• 検索結果がありません。

種子の耐塩性を中心とした海岸地帯におけるアカマツおよびクロマツ林の成立に関する研究-香川大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "種子の耐塩性を中心とした海岸地帯におけるアカマツおよびクロマツ林の成立に関する研究-香川大学学術情報リポジトリ"

Copied!
73
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)
(2)
(3)

種子の耐塩性を中心とした海岸地帯におけるアカマツ

およびクロマツ林の成立に.関する研究

浅 野

A Study on the Fo工mation of Pine Forests on Seaside Areas,giving d11e

Consideration to the Salt Resistance of the Seeds

Jiro AsANO

(Laboratory of ForestIy) 目 次 第1茸 緒 第2茸 アカマツおよぴクロマツ種子の耐塩性 第1節 アカマツおよびクロマツの天然分布 1 アカマツの天然分布 2 クロマツの天然分布 5 アカマツとクロマツのすみわけ 4 アイグロマツの問題 節2節 アカマツおよびクロマツの発芽と耐塩性との関係 1 海墟の存在と発芽との関係 5 5 5 5 5 5 る11 12 用 18 18 20 22 2225 24 25 2525 鮎27 28 29 50詔 52 55 2 海水の塩類組成分と発芽との関係 第5節 アカマツおよびグロマツ種子内の塩分々布 1 生体染色による観察 2 化学分析による塩分の走塁 第4節 過剰塩分とアカマツ種子中の遊離アミノ酸との関係 1 実験方法 2 実験結果と考察 第5節 摘 要 第5黄 海岸林に対する海塩の搬入とその分布 第占節 海岸林地に対する海塩の搬入 1晦塩粒子の発生機構 2 海風中の塩分盟 5 降水中の塩分塁 節7節 海岸土壌の合塩景 1 水平的分布 2 垂直的分布 第8節 士屑模型による実験 1 実験方法 2 実験結果と考察

(4)

5 総 括 第9節 マツ針葉に対する着塩嚢 1 枝葉部えの着塩 2 塩分の付着屈 5 測定結果と考察 第10節 摘 要 7 ︵︼U 8 9 ∩︺ 7つ 4 4 4 7 ﹁ノ 8 8 8 8 0 0 4 4 5 ′0 7 1 J0

5 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 5 5 5 5 5 5 5 占一

p▲ 第4章 塩分と土儲との関係 第11節 土塊コロイドの定!表と電子顕微鏡による観察 1 土壌コロイドの定屈 2 電子顕微蹟による観察 第12節 摘 要 第5葦 現実林に対する実験的研究 第15郎 海岸林土壌の岩塩還 1 調査地と調査法 2 調査結果と考察 第14節 海岸林における種子の発芽ならびに苗木の威力の問題 1 海岸林における天然鐘椎樹発生の状況とそれに関する論議 2 天然生稚樹の発生促進に関する実験とその結果 5 考 察 第15節 摘 要 第る黄 緑結および鶴論 文 献 SummaIy 図 版

(5)

− 5 −

第1章 緒

海岸林…それはナJ線に近く展開する−・植生であり,海岸という独特の環境条件によって,その構成する植生 は特異の形相をとる 一搬に,森林植坐を大局的に決定する要l矧は,主として,温度と水と土の5大凶子とみてよいであろうが,し かし細部他にほ,その他のいろいろの環境条件がそれに関与することもまた明瞭な事実である このような森林に対する環境作用と同時に,森林が環境を改変し,新しい環桜をつくり出す仇き,すなわち森 林のもつ環」童形成作用もまた,きわめて盛大であり,それが,現実,好捕圭林をあらゆる而で,その存在を有意義 なものとする放面,その内包する森林生態学的問題な複雑化しているともいえよう 海岸林は,もちろん種々の樹種によって成立するが,我が国においてほ,とくに,それがマツ林によって占め られている面積がきわめて多く,したがって海岸林経営の主体ほ,マツ林の経営にあるとみても,それはど大き な誤りほないであろ・う しかして,周囲を海で餌まれる我が国では,自然,海岸林のもつ役割も大きく,それゆえ,海岸マツ林のもつ 畢要件も,それにともなって大きいといわねばならない −・一両,海岸マツ林ほ古くから海岸防風林として,その保護的効果を広く認識ほされてきているものの,育林的 には,その取り扱い方が,必ずしも合理的におこなわれているとほいえず,したがって海岸地帯にその優良林分 をさがし出すことは,むしろ困難な現状である この現状をれ破して,優良林分を育成することはあらゆる向から,きわめて重要であることほすでに論をまた ないであろう しかして,海岸林の合理的な取扱いは,その置かれている特異的な環境条件との相互作用を生理的,生態的な 側面から杷柘し,それを胃林技術の上に反映させてこそ実現できるものと考える 筆者はこのような観点から,とくに海岸地帯におけるアかマツおよびクロマツ林に対する,合理的取扱いを目 標として,海岸地描のもつ独特な環境条件一主として多超・の塩分の存在と,卓越する潮風一一∵下に展開するア カマツ林およびクロマツ林の生態学的問題を,主として一両稀の生理的な断面から検討した したがって,その研究の場で取り上げられた問題ほ広く,勢いその取り上げ方は並列的とならざるをえず,そ れゆえ,その個々の問題に対する掘り下げ方には,必ずしも完璧を期しえないうらみを多分に残しはしたが,し かし串にもこの面については,それぞれの各宙問分野における噂門家各位の御好意と御援助と御協力をえて,− 応所期の成果を得ることができた なお,本論具における問題の取り上げ方ほ,一∵見,森林に対する個体の生態学的究明に.,その目標がおかれて いるかに見受けられるかもしれないしかしながら,樹木が森林として成立する以上,森林の内包する本質的な 問題ほ,少くとも,森林を育成するという立場においては,植物群として,さらにほそこに構成される−・つの生 態系としての森林という断面でとらえられるペきものであろう すなわち,本論文の指向するものも,単なる個体の生理ではなく,最終的にほそこに帰結さるぺきものであ り,その出発点として,あるいぼ基盤としての個体について,その個体の示す独白の生理生態的側面に,主とし て研究の主眼をおいた正に本論文の哀意を求めたいのである しかして,本論文において−取り」二げた主題ほ,海岸地帯における特異環壌条件として,最も主導的な役割を果 している,梅塩の問題であり,それが,アカマツおよぴクロマツの自然分布と塾長とをどのように規制するかに ついて,究明する点におかれた なお,本論文に.−・罠して考えられていることは海岸地昔に.おける梅塩の植物および土壌に対する影響であり, それは,−小般に塩害として,概括されるものであるが,厳密な定義にしたがえ.ば,松平康男氏の提唱するよう に,それほあるいほ潮害,あるいほ潮風害と呼称されるべきものであるかも知れないけれども,この論議ほ他の 機会にゆづり,本論文でほ,特定の場合を除き慣例にしたがって,主として塩害なる用語を用いることとした 本研究ほ,京都大学農学部四手井綱英教授の御指導のもとにおこなわれたものであり,細部についてほ, 同・岡崎文彬教授,同・上田弘一郎教授(現・京都大学名誉教授),京都大学理学部畠山伊佐男助教授および,

(6)

