ドイツでは、 労働 者の労務に影響する 客観的な理由があれば労働者を解雇することが
できる。恒常的な 疾病や長期にわたる 疾病は、それが使用者にとって重い負担になると
きはかかる理由を構成 しうる。そのような理由がないときは解雇は無効である。使用者
は解雇を回避するために、代替的な雇用を考 慮したり労働者の 義務 を縮減することなど
により、あらゆる適当な措置 を執らなければならない。しかしながら労働者は
3
週間以
内に解雇が無効であるとの判決を求めて 裁判所に訴えなければならない。労働者がこれ
をしなければ解雇は有効と見なされる。予告期間については
3.3.2
を参照。
フランスでは、真実かつ重大 な理由(“motif réel et sérieux”)が必要である。そのよ うな理由とは、
-労務遂 行の不十分さ、
-労働 医によって確認された疾病による労務遂 行不能、
-企業の 運営が乱されるような長期の 欠勤で補償が支払 われる場合、
裁判所が解雇に 真実かつ重大な理由がないと認めた場合、使用者は最低
6
カ月分の賃 金に相当する補償を 払わなければならない。
勤続期間に 応じた(労働法典または労働協約で定める) 義務 的な予告期間がある。使 用者は、予告期間中に労働者が受け取ったであろう賃金額 に相当する補償金を支払 うこ とによって、予告期間満了前に雇用関係を終了しうる。理由が労 災や職業病であれば、
予告期間は不要である。
アイルランド では、労働者の能力に関わる解雇は主として 不公正解雇法(3.3.2 参照)
の適用範囲である。しかしながら、これは剰員整理の理由でもある(3.3.4 参照)。
イタリアでは、労働協約が定める一定期間(“periodo di comporto”)疾病を理由とす る解雇は禁止 される。この期間が過ぎても労働者が就労を 再開できないときは、解雇の 正当な理由と見なされる。この要件を満たさないいかなる解雇も無効である。一般に労 働者権利法第
7
条(懲戒 理由の解雇)を参照 。予告に関しては
3.3.2
を参照。
ルクセンブルクでは、 真実かつ 重大な理由(“motif réel et sérieux”)がなければなら ない。予告期間は:2 カ月(勤続
5
年まで)、4 カ月(5-10 年勤続)、6 カ月(
10
年超 勤続)。使用者が解雇手当を払わないときは、予告期間は延長される(下記 (3) 参照 )。
不当解雇の場合、 裁判官は補償を命じるかまたは 復職を勧告する。
ポ ルトガルでは、労働者は技術変化 に適応することができないこと(“despedimento
por inadaptação”)を理由に解雇することができる。解雇の理由は、新たな製造過程や
新技術、新 設備から生ずる変化 に労働者が適 応できないことの 結果として雇用関係の継 続が不可能となることである。使用者は労働者が適当な適 応のための期間(30 日以上)
の後十分な 職業訓練 を提供しなければならない。また労働者が 就く資格のある 代替的な 職位がないことも条件である。これら要件を満たさない解雇は不法であり無効である。
イギリスでは、一般原則に関しては
3.3
を参照 。
(2)手続要件
ベルギーでは、使用者は予告期間が 始まる前に書留書簡により労働者に解雇を通知し なければならない。使用者が予告をする代わりに補償を支払 った場合、通知に形式的な 要件はない。これらの要件が守られなければ解雇は無効である。
公的機関や労働者代表の関 与はない。しかしながら、労働組合は組合員を 援助できる。
労働者代表 と安全委員会委員の解雇の特別の手続に関しては
3.3.1
を参照。
スペインでは、使用者は労働者に解雇の理由と契約終了の日を書面で通知しなければ ならない。客観的な理由(
“despido objetivo”)による解雇の場合、書面の通知がされる
のと同時に解雇手当が 払われなければならない(例外:経済的理由の解雇)。これら要 件が満たされないときは、解雇は無効と宣言 される。
ドイツでは、使用者は労働者に書面で通知しなければならない。
イタリアでは、 裁判所に訴える前に義務 的な手続がある(訴訟提起の条件)。事案の 実体を審理する前に、裁判所は調停 を試みなければならない。
ルクセンブルクでは、労働者は、解雇の通知から
1
カ月以内に書留書簡で使用者に対 し解雇理由を示すよう求めることができる。この場合、使用者は依頼を受け取ってから
1
カ月以内に書 留書簡により解雇理由の明確な説明を示さなければならない。さもなけれ ば解雇は不当(“abusif”)と見なされる。労働者
150
人超の企業については
3.3.2
を参照。
ポルトガルでは、労働者の能力に関係する理由に基 づく労働者の解雇の特別の手続を 法が要求している。
-使用者は労働者及び労働者 代表に書 面で解雇の必要 性、職場で 起こった 変化 、訓練 の結果、労働者に認められる適 応の期間、そして他に配置可能な 職場がないことを 通知しなければならない。
-10 日以 内に労働者代表は報告を発し、労働者は解雇に反論 することができる。
-5 日経ったときに使用者は解雇を決定することができる。この場合、使用者は書面で、
解雇の生ずる日 付、解雇理由、職場に 起こった 変化、職業訓練 と労働者に認められ た適 応の期間、他に 配置可能な 職場がないこと労働者に支払 われる補償 金の額及び 支払 の場所と方法を特定して説明しなければならない。
-使用者は決定の 写しを労働者、労働者 代表及び労働監督署 ( “Inspecção do Trabalho” )
に送付 しなければならない。
最初の手続が守られなければ解雇は不法である。