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その他留意すべき安全性情報

ドキュメント内 Microsoft Word 臨床概括評価 doc (ページ 38-45)

2.5.5 安全性の概括評価

2.5.5.6 その他留意すべき安全性情報

GH の薬理学的作用として細胞増殖作用があり 67)、GH 補充療法に関連してこれまでに報告さ れている副作用のうち、脳腫瘍の再発は特に注意すべき事象であるため、脳腫瘍が原疾患である 患者に対しては慎重に投与を行うよう、添付文書で規定している。A201試験及びA202試験にお いてもAGHDの原疾患が脳腫瘍である被験者については、CT又はMRIにて原疾患(脳腫瘍)の 再発・増悪の有無を調査した。

原疾患の増悪・再発の調査では、A201試験及び A202試験において、「再発下垂体腫瘍」が1 例、「新生物進行」が 1 例確認された。両例とも本薬との関連性は否定されなかった。脳腫瘍を 原疾患とする被験者の場合、腫瘍増大のリスクは常に伴うことから、CTやMRI等で定期的に観 察することが必要であると考えられた。なお、本治験の実施期間を通して、新規の脳腫瘍の発現 は認められなかった。

脳腫瘍治療後の小児のGH 治療中及び治療後における脳腫瘍再発率は、GH 治療を受けていな い場合の再発率と比較して低値又は変わらないとの報告があり 68)、GH治療は必ずしも脳腫瘍再 発のリスクファクターではないことが示されている。しかし、現段階においては、成人に対する GH 補充療法における報告例はまだ少ないことから、脳腫瘍の再発及び新規の脳腫瘍の発現に関 しては、今後より多くの症例において長期的な調査研究が必要と考えられた。

グロウジェクト 2.5 臨床に関する概括評価

(2) 耐糖能

GH は抗インスリン様作用を有していることが知られている69)。これまでの臨床試験での知見 から、GH 投与後インスリン感受性が低下することが確認されているが、1 年間の投与後には正 常化していたと報告されている70)。これより、安全性を考慮して、GH治療を行う上で耐糖能に 関する検討が必要と考え、A201試験及びA202試験において、空腹時血糖、HbA1c及び尿糖を測 定した。

A201試験において測定した空腹時血糖、HbA1c及び尿糖の推移を表2.5.5-2 に示した。いずれ の検査項目においても、プラセボ投与群との比較で、実薬投与群の耐糖能の悪化を示唆する結果 は得られなかった。また、耐糖能悪化に関連した有害事象も発現しなかった。

表2.5.5-2 A201試験 耐糖能関連検査項目の推移

抜粋:A201試験総括報告書 表14.3.4.2, 14.3.4.4

検査項目 投与開始時 24週後

被験者数 31 31 平均値 80.6 80.6 標準偏差 8.1 7.0 異常値L 発現例数 3 1 異常値H 発現例数 0 0 被験者数 63 62 平均値 82.0 84.8 標準偏差 7.7 8.2 異常値L 発現例数 3 0 異常値H 発現例数 0 1 被験者数 31 31 平均値 4.76 4.88 標準偏差 0.35 0.28 異常値L 発現例数 1 1 異常値H 発現例数 0 0 被験者数 63 62 平均値 4.77 4.99 標準偏差 0.34 0.36 異常値L 発現例数 1 2 異常値H 発現例数 0 0 被験者数 31 31 異常値 被験者数 1 0 発現率(%) 3.2 0.0

被験者数 63 62 異常値 被験者数 0 0 発現率(%) 0.0 0.0 プラセボ

投与群

実薬 投与群 HbA1c

(%)

プラセボ 投与群

尿糖

プラセボ 投与群

実薬 投与群 空腹時血糖

(mg/dL)

実薬 投与群

グロウジェクト 2.5 臨床に関する概括評価

A201試験及びA202試験において測定した空腹時血糖、HbA1c及び尿糖の推移について、72W 群+P/GH群のデータを合算した集計を表 2.5.5-3 に示した。いずれの検査項目においても、耐糖 能の悪化を示唆する結果は得られなかった。