ーー 4一 同・今泉 正氏の御指導をいただいた また,電子顕微鏡による研究にほ,主として−,徳島大学医学部高島律三教授および同大学工学部長松田亮一・ 教授の特別の御好意舵.より同大学医学部中央研究所々属の諸設備を借用させていただいた‖ また,炎光分析は, 京都大学虚学部四事井研究室において−.同・堤 利夫助教授の全面的な御協力をえておこなわれた… 現地調査に当って:は,金沢営林署長藤本公雄氏(現・大阪営林局造林課長),新潟県林業試験場長近藤重雄 氏,同技師阿部正博氏,大間々営林署長瀬川淳氏,福井営林署長岩崎芳一風 同管理官向井一・夫氏,同技 官井田利夫氏,同技官田端忍氏,および敦賀営林署長西尾辰実氏の,また,試験林の使用に・ついて−は,高松 営林署長藤野勘十郎氏(現・高知営林局監査課長)および,福井営林署長岩崎芳⊥・氏の格別の御取計らいを いただいた. また,大阪管区気象台高松測候所,および関西電力Ⅹ.K.副調査役村上 誠氏.同・二L凝部 村田啓一息 東北電力ⅩK.東新潟変電所長伊藤 剛氏,日本積雪連合研究部長古川 殴氏にほ偏重な資料の貸与,御助 言,御協力をいただいた. さらに,土壌,梅塩などの問題紅ついては,本学玉露鷹彦教授,青木利夫教授,吉良八郎教授,上原勝樹教 授より種々御教示をいただいた. なお,本研究は,本学屋川玄児助教授,楢崎丁市助教授の適切な御助言と御協力により,青田垂幸助手なら び紅専攻学生諸君の協力によってなされた こ.こに,各位に対して深甚なる感謝の意を表する次第である,

(7)

・−− 5・一 第2章 アカマツおよびクロマツ種子の耐塩性 第1節 アカマツおよびクロマツの天然分布 アカマツおよぴクロマツの天然分布の研究についで,局地的調査についての報告は,各営林局署や府県なとの 調査のなかに散見できるが.全国を通じて総括的にまとめた報告としては,林(1)の研究を第一・にあげることが できるであろう. 林は調査の目標を天然林におき,その単位は,林分ほもらろん単木に.ついて−も記載の対象として取り扱った とくに・こゝで重要な点は,上木が明らかな人工植栽の場合でもその林下に稚樹が多数発生し,どんどん更新して いるようなところは天然生林として取り扱ったことで,このような取り扱いについてほいろいろ論議はあるであ ろうが,林木の自然成立の可能性を基盤として天然林をみる立場からすれば,この取り扱いにあえて不都合を感 じないであろう. しかして,こ.のような取り扱いは,多くはアカマツおよぴクロマツにおいてみられたという.いま,アカマツ およびタロマツの天然分布の実態を林の調査報告(1)から抜粋すれば.1および2の通りである一. 1 アカマツの天然分布 アカマツは日本のはか,朝鮮,遼東半島,満州,クスリーなとに広く分布し,日本に.おける天然分布の北限地 は.,北海道国胆振支庁,苫小牧市持前山麓北緯約42040′で.厳密な意味での天然分布の北限地ほ,青森県下北部 大間町の,北緯約4lO51′,また南限地は,屋久島南部前岳地域で,北締約50015′である. 垂直分布の範囲についてほ,東北地方でほ,海抜約5mの海岸から1200m,関東地方では,海抜約2∼5mの 海岸から1800町 中部地方でほ,海抜2∼5mの海岸から1200m,四国地方では,海抜2∼5mの海岸から1280 叫 九州地方では,海抜約2{一5mの海岸から1400mのあいだで,生育地の最高ほ長野県南佐久郡大山頂上の小群 生のものであり,この地点ほ海抜標高約2290mであるが,全般的に見ると,東北地方では海抜約100mから500m ぐらいまで,関東地方では海抜約100mないし200mから1200mぐらいまで,中部地方では海抜約100m乃至200m から1400這ぐらいまで,近畿,中国,四国,九州の各地方でほ,海抜約10ロm乃至20ロmから1000mぐらいまでの あいだにおいて最もよく生育する. 2 クロマツの天然分布 クロマツは日本および朝鮮南部に自生する日本の天然分布の北限地ほ,青森県下北郡大間崎で北緯約41054′ であり,その南限地は鹿児島県吐噛嘲群島の宝島で,北緯およ一そ290である.クロマツは各地方の沿海地に糞林 が見られるが,垂直分布の範囲は,ところにより相違があり,東北,関東でほ大体海岸線から,海抜約500∼40 0mまで.中部地方でほ,大体,海岸からおよ・そ海抜500∼る00mまで,近畿,中国,四国,九州の各地方では海 岸線から海抜800∼9ロOmぐらいまでである, 生育地の叔低は,各地方の海抜Omで車高は鳥取県西伯郡の家門山頂上で,海抜およそ90ロmである‖ 全般的に見ると,東北 関嵐 中部各地方でほ,海抜200∼500mまでの沿海地,近畿,中国,四国,九州の各 地方では,400∼500m■までの沿海地あるいは比較的海に近い山地などに最もよい生育をしていて,海岸および沿 海の河川下流の凹地などでほ海面以下にしばしば成林をみる場合がある 5 アカマツとグロマツのすみわけ アカマツおよぴクロマツの天然分布のしかたについてみると,上述の通りタロマツほ海岸より海抜200∼50D皿 ないし400∼500mまでの範囲で,またアカマツは,海抜100mから海抜50ロm∼1400mの地域でもっともよく生育 することが解るが,もちろん,天然分布ほいづれの種においても,この範囲の両側で許される.. 今西(2)は壷要樹種17種について,その垂直分布を調べた結果から,各樹種の高度分布の範囲はかなりまちま ちで,明確な境界をもつ森林帯は認められず,高度の変化による樹種構成の変化は連続的であり,森林帯の区別 は単なるPatteI■n(型)のうつりかわりにすぎないという,つまり個々の種は,・一つの環境要因の変化に対して, それぞれ異る反応を示し,したがってそれぞれの種の分布域は相互に独立的なものではあるが.現実の植物共同 体はそれらが同じ地域に重役することによって生じたものである. ところで,アカマツおよびクロマツの分布規制をその生活環境の綜合に対する反応としての観点からみつめる

(8)

−る − ことは,単発アカマツおよびタロマツの生態の本質に触れることであり,このような生態系の正しい認識把握 ほ,少くとも,アかマツおよびグロマツ林の正.しい取り扱い方を知るうえで極めて重要であろう 吉息(3)ほ,林〈1)の調査報告にもとづいて,各産地紅おける高度分布の上∴下限に対する暖かさの指数(温量 指数”WaImthindex)を推定し,温度傾度上の分布曲線を作ったところ,アカマツおよぴクUマツ紅ついてほ筋 1区l紅示す結果をえたこの結果は植物の分布を支 配する二大要因が,温度と水分であるという点から して,アかマツおよびグロマツの天然分布を考える 上に.きわめて興味ある資料というべく,図に示され る分布曲線から,そのmodeは,クロマツよりアカ マツが,温蚤指数的にみて,いく分ひくいところに あり,グロマツに.くらべ,低温の地域により多く分 布す−ることが推定される.しかしながら,それぞれ の分布曲線ほ,それはど分離しではいず,共存のか たちをとる場合の多いことを同時に示唆する ところで,河田(4)ほアカマツおよびクロマツの 鴛ヨMrl叫−・1州1L 朔皮 第1図 中部地方払おけるマツ属の温度分布曲線 (苦慮(3)より改作) 天然分布について,能登半島の・−・弧 新潟県,山形 県,宮城県,岩手県,背森県の山・部などでほ,盾按潮風のあたる地瑞こでアカマツ林が成立するのに対し,本州中 部以西の直接潮風のあたる海岸地帯でほ,アカマツが生育しにくく,ここでほ,むしろ,グロマツを主とするア カマツの混交林の多いこ.とを指摘し,さらに,我が国では,−・般に南方で内陸に成立する森林が,北方にゆくに つれて,海岸の方にでてくる傾向をもち,アカマツ林紅ついてみても,その傾向が見られるとし,これは環境に 対する両種の適応性のちがいによるものと推定している また,中村(5)は,暖帯の海岸について,ここにほ儒緑広葉樹でほなく,しばしばクロマツがよく生育してい るのがみられるという. 一方,両種の郷土についてみるに,アかマツは,カレ描の北部からプナ帯にわたる地帯をその郷土とするのに 対して,クロマツほカレ帯を郷土とする したがって,クロマツほアカマツより,やや暖地に生育するものとみ なされる 以上の諸点から考察して,海岸地帯におけるアカマツおよびクロマツの天然分布のかたもを左右する条件とし て幼く因子ほ,その地域,地域に.よっで−・様でなく,種々異なるものとみるぺきであろうこのような見地から して,暖帯南部の海岸地帯におけるクロマツのアカマツに対する優イ立,また,混濁の両部にみられる海岸地構え のアカマツの進出は,主として過度,水さらにほ,土壌的条件によって大きく支配される結果にもとづくものと 考えられ,これらの諸条件に海塩や潮風などが,天然分布の上で重要な規制条件として参加するのほ,おそら く.これらの中間地昔であると考えられるのであって,湿度的にみて\およそ年平均気温150C前後の地域から 150C前後の地域,あるいは温蚤括欺からみて,およそ1DOOCないし1D50C前後から12DOCないし1250Cの地嵩二にお いてであろうと推測されるつまり,裟日本でほ,およそ新潟附近以南,表日本でははば水戸附近以南,九州で ほ概略,福岡,大分以北,それに四国の大部分を含む範囲の沿海地滞である すなわち,本論文において’も,問題の対象地域を,はぽこの範囲に区切り,考察を進めることとした 4 アイグロマツの問題 原田(¢)によれば,アカマツの花粉は風のため20Dkmの距離ないしほ.はとんど無限速まで運ばれるというか ら,その自然交雑樺をつくりだす機会ほきわめて多いであろうことが容易紅想像されるいま,遺伝学の立場か らみた場合,このアカマツとクロマツの確聞雑種についても,雑種強勢(heterosis)(T)の現象がみられるであ ろうことが推測される とすれほ,耐墟性についても,この雑種ほ純粋種のそれよりも,より強いものもでき得 ると考えてよいはずである ところで,アカマツとクロマツおよぴその種閲雑種を立木の外観のみによって完全に識別,判定することほな かなかむづかしいようである(89) 筆者ほ,アカマツおよぴクロマツの耐塩性を論ずるにあたり,もちいる実験材料の純粋性を吟味する意味で,

