1.ひがし北海道の地域特性
1-1 ひがし北海道の立地特性(気象、交通条件、宿泊施設等)
ひがし北海道における広域観光周遊ルートを形成する市町村は、道路網、鉄道網、航空網、航路網を考 慮し、表 4.1 に示す 5 振興局・60 市町村を対象とする。
表 4.1 東北海道広域観光周遊ルートを形成する市町村一覧
振興局名 市 町 村 名
上川
(14)
上川町、愛別町、比布町、鷹栖町、旭川市、当麻町、東神楽町、東川町、
美瑛町、上富良野町、中富良野町、富良野市、南富良野町、占冠村 十勝
(19)
新得町、鹿追町、清水町、芽室町、音更町、帯広市、中札内村、更別村、
大樹町、広尾町、幕別町、豊頃町、浦幌町、池田町、士幌町、上士幌町、
本別町、足寄町、陸別町、
釧路(8) 釧路市、白糠町、鶴居村、釧路町、厚岸町、浜中町、標茶町、弟子屈町 根室(5) 根室市、別海町、中標津町、標津町、羅臼町
オホーツク
(14)
斜里町、清里町、小清水町、網走市、大空町、美幌町、津別町、訓子府町、
置戸町、北見市、佐呂間町、湧別町、紋別市、遠軽町
(1)気象条件ほか
気象庁の過去 30 年間の平均値データを用い、ひがし北海道広域観光周遊ルートにおけるオホーツク海 側、根室太平洋側、内陸部の代表的観光地 5 市町村の月別の最高気温、最低気温、降水量、最大積雪を表 4.2 に示す。さらに、5 市町村の観光協会や関連機関のホームページを用い、季節の農水産物や野外アク ティビティ、花の状況を併せて示した。
12 月~2 月の冬期気温は、内陸部の旭川、美瑛・富良野、阿寒で低く、沿岸の釧路は内陸部より高い。
なお、流氷が来遊する網走は沿岸部でありながら低い。6 月~8 月の夏季気温は、冬季とは逆に内陸部が 高い。
降水量は、5 地域とも8月~9 月に多い傾向にあるが、花が咲きそろう 6 月~7 月では旭川、美瑛・富 良野、網走で少なく、釧路、阿寒で比較的多い傾向にある。
最大積雪は、内陸部の旭川、美瑛・富良野、阿寒で多く、沿岸部の釧路、網走は少ない。なお、オホー ツク海側の網走では流氷が見られることが特徴である。
季節の農産物では、農村風景として結実前の花の時期が景観的に美しいが、釧路、阿寒では農産物栽培 種類が少なく多彩な彩りに欠ける。水産物は、北海道を代表するカニ、ホタテ、カキ、エビは網走、釧路 で水揚げされ、太平洋側の釧路では、トキシラズ、サンマ、シシャモが特徴的である。
野外アクティビティは、国立公園を 4 地域有する当地域の特徴として、沿岸部はウォッチングや釣り、
内陸部は丘や湖を利用したスキー、ラフティング、カヌーが行われている。
なお、景観的に特徴を表現する花は、美瑛・富良野の農産物としてのラベンダーがブランド化している が、その他の地域は地域の特徴を花で表現する景観創造の試みとして広い区域を人工的に花園にしている、
若しくはガーデンとして開発している傾向が認められる。
4-2
表 4.2 ひがし北海道広域観光周遊エリアの気象、農水産物、アクティビティほかの一覧
旭 川 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 最高気温:℃ -3.5 -2.1 2.6 11.7 17.7 22.9 25.8 26.3 21.6 14.8 5.8 -0.8 最低気温:℃ -12.3 -12.7 -6.3 0.0 5.4 11.6 15.9 16.8 11.2 3.9 -2.0 -7.9 降水量:㎜ 69.6 51.3 54.0 47.6 64.8 63.6 108.7 133.5 130.9 104.3 117.2 96.6
最深積雪:cm 79 90 85 36 0 0 0 0 0 2 30 56
お魚・野菜・果物
アクティビティ スキー
お花
美瑛・富良野 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 最高気温:℃ -4.1 -2.8 2.1 10.9 17.9 22.6 25.7 26.5 21.6 14.8 6.2 -1.1 最低気温:℃ -15.1 -14.9 -8.4 -0.4 5.6 11.1 15.5 16.3 10.6 3.7 -2.4 -10.4 降水量:㎜ 49.6 37.1 49.4 53.5 66.5 54.5 100.0 148.7 134.8 96.9 105.0 69.3
最深積雪:cm 62 73 68 26 0 0 0 0 0 1 24 42
お魚・野菜・果物
アクティビティ スキー
お花 芝桜 ポピー
