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以上 各章において,アカマツおよびクロマツの天然分布に対する規制条件を,主として海塩と種子の発芽と   の関係から検討した   

とくに,林木が天然分布をゆるされる第1階梯としての種子の発芽とその幼苗時の生長に主点をおき,アカマ   ツおよぴグロマツの発芽過程における耐塩性の問題を中心として■研究をおこ.なった さらに,天然下種されたア  

かマツおよびクロマツ種子の発芽にあたって\その発芽床となるべき林地の土壌に対する塩分の去婆響,すなわ   ら,土壌に対する着塩と,それが雨水などによって洗い流されるかたち,■また,それに伴っておこる土儀コロイ  

ドの洗脱などについて検討した.   

そ・の結果,発芽床における過剰な塩分の存在ほ,両種の発芽に対して阻害的であることを確認し,またマツ種   子の発芽生理紅対する塩分の阻害機構についてほ,とくにアカマツ種子ほ過剰な塩分を含む培地に置床された場   合,その発芽経過にともなって,胚部に対し塩分が集積する事実をみとめ,さらに,この培地に対する過剰な塩   分の存在が,発芽過程における種子の蛋白質代謝をいちじるしく撹乱する事実を認めた   

さら軋,海垢の発芽に対する妨害作用ほ,実株問題として,海水組成分のうち,主としてNaClに・よること   が,はぼ明確にされた 

また,アカマツとグロマツの耐塩性の比較についてほ,発芽の過程においても,椎偶の生育過糧濫点いても,  

アカマツはクロマツよりつねに耐墟性の低い事実を確めたさらに,実瞭に両樹種について,海岸地帯に対して   笛木の植栽ほ可能であっても,その間じ地点にかならずしも,天然下種による後継樹の発生が約束されない事実   について検討を試み,その結果,現実林において,種子の発芽に対しで妨害的にほたらく外的条件ほ単に塩分の   存在だけではなく,多くの場合,つよい風によってひきおこされる植物の体表および林地の地表面に対する乾燥   作用と,風のなかに多恩に含まれてくる塩分によってひきおこされる生理的乾燥,および,塩分そのもののもつ   生理機能えの本質的な妨害作用などの総合的な影響という点において考えなければならないとの推論に達し,こ   の観点から,両種について,それぞれ,稚箇と成西との耐乾性および耐塩性を検討した結果,両種とも,その   耐性についてほ,成蔑が稚苗に勝ることがはぼ確められた 

以上の諸結果を総合して,現実林における発芽の状況を推測すれほ,おそらく,時間的にも,地域的にも,発   芽が阻害される場面ほ単一・的な局面として把えられるべき性質のものではなく,その時,その地域に与えられる   外的条件−−「主として,風と降水−の絶え間ないうつり変りによって,たとえ同一・地点でも,ある時ほ発芽が   ゆるされ,また,ある時ほ必ずしもそこに発芽がゆるされないということ,また,同一小崎点でも,ある場所では   発芽がゆるされながら,他の地点では発芽をゆるされないといった現象の生起が予想される それゆえ,両種の   海岸地帯における天然分布に対する規制の局面は「静的」なものではなく,むしろ「動的」な局面としてとらえ  

られるべきものであろう   

しかして,このような分布を規制する種々の要因の組み合せに対して,クロマツほより耐性をもつのに反し   て,アカマツは耐性がひくく,その結果,海岸地帯におけるアカマツの分布が,クロマツのそれよりも,強く制   

−57一    約されるかたらをとるものと考える。   

もしこの推測がゆるされるならば,海岸地帯のマツ天然林のもつ令階配分ほ,おそらく,正常な条件下に成立   する,内陸地域めマツ天然林のもつ令階配分把.比較していちじるしく不規則的であり,かつ,間欧的な令階配分   状態をとるほずであり,しかもその傾向ほ,耐塩性のひくいアかマツの林分紅おいて,よりつよくあらわれるで   あろう   

したがって,現実の海岸林に対する,この令階配分の厳密な換討は,一∴面において両種の天然分布を規制する   要因に対する検別の重要な手段となるものと考えられるすなわち,今後の研究によって,この間題を究明する   計画である   

筆者ほ,本研究においてえた知見を,現実林について−実際紅活用するための−・つのこころみとして,福井営林  

署管内の北潟匡俸林において\簡単な防風垣を用い,林地紅対する海塩の搬入と潮風の吹きこみを防ぎ,それま   ではとんど天然生稚樹の発生をみなかった林内に,クロマツの天然生椎樹の発生を促すことに成功した。   

なお,梅塩は,アかマツおよびクロマツの発芽ならびにその後の生育に対して虐接妨害的に.はたらくのみなら   ず,林地土壌の劣悪化に対してもまた,壷大な影響せもつことが考えられ,この点に.関して,とく紅土磯コロイ   ドの面から検討を加え,塩水によって土塊コロイドほよく洗脱されることが確められ,過剰の海塩が土壌のもつ   益水分の保持力を低下せしめ,これが,海岸地帯紅立つアカマツないしクロマツの正常な生育を妨げる重要な−・  

つの条件となることが想定された.   

この結果から,海岸林土壌の保全紅関する−一つの方法として,土質改良剤などの適用の問題が考えられるが,  

この問題は研究結果の実際面に対する応用とい・う立場からみて,今後に残された重要な問題の−・つであると考え   られる  

文  

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