ツの
﹁エ コロ ジー 税制 改革
﹂は
、当 時の 連邦 政府 が産 業界 の抵 抗に もか かわ らず 強い 推進 力で もっ て導 入し た措 置で あり
、か つ、 これ を気 候保 全の ため の最 も有 効な 措置 とみ なし てき たこ と、 した がっ てま た、 国家 気 候保 全プ ログ ラム にお いて
﹁中 心的 な構 成要 素﹂ とも いう べき 重要 な位 置づ けを 与え てき たこ とを
、本 稿で は明 ら かに した
。わ が国 にお いて も、 近年
、地 球温 暖化 対策 とし ての 税制 の活 用に 一定 の期 待が なさ れる よう にな って お り、 しか も政 府レ ベル では 既に 検討 が重 ねら れ、 具体 的な 制度 提案 まで なさ れて
( )
いる にも かか わら ず、 産業 界の 抵
93
抗も あっ てな かな か導 入に 踏み 切れ てい ない こと など を併 せ考 える と、 ドイ ツで のそ の導 入お よび 実施 のあ り方 を 一つ の参 考と する こと によ り、 今後
、わ が国 にお ける 環境 税・ 環境 賦課 金の 導入 およ び実 施の 可能 性や 方法 を考 え てい く必 要が あろ う。 おそ らく
、そ の際 に論 点の 一つ とな り得 るの は、 税・ 賦課 金の 導入 およ び実 施に よる 環境 保全 への 有効 性を どの よう なも のと して とら え、 それ をい かに 評価 して いく かと いう こと にあ ると 考え られ る。 すな わち
、環 境税
・環 境 賦課 金は
、汚 染排 出が もた らす 社会 的費 用を 内部 化す ると いう 発想 の下 に汚 染原 因者 にそ の費 用を 上乗 せ的 に負 担 させ るも ので あり
、い わば
﹁価 格﹂ に着 目し た制 御方 法で ある が、 この 点は
、た とえ ば従 来の 規制 的手 法や
、ま た 近年 注目 され る排 出枠 取引 のよ うに
、汚 染排 出の
﹁量
﹂的 要素 に着 目し てそ れを 制御 する とい う発 想と は異 なる し、 まし てや 規制 的手 法の よう に直 接的 に汚 染排 出行 為を 禁止
・制 限す るも ので もな いた め、 その 環境 保全 への 効
果や 有効 性を 精確 に測 定す るこ とが 困難 とさ れる ため で
( )
ある
。
94
⑵
この 点を いか に考 える べき かは、今 後、 更に 筆者 自身 の検 討を 深め てい くこ とと した いが
、さ しあ たり
、右 にみ てき たド イツ の事 例か ら、 次の よう な示 唆を 得て おき たい
。 当時 の連 邦政 府に よる 気候 保全 のた めの 法政 策は
、各 省庁 別に 策定 され る諸 々の 措置 を国 家気 候保 全プ ログ ラム とい う枠 組み の中 に位 置づ けて
、そ れを 全体 とし ての 政策 目標 の実 現と のか かわ りで 有機 的に 結び つけ るこ とに よ り、 そこ での 目標 を達 成し よう とす るも ので あっ た。 換言 すれ ば、 国家 気候 保全 プロ グラ ムは
、明 確な 目標 設定 と その 達成 とい う、 一つ の規 制主 義的 な﹁ 法的 仕組 み﹂ なの であ り、 エコ ロジ ー税 制改 革は その
﹁中 心的 な構 成要 素﹂ をな し、 その 環境 保全 効果 が大 きく 期待 され てい たと はい えど も、 あく まで 一つ の﹁ 構成 要素
﹂で ある にす ぎ ない
。そ うで ある とす れば
、エ コロ ジー 税制 改革 は、 国家 気候 保全 プロ グラ ムと いう 規制 主義 的な
﹁法 的仕 組み
﹂ の中 にお いて 機能 する もの とみ るべ きで あり
、こ のよ うな 見方 から 評価 する こと によ って はじ めて
、気 候保 全の た めの
﹁事 前配 慮﹂ 的手 法に おけ る﹁ 中心 的な 構成 要素
﹂と して のそ の意 義を
、正 当に 評価 する こと が可 能に なる と 考え られ る。 した がっ て、 その 効果 や有 効性 の評 価も
、全 体と して の国 家気 候保 全プ ログ ラム との かか わり にお い てな され る必 要が あ
