建讐鷺 吃 ④
〈2>結果と考察
[整理1]
はじめに、条件1の、「絵①(だけ)を見て、子ども達が自由に述べた 感想」について発達的に分析する。条件1を分析する理由は、絵①を見 て書いた感想そのものが示された状況への第一印象であり、子どもの生 命観がストレートに表現されると考えられるからである。
L何に注目して感想や物語の続きを書いたか?
絵ぱなし①の登場(人)物は「蝶」「クモ(クモの巣)」「二人の子ども」
である。そこでこの絵ぱなしを子どもはどのように認知していたかを明 らかにするため「蝶」と「クモ」と「子ども」をキーワードとして,そ れらが文中にどの程度出現したかを調べた。
表V−1は学年・男女を込みにして、それらの出現頻度を重複を含め て計算した結果である。蝶が最大で178頻度(89%)、最小が蝶とクモと 子どものセット語彙で57頻度(28.5%)である。表V−1に示されるよう に、蝶とクモへの注目は小学生の6割以上に見られる。また,子どもと 蝶に注目したのは約4割である。クモと子どもへの注目,蝶,クモ,子
どもをまとめて見る見方は,もっとも低く約3割である。このように,
絵の中で生命の危機にあると思料される蝶への関心,あるいは死を介在 した蝶とクモの認知が高い。
表V−1:絵①だけを見た時のキーワードの出現率(%)
キーワード 蝶 クモ 蝶・クモ 子ども 蝶・子ども クモ・子ども 子ども・蝶・クモ
出現率 89.0 68.0 64.0 425 40.5 29.0 285
次に,蝶とクモのセット語彙の出現頻度の発達的変化をまとめたのが
表V−2である。1〜4年では「蝶とクモ」に注目している割合が高く,
50%前後認められるが、5、6年では低下する。しかし5、6年では表 V−3に見られるように、「蝶とクモと二人の子ども」,つまり全体に注
目している割合が高く,50%前後認められる。このように、5年忌を 境にして三者のかかわりに注目する子どもが急増するという発達的な特
徴を得た。
表V−2:絵①で「蝶とクモ」に注目する出現率(%)
学年 1年 2年 3年 4年 5年 6年
出現率 48.1 30.3 53.9 50.5 24.3 15.4
表V−3:絵①で「蝶とクモと二人の子ども」に注丁丁現率(%)
学年 1年 2年 3年 4年 5年 6年
出現率 7.4 27.3 19.2 10.5
絵①についての感想の内容分析
児童の感想を調べたところ,「蝶」「クモ」「子ども」への思いや「命」に関
わる記述内容としてll項目が認められた。そこで、これらの内容を学 年別に分類整理し,どのような発達的な特徴がみられるかを検討する。
なお、llのキーとなる内容項目は次の通りである。
「蝶がかわいそう」「(蝶を自分が)助ける・助けたい」「(蝶を誰かが)助ける
・助けてほしい」「蝶を助ける方法を記述」「蝶を助けるため蜘蛛を攻 撃する」「(蝶を助けた二人の子どもは)優しい・良い子」「でも、蜘蛛がかわ いそう」「自然の掟・摂理・そっとしておく・静観する」「蜘蛛に代わ
表V−4:各学年の人数に対する各項目の記述者数の割合(%)
1年 2年 3年 4年 5年 6年
(蝶が)かわいそう 59.3 57.6 69.2 395 45.9 28.2
(蝶を自分が)
浮ッる・助けたい
37.0 485 19.2 42.1 35.1 25.6
(蝶を誰かが)
浮ッる・助けたい
7.4 6.1 ll.5 5.3 159 179
蝶を助ける方法を記述 3.7 2L2 0.0 5.3 10.8 5.1
(やっつける、など)
Nモを攻撃する
14.8 9.1 0.0 2.6 5.4 α0
(二人の子どもは)
竄ウしい、よい子
25.9 3.0 3.8 79 8.1 17.9
クモがかわいそう 3.7 3.0 7.7 53 16.2 10.3
自然の掟・自然の摂理 0.0 0.0 3.8 2.6 32.4 17.9
クモにかわりの
@ エサをやる
α0 0.0 0.0 0.0 2.7 0.0
蝶が嫌い・気持悪い 0.0 6.1 0.0 2.6 2.7 2.6
クモが嫌い・気持悪い 0.0 9.1 7.7 105 21.6 205
表V−4はこれら11のキーワードについて,各学年の人数に対する,
各項目の記述者数の割合を示したものである。この表から、次のような 発達的特徴が得られた。
1)全学年を通して、蝶がかわいそうなので助けたいという気持ちが強い。
この傾向は低学年で特に強い。このことを示す特徴的な感想は次のよう
である。
・あ,たいへん。もしかしたらくもがちょうちょをたべようとしている かもしれない。た けたいなとわたしはおもっているよ。きれいなち ようちょがないているかもしれない。きっとふわりとそらをとんでい たら,くものいとにはさまったんだ。たいへんなことになったとわた しはおもっています。むしがないていると,かわいそう。ちょうちょ さんかわいそう。たすけてあげようとわたしはおもってるよ
(小学1年女子)
・かわいそう?たすけな や。だってくもにたべられちゃうよ。でも,
どうやってたすけちゃうのかな。わかった。大きいぼうをとってくも のすをぐちゃぐちゃにすると,ちょうちょにあたらないようにしない
とおちてしんじゃうよ。一。うん。(小学2年女子)