釧路 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 最高気温:℃ -0.6 -0.4 2.7 7.7 12.0 15.2 18.6 21.2 19.7 14.8 8.7 2.5 最低気温:℃ -10.4 -9.9 -4.9 0.3 5.0 9.0 12.8 15.5 12.3 5.5 -0.8 -7.1 降水量:㎜ 43.2 22.6 58.2 75.8 111.9 107.7 127.7 130.8 155.6 94.6 64.0 50.8
最深積雪:cm 25 26 6 0 0 0 0 0 0 0 3 15
お魚・野菜・果物 ケガニ シシャモ ケガニ
アクティビティ
阿寒 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 最高気温:℃ -4.3 -3.4 0.9 8.2 14.8 18.7 21.7 22.8 18.4 13.1 5.6 -1.3 最低気温:℃ -17.7 -17.6 -11.7 -3.7 1.7 7.2 12.1 13.7 8.6 1.6 -4.9 -12.4 降水量:㎜ 71.9 49.6 77.8 93.2 100.9 81.8 102.7 152.2 161.9 130.2 96.4 76.2 最深積雪:cm 95 105 116 83 5 0 0 0 0 0 12 52 お魚・野菜・果物
アクティビティ スケート
網走 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 最高気温:℃ -2.4 -2.5 1.6 8.9 14.2 17.2 20.8 23.4 20.2 14.8 7.4 0.7 最低気温:℃ -9.4 -10.1 -5.5 0.4 5.4 9.8 14.0 16.6 12.9 6.6 0.1 -5.9 降水量:㎜ 54.5 36.0 43.5 52.1 61.6 53.5 87.4 101.0 108.2 70.3 60.0 59.4
最深積雪:cm 41 52 47 17 1 0 0 0 0 0 6 18
お魚・野菜・果物 アクティビティ
流氷 流氷観光船 流氷
トレッキング、くじらウォッチング
ラベンダー コスモス バラ、ユリ
チューリップ アネモネ
ワカサギ釣り、スキー スケート、スキー
カキ 毛ガニ、ウニ、エビ、 タマネギ ホタテ
アスパラ・トウキビ・メロン・スイカ
ジャガイモ、トウキビ カヌー
乗馬、カヌー、トレッキング、登山 スキー
アスパラ、メロン、ブドウ ラフティング、カヌー、熱気球 スキー・スノーボード
カキ ラフティング、カヌー
スケート
トキシラズ サンマ
メンメ
4-3
(2)交通条件
交通条件として、北海道全体の道路網、鉄道網、航空網、航路網の現状を図 4.1 に示す。
図 1.1 北海道にける交通網
①道路網
高速道路網は、北海道縦断自動車道(道央道)、北海道横断自動車道(札樽道、道東道)は東西南北を結ぶ 有料道路となっており、これに接続して無料通行の高規格道路が配置されている。高速道路の延伸工事は 函館側の一部、余市・釧路・紋別側で継続中であるが、札幌を中心として道路網は整備されていると言え る。
ただし、ひがし北海道エリアとしては、南北(オホーツク海側と太平洋側)を結ぶ高速道路ルートなく、
一般国道を利用する点でひがし北海道エリアを移動するに際し時間的課題が残る。
一般国道は、ほぼ地域の中心都市を結んで整備されており、一般国道を補助する役割で北海道道も整備 されている。北海道道の道路整備状態も、殆どが舗装化され快適な移動交通が可能となっている。
ひがし北海道広域観光周遊エリアを時間を気にせずに回るには、札幌中心として整備された高速道路を 利用するよりは、一般国道、北海道道の利用が最適である。
出典:国土地理院:
国土数値情報より作図 図 4.1 北海道の交通条件図
4-4
②都市間バスの現状
ひがし北海道広域観光周遊エリアの都市間バスの現状を表 4.3 に示す。
札幌中心に人口集中が進んでおり、都市間バスの運行も札幌と地域の中心都市を結ぶ路線が多い。しか し、鉄道網や高速道路網の現状、利用者の需要動向も見込まれることから、旭川、北見、釧路、帯広を結 ぶ都市間バス網も路線数は少ないながら形成されている。
表 4.3 ひがし北海道広域観光周遊エリアの都市間バスの現状
会社名 名 称 区 間
北海道中央バス スターライト釧路号 札幌~音別~白糠~釧路 北海道中央バス ポテトライナー 札幌~清水~芽室~帯広 北海道中央バス ドリーミントオホーツク号 札幌~北見~女満別~網走
北海道中央バス 流氷もんべつ号 札幌~北見~当麻~上川駅~滝上~紋別 北海道中央バス イーグルライナー 札幌~東藻琴~小清水~斜里~ウトロ 北海道中央バス 高速えんがる号 札幌~旭川~愛別~丸瀬布~遠軽 北海道中央バス 高速ふらの号 札幌~東滝川~赤平~芦別~富良野
