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PUR とクータは

このように本の使い方に

大きな変 change 革をもたらしますが、

その技術の秘密を

ご紹介しましょう。

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PUR と ク ー タ に よ る開きやすく丈夫な 本がどんどん出来て きてすごいね。

ところで、この PUR が登場する前はどん な接着剤を使ってい たの?

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EVA 系ホットメルトとは

「Ethylene Vinyl Acetate(エチレ ン酢酸ビニール樹脂)」の略称で、

エチレンビニールを主体とした接 着剤です。

一定の接着強度があり、作業効率 が良いため、これまで製本現場で 幅広く使われてきました。

メリット デメリット

① 60℃以上の熱で溶け、その後常温程度ま で冷却すると完全硬化するので作業効率に 優れる。

②価格が安い。

①製本後の耐熱性に問題があり、45℃を超 えたあたりから再溶解しはじめる。

②インキ溶剤に影響されやすい。インキ溶 剤の多い本では、気温 40℃を超えると化学 反応による劣化が始まることがある。

③接着剤を厚く盛っているので、本が開き にくい。

EVA 系ホットメルトの特徴

固形の接着剤を溶かして使用します

PUR の現状と展望

 上の表の通り、PUR はホットメルトと比較して耐熱性からリサ イクル性まで優れています。現状の課題としては、原料コストと メンテナンス等の維持費がホットメルトに比べ PUR は割高となっ ていることです。しかし、PUR はホットメルトの3割から5割の 塗布量で製本できるので、ホットメルトに比べて大幅なコスト高 にはならず、今後 PUR の需要増加によって原料価格の低下も予想 されます。

 既に大手出版A社とB社では、事故回避のために PUR 仕様の出 版物が増え始めており、A社にいたっては精力的にコミックス以 外の出版物を PUR に移行しつつあります。

 世界的にも、ブラジルで大半の教科書が PUR に切り替わるなど、

先進国でも新興国でも急速な広がりを見せています。

 PUR 製本を普及・拡大するためには、印刷物の企画・設計段階 からの提案や協力が不可欠だと言えるでしょう。

ホットメルトと PUR の比較

    特性

接着剤 作業性 原料コスト 耐熱性 耐久性

(対インキ溶剤) 柔軟性 リサイクル性

(分離しやすさ)

ホットメルト ◎ ◎ △ △ △ △

PUR △ △ ◎ ◎ ◎ ◎

糸かがりから PUR へ

 これまでの製本仕様の中で、最も耐久性があるのは「糸かがり」

だといわれてきました。特に強度を求められる出版物に関しては、

糸かがり並製で製本されているのが現状です。これはホットメル ト接着剤のみでは耐久性に不安があり、それを補うために糸かが りの併用が必要だったからです。しかし、製本工期やコストの面 において課題もあることから、近年見直しも行われています。

 そこで、PUR で製本することにより、糸かがりに勝る強度と耐

久性が得られることから、今後糸かがり並製本から切り替わるこ

とが期待されています。

製本強度テスト

 無線 PUR 製本と糸かがり製本の2種の仕様を作成して、接着強度の 測定テストを行いました。測定には「牽引強度測定器」を使用していま す。しかし、紙の接着面積の違いにより測定結果は異なるため、ニュー トンメーター方式で算出しています。

 測定結果によると、本の最弱部である本文3頁目と本文中央部分の いずれにおいても、糸かがり製本に比べて無線 PUR 製本に牽引強度の 高い数値が得られました。

【仕様】

版型……B5 頁数……216P

本文紙……上質 B/T 67.5kg 表紙……DV 四六 /T 23.5kg 実施日……平成 21 年 11 月 25 日 実施場所……弊社柳原工場 単位……N/cm

 

本の端部分 本の中央部分

3P(1折) 15P(1折) 97P(7折) 105P(7折)

本文の外2枚目 折本の外1枚目 折本の外1枚目 折本の中央部分

無線 PUR

10.83

8.72 11.41

9.00

ホットメルト糸かがり 3.32 11.51 16.36 1.99

※「ニュートンメーター」とは、紙を牽引する数値 を1cm あたりの数値に置き換える計算方法。この 計算方法により版型の違いによる接着強度も正確に 把握することができます。

●接着剤の総合メーカー

 日立化成ポリマー株式会社の前身「ボスチッ ク・ジャパン」は昭和 42 年、高度成長期に入っ たわが国の産業界のニーズに応える接着剤総 合メーカーとして誕生。優れた接着剤と接着 技術の開発を積極的に進め、自動車・家電・

電子および建築業界等わが国の代表的産業と 共に発展の道を歩んできました。

 昭和 59 年に社名を現在の日立化成ポリマー 株式会社に変更。翌年、徳島精油株式会社を 合併して新たに塗料・インキ・紙加工用合成 樹脂等の製造販売を開始し、新製品および新 技術の開発を推し進め、総合工業化学材料メー カーとしての体制を確立しています。

 アメリカ・フランス等の海外有力メーカー

とのテクニカル・アライアンスを推進するほ か、発展著しいアジア市場においては、台湾 地域および中国大陸で合成樹脂製造販売の合 弁会社を設立して三極供給体制を確立してい ます。

●環境対応型の接着剤

 当社では、20年程前から様々な業界に対し PUR-HM(ポリウレタン系反応型ホットメルト

=Polyurethane Reactive Hot-melt)を製造販 売しています。

 PUR-HMは有機溶剤を含有せず、パック包 装により廃棄物を低減できる「環境対応性」、

湿気 との反応により接着強さが向上し、耐熱 性・耐寒性に優れた「信頼性」、接着強さの発 現が早く、短時間で次工程に移ることができ、

1液形で自動化・ロボット化に適した「生産 性」が特徴です。

 製本用途においても、強度や見開き性に加 えリサイクル性(環境対応)に優れることか ら、PUR-HMを推奨しています。 通常のEVA 系ホットメルトでは、古紙再生の工程で接着 剤の細片が混入し、オイルスポットの原因と なり、難細裂化ホットメルトでも100%除去 は不可能です。

 PUR-HMは、古紙再生のフィルタリング工 程で細片化せず100%除去可能です。

接着剤メーカー訪問

日立化成ポリマー株式会社

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