取扱 いの 正当 化審 査に 関し て、 近年 の判 例の 一つ の特 徴は
、裁 量論 が前 面に 出て 来て いる こと であ る。 その 際に 理念 型と して は、 二つ の類 型を 析出 する こと がで きる
。第 一は
、裁 判所 が別 異取 扱い によ って 国民 の権 利・ 利益 が制 約さ れて いる こと を認 めつ つ、 立法 府や 行政 権の
﹁政 策的
﹂な いし
﹁専 門技 術的
﹂裁 量を 承認 する 場 面で
、そ れに 対す る平 等原 則に よる 統制 がど こま で及 びう るか が問 題と なる 形態 であ る。 ここ では
、平 等審 査に お いて も、 自由 権制 約の 正当 化審 査に おけ るも のと 内容 およ び密 度に は差 異が ある もの の、 比例 性審 査が 働き 得る
。 第二 は、 裁判 所が 国民 の権 利の 実現 が立 法者 によ る制 度形 成に 依存 して いる とみ る場 面で
、そ の制 度形 成を 平等 原 則に よっ て統 制で きる かが 問題 とな る形 態で ある
。こ の類 型に おい て立 法者 の裁 量を 統制 しよ うと する なら ば、 裁 量を 外側 から 枠づ ける 手法 だけ では なく
、﹁ 立法 者の 自己 拘束
﹂﹁ 首尾 一貫 性﹂ や判 断過 程統 制の よう な裁 量を 内側 から 統制 する 審査 手法 が工 夫さ れる べき であ る、 と思 われ た。 しか し、 この よう な対 置は かな り図 式化 をし た説 明 であ る。 例え ば、 後者 の類 型に 適合 的な 審査 手法 が前 者の 類型 でも 機能 する 場面 はあ るか もし れな い。 また その 逆 も考 えら れ得 る。 今後 より 詳細 な検 討を 要す る問 題で ある
。
︵
︶ 奥平
・前 掲註 ( )二 六五 頁、 安西 文雄
﹁法 の下 の平 等に つい て︵ 一) (二
︶﹂ 国家 学会 雑誌 一〇 五巻 五・ 六号
︵一 九九 二年
︶二 頁以 下、 一〇 78
67 七巻 一・ 二号
︵一 九九 四年
︶一 九八 頁以 下な ど。
︵
︶ 小山
・前 掲註 ( )一
〇六
~一
〇七 頁。 なお 正確 にい えば
、④ は競 合が ない 場合 であ る。 79
9
︵
︶ 蟻川 恒正
﹁人 権論 の名 のも とに
﹂法 律時 報六 九巻 六号
︵一 九九 七年
︶三 七頁
。
︵ 80
︶ こう した 通説 の代 表が
、註 ( )で 挙げ た文 献で ある
。こ れに 対し て、
﹁い った い曖 昧な もの を厳 格に 審査 する とは どう いう こと を意 味し て 81
5 いる ので あろ うか
。ど こか ちぐ はぐ のよ うに 思わ れる
﹂と いう 批判 も根 強く 存在 する
。棟 居快 行﹃ 人権 論の 新構 成﹄
︵信 山社
、一 九九 二年
︶一 一六 頁。 さら に、 三並
・前 掲註 ( )・
︵二
︶七 頁、 井上
・前 掲註 ( )・
︵二
︶一 三七 頁な ど。 3
8
︵
︶ 最大 判一 九五
〇︵ 昭和 二五
︶年 一〇 月一 一日 刑集 四巻 一〇 号二
〇三 七頁
︵二
〇三 九頁
︶。 さし あた り、 伊達 秋雄
﹁尊 属傷 害致 死罪 規定 の合 憲 82 性に 関す る最 高裁 判決 につ いて
﹂法 律時 報二 二巻 一二 号︵ 一九 五〇 年︶ 六六 頁以 下、 小林 直樹
﹃憲 法判 断の 原理
上巻
﹄︵ 日本 評論 社、 一九 七七 年︶ 二四 一頁 以下
。
︵
︶ 小嶋 和司
﹃憲 法学 講話
﹄︵ 有斐 閣、 一九 八二 年︶ 二五 四頁 以下
、同
﹃憲 法概 説﹄
︵良 書普 及会
、一 九八 七年
︶一 七〇 頁以 下。 ちな みに
、同 書 一 83 七四 頁は
、本 稿註
︵
︶で
、一 四条 一項 の保 障範 囲を 不均 等取 扱い 一般 で理 解し た判 例と して 言及 した 一九 五〇 年判 決も
、価 値観 に基 づく 別 12 異取 扱い だけ を一 四条 一項 の対 象と した 判例 とし て扱 って いる
。な お近 年で は、 大石 眞﹃ 憲法 講義
Ⅱ﹄
︵有 斐閣
、二
〇〇 七年
︶六 一頁 以下 が、 小嶋 説を 継承 して いる
。
︵
︶ 佐藤 幸治
・前 掲註 ( )四 七七 頁以 下。 この 見解 では