(9)

ー 7 一 実験紅さきだら∴まず両種の識別の問題について,−一応の検討をおこなうこととした すなわち,アカマツ.クロマツの両種と,その種間雑種とのあいだの外見からする識別について,識別の精度 にいささか問題点を含むものと考え,この点について検討を加えた 8.調査力法および結果 上述の目的をもって.今回ほ,次の4地域のマツについて調査をおこなった すなわち, ① 香川県,高松市屋島の西側海岸−・・帯 ㊥ 鳥取県,鳥取市鳥取砂丘の一滞(ただし,海岸砂防植栽地を除く) ⑨ 鳥取県.米子市西部の海岸ぞいの鵬滞 ④ 兵醇県.舞子浜・一・帯(ただし.国道線より海側) 調査の方法としては,調査地に成立する林木のなかから,調査対象木を無作為に抽出し,岩村(10)の方法を簡 略化して,まず,・そ・の外観形態を,樹皮,冬芽あるいは新梢,および,針葉の5項目に.ついて採点し,それぞれ の項目について−,アカマツの特徴をもつものを(・十1),グロマツの特徴をもつものを(仙−1)とし,合計点が (」−・5)のものをアカマツ,(−5)のものをタロマツとし,(+2)∼(−2)の範囲のものはすべて−交雑種と して−・托した 種闇雑種の分類体系については,理論的にほ,岩村(910)の提唱する−・クロマツ,アイグロマツ,アイマ ツ,アイアカマツ,アカマツ騨の分類体系を支持するが,筆者は今回の調査目的からして,便宜的に種間雑種 ほ,これをすべで−・括してとりあつかうこととした つぎに,掴査対象木の前年生の針葉を内部形態を観察するための試料として,樹冠の周闘5ケ所から採った 針葉の内部形態トー十主として樹脂道配列のかたち−−一による識別についてほ,まだ論議は残されているが,聾 者ほ.叫応,辻(8),岩村(9)らの論議を基本とし,岩田ら(11)の分類法を参考にして,仮りに工型をクロマツ,Ⅱお よびⅡ型の樹脂道配列をなすものをアかマツとし,Ⅰ型とⅡ型,あるいほⅠ型と皿型をあわせ持つ混合型のもの を,交雑種とみなし,交雑種をすべてアイグロマツと仮称して処理することとした なお針其の樹脂遣配列の観 察は針葉の中央断面について−おこなった このように・して,対象木からそれぞれ5コの試料をとり,その内部形態を表記し,その結果による判定と外部 形態の観察結果とを対照し,双方の結果がよく符合しているか否かを検討することとした‖ なお,参考までに試料それぞれの樹脂通数も読んだその結果,第1′・・ノ4表(12)をえた. b.考 察 (1)屋島地区の結果(第1表参照)においては,外観と内部形態による識別とが,必ずしも・一・致している とほいえない. 勿論,そのくい違いは,筆者の識別技術の未熟に起因するものかも知れず,・また,外部形態の観察に精密替が 欠けていたのかも知れないが,とにかく両者の識別の結果に多少のくい違いがおきた アカマツおよびクロマツの分布を内部形態に.よって検討してみると,鳥取砂丘地帯および米子市西部の海岸地 帯,そして,舞子の浜では,クロマツの本数がアカマツのそれに.くらべて圧倒的に多い一 これに対して,屋島地 区でほ,クロマツを主体とし,アカマツが混在し,そして,この間にアイグロマツが相当数介在することがわか る (2)すでに,(1)で触れたように,外概と内部形態龍よる識別とのあいだには.,多少のくい違いの生ず るこ・とが認められるが,しかし,そのくい違いは,タロマツとアカマツとの混同ではなく,多くの場合,外観的 にほタロマツとし,あるいは,アカマツとしたもののなかに,アイグロマツが入っているかたちである.このよ うな関係ほ,岩村のおこなった,より精密な調査紅おいても,同様の結果(9)がでて:いる.いづれにしても,ア カマツあるいはクロマツと,それらの交雑種とほ,そのおたがいのあいだを,外部形態だけでは識別しにくい場 合があり得ることは明らかである. さらに,このように成木についてさえ,その識別に.混乱が起りうるものとすれは,まして,種子の上での識別 はより困難であろう.それゆえ,我々の用いる実験材料として−のマツ種子については,この点からする吟味も充 分になされる必要がある

(10)

ー・8 −− もっとも.アイグロマツに・ついての分類上の問題としては,林(13)がいうように,海岸地帯において馴化され た海岸型のアカマツを.とくに.アイグロマツと名付ける考え方もあるが,アイグロマツをこ・こでは.岩村(810) らのいう交雑種として取り扱った 第1表 マツ針葉の樹脂道配列型と樹脂道数〔屋 島〕

B B B B B B B B B B B B R B ノR R R B B B B

註 B:タロマツ.R:アカマツ, h:アイグロマツを示す()内の数字は樹脂数道を示す 判定の欄ほ,樹脂道配列型による,また,外観の欄は外部形態による識別結果を示す(第2∼4表も同じ)

(11)

−−− 9 −

(12)

−・・10−−

第5表 マツ針葉の樹脂道配列型と樹脂道数〔米 子〕

(13)

11 第4表 マツ針葉の樹脂道配列塑と樹脂道数〔舞子浜〕 \\ \ 試料jⅥ)巾 \\\ Ⅰ (4) 工 (4) Ⅰ (5) Ⅰ (4) 工 (5) 工 (5) Ⅰ (5) Ⅰ (5) 工 (2) Ⅰ (2) Ⅰ (5) 工 (2) Ⅰ (5) Ⅰ (占) Ⅰ 【 Ⅰ 2 8 ︶ ︶ ︶ ヽノ B4. B5. B5 B4 t 1 .1 ノ■\ B B B (5) Ⅰ (5) Ⅰ (占) Ⅰ (4) Ⅰ (5) Ⅰ (る) (5) 工 工 (5) 工 (2) Ⅰ (2) 】Ⅱ (Ⅰ−2.Ⅱ−1) Ⅰ (2) Ⅰ (5) Ⅰ (5) B ー ′ 1 ︶ 8 8 ︶ 2 ︶ 4

B5 BL B2.B5 B2.B2 h乙

︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ B B B B B B B

︶︶22

B2 B5 B説 b5.

