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平均気温
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図- 1 -10 佐賀市の月別平均気温(佐賀地方気象台: 1951-1980)
図- 1 -11は佐賀県の年降水量の地域的分布を示しているが, 佐賀市では
年降水量は約1.800mm と, 全国平均とほぼ同程度である. しかし, 佐賀県全 体では2,200mmを越えるところが多く, 背振 ・ 多良山系では2.800mm以上と なっている. このように, 有明海沿岸低平地の降水量は佐賀県内では少ない方 であるが, 山地の降水量が多いため, その平野部における排水問題が重要とな
る.
次に, 降水量の時期的変動については, 図- 1 -1 2に佐賀平野における旬 別降水量とその変動特性を示すが, 以下の4点が明らかである.
①4'""5月の降雨量が比較的多い.
②6'""7月の梅雨期に豪雨が多発する.
③7'""8月の変動係数が大きく, 皐魁が発生しやすい
④9'"" 10月は台風による雨量の変動が大きい.
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図- 1 -11 佐賀県の年降水量の地域的分布
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図- 1 -12 佐賀市における旬別降水量(1891'"-'1979年)
表- 1 -10は, 佐賀市と東京都千代田区の月別降水量を比較し たものであ る. 年降水量において, 佐賀の方が300mm 多く, 月別では1'"""'8月まで佐賀が 多く, 特に6, 7月は100'"""'200mm も多くなっており, 佐賀は豪雨を特徴とす ることがわかる. 逆に, 10月は東京の方が秋雨前線の影響を受け, 佐賀の約2 倍となっている. このことからも, 上述①~④の特徴が示されている.
表- 1 -10 佐賀市と東京都千代田区の月別平均降水量 (佐賀: 1891� 1980年, 東京: 1949'""'" 1978年)
月 平均降水量(mm) 変動係数(%) 佐賀 東京 佐賀 東京
l 55.7 54.3 58 71
2 71.1 66.4 48 55
3 113.8 98.7 44 45
4 177.7 130.0 49 32
。 172.5 146.9 54 50
6 310.4 196.0 52 50
7 308.0 127.2 66 55
8 178.2 148.8 78 65
9 199.2 197.2 59 61
10 96.8 183.9 63 45
11 68.7 92.2 52 55
12 57.2 61.3 58 80
年 1.809.5 1,503.0 19 15
3 )水質環境
有明海沿岸のクリーク地帯では農業用水は河川取水の後, 反復利用の過程で 農地排水や生活雑排水が混入してくる. このため, 各種の栄養塩濃度が高い特 質を持っていると言われており, 古賀ら(1977)はこのことが水稲生産力を高い 水準に維持してきた一因と考えている. しかしながら, 高い栄養塩濃度は農業 用排水の有機性汚濁を助長し, 農村環境の荒廃と農作物の正常な生育に支障を 来す恐れがある.
古賀ら(1977)は, 1974年7月'"""'8月に福岡県および佐賀県のクリーク水田地 帯において主要6河川14地点と, 主要クリーク19地点の水質調査を行うととも に, 1950年,...__ 1957年の水質との比較を行っており, クリーク水田地帯の潅減 水の富栄養化について様々の知見を得ている. このなかでは, 次のことを報告
...-している.
①河川水, クリーク水とも平坦地の上部から下部へと各成分濃度が高くなる.
この傾向は, 都市あるいは工業排水の影響が強いほど著しいが, 水田農業 地帯内のクリークでも富栄養化の進行が認められた.
②クリーク水田地帯の潅瓶水は, ほぼ20年間に河川r) クリークとも著し く 富栄養化してきたことが認められ, 特に窒素, リン酸, カリウムなど栄養 塩類の増加はクリーク地帯の生態系ばか りでなく, 水田作へも大きく影響 を及ぼしている.
また, 佐賀平野では, このような富栄養化の進行に関わらず, 現在のところ 富栄養化の特徴的な発現形態としてアオコの異常発生については報告例が無く,
このことはクリークの水質環境により植物プランクトンの増殖種がある程度規 定されることが主な理由として考えられる.
