初産日齢は各年次で147〜169日,年次間変動が大きく,年次に対する能力平均値の回帰係数 は有意ではなかった。一方,体重は各年次で140日齢が2,966〜3,651g,300日齢が3,806〜
4,184g,年次が進むにつれ増加した(P<0.05)。年次に対する一次回帰係数は,140日齢体重が
写真3 遅羽性(左)および速羽性(右)
表6 肉用タイプ速羽性横斑プリマスロック種の年次別能力平均値1)
151〜450日齢 生存鶏産卵率(%) 300日齢卵重(g)
300日齢体重(g) 140週齢体重
初産日齢(日)
孵化年次
64.3±16.4 62.1±15.0 62.1±17.4 63.7±14.6 61.9±16.3 61.1±15.0 57.4±17.7 59.9±4.0
59.8±4.1 58.9±3.7 59.8±3.8 59.1±4.1 59.9±3.8 59.5±3.7 3,900±395
3,942±390 3,806±411 3,927±426 4,085±385 4,003±435 4,184±430 2,966±294
3,029±336 3,057±294 3,025±255 3,496±304 3,177±269 3,651±379 161.8±14.3
160.1±11.4 153.9±17.9 168.8± 8.1 147.2±13.6 162.2±12.2 154.4±20.7 1995
1996 1997 1998 1999 2000 2001
1)平均値±標準偏差
年当たり100g,300日齢体重が年当たり45gずつ増加したことを示した。また,前報2)におけ る140日齢体重の範囲は2,805〜2,937g,300日齢体重の範囲は3,679〜3,931gであり,本報 における体重の増加は明らかであった。300日齢卵重は58.9〜59.9gで59g前後の一定値を示
表7 年次に対する能力平均値の一次回帰係数 (肉用タイプ速羽性横斑プリマスロック)
一次回帰係数 形 質
–0.89 99.55*
44.80*
–0.13 –0.82*
初産日齢 140日齢体重 300日齢体重 300日齢卵重
151〜450日齢生存鶏産卵率
*:P<0.05
図1 肉用タイプ速羽性横斑プリマスロックの年次別能力平均値の推移
し,年次に対する能力平均値の一次回帰係数は有意でなかった。151〜450日齢生存鶏産卵率 は57.4〜64.3%,年次が進むにつれ低下した(P<0.05)。年次に対する能力平均値の一次回帰 係数は年当たり0.8%ずつに低下したことを示した。
以上のとおり,本種は初産日齢,卵重には年次の推移に伴う一貫した変化は見られなかった が,体重に顕著な増加があり,選抜の効果が見られた。一方産卵率は体重選抜の影響と見られ る低下があった。
2.横斑シャモ 1)特 長
本種はシャモに横斑プリマスロックの血液を導入し,シャモの闘争性を弱めるとともに,羽 色を白黒の横斑紋にした鶏種であり,青森県産地鶏交雑種「青森シャモロック」の雄系として 利用している。本種を父鶏とすることによって青森シャモロックの特徴である横斑紋を雌雄と もに発現させることができる。本種の外貌は写真4および写真5に示した。
2)造成方法
本種の造成にはシャモおよび横斑プリマスロックを使っている。造成方法は両鶏種のF1を基 礎にシャモへの戻し交配を7世代繰り返した。横斑シャモの最終的な血液割合はシャモが
255/256,横斑プリマスロックが1/256である。本種の改良は体重および産卵率に対して指数
選抜を行った。
3)最近の能力
本種の平均能力は図2および表8に示した。また,年次に対する能力平均値の一次回帰係数 は表9に示した。初産日齢は各年次で183〜206日,体重は140日齢が2,087〜2,197g,300
写真4 横斑シャモ雄 写真5 横斑シャモ雌
日齢が2,841〜3,138g,300日齢卵重は42.5〜52.3gで年次に対する能力平均値の一次回帰係 数はいずれも有意ではなかった。151〜450日齢生存鶏産卵率は各年次で30.8〜43.0%で,年 当たり1.2%ずつ増加する傾向があった(P<0.12)。前報2)において,横斑シャモは戻し交配5 世代目(B5)でシャモの平均能力に急速に近づいていることを明らかにしている。ちなみに前
表8 横斑シャモの年次別能力平均値1)