( )
ろう
。
95
少な くと も、 右に みた 国家 気候 保全 プロ グラ ムと その 下で のエ コロ ジー 税制 改革 がそ うで あっ たよ うに
、環 境 税・ 環境 賦課 金の よう ない わゆ る経 済的 手法 が、 各種 の規 制措 置と も有 機的 に関 連づ けら れて おり
、し たが って 規 制主 義的 な﹁ 法的 仕組 み﹂ の中 にお いて それ が明 確に 位置 づけ られ てい る場 合に は、 その 効果 や有 効性 は、 それ ぞ れに まっ たく 別個 のも のと して 評価 され るべ きで はな く、 全体 とし ての 規制 主義 的な
﹁法 的仕 組み
﹂の 中で 評価 さ れる 必要 があ ると 考え られ る。
︵
︶ たと えば
、ド イツ 連邦 環境 庁︵ Um we lt bu nd es am t︶ が二
〇〇 九年 一二 月二 日に 公表 した とこ ろに よる と、 ドイ ツで は、 二〇
〇七 年ま でに 一 82 九九
〇年 比で 既に 二二
・四
%の 温室 効果 ガス 排出 削減 に成 功し てお り、 京都 議定 書に 基づ いて 求め られ てい る二
〇〇 八年 から 二〇 一二 年ま で の期 間で の二 一% 削減 をほ ぼ確 実に 実現 しう る状 況に ある とし てい る。 この プレ ス発 表に つい ては
、連 邦環 境庁 のホ ーム ペー ジか ら閲 覧可 能で ある
。 ht tp :/ /w ww .u mw el tb un de sa mt .d e/ ub a -in fo -p re ss e/ 20 09 /p df /p d0 9 -08 8_ So _g eh t_ es _d er _U mw el t_ in _D eu ts ch la nd .p df
﹇二
〇一
〇年 一月 六 日最 終確 認﹈
︵
︶ 以上 のよ うな 環境 保全 の手 法に つい ての とら え方 に関 して は、 田北
・前 掲註
︵
︶一 八四 頁が
、M .J än ic ke ,E nv ir on me nt al In no va ti on 83
77 fr om th eS ta nd po in to fP ol ic yA na ly si s: in M. S. An de rs en /R .U .S pr en ge r︵ Hr sg .︶ Ma rk et -b as ed In st ru me nt sf or En vi ro nm en ta lM an ag em en t -Po li ti cs an dI ns ti tu ti on s, 20 00 ,S .4 9f f. にお ける 議論 を引 き合 いに 出し
、た とえ ば日 本の 硫黄 酸化 物排 出規 制の 成功 は、 一九 七四 年の 法規 制と 一 九八 八年 の課 徴金 賦課 に帰 され がち だが
、実 際に は企 業の 自主 規制
、行 政指 導や エコ 情報 交換 が大 きな 役割 を果 たし てい たと 同論 文が 分析 して いる こと など を踏 まえ て、 それ らは
﹁環 境政 策が 経済 的手 段の 選択 を越 えた 問題 とし て、 一つ のプ ロセ スと して 政策 形成
・施 行・ 監視 全体 を扱 うべ きこ と﹂ を物 語っ てい ると の結 論を 導き 出し てお り、 参考 にな る。
︵
︶ ドイ ツの 国家 気候 保全 プロ グラ ムに 備わ るこ のよ うな 特徴 は、 オラ ンダ の﹁ 国家 環境 政策 計画
﹂︵ Na ti on al En vi ro nm en ta lP ol ic yP la n -N 84 EP P︶ にも みら れる とい う。 髙橋 信隆
﹁環 境保 全の
﹃新 たな
﹄手 法の 展開
﹂森 島昭 夫ほ か編
﹃環 境問 題の 行方
﹄︵ 別冊 ジュ リス ト新 世紀 の展 望
︶有 斐閣
︵一 九九 九︶ 四八 頁以 下は
、公 害防 止協 定の 法的 性格 を論 じる にあ たり
、オ ラン ダの 自主 協定 とN EP Pと の関 係に 触れ てい る が 2
、そ れに よる と、 オラ ンダ では
