊃.こ れ らの成 績 は鼻 粘 膜 自律神 経 レセ ブ

ター量 の 変 動 が 鼻粘 膜過 敏性 の 出現 に極 め て重 要 な役 割 を果 た して い る可能 性 を示 唆 す るもの であ る.

本章 で は 自律 神 経 系 にお い て種 々の機能 変 化 を 引 き起 こすS岨Tス トレス をモ ル モ ッ トに 負荷 し, 反復 寒 冷暴 露 とい う物理 的刺 激 に よ り鼻粘 膜 過敏 性が 発 現 す るか否 か を 検討 した.

鼻腺 に直 接 作 用 して鼻汁過 分 泌 を 誘発 す る 醗C血53,と,triggerと して 知覚 神経 末 端 のH1・Rを 刺 激 して く しゃみ反 応 を誘発 す るHisP2η を刺 激 剤 と して用 い,鵬h閾 値 及 びHist閾 値 の変 化

を指標 に して 鼻 粘 膜 過敏 性 を測 定 した.そ の結 果,SARTス トレス モル モ ッ トの鼻 粘 膜 で はMCh やHistに 対 す る閾 値低 下が 見 られ,明 らか な過 敏 状 態 であ る ことが 示 唆 され た.こ の 閾値 低 下 は 単 な る寒 冷 ス トレス負荷 で は見 られ ず,反 復 して寒 冷 暴 露 を行 うS姐 丁 ス トレス負 荷 に よ り著 明に 認 め られ,ま た この ス トレス負 荷 を 中止 して も少 な く とも7日 間 は持 続 した.

以 上 の こ とか ら,こ の閾値 低 下 は少 な くと も統 過性 に生 じた もの で は な い と考 え られ,鼻 粘 膜 の 自律 神 経 系 に機 能 変 化 が生 じてい る可 能 性が 示 唆 さ れ た.そ こで このS1田Tス トレスモ ル モ ッ トの 鼻粘 膜 自律 神 経 レセ プ ター量 を 測定 した ところ,鼻 ア レル ギ ー恵者 や実験 的 鼻 ア レル ギ ー モ デル動 物 と同 様 に 皿一ACh・R量の増 加 が 見 られ,鼻 粘 膜に お け る副 交感 神経 系 は過 敏 状 態 に あ る こ とが 示 唆 さ れ た.鼻 ア レル ギ ー患 者 及 び実 験 的 鼻 ア レル ギ ー モ デ ル動 物 の鼻 粘 膜 で見 られ る 匪ACh・R 量 の増 加 の メカ ニズ ム に関 して は多 くの実 験 が行 わ れ てい るに もか か わ らず,未 だ不 明 な と ころ が 多 い.寺 田 ら96)は 鼻 ア レル ギ ー症 状 を惹 起 す る主 なche皿icalmediatorで あ るHistを モ ルモ ッ トに連 日点 鼻投 与 した時 の鼻 粘 膜rACh・R量 を測 定 したが,増 加が 生 じなか った と ころか ら,鼻 粘膜rACh・R量 の増 加 に は感 作,抗 原 暴露,chemicahediators遊 離 に よ り惹 起 され る症 状 の 発現,と い う一 連 の経 過 を経 た 後 に生 じ る可 能性 が強 い と してい る.S皿 丁 ス トレス モル モ ッ トに お け る鼻 粘 膜 過 敏 性 の出現 メカ ニズ ムは今 回 の成績 の み で は言 明 で きない が,鼻 粘 膜 内 の知 覚神 経 であ る三 叉 神 経 が 冷気 に よ り反 復 して刺 激 され る うち に,知 覚神 経 の遍敏 性 あ るい は 中枢 を 介 して 鼻粘膜 にお け る副 交感 神経 系機 能 に変 化が生 じたの か も しれ ない.

次 いで この 鼻 粘 膜過敏 性が鼻 ア レル ギ ー症 状 の 出現 に いか な る影 響 を及 ぼす か を検 討 す る 目的 で, 既 に鼻 粘 膜過 敏 性 の見 られ て い るS択Tス トレス負 荷3日 後 にモ ル モ ッ トに受 動 感作 を行 い,ス ト