151〜450日齢 生存鶏産卵率(%)
300日齢卵重(g) 300日齢体重(g)
140週齢体重 初産日齢(日)
孵化年次
37.4±19.8 30.8±11.3 41.4±14.1 39.5±15.3 43.0±16.7 39.7±13.7 42.4±14.6 51.7±2.8
42.5±2.1 51.0±4.3 49.8±3.5 52.2±4.2 52.0±3.2 52.3±3.7 2,857±455
3,138±161 2,963±398 2,841±298 2,928±320 3,049±324 2,957±289
−
− 2,197±301 2,182±199 2,087±159 2,134±211 2,146±174 182.6±26.5
205.8±17.4 196.5±25.9 191.7±24.7 191.7±17.0 190.9±19.8 188.2±21.7 1995
1996 1997 1998 1999 2000 2001
1)平均値±標準偏差
表9 年次に対する能力平均値の一次回帰係数 (横斑シャモ)
一次回帰係数 形 質
–0.63 3.22 0.78 1.24† 初産日齢
300日齢体重 300日齢卵重
151〜450日齢生存鶏産卵率
†:P<0.12
図2 横斑シャモの年次別能力平均値の推移
報2)におけるシャモの初産日齢は183〜205日,300日齢体重は2,950〜3,171g,300日齢卵重 は50.9〜52.9g,151〜450日齢生存鶏産卵率は34.3〜35.6%であった。本報における横斑シャ モの体重,初産日齢および卵重は前報2)のシャモと同等であったが,産卵率については前報2)の シャモに比べ最大値間の比較で7.4%高かった。これは選抜の効果と考えられる。体重に対して 選抜の影響がなかった要因としては,一般に体重の大きいシャモは産卵率が低いため,体重で 選抜されたとしても,子孫を残せなかったことが考えられる。
3.あすなろ卵¿ 1)特徴
本種は卵殻色が緑色の卵を産する合成種である。血液割合は白色レグホーン約1/2,ロード アイランドレッド約1/2である。本種の外貌は写真6および写真7に示した。
鶏の卵殼色は褐色色素オオポルフィリンと青色色素ビリベルジンによって発色する。オオポ ルフィリンの分泌は通常の白色卵および褐色卵鶏種でみられる。一方,ビリベルジンの分泌は 南米原産アロウカナ等のごく限られた鶏種でしかみられず,この特性は常染色体上の青卵殻色 遺伝子(O)によって支配されている。
西藤・吉田(1991)5)は,青卵殻色遺伝子の存在下で,ロードアイランドレッドの血液割合が 増えると,卵殻色は緑から赤緑色の色相に変化すること,ロードアイランドレッドの血液割合
が1/2,白色レグホーンの血液割合が1/2の交雑種はロードアイランドレッドの血液割合が0,
3/4および7/8交雑種に比べ卵殻色a*が低く,色相角度が130度前後の緑色の濃い,嗜好性の 高い卵殻色になることを明らかにしている(写真8)。
この結果を受けて,本県では白色レグホーン約1/2,ロードアイランドレッド約1/2の血液 写真6 あすなろ卵¿雄 写真7 あすなろ卵¿雌
割合を有する合成種「あすなろ卵Ⅰ」を造成し,1992年から緑色卵生産鶏「あすなろ卵鶏」と して農家に普及させている。しかし,1995年からは新系統「あすなろ卵Ⅱ」が造成されたので
「あすなろ卵鶏」は「あすなろ卵Ⅰ」を雄系,「あすなろ卵Ⅱ」を雌系とした交雑により生産し ている。これは「あすなろ卵Ⅰ」と「あすなろ卵Ⅱ」の交雑によって産卵率や生存率等の形質 に雑種強勢が発現するためである。
2)造成方法
本種の造成に利用した素材鶏は農林水産省畜産試験場から導入した青卵殻色遺伝子を保有す る白色レグホーンおよび当部保有のロードアイランドレッドであった。1988年に素材両鶏種の F1を採種し,直ちに集団を閉鎖,以後世代間隔1年で更新している。本種はF5世代の1992年 孵化鶏から卵殻色の緑色を濃くするため,卵殻色a*を低める指数選抜を行い,1995年からは 卵殻色a*の低下と産卵率の増加,1997年からは卵殻色a*の低下,産卵率および卵重の増加の 指数選抜を行っている。
3)最近の能力
本種の平均能力は図3および表10,卵殻色は表11に示した。また,年次に対する能力平均