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作成者に対する調査同様,利用者にも,のれんの資産としての性格に関する質問を行った。

最初に尋ねた質問事項とその回答結果は次の通りである。

のれんには半永久的に減価しない部分があるか

(Q2)のれんには半永久的に価値が維持される部分があると考えますか。以下の選択肢 から該当するものをひとつお選びください。

(選択肢)

① 全部または大部分の価値は半永久的に維持される

② 半永久的に価値が維持される部分も,維持されない部分も両方存在する

③ 半永久的に価値が維持される部分はない

④ わからない

図表2-34 のれんの資産としての性格

回答件数 割合(%)

① 全部または大部分の価値は半永久的に維

持される 3 2.31

② 半永久的に価値が維持される部分も,維持

されない部分も両方存在する 75 57.69

③ 半永久的に価値が維持される部分はない 43 33.08

④ わからない 9 6.92

合計 130 100

 利用者についても「②半永久的に価値が維持される部分も,維持されない部分も両方存 在する」と「③半永久的に価値が維持される部分はない」で回答のほとんど(約90%) を占めている点は作成者の回答結果と類似しているが,その内訳をみると「②半永久的 に価値が維持される部分も,維持されない部分も両方存在する」の方が「③半永久的に 価値が維持される部分はない」と回答した割合よりも高くなっている(前者は 57.69%

であり,後者は33.08%)。他方,作成者はおおむね半々(サンプル全体でみた場合,前

者が42.92%,後者が46.74%)であった。作成者は「③半永久的に価値が維持される部

分はない」が多く,利用者は「②半永久的に価値が維持される部分も,維持されない部 分も両方存在する」が多いため,回答の傾向に若干の違いがみられる。

のれんを構成する要素

本調査では Q2 に対する回答に応じて追加的な質問を行った。まず,「①全部または大部 分の価値は半永久的に維持される」または「②永久的に価値が維持される部分も,維持され ない部分も両方存在する」と回答した場合に,以下の2つの追加的な質問を行った。

(Q2-1)以下ではのれんを構成する要素として考えられる項目が列挙されています。

以下の項目全てについて該当するものをひとつずつお選びください。(選択肢:①=「減 価する」,②=「おおむね減価する」,③=「おおむね減価しない」,④=「減価しない」,

⑤=「わからない」,⑥=「のれんの構成要素ではない」のいずれかを選択)

(本調査で取り上げた要素)

1. ブランド

2. 営業上のノウハウ 3. 独自の技術 4. ビジネス・モデル 5. 人的資源

6. 立地条件

図表2-35 のれんの構成要素について

パネルA(ブランド)

合計 回答件数 13 15 35 9 4 2 78

割合(%) 16.67 19.23 44.87 11.54 5.13 2.56 100

パネルB(営業上のノウハウ)

合計 回答件数 19 27 22 3 4 3 78

割合(%) 24.36 34.62 28.21 3.85 5.13 3.85 100

パネルC(独自の技術)

合計 回答件数 19 37 14 2 4 2 78

割合(%) 24.36 47.44 17.95 2.56 5.13 2.56 100

パネルD(ビジネス・モデル)

合計 回答件数 18 33 14 3 5 5 78

割合(%) 23.08 42.31 17.95 3.85 6.41 6.41 100

パネルE(人的資源)

合計 回答件数 14 38 15 1 8 2 78

割合(%) 17.95 48.72 19.23 1.28 10.26 2.56 100

パネルF(立地条件)

合計 回答件数 10 20 27 4 7 10 78

割合(%) 12.82 25.64 34.62 5.13 8.97 12.82 100

 のれんにはQ2の「①全部または大部分の価値は半永久的に維持される」または「②半 永久的に価値が維持される部分も,維持されない部分も両方存在する」とした回答者の 中で,Q2-1「③おおむね減価しない/④減価しない」と回答した割合が「①減価する/

②おおむね減価する」と回答した割合を大きく上回っているのはパネルA(ブランド)

のみであった。パネルF(立地条件)を除いて,パネルB(営業上のノウハウ),パネル C(独自の技術),パネルD(ビジネス・モデル),およびパネルE(人的資源)につい ては「③おおむね減価しない/④減価しない」と回答した割合が「①減価する/②おお むね減価する」と回答した割合を下回っていることが確認できる。

 パネルA(ブランド)に関して「③おおむね減価しない/④減価しない」と考えている 回答者の割合が高くなっている点は,利用者と作成者で共通していた。

次にQ2-1に挙げた以外ののれんの構成要素としてどのようなものが含まれると考えてい るかについて自由回答形式で質問を行った。

(Q2-2)Q2-1で挙げられている項目以外にのれんを構成すると考えられる要素があれば 以下の回答欄にご記入ください。

回答は8件あり89,その内容は以下の通りである。

 (取得先の)データ(例:販売・購買価格データの相互活用)

 特許権・販売権/商権

 規制や税制での相対的優位性

 過大なプレミアム

 経営陣の能力90

 回答の中には「超過収益力とは個別の要素に還元することは困難であり,むしろ事業全 体として競争優位性をもつか否かに尽きる」との指摘もあった。

 もっとも多かった回答は,特許権・販売権/商権といった権利に関するものであった。

また,「過大なプレミアム」が買入のれんの中に含まれているとの指摘は作成者にはみ られなかった指摘ではあるが, M&Aにおけるオーバー・プライシング(最終的には減 損に至る)の多発を考えれば,この点を指摘した回答者以外にも,「過大なプレミアム」

の支払いがのれん金額を構成しているのではないかとみている利用者(作成者も)は多 いと予想される。

89 実際には9件の回答があったが,1件はQ2の回答に対する補足であった。

90 「人的資源」の項目は経営陣(経営者)を含めて設けていたが,自由回答にて指摘があったため,回答 結果として紹介している。