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● 日本食レストラン紹介

90 年代の寿司ブーム以降、ブエノスアイレス市内には、数 多くの日本食レストランが存在する。アルゼンチン資本の日 本食レストランは、現地の富裕層や上位中間層をターゲットに しており、メニューは寿司のみを扱う店舗、もしくは他のアジ ア料理のメニューと一緒に日本食メニューを扱う店舗が大半。

食材も料理の味付けや盛り付け方もアルゼンチン人向けに現 地化している。これらを好むポルテーニョが多い一方で、日 本人や日系人が経営するレストランで本格的な日本食に舌鼓 を打つポルテーニョも増えている。

¦ 日本人経営の日本食レストラン

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ビストロ東京

ベルグラーノ地区にある。 月曜日から土曜日 の夜に営業している。 客層は日本人や現地の 富裕層やビジネスマンが中心。 平均予算 (ド リンク別)は 300 ~ 350 ペソ。

●Sushi Club(スシ・クルブ)

プエルト・マデーロ地区、 パレルモ 地区、 ベルグラーノ地区など、 富 裕層や上位中間層が住む地域を中 心に店舗を展開するチェーン店。メ ニューは寿司のみ。

●Sensu (センス)

ショッピングモールのフードコート内 に店舗を展開するチェーン店。 メ ニューは寿司のほか、 定食などの セットメニューを提供している。

¦ 日本料理のトレンド

わずか 10 年前まで、一般的なアルゼンチン人が知っている 日本料理といえばスシのみだった。そのため、ブエノスアイレ ス市内の日本料理店も、スシやサシミを中心にメニューを構 成していた。しかし、近年はスシ以外の料理も次第に浸透し てきたことから、メニューにも大きな変化が見られる。その代 表格とも言うべき存在がラーメンである。市内では、数年前

からスーパーマーケットでインスタントラーメンが入手できる ようになり、アルゼンチン人はさらに本格的なラーメンを求め るようになった。そのため、以前は乾麺を使用していた店もあっ たが、現在では専門の製麺業者まで存在する。また、日本料 理店のみならず、他のアジア料理店などもメニューに加える ほどのラーメンブームとなっている。

¦ アルゼンチン資本の日本食レストラン(寿司バーなど)

¦ 日本人経営の日本食レストラン

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ノビル

ベルグラーノ地区の中華街にある。 火曜日か ら日曜日まで、 昼から終日営業している。 客 層は現地の上位中間層が中心。 平均予算(ド リンク込み)は 200 ~ 300 ペソ。

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日本庭園

パレルモ地区の日本庭園内にある。 火曜日の 夜を除いて終日営業。 客層は現地の富裕層 や上位中間層が中心。 平均予算(ドリンク別)

は 500 ペソ。

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日会食堂

在亜日本人会の会館内にある。月曜日から金 曜日の昼と夜、 土曜日は夜のみの営業。 客 層は日本人と現地の中間層が中心。平均予算

(ドリンク別)は 450 ペソ。

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ムラサキ

中心街 (ダウンタウン)に2店舗を展開す る。 月曜日から土曜日の昼から夕方にかけて 営業。 客層は現地ビジネスマンが中心。 平 均予算 (ドリンク込み)は 200 ペソ。

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沖連

在亜沖縄県人連合会の会館内にある。 月曜 日から土曜日の夜に営業。 客層は日本人と現 地の上位中間層が中心。 平均予算 (ドリンク 別)は 300 ~ 350 ペソ。

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トリトリ

パレルモ地区にある。月曜日から土曜日の夜、

土曜日の昼に営業。 客層は日本人と現地の 上位中間層が中心。 平均予算 (ドリンク別)

は 200 ペソ。

●遊亀

コングレッソ地区にある。月曜日から土曜日の夜に営業している。客層は日本人や現地の富裕層とビジネスマンが中心。(本調査時点では休業中)

寿司

寿司 刺し身

● イ ン タ ビ ュ ー :「 ア ルゼ ン チ ン での日 本

インタビュー ENTREVISTA

お店について教えてください。

常勤は、私を含めて5人です。2人が調理、2人が 接客担当です。月曜から土曜の 18 時から 22 時 まで営業しています。魚が入らない日曜を定休日 にしています。お客さんは 90% が日本人です。

完全予約制なので、どなたかの紹介でご来店いた だいています。

人気メニューは?

