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その他制限速力の見直しが影響を及ぼす事項に係る調査

第1 進路警戒船等の配備に及ぼす影響調査

海交法第 23 条は、巨大船等の航路における航行に伴い生じるおそれのある船舶交通 の危険を防止するため、必要があると認めるときは、海上保安庁長官は航路入航予定 時刻の変更、進路警戒船の配備等、当該巨大船等の運航に関し必要な事項を指示でき ることとなっている。

これにより、「進路を警戒する船舶、消防設備を備えている船舶又は側方を警戒する 船舶の配備を指示する場合における指示の内容に関する基準を定める告示」(昭和 51 年海上保安庁告示第 29 号)に基づき、

・ 長さ 250 メートル以上の巨大船又は危険物積載船である巨大船への進路 警戒船の配備

・ 危険物積載船舶で総トン数5万トン(積載している危険物が液化ガスで ある場合にあっては、総トン数2万5千トン)以上の船舶への消防設備を 備えている船舶の配備

・ 長大物件えい(押)航船への側方を警戒する船舶の配備

が指示されており、これら進路警戒船等は、別表第一のとおり基準によることとされ ている。

別表第一 進路警戒船等の基準 基準 船舶

速力 消防能力 設備等

進路警戒船

配備を実施している巨大 船の航路における速力に3 ノットを加えた速力以上の 速力で航行できること。

第一種消防設備船

泡水溶液を毎分1トン 以上の放射量で 30 分間 以上放射することができ ること。

第二種消防設備船

泡水溶液を毎分3トン 以上の放射量で 30 分間 以上放射することができ ること。

第三種消防設備船

泡水溶液を毎分6トン 以上の放射量で 30 分間 以上放射することができ ること。

第四種消防設備船

粉末消火剤2トン以上 を毎秒 30 キログラム以 上の放射量で放射するこ とができること。

側方警戒船

配備を実施している危険 物積載船又は長大物件えい 航船等の航路における速力 以上の速力で航行できるこ と。

1 156.30MHz、156.60MHz、156.65MHz、

156.70MHz 若しくは 156.80MHz の周波数 を有する無線電話であって送信及び受 信が可能なもの又はその交換に関する 事務が電話取扱局によって行われる電 話を有していること。

2 国際信号旗一組を有していること。

3 拡声器を有していること。

4 航路等を記載する海図の指定に関 する告示(昭和 48 年海上保安庁告示第 77 号)の規定により指定された海図(配 備を実施する航路の区間が記載されて いるものに限る。)を有していること。

5 警戒業務管理者の設置に関する事 項及び緊急時の措置その他配備の実施 方法に関する事項を定めた警戒業務規 程を有していること。

進路警戒船、消防設備船及び側方警戒船については、上記各基準、要件に適合する ものを巨大船等の船長が円滑に配備できるようにする観点から、「進路を警戒する船舶、

消防設備を備えている船舶及び側方を警戒する船舶の指定に関する告示」(昭和 51 年 海上保安庁告示第 76 号)に基づき、指定制度が設けられている。

ついては、現在、進路警戒船等として指定を受けている船舶の隻数及び最高速力(以 下「速力」という。)を調査した。

1 各航路における進路警戒船等の指定隻数

各航路における進路警戒船等の指定隻数は、次表のとおりとなっている。

ただ、この指定隻数は、同一船舶で複数の区分指定を受けているだけでなく、複数 の航路において指定を受けている船舶が多数存在することから、同表に明記している 隻数は、のべ隻数である。

進路警戒船等の指定隻数 単位:隻 警戒船種別 / 航路名 浦賀・中ノ瀬 伊良湖 明石 備讃・宇高・水島 来島

進路警戒船 66 24 100 133 133

第一種消防設備船

第二種消防設備船

第三種消防設備船 63 24 85 115 115

第四種消防設備船 63 24 83 110 110

側方警戒船 66 26 103 143 142

2 進路警戒船等の速力

進路警戒船等に求められている基準の1つが速力である。

別表第一のとおり、進路警戒船にあっては、配備を実施している巨大船の航路にお ける速力に3ノットを加えた速力以上の速力で航行できる能力を、消防設備船及び側 方警戒船にあっては、配備を実施している危険物積載船又は長大物件えい航船等の航 路における速力以上の速力で航行できる能力を有していることを求めている。