、﹁ 第一 関門
﹂に より 許さ れな いか どう かを いか に判 断す るか が示 され てい ない
。井 84
10 上・ 前掲 註( )・
︵二
︶一 三九 頁。 また
、一 四条 一項 後段 列挙 事項 によ る別 異取 扱い も第 二関 門に 位置 づけ られ るが
、そ うな ると 第一 関門 の審 8 査と の区 別は いか なる もの か、 とい った 問題 も残 って いる よう に思 われ る。 さら に、 君塚 正臣
﹃性 差別 司法 審査 基準 論﹄
︵信 山社
、一 九九 六年
︶ 一二 三頁
。
︵
︶ 佐藤 幸治
・前 掲註 ( )四 七七 頁は
、別 異取 扱い が許 され るか どう かの 判断 基準 が﹁ 合理 性﹂ に求 めら れて きた とし
、そ の﹁
﹃合 理性
﹄そ れ 85
10 自体 の判 断基 準﹂ とし て﹁ 第一 関門
﹂、
﹁第 二関 門﹂ にか かわ る主 張が なさ れて きた とし てい る。 これ は正 当化 の審 査で ある
。ま た同 書四 七八
~ 四七 九頁 は、 尊属 殺判 決の
﹁多 数意 見が 第一 関門 を通 過さ せた こと には
、依 然と して 疑問 が残 る﹂ とし てい る。 ここ では 立法 目的 審査 が﹁ 第一 関門
﹂の 問題 とさ れて いる
。こ のよ うな 用法 から する と、 佐藤 説に おい て﹁ 第一 関門
﹂は 一四 条が 保障 対象 とす る別 異取 扱い の画 定と いう より も、 正当 化審 査に 位置 づけ られ てい るよ うに 思わ れる
。
︵
︶ 宍戸
・前 掲註
︵
︶一
〇六 頁。 この 整理 は、 一四 条一 項の 前段 と後 段の 保障 範囲 を同 一の もの とし て捉 える 通説 を前 提と する もの であ る。 86
62 これ に対 して
、一 四条 一項 の前 段と 後段 の保 障範 囲を 分離 して 考え る思 考も
、か つて 日本 で唱 えら れた 立法 者非 拘束 説を はじ めと して
、そ の後 も形 を変 えて 登場 して いる
。阪 本・ 前掲 註( )七 六頁 以下
、木 村・ 前掲 註( )一 九五 頁以 下、 木村 草太
﹁平 等権
﹂長 谷部 恭男 編﹃ 人権 の射 程﹄ 20
11
︵法 律文 化社
、二
〇一
〇年
︶八 頁註 ( )。 15
︵
︶ 宍戸
・前 掲註
︵
︶一
〇七 頁で は、 さら に安 西文 雄﹁ 法の 下の 平等
﹂杉 原泰 雄編
﹃新 版 体系 憲法 事典
﹄︵ 青林 書院
、二
〇〇 八年
︶四 四六 87
62 頁以 下も
、本 文の )の 例と され てい る。 しか し、 この 学説 が﹁ 平等 の内 容を 限定 的に 捉え
﹂て いる かは
、定 かで はな い。 これ に対 して
、高 橋和 之﹃ 立憲 主義 と日 本国 憲法 第 版﹄
︵有 斐閣
、二
〇一
〇年
︶一 五〇 頁は
、﹁ 個人 の尊 重と いう 原理 から は、 個々 人の 違い は尊 重さ れな けれ ばな ら ず、 その よう な違 いに 応じ た別 異処 遇は 平等 権の 侵害 には なら ない
﹂、 とい う。 この 見解 は、 一四 条が 保障 対象 とす る別 異取 扱い の範 囲を 限定 する 趣旨 だと 思わ れる
。
︵
︶ 木村
・前 掲註 ( )四 五~ 四七 頁。 88
11
︵
︶ 木村
・前 掲註 ( )五 九~ 六〇 頁。 89
11
︵
︶ 井上
・前 掲註 ( )・
︵一
︶五 六一 頁以 下。 90
8
︵
︶ 井上
・前 掲註 ( )・
︵一
︶五 六六 頁以 下、 同﹃ 憲法 判例 に聞 く﹄
︵日 本評 論社
、二
〇〇 八年
︶四 四頁 以下
。 91
8
︵
︶ 井上
・前 掲註 ( )七
〇頁
、同
・前 掲註 ( )・
︵一
︶五 七四 頁以 下。 92
91
8
︵
︶ 井上
・前 掲註 ( )・
︵一
︶五 八六 頁以 下、 同・ 前掲 註( )五 五頁 以下
。 93
8
91
︵
︶ 井上
・前 掲註 ( )・
︵二
︶一 二八 頁以 下。 94
8
︵
︶ 大石
・前 掲註 ( )六 七頁
。 95
83
︵
︶ 宍戸
・前 掲註 ( )一
〇九 頁。 96
62
︵
︶ 奥平 康弘
﹃憲 法Ⅲ
﹄︵ 有斐 閣、 一九 九三 年︶ 一三 八頁
。そ のほ か、 例え ば、 野中
