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ひがし北海道地域のマーケティング戦略

ドキュメント内 Microsoft Word - 目次・第1章.docx (ページ 180-195)

1.ひがし北海道における観光客誘致の基本戦略

1-1 ひがし北海道地域を訪れる外国人観光客の特性

ひがし北海道地域を訪れる外国人観光客の特性を明らかにするため、今回、道央地域においても外 国人観光客に同様のアンケート調査を行い、その比較を試みた。比較対象として道央地域を選んだ理 由としては、道央地域は外国人観光客に人気のあるゴールデンルートがあるなど北海道の中心的な観 光地域であり、北海道を訪れる外国人観光客の平均的な動向が把握できると考えたからである。

その詳細は第3章に記載しているが、その概要を表 5.1にまとめてみた。

表 5.1 実態調査により得られた道央及びひがし北海道に訪問する外国人観光客の主要特質

道央 ひがし北海道

年齢 20 代中心 30 代~40 代中心

外国人国籍 台湾、中国 中国

同行者 1人~3人(多様) 2 人~4 人(家族中心)

訪日回数 初訪日 リピーター(ひがし北海道は初め

て)

日数 3 日~8 日間、多様 5 日間と 8 日間の滞在が多い

観光魅力 自然、温泉、食 自然、温泉、食

交通手段 鉄道 貸切バス、鉄道、路線バス

観光都市 札幌、小樽 網走、阿寒

宿泊都市 札幌、小樽、函館、登別、洞爺、旭川 旭川、阿寒、網走、層雲峡 手配方法 Web90% Web、手配ツアー、団体ツアー ガイドブックの

掲載頻度

ゴールデンルート中心に掲載されている、観 光地の紹介が多い。

釧路、網走など少ない観光地のみ 紹介されている。

注:内訳は第 3 章に参照する。

道央とひがし北海道地域における訪日外国人観光客の特徴を比較した結果、いくつかのことが推測 できる。

まず、道央地域は観光地域として成長あるいは成熟地域にあるといえる。その理由は、最も重要な指 標である入込数はもちろん、観光客の若年化と個人客や友人同士の観光が増えたことがあげられる。

また、滞在日数は多様であり、周遊型にも滞在型にも適応した地域といえる。さらに、知名度が高いゆ

5-2

え、予約形態は Web 予約が中心となっている。この知名度をさらに拡散させているのはガイドブック である。各国の代表的なガイドブックを調べたところ、道央地域についてはほとんど詳細な案内があ り、観光名所は多数紹介されているという大きな特徴がある。

一方、ひがし北海道地域は、30 代~40 代を中心とした家族旅行が主要な旅行形態である。また、

多くの観光客はすでに日本の他地域に観光をした経験を持っているリピーター客であるが、ひがし北 海道への訪問は初めてという客が多い。

滞在日数がもっとも多かったのは 5 日間で、次は 8 日間である。このことから観光形態としては滞 在型の特徴をもっている。ガイドブックの紹介が少ないことも観光客の入込数に大きく影響し、いま だに北海道では、ひがし北海道地域における外国人観光客の入込数は全道の中では最も低くなってい る。

今回の実態調査では、中国人の回答者が非常に多かったことが一つの特徴であった。その理由とし て、中国での大人気映画『狙った恋の落とし方』の影響は、まだ続いていると考えられ、ロケ地として 釧路、阿寒、網走、斜里、美幌などの地域は中国人にとって人気観光地であり、いまだに観光地の選択 に影響していると推測できる。さらに、ガイドブックの調査では、中国でもっとも売れているガイドブ ックはロンリープラネット社が出版している『日本』ガイドブックである。中国国内における観光形態 の欧米化が現れたとも考えられる。

以上の調査を踏まえ、また各種資料からのデータにより、ひがし北海道の特質と問題点を SWOT 分 析によって分類した。これにより、ひがし北海道の特徴と問題点が明確になった。

これを踏まえ、今後、観光地域の強みを活かし、ターゲット別に具体的な戦略を構築する必要があ る。具体的には表 5.2 のようになる。

表 5.2 ひがし北海道の SWOT 分析

強み 弱み

・手付かずの自然 ・知名度が低い

・穴場的な存在 ・地域が広大なため、短期滞在では周遊しきれない。

・豊富な食材 ・二次交通は不便(JRとバスなど)、交通ネットワークは不

便である。

・広大な地域、多様な自然 ・自然条件が厳しいので、冬場の運転は危険である。

・四季折々 ・都市部の観光が少ないため、観光行動が単調になる。

・多様な野生動物(鹿、狐など) ・初訪問客として、重要観光地になりにくい。

・アジア地域にとって、縁起の良い動物が点在してい る。(丹頂鶴、鹿など)