制限速力の見直しにあたっては、進路警戒船等の速力も関係してくることから、以 下のとおり、現状を調査した。

(1) 進路警戒船 イ 全隻数

現在の進路警戒船の指定状況としては、上記1でも記述したとおり、1隻の船 舶が複数の航路において進路警戒業務に従事できるよう、重複して指定を受け ている。

ここでは、その重複分を除いた実数『236 隻』について調査した。

調査の結果、速力が 14 ノット以上 15 ノット未満の船舶が最も多く、全体の約 43%を占めている状況であった。

次いで、15 ノット以上 16 ノット未満の約 22%、13 ノット以上 14 ノット未満 の約 14%という結果であり、全体をみると、17 ノット未満の船舶が約 89%を占 めている状況であった。

進路警戒船全船

0 1 8

34 101

51

14

0 1 5 3 0

6 4 2 2 0 0 1 0 1 1 1

0 0

4 18

61 83

89 89 89 91 92 92 95 97 97 98 98 98 99 99 99 100 100

0 20 40 60 80 100 120

11未満 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32

速力(ノット)

隻数

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

隻数

割合

ロ 航路別(明石海峡航路指定船舶を除く。)

航路別でみると、全航路ともに速力が 14 ノット以上 15 ノット未満の船舶が最 も多く、17 ノット未満の船舶が全体の 80~90%を占めており、重複指定を受け ている船舶が多数存在するとはいえ、どの航路においても進路警戒船の速力は 同程度であった。

浦賀水道・中ノ瀬

0 0 0 4

34

17

2 0 1

4

1 0 2

0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 6

58 83

86 88

94 95

98 100

0 5 10 15 20 25 30 35 40

11未満11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 速力(ノット)

隻数

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

隻数

割合

伊良湖水道

0 0 0 2

14

2 1

0 0 0 0 0 1

3

0 0 0 0 0 0 1 8 0 0

67

96 100 79 83

75

0 2 4 6 8 10 12 14 16

11未満11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 速力(ノット)

隻数

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

隻数

割合

備讃瀬戸北、南、東・水島・宇高

0 1 6

24 29

13

0 0 1 2 0

3 1 2 2 0 0 0 0 0 1 1 47

5

80

99100 9798

9596 91 92

90

59

23

0 1

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

11未満11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 速力(ノット)

隻数

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

隻数

割合

来島海峡

0 1 6

28

13

0 0 1 2 0

3 1 2 2 0 0 0 0 0 1 1 25

47

5

99100 9798

95 96 9192 90

80 59

24

0 1

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

11未満11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 速力(ノット)

隻数

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

隻数

割合

(2) 消防設備船 イ 全隻数

消防設備船においても進路警戒船の指定状況と同様に、航路及び種別ともに重 複して指定を受けている船舶が大多数を占めていることから、その重複分を除 いた『225 隻』について調査した。

調査の結果、速力が 14 ノット以上 15 ノット未満の船舶が最も多く、全体の 44%を占めており、全体をみると、17 ノット未満の船舶が約 91%を占めている 状況であった。

消防設備船全船

0 1 0 1 9

99

51

15

0 1 5

1 0 5 3 2 1 0 0 1 0 1 0 0 29

1

62

100 9899

94 96 91 92

84

5 18

0 20 40 60 80 100 120

9未満 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 速力(ノット)

隻数

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

隻数

割合

ロ 航路別

消防設備船と進路警戒船との重複指定は、約 98.7%にも上り、重複していな い船舶は3隻のみであったことから、上記2(1)ロの進路警戒船の速力同様 の結果となることが窺える。