しかし、耐糖能悪化に関連した有害事象として、「耐糖能障害」が1例1件発現した。治験薬と の因果関係は否定されなかったが、治験終了後に回復が確認されており、糖尿病ではなかったこ とが確認されている。

以上の結果から、全体をとおして耐糖能関連項目に与える影響は認められなかったものの、「耐 糖能障害」が発現しており、AGHD患者に対するGH補充療法により、耐糖能に影響を及ぼす可 能性が考えられるため、注意深く投与する必要性があると考えられた。

表2.5.5-3 A201/A202試験 耐糖能関連検査項目の推移[72W群+P/GH群]

抜粋:表2.7.4-31、2.7.4-32

0週後 24週後 48週後 72週後 被験者数 94 90 88 53

平均値 81.5 84.9 84.1 85.6 標準偏差 7.5 8.4 7.6 7.8 異常値L 発現例数 4 1 1 0 異常値H 発現例数 0 1 0 1 被験者数 94 90 88 53

平均値 4.81 4.96 4.92 4.95 標準偏差 0.32 0.34 0.32 0.33 異常値L 発現例数 2 3 1 1 異常値H 発現例数 0 0 0 1 被験者数 94 90 88 53 異常値 被験者数 0 0 1 0

発現率(%) 0.0 0.0 1.1 0.0 検査項目

空腹時血糖

(mg/dL)

HbA1c

(%)

尿糖

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(3) 体液貯留作用に関連する有害事象

GH は主にレニン-アンジオテンシン系の調節を介して体液ホメオスタシスを維持する役割を 果たしている 71)。AGHD 患者に対する GH 補充療法により、細胞外液量及び血漿量の正常化・

増加作用に起因する有害事象として、浮腫、末梢性浮腫、手根管症候群及び関節痛などが発現す ることが知られている。しかし、投与を低用量から開始する、あるいは投与開始初期に個々の患 者に合わせた用量調整を行うことにより、これらの有害事象の発現を減少させることが可能であ るとされている16)

A201試験及びA202試験において発現した体液貯留に関連すると考えられる有害事象について

表2.5.5-4及び表2.5.5-5に示した。A201 試験において、実薬投与群における浮腫及び関節痛の

発現頻度はこれまでの報告37),43),45)との比較では少ないものの、プラセボ投与群との比較では高か った。A202試験のデータを含めた結果として、GH/GH群と実薬投与群+P/GH群との比較で、体 液貯留に関連する有害事象の発現頻度に差は認められず、投与初期及び長期投与により発現頻度 が高くなることはないと考えられた。

表2.5.5-4 A201試験 GHの体液貯留作用に関連すると考えられる有害事象

抜粋:表2.7.4-5

※Fisherの正確検定 プラセボ投与群 0.006mg投与群 0.012mg投与群 実薬投与群

被験者数:31 被験者数:31 被験者数:32 被験者数:63

発現 例数 (件数)

発現率 (%)

発現 例数 (件数)

発現率 (%)

発現 例数 (件数)

発現率 (%)

発現 例数 (件数)

発現率 (%)

発現 例数 (件数)

発現率 (%)

発現 例数 (件数)

発現率 (%)

発現 例数 (件数)

発現率 (%)

発現 例数 (件数)

発現率 (%) 全身障害および投与局所様態

全身性浮腫 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 1 (2) 3.1 1 (2) 3.1 1 (2) 1.6 1 (2) 1.6 1.000 1.000

浮腫 0 0.0 0 0.0 1 (1) 3.2 1 (1) 3.2 3 (3) 9.4 3 (3) 9.4 4 (4) 6.3 4 (4) 6.3 0.299 0.299

筋骨格系および結合組織障害

関節痛 1 (1) 3.2 0 0.0 3 (3) 9.7 1 (1) 3.2 4 (4) 12.5 2 (2) 6.3 7 (7) 11.1 3 (3) 4.8 0.264 0.548

