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表6-2 土地利用分類表

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農用地 畑、 回、 茶畑など

森林 |広葉樹林など

雑種地 |荒地など

河川・水面・水路

|

湖、 池、 河川など

道路 国道、 市道

住宅用地 住居用地、 併用住宅用地など

工業用地

|

運輸・倉庫用地、 重化学工業用地、 軽工業用地、

家内工業用地

商業用地

|

商業・業務用地、 宿泊施設用地、 娯楽施設用地、

遊戯施設用地

公共施設用地 |文教施設用地(小学校など)、 厚生施設用地(病院

、 保育所など), 官公庁用地 その他の用地 供給処理施設用地、 畜産用地 公共空地 公園、 緑地、 墓地など 未利用空地 未利用空地

鉄道敷地 鉄道敷地

その他 その他

|本研究で用いた分類

lb農

森 林

1 \

-仁

| 水面 水路

l

第7章 研究の総括

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124-第7章 研究の総括

本論文では、 コンビュータ画像処理、 コンビュータグラフィックス、 画像モンター ジュの技術を応用し、 独自にプログラムの開発をおこない、 景観研究の新たな研究手 法、 景観シミュレーションの作成方法を提案した。

本論の第2章では、 コンビュータ画像処理を応用し、 景観の特性を定量的に表わす 指標の提案 をおこない、 その有効性について検討 をおこなった。 第3章では、 コン ビュータグラフィックス の手法により、 街路空間における視覚的環境を明らかにし た。 第4章では、 人間が景観を知覚する行為、 すなわち注視行為に着目し、 景観の構 図、 心理評価と注視行為の関係を明らかにした。 第5章では、 国土数値地図を用いて 広域的景観の特性を空間的、 視覚的に分析し、 都市の類型化をおこなった。 第6章で は、 広域的都市空間を、 コンビュータの仮想、空間上にリアルに表現する新たなシミュ レー ション手法を提案し、 実景の写真と比較しながら手法の有効性について検討し た。

以下に本研究によって得られた知見をまとめ、 研究の総括をおこなう。

第1章では、 研究の目 的、 既往の関連論文、 研究の特色、 各章の構成と概要につい て述べた。

第2章では、 景観の特性を表す物理指標を提案し景観の類型地区ごとの特性を明ら かにし、 物理指標の有効性について検討した。 得られた結果は以下 のとおりである。

( 1 )景観画像の輪郭線を抽出すると、 都市的土地利用がみられる地域ほど輪郭線の

出現数が多く、 垂直線の割合が高いことが明らかになった。

( 2 )フラクタノレ次数といびつ度の複雑さ分析では、 都市中心部の景観は両指標の値 が高く、 高密な市街地が複雑な景観を呈していることが定量的に明らかになった。 農

山村部では、 近景の樹木がある場合、 いびつ度の指標が高くなる傾向が見られた。

( 3 )物理指標と心理評価指標の単相関分析において、 相関が高い物理特性は、 景観 要素の形態的特性を表す「平均辺長J íいびつ度J í垂直線の割合」の指標であり、

特に垂直線が多数出現する景観ほど評価は低い。

( 4 )物理指標と心理評価指標の重相関分析の結果より、 提案した物理指標の意味を 考察すると、 「面数J í頂点数の合計J íフラクタル次数J は、 「景観の躍動性」を

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125-表 し、 「し、びつ度」は、 「景観の柔和性Jを125-表し、 「平均辺長Jは、 この逆の性格を 示す指標である。 また「垂直線の割合Jの値は、 「落ち着きがなく、 潤い感のないJ 景観を表現することが明らかとなった。 以上の物理指標は、 景観画像の特性を定量的 に記述する有効な指標であることを実証した。

第3章では、 都市街路における建物が視界に占める割 合を求める天空遮蔽率を 提 案 し 、 大分 市を事例にその指 標 の特 性 を検討し た。 以下にその結果をまとめ る。

( 1) íモデル街区Jの分析により、 H/Dが増加すれば天空遮蔽率も増加す

るが、 その増加率は低減する傾向にある 。 し かしながら現実の都市空間にお いて は、 道路斜線制限によってH/Dが1.25また は 1.5 の値をと ること になる。 こ の ことから800/0以上の天空遮蔽率は現実的にはと りえない数値ではあるが、 H/D が1.5で あっても天空遮蔽率は約75%にも達す ることが伺え、 高容積の建築 群か ら なる街路空間は、 非常に閉鎖的空間であることが定量的に明らかになった。

( 2 )大分市の分析では、 第一種住居専用地域を除く全ての用途地域にお いて、

天空遮蔽率のかなり の増大が見 られ、 街路景観における建築物の圧迫感が増加し つつある。 そのなかでも、 住居地域内では天空遮蔽率の大き い地点と小さな地点 が隣接し ているかまた は併存し て いる。 つ まり低層と中層の建物の混在化が急 速に進行しており、 閉鎖的空間と開放的空間の格差と分布の偏在が著し い。 その 反面、 商業地域では、 天空遮蔽率の値は大きいが標準偏差は小さく、 全体的に同 規模の建物群から 構成される街路景観に変貌していることが明らかになった。