・ちょうちょがく のすにひっかかっているからかわいそうだな。く にたべられち 》からすぐにた けないと。(小学3年女子)
・ちょうちょがいじめられている人でくもがいじめている人みたいに見 えます。もしも私がよ し子さんだったら,すぐにたすけてあげたい です。私もくもがきらいでも,いじめみたいに思えば何もこわくない です。もしも,友だちがいじめられていたら,ぜったいに助けてあげ
・クモのすに,チョウチョがひっかかっていて,私だったらチョウを助 けるか考え込むと思います。だってチョウを助けると,私がクモのす にひっかかってしまう。でも,あのチョウはクモのすにひっかかって しんでしまうかもしれない。チョウだって一つの命しかもっていない から,私だったらかわいそうになってなにか云にクモのすがっかない ようにして,たもか なにかであのチョ を くってあげたいな一と
_燃くもし私が何かの虫だとして,クモのすにひっかかってい
たら,私も助けてもらって,私もあのチョウを助けてあげたいな一と 思いました。私もあのチョウみたいな気持ちの時,人からすくっても らいたいと思うし、あのチョ を見たら 私は絶・に けて チョウ に,もうこんなところにっかまるのじゃないよと教えてあげて,もう こんなことがおきないように,自分の身は自分で守ってと教えてあげ たいです。(小学5年女子)
・たかし君とよし子さんはクモのすにひっかかってばたばたしているチ ョウチョを助けるのかなあ。私だったらかわいそうだから けて
ると思いま だってクモとチョウチョがかわいそうだからです。せ つかく生まれてきたんだからかわいそう。(小学6年女子)
2)低学年では、蝶を「自分で助けたい」が多いが、学年が進むと、絵の 中の子どもたちに助けを求める割合が高くなる(7.4%→18.9%)。この ことを示す特徴的な感想は次のようである。
・かわいそうだよ ぼくだったらたすけてあげるよ くもをやっつけて あげるよ。いとをきっ ちゃうよ。ちょうちょをじゅうにしてあげる よ。ちょうちょをはなばたけにつれていきたいよ。でも,すぐとん でっちゃうからできないよ。(小学1年男子)
、・ ≠ュしないとくもにたべられちゃう。たすけないとしんじゃう。傭 のすをボーでとってあげてたすけてあげよ。(小学2年女子)
・ちょうがかわいそ だからた けてあげ ばいいのに。
(小学3年女子)
・たかし君とよし子さんはそのクモのすにひっかかっているチョ を見 て 助けてあげようと思ったと思います。きっとたかし君とよし子さ んは最後にチョウを助けたと思います。蕊、もし私が同じような場 面に立つことになったら, けな やと思うけど助けられないと思い ます。このチョウをとるには とても 気がいると思います。
(小学4年女子)
・たかし君とよし子さんは クモの にひっかかっていたチョウを助け てあげるのかな一と思った たかし君とよし子さんが助けてあげたら いいににな一と思った もう少しでそのチョウがクモに べられそう になっているから,チョウがバタバタしているので,はやくたかし君 とよし子さんは見てないで クモの をやぶってチョウを助けてや ってほしい。(小学5年男子)
・この後たかし君とよし子さんはチョウチョを助けると思います。ぼく も こんな戸をみたら そのチョウを助けると思います。でも もし かしたら,ぼくはクモが大大大大きらいなので, クモの にさわる のもいやなので けないかもし ない ぼ は一度だけ,クモのすに ひっかかった虫を助けたことがあります。その後うれしそうに飛んで いった。助けてよかったと思います。でも,くもの方も生きるために 必死なんだと思います。(小学6年男子)
3)1年生の「クモの行為に対してクモを攻撃する」という記述の割合は 14.8%と高く、蝶の生命の危機に対して三二的に反応するが、学年が進 むほど減少している。これに対して、「(蝶を逃がしたら)クモがかわい そう」という見方は低学年では3%前後に過ぎないが、5〜6年で増加 する。このように、蝶にとってもクモにと・っても同じように生命は大切 だという公平感が発達しているのがわかる。このことを示す特徴的な感 想は次のようである。
・かわいそうなちょ ちよだな このままにしてるとくもにたべられち ゃう。くもをやっつける。だってちょうちょがくもにたべられちゃう よ。だからくもをやっつけてやる。(小学1年男子)
・たすけるならまずくものすをきってちょうちょをたすける。そしたら,
一。そしたら,ちょうちょのくものすもき
れいにとってしかえしにちようちょでその一くく
む。そうしてたすけるんだよ。(小学2年男子)
一
・ちょうちょはかわいそ だなと思ったけど, もだってちょうちょをとられるとたべる のがなくなつちゃってしんじゃうからかわいそ う。(小学3年女子)
・わたしはちよ がかわいそアだと思います。けど そ をたすけてし まったらクモ ベ物がなくなってクモもかわいそ だと思 よ。も しちょうをたすけてたすかっていても もしクモがしんでしまったら かわいそうだよ。だから自然はきびしいから 手を さない方がい
_(小学4年女子)
・私だったら,急いでいるのなら「あっ,かわいそう」とだけ思って通 りすぎてしまうけど,時間がある時だったらくものすに直接さわるの はいやなので小さな枝をひろってきて,ちょうの前にもっていってあ