一...\ .\ /−\ ′一−1ヽ B B B B 川 : l (ト5い此一川 (5) 第2節 アカマツおよぴクロマツの発芽と耐塩性との関係 植物の自然分布を決定的たらしめる好一・の基盤ほ,−・定の地点に対して自然落下した種子が,まづ発芽し,そ れが幼柄物として成長することにある 筆者はこのような見地から,アカマツおよびクロマツの海岸地措における自然分布を検討するに当って,その 基盤をなすところの発芽とその後の生育について,まづ協定することとした ところで,植物の窪育について考えるとき,この海岸地帯軋 河田(14)が.海岸地描に成立する植生を,とく に,海岸林植生なる,一・つの植生単位群級として,あつかっているはどに,他の地域とほ種々の点で,その生育 条件を異にするさらに,海岸地瑞=における,とくに最も特異的な条件は,他の地域に比較して,その土壌濾分 量が,−敵にいちじるしく多いことと,潮風が卓越することであろう すなわち,海岸地榊こおいて,ある植物がそこに分布をゆるされる,ひとつの基盤は.,このような高払皮含塩 考犬態にある土壌条件下において,発芽とそれにつゞく生長が可能であるということである

(14)

・−12・・− 海岸地帯に対する天然分布の可能性を確認するには,それゆえに,まづ両樹種が,海岸地帯においてみられる ような食塩度の高い状態の発芽床で,発芽とその彼の生育がゆるされるか否かを一つまり,総括的な耐塩性を ・−一確認する必要がある. 米田(1りは,作物の耐塩陰について論ずる場合,その耐塩性は,生育の5つの相,すなわら,発芽,幼植物 期,および栄養成長期とそれに.つづく成熟結実期の5期紅わけて考えるべきであるとし,とくに,発芽と幼植物 期とが塩害の臨界点であるという♪つまり,植物の耐塩性についてみるとき,発芽ないし幼植物期は,もっとも 塩害を被りやすい生育の段階であるといえ.るのであっで,アカマツおよぴクロマツに・関しても,成木はたとえ耐 塩性の高いものであるに.しろ,発芽と幼植物期紅おいてほ必ずしも成木と同じ程度の耐墟性をもつとはいえず, こ.の点が,少くとも海岸地帯において,アカマツないしクロマツが,そ・こに成立しうるか否かの第・一・次の,そし て最も雷大な開門となりうるものと考え.る▲ このような観点にたって∴本問題を解析すべく.聾者は,まず塩分を種々の濃度に含む発芽床を設け,これに アカマツおよびクロマツの種子を謬床し,その発芽経過を検討するこ.ととした. 1晦塩の存在と発芽との関係 8.実験方法および結果 実験方法としては,径10cmの腰高ソヤ・−−レに濾紙を敷き,これに海水(高松港のものを採集した)と兼潜水 とを第5表の割合に.混合したものを,濾蘭が充分紅湿潤する程度に注水し,とれに.アカマツおよぴクロマツの種 子をそれぞれ100粒宛置床した小 なお,発芽床に用いた濾紙ほ,■一 日おきに新しいものと交換した この試験期間中,湿度ほ250Cを 保つように調節し,発芽種子数は 第5表 試験区別 純水、海水混合比およぴⅣaCl濃圧 (濃度区分) 純水:海水(塁) NaCl濃度(%) 0:100 2.・7 毎日定時に読んだ一ここで・発芽 とは,叫応外種皮が裂けて,わず かに幼板の先端が見え出しているものをいい,これを発芽種子とみなして処理した. このように.して.置床彼の発芽経過を観察したいま,この観察結果の1例(16)を示すと,第‘表および第 2.5図の通りである‖ すなわち,両種とも海水の混合比が増すにつれて,その発芽率ほ明らかに低下する.しかもアカマツにおい て,その傾向は瑚著である結果をえた. これらほ,伊藤ら(17)が,アカマツおよぴクロマツを用いて1種々の濃度の海水でその発芽率を検定した結果 と照合しても,およそ同一・の傾向をもつものであるが,ただ,伊藤らのおこなった寡験でほ,クロマツはむしろ 少盈のNaClの存在で良好な発芽率をしめしたといっているが,筆者の実験では,それを認めることができなか った1.これは,筆者の設けた試験区でほ,海塩の最低濃度を,伊藤らの発芽促進をみとめた潰皮よりも高いとこ ろにおいたこと紅よるものでほないかと考える… b小 考 察 種子ほ,吸水によって,発芽を開始するが,どの程度に吸水したときに発芽を開始するかは,植物の種類によ って異なるし,また,同じ種類でも個々の種子によって多少異る..、 ・−一般紅,発芽初期における吸水は,種子を構成するコロイド貿によるところの膨潤現象とみなされ,したがっ て,それは−・種の物理的現象と考えるべきものであるい(もちろん,実際種子が毘床された場合紅は.,外液との 単なる拡散現象だけでなく,毛細管現象による吸水も,ともにほたらくものと考えられるが… )したがって. 少くとも発芽初期における吸水には,外的条件についてみれば,こ.の膨潤現象紅影響をもつ諸条件,とく紅,温 度ならびに.外液の浸透圧が重大な意義をもつし,殊に,実際の発芽の場について考える場合.外液の浸透圧 ほ,種子の発芽紅関して,きわめで重要な役割を演ずるもので,外液の浸透圧が高いはど,種子の吸水速度は低 下するし,同時に吸水鼠そのものも減少する,.つまり,発芽床は種子の発芽に際して\まづその機械的吸水の源 となる.そのため,発芽床のもつ水の多少が,直接種子の発芽軋影響を与えるものであり,それゆえにり そこに 存在する水は,単に,発芽に対しで充分な蔓の水というだけではなく上程子紅とって吸水し得るかたちの水でな

(15)

−1さ・− 厨 叫 q べ ヾ 戦ふ帥 A ヽ 払 べ ヾ ヽ払べヾ皆hqヽ口々ヾ商叫8前栄謳細岡吟望補職覇露︵一3詳甘︶ ︵Nu什ロ.∽。C︶ ければならないはずである. 外液の塩分濃度が高くなる紅つれて,その浸透圧が高まり,その結果,発芽遅延がみられるという考え方につい

(16)

−−14−− ては,多くの研 究があり,ほと んど疑問の余地 のないところで あろうすでに 約40年前,Shull はオナ・モミ(Ⅹ・ anthium pens− ylvanicum)の 種子を種々の濃 度のNaClおよ びLiClに置い マ における吸水塗 を測定した結果 から,外液の浸 透作用が,碍子 の膨潤作用にお よばす影響にっ いて検討を加え た結果,オナモ ミの種子はNa ClおよびLiCl溶 液に対して,そ の樽皮ほ半透性 を示し,水分の 通過ほ許すが, 外披に溶存する % Clは通過をゆ るさないした がって.溶液の K(d〉=465−564logeC K(t)=500−508logeC イ旦しK(d)アかマツの発芽率 Ⅹ(t)・タロマ′の発芽率 80 90,100 う・110 20 30 40 50 芯床用数 第2図 アカマツ種子の海水濃度別発芽 経過(100和一・25±0・50C) 05 1116 2227 NaCl濃度(%) アかマソ × クロマツ 第4図 アカマツおよびクロマツ種子の発芽 と海水濃度との関係 4例のう もがたも とるつた