白谷ら(1991)は有明海沿岸の農村地帯における水質の特徴を4つの異なった 水域特性ごとにまとめている. すなわち, 佐賀平野のクリークを①佐賀市の調 査結果(飯盛) 1986)をもとに都市的影響を受ける佐賀市内の小河川(クリーク) を「佐賀市内小河川J ) ②河川頭首工から取水され, 途中で・農業排水や家庭排 水の混入のない農業用水路および, 佐賀平野の山麓部に近い自然河川で農業排 水や家庭排水の影響を比較的受けないものを「農業用水路等J ) ③国営筑後川 下流農業水利事業またはその関連する県営土地改良事業で造成された素掘の幹 線用排水路を「幹線クリークJ ) ④幹線用排水路に続く支線農業用排水路で,
農地排水の影響を強く受けると 考えられるものを「支線クリーク」として分類 している.
それぞれの水質概要を表- 1 -11に示す.
CODについては, 支線クリーク, 幹線クリーク, 佐賀市内小河川, 農業用 水路等の順に高い値となっている. 支線クリーク, 幹線クリークではそのばら つきが大きいものの, そのほとんどは6mg.[-1を上回っている.
T-Nについては, 幹線クリーク, 農業用水路等, 佐賀市内小河川, 支線クリ ークの)1債に高い. 全体の7割以上が1mg.[-1を上回っており, 農業用水路等およ び幹線クリークでは平均1mg.Z-1程度であるが, 幹線クリークのうち佐賀平野 東部の筑後川に近い調査地点では相対的に低濃度であった. 支線クリークおよ
...-ぴ佐賀市内小河川では2mg.[-1を越える地点もあ った.
T-Pについては , 農業用水路等がO.lmg.[-l以下で最も低く, 佐賀市内小河川 と幹線クリークが0.2�0.3mg.Z-lで同程度であるが, 幹線クリークのうち六角 川右岸の調査地点では0.6�0.7mg.Z.lと他の調査地点に比べて比較的高濃度と なっていた. 支線クリークでは濃度が極めて高く, そのほとんどが0.5mg.Z'1 を上回るもので, 特に, 六角川右岸の有明海沿岸の調査地点では 3mg.Z-1を大 きく超え ていた.
表- 1 -1 1 調査水質の概要(mg.Z-1)
佐賀市内小河川 農業用水路等
COD T-N T-P COD T-N T-P
平 均 4.96 1.16 0.234 4.15 0.98 0.053 標準偏差 1.56 0.60 0.141 1. 02 0.22 0.028 最 大値 7.8 3.57 0.550 5.6 1.18 0.100 最 小 値 2.3 0.68 0.020 2.6 0.60 0.020
データ数 27 6
幹線クリーク 支線クリーク
COD T-N T-P COD T時N T-P
平 均 8.96 1.13 0.291 9.05 1.62 1.611 標準偏差 3.59 0.44 0.216 3.00 0.86 1.638 最 大 値 14.4 1.65 0.691 14.2 3.47 5.190 最 小 値 3.6 0.49 0.069 3.2 0.48 0.150
データ数 11 12
T-NとT-Pの関係を見ると, 主要湖沼のTN:TP比が12� 1 00以上であるの に対して, 有明海沿岸低平地の農業用水路等では TN:TP比が約23で, ほぼ一 般的な湖沼の値に近いが, 家庭雑排水の流入する佐賀市内小河川や, 農地排水 の流入する幹線および支線クリークのTN:TP比は はるかに低かった. 幹線ク リークの値は 佐賀市内の小河川とほぼ同様の傾向を持ちTN:TP比が6,-...., 8, 支 線クリークではばらつき が大き いものの, 平均はTN:TP比が約2と極めて低か った. つまり, 農地の影響を受けるほどTN:TP比が小さくなる傾向を伺うこ とができる.