(3) 側方警戒船 イ 全隻数

側方警戒船においても進路警戒船及び消防設備船と同様に、航路及び種別とも に重複して指定を受けている船舶が大多数を占めている。

ここでは、その重複分を除いた『246 隻』について調査した。

調査の結果、進路警戒船及び消防設備船同様に速力が 14 ノット以上 15 ノット 未満の船舶が最も多く、全体の約 40.7%を占めている状況であった。

次いで、15 ノット以上 16 ノット未満の約 20.7%、13 ノット以上 14 ノット未 満の約 13.8%という結果であり、全体をみると、17 ノット未満の船舶が約 89%

を占めている状況であった。

側方警戒船全船

0 1 5 5 9 100

51

14

0 1 5 3 0 6 4 2 2 0 0 1 0 1 1 1 34

4

63

98 99 9597 8991

89 83

8 22

0 20 40 60 80 100 120

9未満 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 速力(ノット)

隻数

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

隻数

割合

ロ 航路別

進路警戒船との重複指定は 234 隻、約 95.1%、消防設備船においては第三種 設備船との重複指定が最も多く、約 85%が重複しており、側方警戒船単独での 指定は 10 隻のみであった。

ついては、航路別でみた場合、消防設備船同様に上記2(1)ロの進路警戒船 の速力と同様の結果になることが窺える。

3 まとめ

進路警戒船、消防設備船及び側方警戒船の大多数が種別、航路ともに重複指定を受 けている状況にあることから、速力分布はほぼ同様の結果となった。

現在、指定を受けている進路警戒船等の速力を勘案すると、海交法航路における速 力の制限を 12 ノットから仮に1ノット増速して 13 ノットとした場合、進路警戒業務 に従事できる進路警戒船は 41 隻、約 17.4%の船舶で、14 ノットとした場合に至って は 27 隻、約 11.4%の船舶しか対応できないこととなる。

Ⅳ 関係者に対するヒアリング

漁業・海運関係者及び関係県水産部局に対するヒアリング結果等を以下に示す。

第1 第1回ヒアリング(第1回検討会開催前)

1 実施時期

平成

24

10

月中旬~

11

月中旬

2 対象者

検討会の構成員等である漁業・海運関係者及び関係県水産部局

〔内訳〕

・関係県漁連(千葉、神奈川、愛知、三重、香川、岡山)

・関係県水産部局(千葉、神奈川、愛知、三重、香川、岡山)

・一般社団法人日本船主協会(傘下

14

社)

・一般社団法人日本船長協会(傘下会員

10

人)

・日本内航海運組合総連合会(傘下

14

社)

・一般社団法人日本旅客船協会(傘下7社)

・全日本海員組合(傘下

12

支部)

・外国船舶協会(傘下4社)

・日本水先人会連合会(傘下3水先人会)

3 結果

(1)現行の

12

ノット制限について、どう感じていますか?

① 現状の制限に問題ないとする意見

・現行の速力制限が航路内での余裕を持った操船をもたらし、それが安全運航の 一助となっていると思う。安心感を覚える。

・狭い航路内での速力制限は、通航船舶の整理、交通規制(無理な追越し等の抑 制)、見合い関係の把握など安全性を担保する上で非常に有効的だと感じる。

・機関使用の自由度、他船の避航、小型船への航走波の影響を考慮すると妥当な 速力制限であると考える。

・日本の造船所で建造した商船は、一般的に

S/B Full

のエンジンモーションで

12

ノット前後の船速となるような仕様となっている場合が多いと理解している。

よって変更すると運用上の問題が生じる可能性(主機の

maneneuverable Range

外での航行など)もあり得ると思われる。

・安全水域、可航水域を配慮しての制限なので違和感を感じない。

・水深、航路幅等地形的制約及び交通の輻輳状況などを鑑み、事故防止及び交通 整理の観点から、速力に制限を設けることは理に適っていると考える。

・エスコートボートは優速3ノットは必要なため、緩和された場合、エスコート 作業に支障をきたす。

・航行安全(危険回避)の観点から現行の

12

ノット制限を維持してもらいたい。

・海交法の法目的からして当然の措置(規制)であり、漁船等の小型船舶の安全