浄撥

.。■﹂−

マでをとつaC ツあと っいl と線ぞ 例点の 5︵を の例︶ 他1の て検討した . 2 7 ∼ 5 0 度 濃 O し 後計 ㌫今る はす の 先 験 で ゝ⊥一 てに 画である より完全 浸透圧が高まる につれて,その吸水愚(単位物墓当りの)の減少がみられるとし た(18)ところで,Shullの実験から,すでに指摘されたように, 種皮のいわゆる選択透過性についてほ.その後多くの研究報告が みられる Collins(19)は,大麦を材朋として,粒子の半.透過性を研究した 紘私 大麦椅子ほ,胚の附近に水の浸入する特別の場所があっ て.稗了の吸水鼻の大部分は,ここから浸入し.他の表面より入 る水は極めてわずかである小 またこ・の場所には無機敵および多く の類塩をさえぎり,かつ,水を自由に適適させるきP透性構造があ って,水の供給を受けた場合,胚が巌初にその水を受入れるのに 適わしいような種子の表面構造化なっていることを明らかにし た 十 発芽数 う・10 20 30 40 50 芯床目数 軍5図クロマツ種子の海水濃度別発芽 経過(100粒・25±0い50C)

(17)

ー15・−′ さらに,Sbu11(叫によれば.オナモミの種子ほ,その種皮に選択透過性があって,食塩,硫酸銅,グリセロL−− ル,砂糖.塩酸,酒石酸.クロンユ−ム酸カリ,チか硫酸ソ・−ダなどの浸入を速断し,硝酸アンモ.ニヤ.硝酸 名札硝酸ナトリウム,硝酸カリ,塩化カリ,塩化水銀,硫化鉄,アルコール.エ“テル,沃皮.苛性カリ.苛性 ソーダ.硫敵船酸.乳酸,拘禄酸などの浸入を許すが.この特性ほ種皮の中層および内周にあるらしいことを 指摘している また.M喝istadらく21)は,含塙土における植物の生長柑害は.血義的には,浸透圧関係にもとづくものである が,ただし.NaCl,NaHCOs.CaCl2.MgCl2などの塩類のあいだにはいらじるしい相違がみられるとし.岩 城(22)も高浸透溶液中での種籾の発芽遅延や,水稲の生長阻害をみとめている. いま.筆者のえた,前記の実験結果(第占表)について考察するに.発芽の開始時期および最高発芽のあらわ れる時期ほ,注水中の塩分濃度が高まるにつれて遅れ.発芽率もまた.同様に濃度の高まるにしたがって低下し たこれは,発芽生理の立場から.−・般的に指摘されるように・,−・つにほ注水中の塩分濃度が高まるにつれて, 次第に生理的乾燥の状態が与えられる結果,吸水機能の制御をう軋発芽に必要な鼻の吸水が不可能となること にもとづくものと考えられ,必ずしも填分が碍子の発芽に対して.商接その生理作用に有害に幼いた結果にもと づく現象であるとほし、えないかもしれない. OppallSkyおよぴLehmann(23)が.デソトコ・−ンなどを材料として,発芽床の種々の含水状態と,lモれらの種 子の一一億時間内における吸水量を調べた結果,発芽床の含水鼠が低下するはど.ダントコ−ンなどの吸水盟ほ減 少することを明らかにした もし,ある碍子が,発芽するためにほ,一・定蔓の吸水が行われることが必要であるとするならば.このデソト コーンの発芽速度は′ 発芽床の飽差が大きくなるはど低下するほずであるつまり.発芽床の水分の減少乾 燥ほ,この点から推して,碍子の発芽を遅延せしめる蚤要な1つの園子となることほ明らかである.. 肇老ほ,このような論議を吟味する目的で,アカマツ種子を材料として,つぎの実験をおこなった すなわち.前記の実験に・おいて標準区としたとこ・ろの,莱潜水のみを注水する区を再び設仇 まづ,標準区は 前記実験でおこなったと全く同様の取り扱いとし,他の・・・■】・一償は,茶潜水を注水する操作は標準区と同じに.しなが ら,全英験期間中シャーレの蓋を,9時から17時までの8時間,毎日開放したさら紅,他の一つの区は,全実 験期間中,全日ジャー・レの蓋を開放しておいた もちろん.これらの処理以外は∴すべて前の発芽実験の場合 と全く同一・の条件を与えるこ.とに努めた“この英験の結果を第7表にまとめた 第7表 アカマツ種子の発芽経過(25±0…50C) 註:。A 全期間中、フタをした区(標準区) 。C全期間申、フタを除いた区 ◇B 全期間中、1日8時間宛フタを除いた区 ◇播種数 各区200粒宛 すなわち.第7衆の結果をみると,単にシヤ−レ内の湿度を,講の開閉によって調節しただけで−もっとも, この場合,厳密には他の種々の条件も変ることほ当然考えねばならないが−】発芽総数は.はぼひとしい倍をと りながらも.その巌高発芽数のあらわれる時期が.蓋を開放する時間の少いものから(もっとも,標準区でも. 濾紙を取りかえるときと.発芽数を・調べるときとは,蓋を取った)多い順に.わづかながら,おくれをみせてい るつまり,この結果からしても,発芽床の乾燥が,碍子の発芽をおくらせる事実をうかがい知ることができ るものと考える1 ところで.HassanおよびOverstreet(24)は.塵宵障害の主因ほ,塩の特性にあるのであって.浸透圧にあるの ではないという

(18)

−・1占 − また∴下瀬(2626)は,塩化物による水稲代謝の乱れを研究した結果,NaCl区は標準区にくらぺ,金宝索,蛋白 登窒素とも多く,とくに.呵溶仲窒素がいちじるしく多くなるまた,無機成分でほ,硫黄は多くなるが,マグ ネシウムおよぴカリウム.カルシウム令遠ほ少くなるという また,多くの作物は.置換性陽イオンの10∼17%がナトリウムで占められている培地にあるとき,生育障害を おこすといわれているが.その原因究明ほまだ完成されていない しかしながら,およそNaイオンの害作用については,置換性ナトリウムが組物に吸収された場合,何らかの かたちで植物の代謝機能を開害すること,また.置換性ナトリウムの高應皮の存在軋必須元乱すなわちカリ ウム.カルソクムなどの吸収を減少させること,などにもとづくものと考えられ,さらに.置換牲てグネジウム の多昂・に存在するためにおこる昼育障害も.ナ斗リウムの場合と同様に,カルシウム栄養の破壊にもとづくもの のようである(27)が.いずれにしても.現在までのところ組物の耐塩性紅ついては.いろいろの見解があって, 統一・的な結論は得られて−いず,今後の研究にまたなければならないしかしながら.塩分が植物の発芽.ならび に.その後の生長作用に対して,その特性上.生理的機能に対し.特異的な障害をひきおこさしめることと,高 浸透圧にもとづく水分利用度の低下が生育障害の重要な一≠・因となることについては.はとんど異論がないよう で,ただ何れが障害の主因となるかについて.種々見解を異にしているというのが現状である いま,筆者の第占表にまとめた実験結果と.第7表の実験結果とを対照すると.第占表にみられる発芽遅延, (とくに最高発芽数のあらわれる時期のおくれ)ほ,第■7表のそれよりも,頚著にあらわれているように見うけ られ,第占表紅おいでみられる発芽遅延について軋・一腰にいわれているように.生理的乾燥一外液め浸透圧 の問題仁一」忙よって.ひきおこされた発芽遅延と同時に,外液のもつ塩分が.種子の発芽に.対して,純粋に生理 機能の面からする妨害作用をもたらし,これが生理的乾燥−一物理的作用岬とからんで,綜合的にはたらき. 第7表のそれにくらべ,発芽遅延をいちじるしくしているものと思われる 2 海水の塩類組成分と発芽との関係 ところで.天然下種された種子の発芽の場を恩定するとき,そこに与えられる海塩一発芽遅延から発芽阻害 までを含めて,その主要条件を与え.るもの一によって.実際に発芽が妨げられるものとすれば,それ層十体. 海水の塩類組成分のうちで,何がその主導的役割を果すものなのかとい・う点を考えねばならないであろう,すな わち.海水の塩類組成分中、どの成分がこれらの種子の発芽に妨害的にはたらく主役となるものなのかという点 について検討すべきである いま.C.DittmaI(28)によれば,海水の塩類組 成は第8表に示す如くである そこで,聾者は,これらの諸物栗の注水中にお ける存在が.アカマツおよびクロマツの発芽紅対 して.どのようにほたらくかについて検定する目 的をもって,これらの諸物質について.それぞれ 海水中の溶存量に等しい濃度の溶液を作り,これ を発芽床に注水し.アカマツ種子を材料として. 第8表 海水の塩類組成(海水1L申) NaC1 2フル215g MgC12 5.8〔)7 MgSO4 1.d58 CaSO4 1.2るO K2SO4 0.8る5 CaCO8 0一′125 MgBr2 0.07占 +占H20 8一128g +7H20 5い595 」−2H20 1.598 十占H20 0.121 一−】−L−肝、仙柵〟】 ̄【劇鵬∼ ̄ その発芽経過を観察することとした. a小 突験の方法と結果 試験区の設定紅ついてほ.それぞれの物貿が.海水中に含まれるとひとしい濃皮をもつ溶液を注加するA区( すなわち,第d表における10D区に相当するもの)と,A区の使用液20部に対し.嘉潜水80部の割合で稀釈した 溶液を注水するB区(すなわち.欝占表における20区に相当するもの)および,対照区として,韮溜水のみを注 加する区を設けて.巽験をおこない,第9表の結果をえた. b.考 察 欝9表の結果によれば,NaCl注加区をのぞく.その他の区.すなわち,MgCl9.MgSO4=.CaSO4T,K2SO4, CaCO8.MgBr2などの溶液を注如した区では.海水そのものの溶存盈にひとしい濃度(すなわちA区)の場合で さえ,概して.いちじるしい発芽阻害は見うけられず,むしろ.CaSO4.MgB工2溶液を用いた区などにおいて は,かえって,発芽が早められるらしい傾向さえ観察された,