日本人はおつまみ、一品料理と最後の締めです。

アルゼンチン人は、寿司、天ぷら、カレー、焼き鳥、

お好み焼き、タコ焼き、イカの丸焼きと決まってい ます。

アルゼンチン人の食の変化は?

開店当初は、居酒屋スタイルが浸透するのに 10 年かかると思っていましたが、5年くらいの間に寿 司のデリバリーやアジア系のお店がどんどんでき て、様々な食文化が浸透し、食の幅がぐんと広が りました。最近は、日本食の芸術的で繊細な部分 も浸透してきました。例えばうちでは、煮切り醤油 を出していますが、アルゼンチン人もそれが分か るようになったんです。頼むメニューより、舌の繊 細さが変わってきたというのが大きな変化です。

お客さんの年齢層は?

30 代から 80 代までと非常に幅広いです。カップ

ルが多いです。多くの方がリピーターになります。

最近人気が出てきた日本食は?

お好み焼きです。3組に2組は注文が入ります。見 た目がピザっぽいですし、味が甘辛いので舌に合 うのでしょう。うちでは、日本でお好み焼きを焼い ていた人間に焼かせていますが、食材全てが日本 と違いますから、手を加えないと同じようにはでき ません。煮物などに関しても同じです。

食材の調達方法は?

基本的には国内で調達しています。食材次第で、

大手スーパー、中華街、韓国街に足を運びます。

良いお酒や調味料などは手に入らないので、日本 から直接取り寄せています。

アルゼンチンならではの苦労は?

魚介類の調達には苦労しています。供給が安定し ていない魚が沢山あります。あと、ここまで運ん でくるまでに締めることをしないので、血がまわっ て、生臭かったり、身が柔らかくなったりします。

それに手を入れて、身を締めたり、料理をふり分 けたりしています。

アルゼンチン人は一般的に魚をあまり食べないイ メージがありますが。

10 年前は、とにかくサーモンばかりでした。とこ ろが最近、白身魚の刺身の盛り合わせをSNSにアッ

K E I K O K A W A K A M I

アルゼンチンでの

日本食

様々な食文化が浸透し、食の幅がぐ

んと広がりました。最近は、日本食

の芸術的で繊細な部分も浸透してき

ました。

インタビュー ENTREVISTA

プロフィール:神奈川県平塚市出身。飲食店を営む 家庭に生まれる。地元で5年間、飲食店を3店舗経 営した後、2003 年にアルゼンチンへ。2006 年に ブエノスアイレス市内のパレルモ地区で居酒屋「虹」

を 開 店。2010 年 に 現 在 の 店 舗 に 移 転し、 今 年 2016 年に 10 周年を迎えた。

川上恵子

さん

「居酒屋 虹」オーナー プしたところ、「食べてみたい」という反応があり

ました。魚に関する知識は、まだまだ不足していま すが、「これは今日作ったもの?」と尋ねるようにな るなど、鮮度を気にするようになったんです。これ も大きな変化だと思います。

アルゼンチンで飲食店を開業する際の手続きにつ いて教えてください。

ブエノスアイレス市の場合、市政府に営業許可申 請します。許可は早ければ半年で取得できますが、

何年たっても取得できないケースもあります。ま た、厨房で食品を扱う人間は、食品衛生に関する 講習と試験を受けて、資格を取得しなければなり ません。監査が来た時は、営業許可証、建物の見 取り図などに加えて、この資格の提示が義務付け られます。この国の監査は税金面、労働面、衛生 面と、日本より細かく分かれています。頻度は半 年に 1 回ぐらいです。罰金や営業停止というケー スもあります。

アルゼンチンで開業を希望する人へのアドバイス は?