一般に内部生産の異常増大を富栄養化現象とするが, 植物プランクトンの増
殖には炭素(C), 水素(H), 酸素(0), 窒素(N), リン(P), カリウム(K), 鉄(Fe),
マンガ、ン(Mn)やその他の微量要素が必要である. 多くの水域では 窒素とリン 以外は増殖にとって十分に存在しているため, 富栄養化の原因(素因)としては,
Liebigの最少律に より水中の窒素とリン濃度が問題とされる. これらの限界濃 度としては, Sawyerに よれば窒素でO.3mg.Z-1, リンでO.Olmg.Z-1あるいは,
窒素で0.15mg.Z-1, リンで0.02mg.いといわれる. 有明海沿岸低平地の農業用 排水水質をこれらの基準にあてはめると富栄養化するに十分の水質である. 表
- 1 -7の「生活環境保全に関する環境基準(湖沼)Jにあてはめると, 調査地 点の約半数がC類型を満足せず, 大半がV類型をも満足しない. また, 坂本に よる湖沼の分類では, いずれの調査地点についても「富栄養」の状態である.
水中の窒素・ リン濃度のうちどちらが植物プランクトン増殖の制限因子にな るかは, 植物プランクトンの摂取するTN:TP比と水域のTN:TP比から推察され る.
藻類増殖の概念式は, 藻類の主成分をC, N, P, H, 0と考えて次のように 表現される(小林, 1991).
HP042・+106C02・+16N03・+122H20+18H+
→C 106H2630 lloN 16P+ 13802
そして, Richardsは藻類の示性式を(CH20)106(NH3) 16・H3P04で表示してい る. これをもとに植物プランクトンの摂取するTN:TP比を求めると7.2となる が, 一般に, 7"""' 10程度以上のTN:TP比であればリンが 制限因子として取り扱 つことが出来ようとの見解が示されている(住友ら, 1990). 一般の湖沼ではリ ンが制限因子となっている場合が多いといわれる.
佐賀平野のクリークについては, TN:TP 比は支線クリークで1"""'3と極めて 低い特徴があり, したがって, 支線および幹線クリークのように農業 ・ 農村地 域の水域では TN:TP 比が小さいことから窒素が規制要因となるの水域が多く なることが考えられる.
また, Rhee ら(1980)は植物プランクトンの増殖は, 水域の TN:TP 比に規定 され, 与えられた TN:TP 比に応じた種が優占するという仮説をたてており,
...--佐賀平野のクリークのように極端に TN:TP比の偏った水質環境は植物プラン クトンの生息環境として特殊なものである.
また, 白谷ら(1995)は1993年のクリーク水質と植物プランクトンに関する 調査結果から, 次のことを明らかにしている.
①多様性指数が低下するとき, 主に第1優占種となる種はChlamydomonas globosaで-あり, この種は条件がそろえば優占的に異常増殖し易いもので あることが推測される.
②植物プランクトンの群集構造の類似性は概ね六角川を境に異なり, 水域環 境の類似性から群集構造を推定することの可能性が示唆される.
③全地点において出現率の高い上位10種のうちで, Chl. globosa, Chl. sp.
の2種およびTrachelomonas scabra とλグelosÍra およびDÍctyoashaerÍum pulchellum は理化学的水質に対する優占構成率から相対的に2つに分ける ことができる. また, 主な6種については, 優占構成率は栄養塩濃度や塩
素イオン濃度などいくつかの水質項目で表現することができる.
第4節 本論文の視点と構成
水域の水質環境保全のためには, 系内の発生負荷を削減することが正当な方 法であるが, 農業 ・ 農村地帯では, 農地排水にともなう発生負荷の割合が大き いことが特徴であるため農地負荷を極力削減することが重要となる. 特に, 近 年では低平地帯でも水田の畑転換など土地利用の高度化が図られることにとも ない, 農地からの窒素流出が大きくなる傾向がある.
発生負荷の削減は, 水域の水質保全計画のもとで計画的に実施されるもので あり, その際に発生負荷の定量的把握が必要となる. 農地からの窒素, リンの 流出問題は負荷源の特徴として非点源負荷に分類され, 発生負荷量の普遍的な 定量把握が困難なものの1つとなっている. さらに, 低平地帯のクリークなど では水理学的場が非潅減期や無降雨時には静的であるが, 降雨時には動的な環 境となり水域の水交換がなされるため, 一作期においても発生負荷の時系列的 な変動が評価される必要がある. しかも, 広域の多様な農地を対象にした場合 には取り扱いが容易で汎用的な手法が要求される.