(19)

ー17− 第9表 アカマツ種子の塩類別発芽数(100粒中) こ.のような傾向は,肥後ら (29)が,クロマツ矧笥を用い て\海水がその成長に.とのよ うな影響をもたらすかを検討 する目的で.水耕実験をおこ ない.海水濃度が20%以上の 場合にほ稚苗ほ生育しなかっ たが.しかし、水道水に海水 2∼10%を加え.たものほ,水 道水だけで水糾した区より も,むしろよい当二長を示した \\、、 、 K2SO4!MgBI2 区分 至]二重

□二三工可二互工ニ

. _._

㌃「㌻「盲T㌃「弄1 ̄㌻1▼議「75

(粗)

発芽数 許や両 区指数

1〔)O1 5占 j 88‡ 84」 88! 88‡ 84 j 85

海水中の溶存鼻(Dittmarによる)に等しい濃度の潜 もちいた Aの使用液20部:蒸溜水80部の混合液をもちいた 註:o A O B という結果や,あるいほま た.伊藤ら(17)が,グロマツ種子の発芽試験で.低濃度海水区(20%海水区)でクロマツ種子が,′むしろ対膿 区より.よい発芽率を示したという結果.などと考え合せるとき.これらの結果と聾者のおこなったこの実験. とくに,低濃度の場合,CaSO4,MgBI2などの溶液を注水した区において.堕長を促進するような傾向がみとめ られたこととのあいだに.ある稗の関連性の存在することを推測せしめる いづれにしてこも.海塩が実際に発芽阻害的に.ほたらく場合,その主導的役割を果している成分は」二主としてご NaClであることは第9表の示す結果からしても,はぼ明らかである ところで.すでに述べたように.多くの実験で.明らかにされていることは..Naイオンが.他の必須元素の 吸収を妨害するという事実であるが,Clイオ■ンについてほ.近年.むしろ.植物の必須元素として認められつつ あり.B工OyeIら(30叱よって.塩素欠乏症さえ提示されているはどであり.植物の生育に対して全面的に阻害作 用をもつとほ考えられない,がしかし,過度のCl′の存在は,もちろん植物の生理機能に対して.阻害的にはた らくことも一また,明確なところである。 とくに.種子の発芽に対してほ.Clイオンの害作用がもっとも強いとさえいわれているし.陽イカーンでは, Naイオンが,K,Mg,Caイオンなどにくらべて有害であるといわれている(31) 筆者ほ ,このような海塩のもつ発芽阻害の作用について.さらに検討するべく,つぎの実験を試みた‖ すなわち.海水中のMgC12の溶存畳は.Dittmarによれば.5小807g/L(海水)であるそこで いま,MgC12 5.紬/Lの溶液(B区)と,この溶液のMgのモル濃度とはぼひとしい濃度のNaをもつNaCl溶液.すなわち近似的 に2、.5g/Lの溶液(C区)とを用いて.両種の発芽を検定した.その結果第10表を得た この結果からみた場合,MgおよびNaの モル濃度の,ほとんどひとしい,Bおよぴ C区についてみるに.その発芽数はMgC12 溶液を用いたB区よりNaCl溶液を用いた C区で,やや少い傾向がみられ,それは, とくに,アカマツにおいて\明らかなよう である しかして.こ.の両区の溶液中の Clのモル濃度をみると.MgC19溶液(B 区)のカが,NaCl溶液(C区)よりも.よ り高く,その濃度の比ほ,はぼ2:1であ るすなわら,以上の結果からみて,マ ツ碍子の発芽においては,MgC12よりも. NaClが,その発芽に対してより強い世情 第10表 発芽床申のMgC12およびNaCl鼻と発芽数との関係 樹 種 アカマツ 註:0 播種数 1区50粒 。区 分A=兼潜水 B=MgC125.8g/L C=NaC12い5g/L D= 〝 1.2g/L 作用をつもようであり,とくに,アカマツ において,その傾向が強い そこで,このC区のおよそ%のモル濃度をもつ,D区(近似的にNaCll小2g/Lとした)を設け,その発芽を検

(20)