レス負 荷5日 後 に抗 原誘 発 に よ る鼻 ア レル ギ ー症 状 を誘 発 した と ころ,非 ス トレス モ ル モ ッ トに比

べ 鼻 汁 分 泌量 及 び く しゃみ 回数が 多 く,鼻 粘 膜 過敏 性の 出現 が 鼻 ア レルギ ー症 状 を一 層悪 化 させ る の で は ない か と考 え られ た.こ の鼻粘 膜過 敏 性 はそれ 自体 で は ア レル ギ ー症 状 を現 さな いが,一 般 に考 え られ て い る感 作 お よ び抗原 暴露 な どの門 連 の鼻 ア レル ギ ー発 症過 程 に お け る自律神経 機 能, 特 に 副交 感神 経 系 の役 割 を研 究 す る上 で有 用 な モデ ル とな り うる可 能性 が 示 唆 され た.す な わ ち, 第2章 及 び本 章 の実 験か ら,自 律神 経 機 能 と鼻 ア レル ギ ー との 関連性 が 明 らか に な り,S岨Tス ト レス モ ルモ ッ トの使 用 は抗 ア レルギ ー剤 の薬 効 評 価の み な らず,自 律神 経 系 を 介 して効 果 発現 の可 能 性 の あ る薬 物 の評 価 に も有 用 であ る と考 え られ る.

と ころ で,ワ ク シニ ア ウイル ス接 種 家 兎炎 症 皮 膚抽 出液 で あ るNeurotropinは 臨 床 上,疹 痛及 び ア レル ギ ー疾 患治 療 剤 と して使 用 さ れ,鼻 ア レルギ ー に対 して は皮下 注,筋 注,経 口 な らび に ネ ビュ ラ イザ ー な ど種 々の適 用経 路 に お い て著 明 な効 果 を発 現 す る ことが 報告 さ れ てい る29‑31・97〕.

既 存 の抗 ア レル ギ ー剤 に見 られ るよ うな抗 ヒス タ ミン活 性 は ほ とん どな く,抗 原誘 発 によ るラ ッ ト 腹 腔 肥 満細 胞gモ ル モ ッ ト肺切 片 及 び ヒ ト白血球 か らのche皿icalmediators遊 離 抑制 作用 も弱 い

もの で あ る98・991.そ れ ゆ え,こ れ らの 作 用 の み でNeurotropinの 抗 ア レル ギ ー作 用 を説 明 をす るの は 困難 で あ った.最 近 にな り鼻 ア レルギ ー患者 にお い て観 察 され る鼻 粘 膜m‑ACh・R量 の増 加 をNeurotropi皿 の ネ ビュ ラ イザ ー療 法 が 改 善 し,ま た鼻 ア レル ギ ー モル モ ッ トの鼻 粘 膜rACh・

R量 の 増加 を経 口投 与 が改 善 す る こ と鋤 が 報告 され,鼻 ア レル ギ ーに対 す る作 用 機序 の一 っ に 自 律 神 経 系 を介 す る作用 が 考 え られ るよ うに な って きた.

そ こで,自 律神 経失 調 性 ス トレス下 に あ るS想 丁 ス トレス モ ル モ ッ トの鼻 粘 膜過敏 性,及 び受 動 感 作 に よ る鼻 ア レル ギ ー症 状 に対 す るNeurotropin及 び抗 ア レル ギ ー剤 の 効 果 を検 討 した.

Neurotropi皿 の連 日投 与 はS岨 丁 ス トレス負荷 に よ り出 現 した鼻粘 膜過 敏 性 の パラ メー タ ー の変 化 と鼻 粘 膜rACh。R量 の 増加 のい ず れ を も用 量 依 存的 に改 善 した.ま た受 動感 作 モデ ル の鼻 汁 分 泌 反 応 に対 す るNeurotropinの 抑 制作 用 はS舐Tス トレス モル モ ッ トに対 す る方 が 非 ス トレス動 物 に 対 す る作用 よ り も強 か った.Ketotifenやtranilastも 受 動 感作S姐Tス トレス モデ ルの 鼻 汁 分 泌 量 を著 明 に抑 制 した.し か し,こ れ ら薬 物 はMCh誘 発 鼻 汁過 分 泌 反 応 や鼻 粘 膜m‑ACh・R量 に 対 して はほ とん ど作 用 を 示 さなか った.

以 上 の 成 績 よ り,Neurotropi皿 の 作 用 様 態 は,抗 ヒス タ ミン作 用 を 有 す るketotifenや che皿ica1嘘diators遊 離 抑 制作 用 を主 とす るtranilastの 作 用 機序 とは異 な る と考 え られ る.

す なわ ち,Neurotropinの 鼻 粘膜 過 敏性 に 対 す る改 善 作用 の一 つ に鼻 粘 膜rACh・R量 の正 常 化 が 考 え られ,鼻 汁 分泌 や く しゃみ反射 の 様 な 鼻 ア レル ギ ー症 状 の改 善 にはchemica1脱diators遊 離 に 対 す る弱 い抑 制作 用 に加 え て,そ の 鼻 粘 膜 過敏性 の正 常 化作 用 が重 要 な役 割 を果 た して い るの で

は な い か と考 え ら れ る.