・前 掲註 ( )一 六五 頁も
、﹁ 尊属 殺等 重罰 規定 の平 等原 則違 97
1 反が 主張 され るの は、 あく まで 普通 殺人 の法 定刑 との 間に ある 差別 につ いて なの であ って
、差 別の 程度 につ いて なの では ない
。差 別の 程度 が平 等原 則の 問題 にな るの は、 むし ろ差 別す るこ と自 体は 本来 許さ れな いの だが
、立 法技 術そ の他 の理 由に より ある 程度 まで の差 別的 取扱 いは 認め ざる をえ ない とい うと きに
、そ の許 容限 度は どこ まで かと いう 形に おい てで ある と思 われ る。 私の 立場 から みれ ば、 最高 裁が 差別 自体 は合 理的 だが 差別 の程 度が 不合 理だ とし
、そ れを 平等 原則 違反 の問 題と して 処理 した こと には
、論 理的 不整 合が ある
﹂、 とい う。
︵
︶ 石川
・前 掲註 ( )四 一~ 四二 頁。 98
19
︵
︶ 高橋 ほか
・前 掲註 ( )五 九~ 六二 頁。 さら に、 石川 健治
「国 籍法 違憲 大法 廷判 決を めぐ って
︱︱ 憲法 の観 点か ら( ・ 完︶
﹂法 学教 室三 四六 号 99
46 (二
〇〇 九年 )一 一頁 も、 この 判決 にお いて
、「 平等 原則 によ る裁 量統 制が
、い つの まに か比 例原 則に よる それ にす り替 わっ てい る﹂
、と 指摘 する
。
︵
︶ 石川
・前 掲註 ( )一 三頁
。同 論文 によ ると
、国 籍法 判決 の場 合は
、﹁ 国籍 法が
、性 差を 理由 とし て女 性を
﹃優 遇﹄ した 事案 であ り、 しか も、 100
99 そも そも
﹃権 利﹄ 事案 では なく
﹃身 分﹄ 事案 であ るた めに
、男 性の 側で
︵﹃ 逆差 別﹄ によ る︶
﹃権 利﹄ 侵害 を認 識す るこ とは
、原 理的 に不 可能 で ある
。厄 介な こと にわ れわ れは
、そ のま まで は比 例原 則の 当て はま らな い、 きわ めて 例外 的な 事案 に直 面し てい る﹂
、と され てい る︵ 一三 頁︶
。 この
﹁権 利﹂ 事案 か﹁ 身分
﹂事 案か とい う論 点設 定に は、 本稿 は対 応す る準 備が ない ため
、立 ち入 れな い。
︵
︶ 井上
・前 掲註 ( )一 三六 頁。 101
14
︵
︶ 浦部
・前 掲註 ( )一 一二 頁は
、﹁ 異な った 取扱 いが 平等 原則 上正 当化 され るの は、 あく まで も、 事実 状態 の違 いに 応じ たも ので ある 場合 な 102
10 のだ から
、事 実状 態の 違い と法 的取 扱い の違 いと の比 例の 問題 を、 平等 原則 にか かわ りの ない 問題 とす るの は適 当で ない
﹂と いう
。井 上の 議論 は、 この 見解 を継 承す るも ので あろ う。 井上 の独 自性 は、 後述 する よう に︵ 五આ
⑸︶
、﹁ 基本 権と して の平 等原 則﹂ を措 定す ると ころ から 始ま る。
︵
︶ 井上
・前 掲註 ( )五 三~ 五四 頁。 103
91
︵
︶ 代表 的な 判例 とし て、 BV er fG E8 8, 87 があ る。 この 決定 の紹 介と して
、嶋 崎健 太郎
﹁性 同一 性障 害者 の年 齢に よる 名の 変更 制限 と平 等条 項 104
﹂ド イツ 憲法 判例 研究 会編
﹃ド イツ の憲 法判 例Ⅱ
︵第 版
︶﹄
︵信 山社
、二
〇〇 六年 )六 七頁 以下
。﹁ 新定 式﹂ によ る平 等審 査と は、 こう であ る。
﹁一 般的 平等 原則 から は、 規制 対象 と区 別の メル クマ ール に応 じて 立法 者に 対す る異 なっ た限 界が 生ず る。 この 限界 は、 単な る恣 意の 禁止 か ら、 比例 性の 要件 への 厳格 な拘 束に まで 及ぶ
。そ のよ うな 要請 の段 階づ けは
、基 本法 三条 一項 の文 言お よび 意味
、な らび に他 の憲 法規 範と の関 連か ら導 かれ る。 すべ ての 人が 法律 の前 に平 等で ある とい う原 則は
、ま ず第 一に
、人 の不 当な 別異 取扱 いを 阻止 すべ きで ある から
、立 法者 は、 人的 集団 を不 平