単関節炎 0 0.0 0 0.0 1 (1) 3.2 0 0.0 0 0.0 0 0.0 1 (1) 1.6 0 0.0 1.000

-神経系障害

感覚減退 1 (1) 3.2 0 0.0 0 0.0 0 0.0 1 (1) 3.1 1 (1) 3.1 1 (1) 1.6 1 (1) 1.6 1.000 1.000

群間比較 (プラセボ投与群:

実薬投与群)

有害事象 副作用 有害事象 副作用

有害事象 副作用 有害事象 副作用 SOC

PT

MedDRA/J Ver.7.1J 有害事象 副作用

グロウジェクト 2.5 臨床に関する概括評価

表2.5.5-5 A201/A202試験 GHの体液貯留作用に関連すると考えられる有害事象

抜粋:表2.7.4-7

GH/GH+P/GH GH/GH P/GH

被験者数:94 被験者数:63 被験者数:31

発現例数 (件数)

発現率 (%)

発現例数 (件数)

発現率 (%)

発現例数 (件数)

発現率 (%)

発現例数 (件数)

発現率 (%)

発現例数 (件数)

発現率 (%)

発現例数 (件数)

発現率 (%) 全身障害および投与局所様態

全身性浮腫 1 (1) 1.1 1 (1) 1.1 1 (1) 1.6 1 (1) 1.6 0 0.0 0 0.0

浮腫 4 (7) 4.3 4 (7) 4.3 3 (6) 4.8 3 (6) 4.8 1 (1) 3.2 1 (1) 3.2

末梢性浮腫 1 (1) 1.1 0 0.0 1 (1) 1.6 0 0.0 0 0.0 0 0.0 筋骨格系および結合組織障害

関節痛 18 (19) 19.1 9 (10) 9.6 10 (11) 15.9 5 (6) 7.9 8 (8) 25.8 4 (4) 12.9

関節腫脹 2 (2) 2.1 2 (2) 2.1 1 (1) 1.6 1 (1) 1.6 1 (1) 3.2 1 (1) 3.2

単関節炎 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0

神経系障害

感覚減退 2 (2) 2.1 2 (2) 2.1 2 (2) 3.2 2 (2) 3.2 0 0.0 0 0.0

72W群 72W群+P/GH 群

被験者数:63 被験者数:94

発現例数 (件数)

発現率 (%)

発現例数 (件数)

発現率 (%)

発現例数 (件数)

発現率 (%)

発現例数 (件数)

発現率 (%) 全身障害および投与局所様態

全身性浮腫 2 (3) 3.2 2 (3) 3.2 2 (3) 2.1 2 (3) 2.1

浮腫 6 (10) 9.5 6 (10) 9.5 7 (11) 7.4 7 (11) 7.4

末梢性浮腫 1 (1) 1.6 0 0.0 1 (1) 1.1 0 0.0 筋骨格系および結合組織障害

関節痛 14 (18) 22.2 6 (9) 9.5 22 (26) 23.4 10 (13) 10.6

関節腫脹 1 (1) 1.6 1 (1) 1.6 2 (2) 2.1 2 (2) 2.1

単関節炎 1 (1) 1.6 0 0.0 1 (1) 1.1 0 0.0

神経系障害

感覚減退 2 (3) 3.2 2 (3) 3.2 2 (3) 2.1 2 (3) 2.1

試験

MedDRA/J Ver.7.1J SOC

PT

A201+A202

有害事象 副作用 有害事象 副作用

試験 A202

SOC PT

MedDRA/J Ver.7.1J 有害事象 副作用 有害事象 副作用 有害事象 副作用

グロウジェクト 2.5 臨床に関する概括評価

(4) 甲状腺機能

GHはサイロキシン(T4)のトリヨードサイロニン(T3)への変換を促進させることが報告され ている73)。このためAGHD患者に対するGH補充療法の安全性の検討には、甲状腺機能を調査す ることが必要であると考え、A201試験及びA202試験において測定したTSH、fT3及びfT4の推移 について検討した。