、規 制的 手法 の機 能不 全を 前提 とし て自 主協 定が NE PP の目 標実 現に とっ ての 重要 な手 法と され てい るも の の、 協定 によ って 環境 保全 の成 果が 達成 でき ない 場合 には
、最 終的 に法 令に 基づ く規 制的 手法 によ る強 制力 の行 使を 予定 する こと によ り、 それ が規 制的 手法 を補 完す るも のと して 位置 づけ られ てい ると いう
。こ のこ とか ら、 オラ ンダ では 規制 的手 法と 合意 形成 手法 との 明確 な区 別を 設け ず、 規制 的手 法と それ を補 完す る手 法と いう 全体 とし ての 規制 行政 の法 的仕 組み の中 で各 種手 法を 連続 的に 位置 づけ てい る点 に特 徴が あり
、協 定の 法的 拘束 力は
、そ れが 契約 とし ての 法的 性格 を有 して いる から 生ず るわ けで はな く、 全体 とし ての 規制 行政 の法 的仕 組み それ 自体 から 生ず ると 解す るこ とも でき ると 結論 づけ てい る。 本稿 にと って も大 いに 示唆 的で ある
。
︵
︶ Vg l. M. Kl oe pf er ,Z ud en ne ue nu mw el tr ec ht li ch en Ha nd lu ng sf or me nd es St aa te s, JZ 19 91 ,S .7 41 .
︵ 85
︶ ドイ ツ環 境法 に関 して この 点を 論じ るも のは 多い が、 とり わけ 環境 保全 の手 法と のか かわ りに おい ては
、岩 﨑・ 前掲 註︵
︶七 五頁 以下 参 86
7 照。
︵
︶ 環 境法 に おけ る規 制的 手法 の﹁ 執行 の欠 缺﹂ に つい て は、 vg l. G. Lü bb e -Wo lf f, Mo de rn is ie ru ng de sU mw el to rd nu ng sr ec ht s: V 87 ol lz ie hb ar ke it -D er eg ul ie ru ng -E ff iz ie nz ,1 99 6.
︵
︶ 環境 保全 との 関係 で規 制的 手法 の﹁ 規律 の欠 缺﹂ に触 れる もの とし て、 髙橋
・前 掲註
︵
︶八 七頁 以下
。 88
43
︵
︶﹁ リス ク﹂ 概念 をど のよ うな もの とし て理 解し
、そ れを 法的 に、 とり わけ
﹁危 険﹂ 概念 との 関連 でど のよ うに 構成 する か、 そし て更 には
、 リ 89 スク 管理 手法 とし ての 環境 法を いか に構 築す るか とい う問 題意 識に 立っ てこ の点 を検 討す るも のと して
、髙 橋・ 前掲 註︵
︶七 六頁 以下
、特 43 に九 一頁 以下 参照
。ま た、 髙橋
=岩 﨑・ 前掲 註︵
︶一 頁以 下は
、リ スク 制御 の問 題と のか かわ りで 環境 賦課 金と いう 手法 の可 能性 を検 討す 43 る。
︵
︶ 以下 の考 察に 当た って は、 とり わけ 次の 諸論 稿か ら示 唆を 受け た。 髙橋
・前 掲註
︵
︶四 八頁 以下 およ び、 山本
・前 掲註
︵
︶三 頁以 下。 90
84
41
︵
︶ 岩﨑
・前 掲註
︵
︶六 一頁 参照
。 91
7
︵
︶ 二〇
〇〇 年プ ログ ラム はそ れを
﹁気 候保 全プ ログ ラム の継 続的 進展
﹂︵ ko nt in ui er li ch eF or te nt wi ck lu ng de rK li ma sc hu tz pr og ra mm
︶と い う 92 言葉 で表 し、 また
、二
〇〇 五年 プロ グラ ムは
﹁国 家の 持続 性戦 略﹂
︵n at io na le nN ac hh al ti gk ei ts st ra te gi e︶ と表 現す る。 Vg l. Na ti on al es Kl i -ma sc hu tz pr og ra mm 20 00
︵F uß n. 15
︶, S. 7; Na ti on al es Kl im as ch ut zp ro gr am m 20 05
︵F uß n. 36
︶, S. 5. この 点に つい ては 更に
、v gl .B un de sr e -gi er un g︵ Fu ßn .2 4︶ ,S .5 .