ー18・− 討した結果,第用蓑におけるごとく.B区とはぼひとしい発芽成綺をえた 以上の結果を綜合すると.クロマツは各区とも,対照区とはぼひとしい発芽をみたのであるが.アカマツは, とくにC区において.いちじるしく発芽を抑えられた もちろん、この実験ほ、むしろ予備的実験の段階紅すぎず,この結果から憤らに.NaClの発芽阻害作用の結 論せひきだすわけにほ行かないが.少くとも∴アかマツ種子とクロマツ種子の発芽に関して,海水組成分中,と くにNaClの阻害作用が.MgC12のそれよりも.より強くあらわれることが予想しえられたといえよう. 以上を綜合して,培地における過剰塩分の存在ほ,両種の発芽を阻害することほ確かであり,しかも.その阻 害作用ほ.アカマツにおいて,クロマツよりも,より強くあらわれることが明らかになり.さらに,海水組成分 中,NaClが,その随害作用を与え.る主体であることが想定される すなわち.本実験においても,多くの研究職碧紅みられるように.培地における過剰塩分の存在が,碍子の発 芽を阻害するという結果をえ,同時に,その間害の程度ほ,アカマツにおいて,クロマツよりも,より強くあ らわれる結果を確認したこの結果からして.海岸地帯における両種の分布には.その林地における海魔の存在 が,重要な関係をもつであろうこ.とが推測されうるし.この場合.とくに,アカマツほタロマツよりも,より強 く,林地の海塩の存在によって.その分布が規制されるであろうことが,明らかにされた 第る節 アカマツおよびクロマツ種子内の塩分々布 作物の耐塩性に関しては,HaywardおよぴWadleigh(32)によれば,培地の浸透圧の増加を相殺するために組織 汁液の浸透圧を増加しうる能力のあるものはど,また,イオンの過度の集積を巧み紅排除するという調節能力の あるものほど,さらに,集積したイオーンの有害作用に耐えうる原形質個有の能力のあるものはど.耐墟性が強い ものと考えられるしたがって,塩類の集積に対して.その原形質が,特殊の鋭敏性をもっていることが,作物 の耐塩性を低くしている原因のひとつであるといえる 植物の耐塩性に関する生理機能についての,このような考え方は.第2節において一触れたどとく.古くSbull などによってすでに指摘された,細胞膜の半透過性と密接な関係をもつものであって\つまり.ある植物の耐塩 性を決定する重要な−・条件ほ.その植物の細胞膜が塩分に対し.どのような半透過性をもつかにあるともいえる であろう 1 坐体染色による観察 筆者ほ以上の理由から.アカマツおよぴクロマツの耐塩性を研究する・一・つの重要な手がかりとして,アカマツ およびクロマツ種子の発芽過程における.塩分の吸収と分布,移動について,その状態を明らかにし,それによ って両種の耐塩性に関する一側面を検討しようとした すなわち.発芽過程において.種子内に集積する塩分の 様相と,さら紅,その集積の過程において,塩分の吸収とその移動のありさまを把握し.また.本来,種子内 に,もし塩分が畜積されているものとすれば.そのすでに蓄積されているところの塩分が,種子の発芽過程にお いて,どのような動きを示すかを明らかにするべく,まづ,重体染色法を応用し,顕微鏡による組織観察をおこ なった 久保および堤(3$)ほ,生体染色法によって.米粒内の墟素の移動を観察し.分析結果と同様に,米粒内のぬか 部の塩素は,貯蔵中にその大部分が,胚乳部に移行する状況を検鋭した(34) もっとも.植物組織中の塩素についての生体染色法の適用例はすくないが,動物観他については,しばしば, Maca11umの方法.Leschkeの方法.GIOebbelsの方法.あるいは.Lisonの方法などが適用されている.しか し,これらは,いづれも鼻正の意味での染色法ではなく仁塩来と銀塩に.よる塩化銀沈毅反応や,塩化銀の感光反 応などが利用されているものであって.これらの方法には本来,目的の塩素イオンほきわめて拡散しやすいのに 対し,銀塩ほ電く,そのためにはとんど拡散されないさらに,銀塊は細胞構成物質をいちじるしく凝固させ. 試薬の侵入をさまたげるという重大な欠陥が指摘され,そのためClの局在性をこれらの方法によって正しく把握 することはきわめて一因難である(38)という重大な欠点を含む そこで.肇者は,予備的に,以上の諸方法をそれぞれ実際に適用した結果から,Macallumの方法に主として 準拠するこ.ととし、まづ,輝子を莱溜水で洗い.外種皮を眼科用メスで剥離したのち.厚さ約0ハ5mmの切片と する この切片なぺ†・り皿にとり,切楕の上からどぺバ・で.硝酸銀アルコ−ル溶液(硝酸銀1gを90%アルコ

(21)

ー19− −ル100mlに溶解)をしずかに滴下し,これをそのまま暗箱内に約15分間静置したのち,切片を0.5%硝酸(た だし柄媒に90%アルコールを用う)で充分に(5回)洗漉する以上の処理を終えた切片を,露光処理するので あるがこの場合,光淑はり 太陽でも.太陽灯あるいほ紫外線灯などでも,効果ほ」司じであるが.光線の照射盈 を一足にするためにほ,後者による力がより便利であるので,ここでほ,主として医療用太陽灯を用いて露光を 行った露光処理を終った切片ほ.無水アルコ・−−ルで充分洗醸し.グリセロールで封入し検鏡用プレパラーートとし た. 被膜体として,まづ,アかマツ.クロマツを,置床前のもの,および,蒸潜水注加の発芽床に置床した種子の うち.まだ発芽して:いないもの.および,発芽して幼根が伸び出したもののち樽を取りあげたその結=軋 アカ マツ.クロマツとも,苗床前および置床して−もまだ発芽していないもの紅ついてほ.明確な塩素の分布が磯察で きなかった (写央1と9参照)それに対して.発芽後のものについてほ.,アカマツにおいて.子葉の表皮細胞 と勧染透通観独の部分に,また胚軸の部分でほ主として■前形成層部と髄の部分とにおいて,染色が覇著であるこ とを確認した (写央2∼7参照)しかして,この場合,芽の伸長度の大きいものはど,−・般に,よく染色され る傾向をもつようである これに対し,グロマツ種子でほ,アかマツにおいて−認められたような各部位についての,明確な染色ほ、はと んと認められなかった(写真9,10参照)これらの観察結果から,本実験において取りあつかった処理の範囲 内では,アカマツ種子ほ.発芽過程のすすむにつれて,その碍子内の塩塞が.特定の部位に次第に移動,集計す ること.および.クロマツ確子では,そのような傾向が必ずしも明らかでないことが認められた つぎに,海水90:純水10の混合液を用いた発芽床紅置床し.不発芽になってヽ、るものについて.,同様の処理を おこない検鏡したが,アカマツもクロマツも,とも紅明確な染色ほ認められなかった なお,これらの不発芽種子.とくにアカマツ種子ほ,すで紅轟死しているもののようで.組織にいらじるしい 亀裂を生じているものがあるのが観察された また,南種子とも組織の収縮によって,胚と胚乳部の接触面に大 きな間隙を接じた.(写央11参照) さらに,海水90:純水10の混合液を用いた発芽床に置床し,芽が05cmおよぴ1.Ocmに伸びたアカマツ種子, また芽が1.Ocmに伸びたクロマツ種子について観察したが,アカマツ種子について’は,同じ発芽段階でほ海水に 置床されたものが,兼湖水に置床されたものより全体として塩素の分布が多く,とくに海水に置床されたものほ 胚乳部と胚部との染色程度の差が,兼滞水置床のそれよりもいちじるしいことが認められた(写夷8参照) この事実ほ.培地の塩分が胚乳部よりも胚部に対してより多く集積することを示して.いるものと考える しかして,クロマツ種子では,海水に置床されたものでも,アカマツの海水に置床されたものにくらべ,その 染色梓皮ほ低い小 (写猿12参照) さらに.検鎖の資料として,アカマツ.クロマツをMgC12の溶液を注如した発芽床に贋床し,わづかに発芽し ているものをとり上げ尭その観察結果ほ∴前述の蒸溜水置床の場合と.はぼ等しいものであって,アカマツで ほ,明確紅染色の状態を観察することができた この生体染色の観察結果からだけいえほ,一応,クロマツ種子がアカマツ種子よりも,その発芽過程にともな う塩素の種子内における移動・集積が,さらにこのことから,種子内えの塩素の吸収ないし吸入が少いもののよ う紅思われるが,とくに,ここで注意すべきことほ.この方法にほ.すで紅述べたような理論上の批判があり.こ の方法の接体染色紅対する致命的欠陥の存在を如祝することは絶対に許されないことである,それゆえ,この方 法だけで.Clの種子内における動きについての正しい判断を下すこ.とほ.望むペくもないことであろうしかしな がら.塩分の当三体内における観察を可能にする方法としてほ現在のところ.このような根本的欠陥を容認しても なお.その存在柵他を全く否定し去れないものがあると考えるつまり,塩素の局在位贋が∴竜に正確に把捉さ れるとほいえないとしても,たまたま染色される場合にほ,充分にその組織中における具体的な位置を細察する ことができるのであっで その限りにおいて.塩素が植物の生理活動の場で演ずる役割を推執する墓室な一腰料 となりうるものであろう 問題ほり この方法を応用して,さらに塩素の定鼻的な観測にまで推し進めようとすることである,この要求を この方法によって充すことほはとんど絶望的であると考える とほいえ,これらの槻察結果を通じて考えさせられることほ.両種の碍子が吸収ないし吸入したClをその組織

(22)