A201試験における甲状腺機能関連検査データの推移を表2.5.5-6に示した。いずれの検査項目 においても、プラセボ投与群との比較で、実薬投与群において甲状腺機能の悪化を示唆する結果 は得られなかった。

表2.5.5-6 A201試験 甲状腺機能関連検査項目の推移

抜粋:A201試験総括報告書 表14.3.4.2

検査項目 投与開始時 24週後

被験者数 31 31

平均値 0.2807 0.4193

標準偏差 0.6158 0.7562

異常値L 発現例数 26 21 異常値H 発現例数 0 0 被験者数 63 62

平均値 0.6564 0.7302

標準偏差 1.2965 1.5581

異常値L 発現例数 44 44 異常値H 発現例数 3 2 被験者数 31 31 平均値 3.04 2.93 標準偏差 0.49 0.53 異常値L 発現例数 0 1 異常値H 発現例数 0 1 被験者数 63 62 平均値 2.90 3.18 標準偏差 0.46 0.61 異常値L 発現例数 0 3 異常値H 発現例数 0 2 被験者数 31 31 平均値 1.40 1.32 標準偏差 0.36 0.36 異常値L 発現例数 1 2 異常値H 発現例数 3 2 被験者数 63 62 平均値 1.34 1.24 標準偏差 0.33 0.32 異常値L 発現例数 2 7 異常値H 発現例数 6 3 TSH

(μIU/mL)

fT3

(pg/mL)

fT4

(ng/dL)

プラセボ 投与群

実薬 投与群

プラセボ 投与群

実薬 投与群

プラセボ 投与群

実薬 投与群

グロウジェクト 2.5 臨床に関する概括評価

A201試験及びA202試験における甲状腺機能関連検査項目の推移について、72W群+P/GH群の データを合算した集計を表 2.5.5-7 に示した。長期投与時においても、甲状腺機能の悪化を示唆 する結果は得られなかった。

表2.5.5-7 A201/A202試験 甲状腺機能関連検査項目の推移[72W群+P/GH群]

抜粋:表2.7.4-31

A201試験及びA202試験を通して、TSH、fT3及びfT4は、特に顕著な変動は示さなかった。こ れは、TSH欠損症の被験者については、治験実施計画書にて適切な補充療法を継続することを必 要としていたことに起因するものと考えられた。

なお、甲状腺機能に関連した有害事象として、「バセドウ病」が1例1件発現した。治験薬との 因果関係は否定されなかった。「バセドウ病」の症状は処置後軽快し、治験薬投与も継続されてい る。「バセドウ病」については、既に本薬の添付文書に記載のある「甲状腺機能亢進症」の範疇と 考え添付文書への反映は必要ないと考えた。

以上より、甲状腺ホルモンの補充が必要な症例については投与量を適切に管理することにより、

甲状腺機能に影響を与えることなくAGHD患者に対するGH補充療法を行うことができると考え られた。

(5) 抗GH抗体

A201試験及びA202試験を通して、すべての被験者において抗GH抗体は陰性であった。

0週後 24週後 48週後 72週後 被験者数 94 90 88 53

平均値 0.5782 0.6358 0.5497 0.5275 標準偏差 1.1479 1.3686 1.2008 1.2437 異常値L 発現例数 65 65 65 38 異常値H 発現例数 3 2 2 1

被験者数 94 90 88 53 平均値 2.91 3.18 3.18 3.18 標準偏差 0.48 0.63 0.49 0.46 異常値L 発現例数 1 5 1 0 異常値H 発現例数 1 4 5 2 被験者数 94 90 88 53

平均値 1.34 1.22 1.25 1.28 標準偏差 0.34 0.33 0.28 0.23 異常値L 発現例数 4 11 8 1 異常値H 発現例数 8 4 3 2 TSH

(μIU/mL)

fT3

(pg/mL)

fT4

(ng/dL)

検査項目

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