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■質疑応答

ドキュメント内 10年02月号日病雑誌pdf (ページ 44-48)

猿財源をどこに求めるか

 質問者 埼玉県の川口市立医療センターの栃木と 申します。非常に面白いお話でした。1つ教えてい ただきたいのです。今,埼玉県も大揺れに揺れてい るのが3,100億円という金で,埼玉県にいくら来て,

どこに行くのか,ひどく混乱しています。そして,

その結論を9月頃までに出さなければならないとい う,非常に大変な事態に陥っています。しかし,そ れ以上に大きな問題は,財源だろうと思います。医 療費を動かす,と言っていても,何に財源を求めれ ば一番有効かつ皆さんが納得できるような道筋とな るのか。いわゆるお金に群がる人たちのこともよく わかるのですが,群がるだけでは解決できないので,

やはり財源をどこかにはっきりしたかたちで求めて いかないと,これからの医療界はまるきり潰れてし まう気がするのですが,そのへんは先生はいかがお 考えでしょうか。

 上 何点か問題があって,予算と財源とを分けて 議論する必要がありますが,3,000億円の基金のお 話や,民主党が今回打ち出した9,000億円の診療報 酬増は,これはおそらく与党のなかで簡単にやりく りがつきます。まして政権交代したら,無駄がいっ ぱい出てきますから。何を根拠に言うかというと,

構想日本などがやっている事業仕分けがありますが,

あれを受けているのは環境省など,現業官庁ではな いところだけで,農水・国交・厚労はやっていない。

なぜやらないかといえば,無駄がいっぱいあるから でしょう。そして,そこに民主党は手を入れようと 思っています。自民党の河野太郎さんも手を入れよ うと思っている。必要な額は,この選挙が9,000億 円とか1兆円のレベルでしたら,そこに手を入れる だけで,私はたぶん確実にできると思います。

 ドイツ並みの15兆円付けろとなると増負担にな りますが,3,000億円,9,000億円と言われた場合,

財源の議論は内部の付け替えでできるレベルだと思 います。しかし,この予算規模の議論をたぶん誰も 伝えていません。さっき言ったような事業仕分けの 話も伝えていません。

 そして政権が変わって野党が与党になったら,お そらく無駄は切るでしょう。彼らは切れる範囲を2

兆円と踏んだと私は思います。トータル15兆円で す。できるかできないかは,お手並み拝見ですが。

医療で2兆円です。本当に要るのが10兆円でした ら,8兆円分は彼らも増やさなければいけないと思 っています。保険で増やすか税で増やすかはともか く,その議論は,これから4年間でやらなければい けないと思います。

 事業仕分けすら受けない役所が「無駄はありませ ん」といっても,国民は納得しません。まず,きっ ちり事業を仕分けてください,そして無駄をなくし てください,それから負担を考えましょうというこ とです。だから今回の選挙の後に,そういうことを きっちりやっていく必要があると思っています。

 今,出されている基金や民主の診療報酬増程度の 財源の議論に対して,「ごまかすな。こんなもので 財源の議論をするのか。本当にちゃんとやれ」と言 うのが,国民のあるべき立場だと私は思います。

猿財源は無駄の削減だけで間に合うのか

 質問者 もう1つだけ教えてください。病院の経 営が実際にはどこも大きな赤字というなかで,来年 度からの2年以内が勝負どころだろうと思います。

私のところも自治体病院ですが,2年の間にどう動 くかによって,病院の経営母体のあり方をも変えて いかなければならない事態になっているわけで,4 年たったらもう遅いのではないかと私は思っていま す。それだけ差し迫っているので伺いたいのですが,

先生は,財源は節約だけで間に合うと思っておられ ますか。

 上 今,議論できるのは1~2年先までで,たぶ んそれ以上は難しいと思います。増税の議論は今,

現実問題としてできないし,1~2年の範囲でなら 1兆2兆単位は,無駄の節減だけで出ると思います。

 個別の話ですが,うまくいくには,基本的に県民 が怒らないとダメなのです。千葉,埼玉,茨城の問 題では,県民が今ひとつ怒っていない。九州はかな り怒っています。そして県民が県知事に大量にメー ルを出してくれると聞きます。先生のお立場がどう か,難しいかもしれませんが,副院長や部長など少 し余裕のある人たちが県民・市民講座を開いて「こ んな問題なんだ」と説明する。そうすると県民や市 民は大体「おかしいですね。何をすればいいんです か」と言うので,「知り合いにメディアがいたら伝え てくれ」,「自治体の首長にメールを出してくれ」と