受 動 感 作S択 丁 ス ト レ ス モ ル モ ッ トの 鼻 汁 分 泌 反 応 に 対 し てNeurotropinは,ketotifen

O.3㎎/kg/dayあ る い はtranilast150〜30αng/kg/dayと 併 用 して 相 加 あ る い は 相 乗 的 な 鼻 汁 分 泌 抑 制 作 用 を 示 した.ま たketotifenの 鼻 汁 分 泌 抑 制 作 用 が プ ラ トー と な る3㎎/kg/dayと の 併 用 に お い て も さ ら に そ の 作 用 を 増 強 した.こ れ ら の こ と か ら もNeurotropinはketotifenや

tranilastと は 作 用 様 態 を 異 に す る こ と が 考 え ら れ る.

今 回 の 成 績 よ り,自 律 神 経 系 を 介 し て 鼻 ア レ ル ギ ー 症 状 を 改 善 す るNeurotropinと, ketotifenやtra皿ilastな ど のchemicalmediators遊 離 抑 制 剤 と の 併 用 療 法 は 臨 床 上 に お い て

も極 め て 有 用 で あ る と考 え られ る.一 般 に鼻 ア レ ル ギ ー に 対 す る 治 療 剤 と して は そ の 発 症 機 序 か ら disodiumcromoglicate,ketotife皿,tranilastな ど のchemicahediators遊 離 抑 制 剤,抗 ヒ ス タ ミン 剤 及 び ス テ ロ イ ド剤 な ど の 対 症 療 法 剤 が 主 流 で あ る.し か しな が ら,鼻 粘 膜 過 敏 性 の 正 常 化 を 介 して の 作 用 を 示 し たNenrotropi皿 は 既 存 の 抗 ア レ ル ギ ー剤 と比 較 し て 非 常 に 興 味 深 く,鼻 ア レ ル ギ ー に お け る新 しい タ イ プ の 治 療 剤 と して の 使 用 が 期 待 さ れ る.

V小 括

S岨Tス トレス モ ル モ ヅ トを用 い,反 復寒 冷 暴 露 とい う物 理的 刺 激 に よ り鼻 粘 膜過 敏 性 が 発 現す るか ど うか を検 討 した.ま たNeurotropin及 び 既 存 の 抗 ア レル ギ ー剤 の作 用 を検 討 し,鼻 粘 膜過 敏性 あ るい は鼻 ア レル ギ ーモデ ル 動 物 と して の有 用性 につ いて も検 討 した.

1)SARTス トレス モ ル モ ッ トの 鼻 粘 膜 で はrACh・R量 の 増 加 と と も に鼻 汁 分 泌 を誘 発 す る MChや く し ゃみ反 射 を 誘発 す るHistに 対 す る閾 値 低 下 が 認 め られ た.

2)受 動 感 作S択Tス トレス モル モ ッ トでは抗 原 誘 発 に よ り非 ス トレス モ ルモ ッ トよ り も有 意 に多 い鼻 汁分 泌量 が 認 め られ,S択Tス トレスモル モ ッ トは実験 的鼻 粘 膜過 敏 モデ ル動 物 とな りう る可 能 性が 示 唆 され た.

3)Neurotropinの 連 日投与 はS択Tス トレス負 荷 に よ り出現 した鼻 粘 膜過 敏性 と鼻粘 膜 咋ACh・R 量 の増 加 を 用量 依 存 的 に 改善 した.ま た受 動感 作 モ デ ル の鼻汁 分 泌 反 応 に 対す るNeロrotropinの 抑 制作 用 はS佃Tス トレス モル モ ッ トに おけ る方 が 非 ス トレス動 物 に お け るよ り大 で あ った.

4)Neurotropinはketotifenあ るい はtranilastと 明 らか な協 力作 用 を示 した.

以 上 の 成績 よ り,S岨Tス トレス 負荷 によ り出 現 した鼻粘 膜過敏 性 は 鼻 ア レル ギ ー症 状 を一 層悪 化 させ る こ とが示 唆 され,S岨 丁 ス トレスモル モ ッ トは抗 ア レル ギ ー剤 の薬 効 評価 に有 用 な鼻 ア レ ル ギー あ るい は鼻 粘 膜過 敏 性 モ デ ル 動 物 とな り う る と考 え られ た.ま たNeurotropinの 鼻 ア レル

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