( 3 )以上の分析から 、 H/Dと天空遮蔽率の併用によって、 街路と建物の空間 構成の特徴を明確に表 現できることがわかった。

第4章では、 景観要素の変化にともない人間の評価および注視行為はどのように変 化する のか を評価する実験手法を提案し、 景観の変化、 景観の構図、 注視行為、 心理

評価の観点から考察をおこなった。 以下にその結果をまとめる。

( 1 )注視回数 の分布をみると、 街路の状態(モンタージュの状態)に左右されるこ

となく、 街路の奥行き方向に集中が見られることから、 注視行為は景観画像の構図に 大きく影響を受けていることが明らかになった。

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126-( 2 )画像操作による緑視率、 看板率と注視回数の関係をみると、 緑視率が増加する と注視回数も増加したが、 看板率では注視回数との相関は見られない。 したがって、

景観要素の視覚的な量と注視回数の関係は薄い。

( 3 )樹木の視覚的な変化による評価の変化は大きく、 良好な街路環境を形成する上 で、 樹木は重要な景観要素である。

( 4 )景観の総合的評価である形容詞対の「好ましい一好ましくなしリをみると、 街

路景観の評価は、 その景観要素の視覚的な量と関係が深いと言える。

第5章では、 都市がもっている潜在的な景観ポテンシャルを、 可視領域判定の手法 を開発することによって明らかにした。 I 可視領域分析J I地理的開放性分析J Iス カイライン分析」を通して、 以下のことが挙げられる。

( 1 )都市中心部からの可視領域を計測した結果、 筑紫平野に位置する柳川市、 大川

市、 佐賀市、 海と近接した中津市、 豊前市、 荒尾市などの可視領域が大きく、 視覚的 に開けた地理特性をもっていることが定 量的に表現できた 。

( 2 )都市の開放的な方向性を分析すると、 全方向に開けた都市が大川市、 柳川市、

東西南方向に連続的に開けた都市が佐賀市、 3方向に開けた都市が宇土市、 2方向に 開けた都市が久留米市を始めとして計12都市、 1方向に開けた都市が40都市、 開放的 な方向性をもたない都市が20都市であった。

( 3 )山並みスカイラインの形状から九州の76都市が8つに類型化できた。

第6章 で は 、 建築群の集積か ら構成され る市 街地の都市を取り囲む山や海と い っ た広域の都市環境を、 3次元CGの技術を用いて 視覚的に シミュレートする システムの開発 をおこなった。 以下に本システムの有効性、 特徴をまとめる。

( 1 )旧来のCGシミュレーシ ョンにおいて、 広域の都市空間をリアルに表現す

ることは、 データ作成に多大な労力を要 し て困難であった。 本システムでは、 建 物の平面形 状 を112,500の地図より読み とり建物階数のデータを付加した データ とパターン化されたファサード ・ 色彩により都市中心市街地の建物を表現し 、 さ ら に人口、 土地利用のメッシュ データを活用して擬似的に遠景の建築物を表現 することで、 データ作成労力の軽減化、 データの軽量化をおこなっている。

( 2 )簡便化したに もかかわらず、 本システムによる都市シミュレーシ ョ ン画像 は、 実写の景観画像と比較した結果、 個別の建築物は実写のものとやや異なるも

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127-のの、 市街地建築物の集積、 市街地の広がり、 地理的特徴など、 都市全体像の空 間特性を十分に再現できた。

( 3 )以上のことから、 本システムの有効性を確認した。

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128-謝辞

本研究を進めるにあたって、 終始、 適切なる御示唆と懇切なる御指導をいただきま した大分大学、 佐藤誠治教授に深く御礼申し上げます。 筆者が大分大学助手に赴任し て以来、 今日に至るまでの長き研究活動の問、 絶えず叱日宅激励して頂きました。 本論 文は、 先生の御教授なしには、 達成出来えないものでした。 心より感謝を申し上げま す。

本論文をまとめる上で、 九州大学工学部教授の萩島哲先生には、 論文全体の構成の 細部に至るまで暖かい御指導を賜り、 深く謝意を表します。 また、 九州大学工学部教 授、 竹下輝和先生、 渡辺俊行先生、 九州大学大学院総合理工学研究科教授、 片iJl忠久 先生には、 御指導をいただき感謝し1たしますc

本研究を遂行するにあたり、 学会等の場で貴重な御意見をいただきました熊本大学 教授の両角光男先生、 京都大学教授の宗本)1慎三先生、 九州大学助教授の出口敦先生、

大阪大学助教授の奥俊信先生、 東京都立大学助手の伊藤恭行先生の諸氏に対し、 厚く お礼申し上げます。

本研究は、 卒業論文、 修士論文を通して共に研究をおこなってきた大分大学工学部 建設工学科都市計画研究室の樋口賢路、 尾辻信宣、 井口晴仁、 上田和徳、 小柳佳久、

柳本貴司、 石田稔浩、 小林勝広、 古後信二、 岡松昌治、 岩崎紀之、 松川信治、 柿沼伸 明、 諸氏の協力によるところが大きいものがあります。 その他、 筆者の研究活動を御 支援してくださった卒業生をはじめ多くの皆様に感謝致します。

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