頼む。このたった1通ずつのメールが結構効くので す。特に再選を控えている人たちには効きます。そ ういう意味で,私たちが向き合うべきは行政官では なく,やはり市民,国民だと思っています。

 質問者 ありがとうございました。

 座長(村上) ほかにご質問はありますか。はい,

どうぞ。

猿医療事故調は今後どういう流れになるのか

 発言者 岐阜市民病院の富田と申します。いつも エムリックを読んで,勉強させていただいておりま す。ありがとうございます。今日,少し疑問に思っ たのですが,医療事故調が今どうなったかが,つか みにくい状況です。自民や民主なりの政権で影響が あるのか,あるいは今後どういう流れになっていく のか,お教えいただければありがたいです。

 上 マニフェストのなかに興味深い点が2点あり ます。1点目は,民主党はマニフェストのなかに足 立案といわれるものを盛り込んでいますが,予算は 付けていません。この意味するところは,要するに 世論次第で法案を出すか出さないかを考える,とい うことです。

 自民党は,西島さんなどが法案を出すということ です。ある公開の場で私は「先生,厚労省のせいに するより,自民党として態度を決めないと,もちま せんよ。やはり自民党の責任です」と言いました。

民主党は2番目くらいの項目に入れていますが,自 民党は今回マニフェストに入れませんでした。つま り,自民党内で,厚労省案をやるというコンセンサ スはないことになります。ということは,おそらく 自民党からあの案が出ることはあり得ません。

 そして,民主が出すか出さないかも不透明です。

なぜかというと,これは私も同じ考えですが,足立 信也さんは,被害者と医療者を対峙させる構造は平 行線になると考えています。必要なのは99.999%の 一般人に入ってきてもらうことで,そのなかの5%

でも入ってくれば,世論はもう妥当なところを通す ようになってきます。たぶんこれが相当な部分で民 主の軸になります。

 足立さんは,「無過失保障制度等,財源を積んで,

被害者の補償はすべきであるし,知りたい権利は守 るべきだ。しかし,強制届出はまったく別だ。厚労 省がデータを集める必要はまったくない」と考えて います。そして,前者はやるでしょう。これは1兆

円くらいの財源の問題になるので,たぶん次の選挙 までかかってやると思います。後者については,そ もそもそんなものは必要なのか,医療機能評価機構 で無記名で集めるだけでいいのではないかと思って います。

 こういう考えに,一般国民は普通に納得します。

ところが医療問題弁護団,被害者とか言い出してし まった学会,日本医師会などの人たちは,もう引く に引けません。このままフェイドアウトをすべきで す。ところがフェイドアウトさせてあげなかった。

2008年の秋くらいには舛添さんも「もう,やるな。

やっても法案は通らないのだから」と言ったのです が,進めたのは医政局です。そして,まさにこの件 を契機に医政局が叩かれるようになっていった。そ れが医政局崩壊の端緒でした。日本医師会も,木下 理事が強引にいったがために,各郡市医師会等々が 反発に回ったのです。勤務医も反発に回り,日本医 師会にとっても崩壊の端緒になった一事例だと思い ます。彼らがどこで矛を収めるかは組織内部の問題 ですが,政治状況的には厚労省案が表に出ることは,

もう100%確実にあり得ません。

 民主党が出すか出さないかは今後の世論次第であ り,あれを分割して,どれから制度設計していくか。

特に一番必要なのは患者支援ですが,何千億円,1 兆円単位で金がかかる問題なので,今すぐに財源は 付けられていないと思います。たぶんそういう状態 だと考えています。

 質問者 はい,ありがとうございました。

 座長(村上) ほかに質問はございませんか。は い,どうぞ。

猿国民的な議論,医師の自律が必要

 質問者 広島の三島といいます。少し教えていた だきたいのですが,民主党が医学部定員を5割増と いうことで,実際問題として現場の国立・公立・市 立大学で5割増を打ち上げたにしても,私は,これ は現場としては非常に迷惑している感じがします。

 それから,臨床研修の制度をガラガラポンとする ことが果たして本当に,今後の医療人の安定供給に 役立つのか。例えば10%増だけでも,国立大学のみ ならず,すべての医育機関で大変な問題であり,そ ういう国民を惑わすような,5割増ということを 軽々に出すような人たちの医療政策は,果たしてど の程度信頼できるのか。そのあたりはいかがでしょ

ドキュメント内 10年02月号日病雑誌pdf (ページ 44-48)