北都交通 オーロラ号 札幌~中標津~別海~根室
北都交通 とかちミルキーライナー号 十勝川温泉~帯広駅~新千歳空港 北都交通 ポテトライナー号 札幌~北見~女満別~網走
阿寒バス 釧北号 北見~津別~阿寒湖~釧路
阿寒バス スターライト釧路号 札幌~音別~大楽毛~釧路
ふらのバス ラベンダー号 新プリンス H~富良野~中富良野~上富良野~美瑛~
旭川空港~旭川
道北バス ノースライナー 旭川~美瑛~富良野~新得~芽室~帯広 道北バス ノースライナー 旭川~音更(三国峠経由)
道北バス ノースライナー 帯広~層雲峡(三国峠経由)
道北バス 石北号 北見~温根湯~層雲峡~当麻~旭川
道北バス
阿寒バス サンライズ 旭川・釧路号 釧路駅~阿寒湖~津別~温根湯~層雲峡~旭川
③鉄道路線網(JR 北海道)
北海道での広域鉄道網は、北海道旅客鉄道(JR 北海道)1社のみが運行し、地域交通網では、札幌市営 地下鉄、路面電車、および函館市の路面電車がある。
表 4.4 に JR 北海道の路線表を示す。
JR 北海道の路線は、札幌駅を中心に函館駅、室蘭駅、旭川駅、稚内駅、網走駅、帯広駅、釧路駅を結ん で特急が運行されている。しかし、旭川駅と帯広駅、釧路駅と網走駅を結ぶ路線では特急は運行されてお らず普通列車のみである。これより JR 北海道の路線は、札幌を中心とした運行で、ひがし北海道エリア を南北に移動するには時間的利便性が劣っている。
特急列車は、札幌~函館間で 1 日 28 往復、札幌~室蘭間で 1 日 12 往復、札幌~旭川間で 1 日 46 往 復、札幌~稚内間で 1 日 6 往復、札幌~網走間で 1 日 8 往復、札幌~帯広間で 1 日 10 往復、札幌~釧 路間で 1 日 12 往復が運行されている。
なお、平成 28 年 3 月 26 日開業の北海道新幹線により、新函館北斗駅まで JR 東日本と接続されること
4-5 となる。
次に、ひがし北海道広域観光周遊エリアに位置するブランド観光地域の一つである美瑛・富良野地域は、
旭川駅・滝川駅と帯広駅間に位置するため、特急列車の運行区域外となる。また、釧路と網走を結ぶ釧網 本線では特急列車が運行されていない。さらに、釧路駅と根室駅を結ぶ花咲線でも特急列車は運行されて いない。
このため JR 北海道では、観光利用が多い一部路線で、季節限定のリゾート列車を運行し利用者の利便 性向上に努めている。ひがし北海道広域観光周遊エリアでは、函館本線、根室本線を利用した札幌駅~富 良野駅間を短時間で結ぶフラノラベンダーエクスプレス、富良野線を利用しラベンダー開花時期に旭川駅 と富良野駅を結ぶ富良野・美瑛ノロッコ号、釧網本線を釧路湿原の夏と冬に釧路駅と川湯温泉・標茶駅を 結ぶくしろ湿原ノロッコ号やくしろ湿原ノロッコ号、冬の流氷時期に網走駅と知床斜里駅を結ぶ流氷ノロ ッコ号であり、これらは観光客をターゲットとしている。
ひがし北海道広域観光周遊エリアでの季節限定のリゾート列車を表 4.5 に示す。
表 4.4 JR 北海道の路線表
路 線 起点駅~経由~終点駅
函館本線 函館~長万部~小樽~旭川
根室本線 滝川~赤平~厚別~富良野~帯広~釧路 千歳線 苗穂~南千歳~苫小牧
室蘭本線 長万部~洞爺~伊達紋別~東室蘭~苫小牧~沼ノ端追分~岩見沢 石勝線 南千歳~追分~新得
石北本線 旭川~上川~遠軽~北見~網走
富良野線 旭川~神楽岡~美瑛~美馬牛~上富良野~ラベンダー畑~中富良野~富良野 花咲線 釧路~厚岸~根室
釧網本線 網走~知床斜里~川湯温泉~東釧路(釧路)
表 4.5 ひがし北海道広域観光周遊エリアにおける JR 北海道の季節限定リゾート列車
路 線 列 車 名 区 間
根室本線 フラノラベンダーエクスプレス 札幌駅~滝川駅~富良野駅
富良野線 富良野・美瑛ノロッコ号 旭川駅~美瑛駅~上富良野駅~ラベンダー畑駅
~中富良野駅~富良野駅
釧網本線
くしろ湿原ノロッコ号 釧路駅~塘路駅~(川湯温泉駅)
SL 冬の湿原号 釧路駅~標茶駅(川湯温泉駅)
流氷ノロッコ号 網走駅~知床斜里駅
④航空路線網
平成 28 年 3 月ようやく新幹線が新函館北斗駅まで開通するが、北海道と本州各地を結ぶ移動手段は、
依然として航空路線が主要な位置を占めている。
現在北海道内には 11 空港があり、ひがし北海道広域観光周遊エリアには、旭川空港、たんちょう釧路 空港、女満別空港、とかち帯広空港、中標津空港、オホーツク紋別空港の 6 空港がある。
北海道内における空港別の路線を表 4.6、利用者数の推移を図 4.2、平成 26 年の空港別利用者数を図 4.3 に示す。
北海道内では新千歳空港が、旅客数、路線数とも飛び抜けて多い。