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けの状態であり、ロケット上昇中の動圧で簡単に軸ずれを起こし軌道が曲がった可能性が 高い。さらに当日の気象条件は、上述の2つの原因に加えて風速3~4 m/sで、時折6 m/s 程の風が吹く中での試験となった。機体の検討不十分から微妙に姿勢が崩れ、さらに強風 の影響に対して安定飛行ができず墜落したのではないかと考える。これらのことから、重 心をさらにロケット中心へ移動させ、ノーズコーンの固定方法も検討した。

2回目の試験では1回目の失敗の原因を修復し、真っ直ぐに打ち上げることができた。

しかしロケットは想定高度まで上昇せず、機構は動作しなかった。これは制御プログラム 側に問題があり、フライトシミュレーションでは想定高度52 mに対して今回実験での気圧 設定値を30 m付近の気圧と低めの高度に設定していた。しかし、実際は低めに設定してい た高度よりも低い高度(約29 m)しか打ち上げることができなかったため、機構が動作し なかったと考える。このことを踏まえ、制御プログラムには上昇による加速度を感知して から3秒後に強制的にニクロム線に電流が流れる仕組みを追加した。ここで3秒という値 はこれまで失敗したロケット打ち上げ動画の解析より、発射から3秒後は空中にあると予 想することができ、この値を設定した(図5-1参照)。

図5-1 制御機器部のフローチャート

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3回目の実験では加速度を感知してから3秒後に強制的にニクロム線へ電流を流す制御 も動作せずに墜落した。これはプログラムが原因でありこの問題点を早急に解決し、追加 の地上試験にて動作を確認するべきである。また、ロケットが想定高度まで上昇しなかっ た原因として発射台が挙げられる。ロケット機体脇のストローまたは発射台の鉄棒のどち らかが曲がっていたために、その間に摩擦力が生じて鉄棒を離れた瞬間に軌道がずれてし まった可能性がと考えられる。また、重心の位置についてロケットを平面の2次元として 今まで決定していたがロケットを立体的に、つまり3次元的に重心の位置を決定していな かったため、重心が上下左右・手前奥側のいずれかに偏って微小モーメントが発生してい た可能性がある。これらのことから、原因を解決していくために発射台の改良が必要であ り、ロケットが真上に飛ぶように例えば地面に垂直に3本のパイプのような棒状の補助レ ールを機体の大きさに合わせて設置できる設備を製作していくことにする。さらに3次元 的に重心の位置を決定するために、ターンテーブル等を用いたスピン試験により制御機器 を機軸に対して厳密に均等となるよう設置しなければならないと考える。特にリポバッテ リーは機体の円筒内では固定されておらず、これの固定方法を検討したいと思う。

5-2 性能評価

今回開発したパラシュート自動開傘システムは、現状ではロケットの製造時の工作精度 の悪さなどの影響で十分上昇せず気圧が設定値よりも低くならなかったため、プログラム にタイマー設定が必要な状況である。よって、まだ1度もロケットに搭載した状態でセン サ信号の連動に基づいた分離機構の動作は確認できていないため、今後は地上試験および 改良したモデルロケットの打ち上げを行い、最終的な性能評価を進めるべきである。

5-3 課題

今後の課題としてまず、ロケットの重心位置を正確に3次元的に配置して搭載物をすべ て固定することである。具体的には制御機器部の左右対称な質量配分ができるよう、新た な設置・固定方法を模索する必要がある。また、現在は加速度センサを安全対策として利 用しているだけだが、将来的には今回のようにロケットが予期せぬ軌道を進んだ場合に備 え、加速度センサおよびジャイロセンサなどでロケットの姿勢を把握し、墜落の危険性が ある場合に分離機構が動作するようなシステムを取り入れられれば、更なる安全性の向上 につながると考えられ、センサの小型化が実現している現在、これはモデルロケットでも 検証可能と言える。

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