ー・20・− 中に集秘するかたらは,それぞれ実っているのでほなかろうかということであり,また,さらに観点をかえて. 観察結果からいえ.ほ,両種の種子のもつ細胞膜ないし細胞原形質が,銀塩試薬に対して−示す反応性に,それぞれ 相違があり,そのために.それぞれの種子の染色効果に大きな相違が生ずるのでほないかということが,この方 法を通じて指摘できる いづれにしても,本実験でほ,すでに発芽を開始しているアかマツの碍子でほ.胚乳部にほきわめてわずかの 塩素の分布がみられるにすぎず,瑞素ほ主として胚部に多く分針することが観察された 久保ら(3334),によれば,米科内の墟素の分布ほ.ほじめ新米のうちほ,ぬか部に多く.それが貯蔵したあと でほ,胚部に多くなるところから,貯蔵中に塩素が移動することを推定しているが,このことほ本実験において 認めた結果と,−・面において.あい関連する問題をもつものと考える 2 化学分析による塩分の定義 筆者ほ,生体染色の観察結果が,少くと一も.現在筆者の手もとでとりうる可能性のある方法砿よる限り.種子 中の塩分愚の多少を確めるにほ..その方法として,必ずしも完全でないということから.さらに生体染色法によ る実験の補正的手段として.化学分柄法を採用することとした.すなわち,アカマツおよびクロマツ種子につい て.それぞれ,置床前のもの.韮湖水およびNaCl溶液注加の発芽床におかれて,すでにある程度芽の仲島して いるものについて\それぞれ胚および胚乳のもつ塩分の定量を試みた この目的のためにほ,当然.わずかの材料をもって.それに含まれるNa,およびClを正確軋定義することが 要求される ところで,植物に.含まれる微量成分の分析ほ,とくに,生理および生化学の立場から.最近,重視されている ところであって,その分柄定量法についても,種々の研究がおこなわれて−いる(86).しかしながら.林木につい ての,この方面の研究ほ沙く.とくに,マツ種子紅ついての見るべき研究ほ..現在のところ,はとんど皆無とい ってよいであろう 臥.アカマツおよびクロマツ種子申のNa畳 ところで,植物の無枚成分の定量をおこなうには,まづ,その組織の液化.ないし灰化操作をおこ.なう必要が あるが,微恩成分の定量を目的とする場合.従来の湿式灰化法や乾式灰化法にほ.,必ずしも満足すべきものが見 あたらない(87)が,各種の予備的実験を重ねた結果,その後の実験操作との関係上からも,比較的満足すべき方 法として,ここでほPiperの硫酸,硝酸および過塩素酸を用いるMicro Digestionの方法(38)を採用し,この方法 に準拠して,実験をおこなうこととした 試料調製のために用いた種子数ほ,各区とも,それぞれ5粗宛とし,その外種皮を除き,胚と胚乳部とに完全 に分割して,試料の調製に供した.なお.各区の種子の発芽条件ほ第11表に.示す通りである 定畠方法についてほ.,Cbelate滴定法(39)などの有効 な走塁法が種々考えられるが,予備実験の結果,現在の ところ,もっとも満足すべき結果をえた.炎光分桝法を 採用することとした.なお.Naの定患には,京都大学 農学部林学科四手井研究室所属の,島津製作所製,光電 分光々度計に炎光分析用部品を取り付けて使用した 炎光分柄による結果は.第12表および第15表の通りで ある ところで.植物の無機成分の定量にほ,当然,走塁の 第11表 試料の芽の伸長度(Cm) \\\、、、 、 \ 樹種 \\ ・\ 置床前IH20 NaCl(1)PaCl(2) 2.2011.94】1..08 アかマツI D 2 クロマツ】 0 註:o NaCl(1)NaCll.2g/L O NaCl(2) 〝 2。5g/L

O測定数各区5蹄宛

目的や.その用いる試料などに.よってそれぞれ適法が考 えられるべきほずであり.また.とくに微鼻成分の定員にあたってほ,その含有鼻が少なけれは少いほど∴定員 した他が,貴の含有成分そのものの偲であるかどうかを.慎重常考えるべき(40)で,この前提よりして.本実験 が種々の点からみて,理憩的方法によっておこないえたとほし、えず,処理法のうえで,今後改善すべき点が介在 することをみとめざるをえない b.生体染色法による結果に対する検討 柵物体中のClの定鼻法には,比色法.比濁法などの種々のすぐれた方法があり、また.よく知られるVolllaI・d

(23)

−・21・−・ 第12表 アカマツ種子のナt・リクム含有鼠 感度どによって代表される.いわゆる滴定 法等々があげられるが,ただ,試料の調製 にあたって,乾式法ほ.,少量の試料に対し ては不便であるし,なによりも,灰化の過 程でのClの損失鼻に問題を残す(41)うらみ があって,微意分析にほ.あまり好ましい 方法とほいえない また,湿式灰化法につ いてほ.稀々の酸化剤とともに,溶液中で 加熱分解する方法なとが考え.られるが,そ の後の走塁操作との関連などから,あまり 満足すべき結果をえられず,現机筆者は Sch6nigerによって提案されたSch6niger

Flask Combustion Methodによる試料調 製法について,種々予備的実験を進めてい る段階であり√ 種子中のCl量についての化 学分析による測定結果をえていないため に.直接Cl塁の分際他によって,生体染色 法による観察結果を検討できないことほ, 退憾であるが,実際問題として∴アカマツ およびグロマツ種子中に存在するClは,お そらく,主としてNaCl,MgC12,CaC12な どのかたちであろうし,さらに,これらの うちで.もっとも多く存在するかたちほ多 分,NaClとしてであろうと推定される 1例として,下瀬(42)が,水稲の塩害を 検討する目的で,過剰の食塩を培地に与え, 水稲の生育過程申における無機成分の吸収 について研究した結果によれほ,その生育 過程中における茎葉中の塩素含有量とナト リウム含有鼻の消長の間には,きわめて密 接な関係がみとめられ,塩素崖が増大する と,それとはとんと同時にナトリウム鼻が 註:o NaCl(1)NaCll.2g/L o NaCl(2) 〝 2い5g/L o供試数 各区5粗宛 第15表クロマツ種子のナ・トリウム含有畳 NaCll.2g/L 〝 2.5g/L 各区5粗宛 註:。NaCl(1) O NaCl(2) ◇供試数 増え.,また.塩素盈が減少するにつれて, ナナリクム愚も減少する.これに対し,マグネシウムおよびカルシウムの含有愚の消長には・必ずしもこ・のよう な関係を認めがたい このような事実から,いま仮りに,Na鼻によって種子申のCl恩の概略を推察するこ・とが許されるならば,第12 表および第15表の結果からして,塩分の発芽過程における動きについてほ,以下のことが爆走されるすなわ ち.発芽過程において脛乳部にほ塩分の集積がはとんどみられず,アカマツの純水区においてほ,むしろその減 少さえみられることが予想されるこ・のことほ.久保ら(33)がおこなった米塩内の塩素の移動に関する研究にお いて,新米のぬか部紅集鎖しているClが,その貯蔵中に胚部に移動することをたしかめている点から推しても可 能性のあることと考える 胚部に対する塩分の集積についてほ,発芽にともなって,塩分畠が増加するが,しかし,アカマツとクロマツ とで,その増加率にかなり相違のあることが予想され,とくに.アカマツにおいては.NaCl溶液区で塩分の集 積が顕著である.ことに,NaCll2g/L溶液区では,NaC12い・5g/L溶液区に比較して相当多鼻の塩分が集積する であろうことを第12表の結果ほ示唆する

参照

関連したドキュメント

2020年 2月 3日 国立大学法人長岡技術科学大学と、 防災・減災に関する共同研究プロジェクトの 設立に向けた包括連携協定を締結. 2020年

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

小学校における環境教育の中で、子供たちに家庭 における省エネなど環境に配慮した行動の実践を させることにより、CO 2

3 学位の授与に関する事項 4 教育及び研究に関する事項 5 学部学科課程に関する事項 6 学生の入学及び卒業に関する事項 7

社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課

1アメリカにおける経営法学成立の基盤前述したように,経営法学の