何事も法に則って進めること、しっかりと手順を踏 むことです。個人だと膨大な労力と時間がかかる ので、弁護士を通すのが速くて確実です。言葉の 面も含めて、専門家によるサポート体制が整ってい

ないとやっていくのは難しいと思います。ただ、専 門家選びにも注意が必要です。こちらですでに営 業している方、長く滞在されている方、特に同じ日 本人に聞くのが一番だと思います。

今後の展望と計画について教えてください。

これまでは、本物の日本食を幅広く受け入れても らえるメニュー構成を考えてきました。今後は、味 は日本のものでも、少し形を崩して、懐石に近い 魅せ方ができればと思います。アルゼンチン人に も上品な日本食を楽しんでいただきたいです。た だ、浸透するペースがすごく速くなってきたので、

5年で実現させたいです。あとは、人材を育てる こと。フルで働いている間に、何かを伝えていけ たらいいなと思っています。

多民族国家ゆえのユダヤ系マクドナルド

アルゼンチンは、 ヨーロッパ、 中近東、

他の南米諸国、アジア、アフリカからの移 民とその子孫より構成される多民族国家で ある。それを象徴するのが、アバスト・ショッ

ピングのフードコートにある2軒のマクドナ ルドだろう。 なぜ、 同じフロアに2つも店 舗が存在するのか?それは、 ひとつは通 常のマクドナルド、もう一つはカーシェール

(ユダヤ教徒向け)だから。 同ショッピン グセンターがある地区の周辺には、 多くの ユダヤ系住民が住み、 シナゴーグ (ユダ ヤ教の会堂)が数多く存在する。では、カー シェール・マクドナルドは何が異なるのか?

メニューは通常のマクドナルドとほぼ同じ だが、 チーズやベーコンが避けられている などカシュルート(ユダヤ教の食品規定)

に従った食品を使用しているという。もち ろんユダヤ教徒でなくとも利用できる。

● 外食チェーン店

¦ ファストフード店

ファストフード業界は特に外資の参入が 進んでいる。スターバックスは8年目 の 2016 年に 100 号店をオープンし、

2020 年までに 200 店舗に拡大する計 画。現在は、ブエノスアイレス、ロサ リオ、コルドバ、メンドーサの4都市の みで展開しているが、将来的には他の 地方都市も視野に入れている。直営店 方式のスターバックスと対照的に、フラ ンチャイズ方式で店舗拡大を狙うのが サブウェイ。2016 年時点でアルゼン チン全国に 193 店舗を展開しており、

2019 年までに 340 店舗に拡大する計 画。両社に共通するのは、近年のイン フレや消費減退にもかかわらず、価格を 抑えることで顧客を維持してきたこと。

現地のニーズに柔軟に対応することも 重要なポイント。また、近年の傾向とし て、健康志向や鮮度志向のファストフー ド店、ローカルなファストフード店が増

加していることが挙げられる。

2010 年にアルゼンチンに上陸し、 現在はア ルゼンチン国内に 193 店舗を展開する。

サブウェイ マクドナルド

1986 年に第1号店をオープンし、 現在では アルゼンチン国内に 222 店舗を展開する。

従業員数は約 16,600 人。

バーガーキング

1989 年にアルゼンチンに上陸。 現在は国内 に 90 店舗 (うち、 ブエノスアイレス市内に 30 店舗、 大ブエノスアイレス圏に 39 店舗)

を展開する。 従業員数は約 4,100 人。

ケンタッキー

2012 年にショッピングモール 「アルト・パレ ルモ」 内に第 1 号店をオープン。 現在も全 4店舗 (市内に2店舗、 大ブエノスアイレス 圏に2店舗)をモール内で展開。

ウェンディーズ

2012 年に市内ベルグラーノ地区に第1号店 をオープン。 現在は4店舗 (市内に3店舗、

大ブエノスアイレス圏に1店舗、 1号店以外 はショッピングモール内)を展開する。

スターバックスは参入8年目

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