︵
︶ 環境 省の ホー ムペ ージ に詳 細で ある
。 93 ht tp :/ /w ww .e nv .g o. jp /p ol ic y/ ta x/ ke nt o. ht ml
﹇二
〇一
〇年 一月 六日 最終 確認
﹈
︵
︶ この 点を 法的 な議 論と のか かわ りで みた とき には
、次 のこ とが 問題 とな る。 94 すな わち
、環 境税
・環 境賦 課金 とい う手 法は
、規 制対 象者 に金 銭的 負担 を課 すこ とで
、規 制対 象者 が環 境保 全に 積極 的に 取り 組む よう
﹁刺 激﹂ を与 える 仕組 み、 換言 すれ ば、 規制 され る者 の側 が自 らの 責任 およ び判 断に おい て自 主的
・自 律的 に汚 染に 伴う 危険 やリ スク を管 理す るこ とを 可能 とす る仕 組み であ ると 理解 でき
、し たが って
、監 視の ため の行 政コ スト を節 約す るこ とが でき るば かり でな く、 市場 を介 して 規制 対象 者に 経済 合理 的な 行動 選択 を促 すこ とが でき るた め、 政策 目標 は社 会全 体か らみ て効 率的 に実 現さ れる こと にな る。 他方 で、 この よう な意 味で 規制 対象 者の
﹁自 主性
﹂を 尊重 する 手法 につ いて は、 以下 のよ うな 問題 を認 識し てお かな けれ ばな らな い。 すな わ ち、 まず
、こ の手 法が 規制 対象 者の 自主 性を 尊重 し、 具体 的局 面で の行 動選 択を その 任意 の判 断に 委ね
、ま して やそ れを あら かじ め法 的に 担保 する こと はで きな いこ とも あっ て、 それ を利 用す るこ とに よる 実効 性を 予測 する こと は極 めて 困難 であ る。 また
、そ れと の関 連で は、 この 手法 は﹁ 刺激
﹂を 付与 する こと で政 策目 標を 達成 しよ うと する もの であ るが
、そ のよ うな 行政 によ る﹁ 誘導
﹂︵ Le nk un g︶ に従 うか どう かは 規制 対 象者 が任 意に 判断 でき る仕 組み であ るた めに
、そ れが 何ら かの 権力 的背 景を もっ てな され るよ うな 場合 には
、規 制対 象者 の権 利利 益を
﹁事 実 上﹂ 侵害 する 危険 もな いと はい えな い。 そう であ ると すれ ば、 これ らの 限界 をい かに 克服 する かと いう こと が、 環境 税・ 環境 賦課 金の ある べき 方向 性を 考え る上 で極 めて 重要 な意 味 を持 つこ とに なる
。
︵
︶ この 点に つい ては
、二
〇〇
〇年 プロ グラ ムが 次の よう に論 じて いる のが 示唆 的で ある
。V gl .d az uN at io na le sK li ma sc hu tz pr og ra mm 20 00 95
︵F uß n. 15
︶, 15 f.