・観光整備は遅れている。

・多様な交通手段(国内便、JR、バス、レンタカー) ・観光の魅力より観光のコストが高い。

・日本風の自然も、欧州の風景も感じられるような、異 国的な魅力がある。

・未開発な観光地を好む観光客にとって、十分発展する 機会がある。

・観光素材が豊富なため、観光客の観光特徴に応じた提 案が新規に開発できる。

・既存のイメージはまだ明確ではないが、マイナスなイ メージは存在しないため、イメージ戦略を構築しやす い。

機会 脅威

・定番観光地の集客能力は飽和状況になりつつあるた め、宿泊料金の高騰など問題が生じた。それによって、

地方への観光の分散に拍車をかけている。

・北海道では、自然・食を魅力要素として観光客を誘致する地 域が多い、観光魅力の差別化が構築しづらい。

・新たな日本の魅力を求める観光客の増加。 ・観光コストの低い地域と競争しにくい。

・日本観光ブームにより、日本観光全体の知名度を向上 した。

・「観光立地域」の国策により、各地も観光に力を入れている ので、競争が激しくなる。

・リピーター客の増加により、観光目的地の多様化が求 められている。

・中国経済の低迷によって、富裕層の割合が減少。

・移民など世界的不安定要素が増加しているため、余暇を楽し む客の減少。

・日本国内消費の値上げ、宿泊料金の高騰などの要素により、

観光消費コストが高騰しつつある。

・移動距離が長いなど課題によって、観光ルートを構築しにく い。周遊型のツアー客には不向きなため、観光客が飛躍的に増 加することは難しい。

5-4 1-2 ターゲットの特性

今回の資料調査並びに実態調査から明らかになった各市場の特性を表 5.3で整理した。全般的な特 性は次の通りである。

(1)個人旅行化の加速

成熟市場は明らかに個人旅行が中心であり、発展市場は団体と個人が混在、新興市場は団体中心と いう特徴がみられる。しかし、今回の調査で発展市場、新興市場とも個人旅行化の傾向が高まってきて いることが注目され、今後、かなり早い段階で個人旅行化がさらに加速するものと考えられる。そのタ ーゲットは、各国内に存在しており、特定の国・地域へのプロモーションの一方で、そうした人たちに 直接アピールする情報ツールを見出すことが必要である。

(2)明確な2シーズン観光

北海道はその気候風土から大きく夏と冬との2つの観光シーズンが存在する。夏の花風景、自然風 景、新鮮な食、温泉を楽しむといった観光と、雪景色やスキーを楽しむ観光という大きく2つの観光の 舞台を持っているのが北海道であり、その特徴が顕著に見られるのがひがし北海道である。そして、そ れぞれの市場は類似しているが、必ずしも同一ではないため、季節別・国別の市場アプローチが必要と なってくる。

(3)マニアックなリピーター客

ひがし北海道の魅力はやはり奥深い自然にある。道央地域に比べひがし北海道を訪れる外国人にリ ピーターが多いのは、そうしたマニアに好まれる豊かな自然の存在と季節ごとで表情の違う自然に出 会えることである。このようなリピーターはまだまだ少ないかもしれないが、このような人たちがオ ピニオンリーダーとして今後のひがし北海道の観光を牽引していくものと考えられる。

(4)冬期における滞在型観光の普及

アジア地域の休暇制度とも関連して、冬期観光における長期滞在化が目立っている。何日も家族と 一緒に滞在して冬の世界を楽しむという観光客が冬のひがし北海道観光の定番になってきている。こ れは、ニセコなどのスキーリゾート客とは異なったもう一つの冬期リゾート需要と考えられる。

表 5.3 ターゲット市場の観光特徴

道東の観光特徴 データ

・団体中心 ・個人観光

・初訪日 ・リピーター客の増加

・1週間の滞在 ・観光行動の多様化

・家族・親族中心

・個人客 ・個人客の拡大

・初訪日 ・滞在日数の増加

・1週間以内

・家族・親族中心

・個人客

・初訪日

・2週間以内の滞在

・家族・親族中心

・個人客

・初訪日

・1週間以内

・家族・親族中心

・個人客 ・個人客の増加

・リピーター ・初訪日の割合20%未満

・1週間以内 ・ 2 週 間 以 内 の 長 期 滞 在の 増加

・家族・親族中心

・個人客 ・個人客の増加

・初訪日 ・リピーター客の増加

・2週間以内

・家族・親族中心

・個人と団体半々の割合

・リピーター

・1週間以内

・家族・親族中心

タイ 3 月 中 旬 ~ 5 月 末 。 小 ~

高校の夏休みと重なる。

冬 季 の 滞 在 型 が 多い(十勝圏)

マ レ ー シア 市場 分類

国・地

主要特徴 発展的特徴 人気シーズン

・個人客の増加 11 月 と 12 月 。 学校 の休 みと重なる。

12 月 の 滞 在 が 目 立 つ 。 ( 十 勝 圏)

発展 市場

台湾 ・個人客の増加 7 月 、 8 月 。 学 校 の 休 み

と重なる。 周遊型中心

韓国 ・個人客の増加

・ 通 年 的 に 連 泊 す る 傾 向 が あ る 。 ( オ ホ ー ツ ク圏)

8月、12月。学校の夏休 み、冬休みと重なる。

新興 市場

中国 夏 の 7 、 8 、 9 月 。 新 学

期前の夏休みと重なる。 周遊型中心。

成熟 市場

香港 7 月 。 学 校 の 休 み と 重 な

る。

基 本 周 遊 型 、 冬 季 の 連 泊 が 見 ら れ る 。 ( 十 勝 圏)

シ ン ガ ポール

12 月 。 学 校 の 休 み と 重 なる。

冬 季 の 滞 在 型 が 目 立 つ 。 特 に 3 月 。 夏 場 の レ ン タカーが人気。

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